人生: マンガ・アニメの話(まとめ読み)

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マンガ・アニメの話(まとめ読み)

※下に行くほど古い記事です。


目次から...

2013.01.29(マンガ・アニメの話より)

2012年のマンガを振り返ってみたれやーッ!!(男らしい)

 チャンピオン読者が選ぶ! このマンガが面白い! 2013……でしたっけ?(考えてみたら正式タイトルを知らず)
 そういうイベントがこの世界にはあるのです。スペインの牛追い祭りがこの世界にあるのと同様に。
 僕もひとつの週刊少年チャンピオン愛読者だ。やるしかない!(やるっきゃ騎士くらい)
 でまあ週チャン・別チャンを除く「チャンピオン以外部門」BEST3からはじめてみよう! あ、基本的に人にオススメするという体裁で書いてます。みんなも読んじゃえばいいじゃん。

①チャンピオン以外部門

対象:2012年に単行本が刊行された別チャン・週チャン連載以外のマンガ作品から上位3位まで

1位『極黒のブリュンヒルデ』

 なんで表紙が脇見せやねん。いやちゃんと意味あるんです。あるのです……。そんなストーリーがはらむ様々な謎をざっくり割愛して目に映る話だけ抜き出すと、「悪の組織が生み出した、様々な超能力をもつ『魔法少女』たち。偶然の出会いからその秘密を知った主人公は、彼女らを組織から救うため奮戦する」という、なんか眠くなるような話なんですが、これが既視感や退屈感ゼロの謎あり笑いあり痛快ありの誰にでもおすすめできる娯楽活劇になるんだからそりゃ1位ですわ。まあ死ぬ人はばっさり死ぬし血みどろになることも多数なバイオレンスもありますが、その程度チャンピオン読者なら空気を吸うようなものだよネ!(舌禍)
 ざっくりジャンル分けすれば「能力バトルもの」ですが、異彩を放つのは「主人公に特殊能力がない」ところ。秀才ではあるんですが、基本ひとタッチで死者が出るような能力バトルにはあまりに一般人。その彼が司令塔として味方の魔法少女の能力をうまく使って、敵を策に見事にハメるのが実に痛快。
 ことに面白いのが主人公が「読者より先回りして言い切っちゃう」ギミック。これすっごく伝わりづらいんですが、知略戦系のマンガでしばしば「わかっていないように見せかけて、終わってみたら全部演技でわかってた」という手法あるでしょ。その演技部分をすっとばすどころか、自分がわかってるからそれでいい前提でいきなり結論だけしゃべるんですよこの人。終わってみれば「あー!」とわかる、そのスピード感がヤバい。
 またこの主人公、こんな具合で知性派でけっこう身も蓋もないことズバズバ言うこともありますが基本たいへんよくできた子で、もとを正せば縁もゆかりもない魔法少女たちを命がけで救おうとしたり、そんなでかい話じゃなくても変に悪ぶったりせず素直な気配りができるえらい人。あとかなり美少年。読んでて気持ちのいいマンガですな。
 作者の過去作は『エルフェンリート』『ノノノノ』と、いわゆる「よく引用される部分」ではどうかした超展開や黒展開で有名ですが、案外それはショッキングなコマを抜き出しただけじゃないかなー。実はきちんと話の流れで見ると非常に健全で、がんばりは報われ周囲はいい連中でそれなりにいい目にあう一方悪い奴は何も手に入れられずひどい目にあう、しごくまっとうな娯楽作家だったりするんですよね。あと女の子がヘンにかわいいよ。ヘンではあります(そこは譲りがたかった)。
 本筋から脇道まで色々謎があったり込み入った事情があったりして1話単位で読むとピンときづらいかもしれませんが、単行本で通して1巻読むと非常にわかりやすいエンターテイメント。まだ3巻と読み始めやすい巻数なのでとりあえず1巻目だけ読んでみては。ヤングジャンプコミックスなのでチャンピオンコミックスと違ってどこの本屋にもけっこう置いてあるよ!

2位『超級!機動武闘伝Gガンダム 新宿・東方不敗! [STAGE2]』

 知らない人には幻覚を見ながら書いたように見えるタイトルかもしれませんが、アニメ『機動武闘伝Gガンダム』のコミカライズでかつ第二章にあたる通称「新宿編」の部分なのでこんなことになっているのです。
 『Gガンダム』! それは数あるガンダム作品の中でも見た人全員がこんなのガンダムじゃねえ、いや面白いけど、と思うことで有名な巨大ロボットによる格闘ガチバトルアニメでした。殴る! つかむ! なんやようわからんエネルギーがはじける! こんなのガンダムじゃねえ!
 そんなアニメをかの大熱血漫画家 島本和彦がマンガ化するのだからそれはもう殴るわつかむわはじけるわがいっそう汗臭い大ごとになっております。宮北和明によるMF(ロボ)絵も重量感と鉄くささたっぷり、時に拳で語る男の世界、時にがっくり脱力する頭の悪さの島本節が月産100ページ超の過激な仕事量でサクレツする!
 ……のが、マンガ『超級!機動武闘伝Gガンダム』のあらすじ(すじでもなんでもねえ)。で、ここからが第2位に推す理由なのですが、この『新宿・東方不敗!』編(タイトル変更による巻数リセットがかかるのでちょっとややこしいのですが、『新宿・東方不敗!』第1巻は実質的な『超級!機動武闘伝Gガンダム』第8巻です)になってからがとんでもない。
 1対1のガンダムファイトを描いていた話が突然、謎の敵部隊との籠城戦に切り替わってわけのわからないまま(本当にわからない)しかし熱気と勢いだけは凄いのでなんか読み進まってしまう第1巻。そこから驚きの急展開が始まるのですが、あの作者をもってしてもここまで、という全てにおいて大・過剰!な筆致が続くのです。
 烈しい、烈しすぎる戦い! 死を前にしてなおすずやかな覚悟! 命のすべてをかけた心意気! 今までの作者であればどこか「……というバカをやってるというギャグです」的なうーん言い方は悪いけど逃げ道?がどこかに、どこかに用意されてたんですが、原作にそんな逃げ道がないからか、あるいは作者のスパークがいま極限に達したか、大マジでこの熱血を描ききってしまう! しかもやりきったと思ったその次の回ではさらに上をいく熱気が!
 本当に読んでて物理的に汗が流れる凄まじい暴走。もうこんなの暴走ですわ。話のところどころではおなじみ脱力ギャグも混じるんですが、それでも熱気が失われることなく同時にギャグ自体にも笑っちゃえる不思議。
 『新宿・東方不敗!』から読み始めても大丈夫(わけがわからないのは最初から読み続けていてもいっしょだ!)なので、このマンガにおける迫力と熱気の極点、1〜4巻だけでも読んでみてはいかがでしょう。ここ以外のパートもちゃんと面白いけど!

3位『フダンシフル!』

フダンシフル!(1) (ヤングガンガンコミックス)
もりしげ
スクウェア・エニックス (2011-05-25)
 ついに昨年完結したシリーズ。個人的にはエバーグリーン・ベストな作品ですが、読者を選ぶところもあるし(Gガンダムのあとにおいてすら)直接の前編『フダンシズム』を読んでないとたぶん100%は楽しめないし、といって読み始めると『フダンシフル!』は3巻で完結という急展開だし、バランスを考えると3位まで下ろさざるをえない。個人的にはいつだって1位です。
 なんていうかオススメがすごく難しいマンガ。この作者のマンガは独特の「文法」とでも言うべきものがあって、ふつうのマンガを読む目線で読むと「え? 今のなに?」「この人はなにを考えているの?」「これどういう意味?」「話の流れおかしくない?」みたいな疑問でいっぱいになりかねない……それはあくまで文法の問題で、きちんと脳が正しく翻訳すれば楽しく読めるんですが、あいにくワンアンドオンリーな作家なので文法を学ぶにもケーススタディで憶えるしかないというのが悩ましいところ。
 個人的には同時進行で描かれた『学徒のベクトル』(全1巻)で作者のリズムをつかみつつ、「これヘンだけどなんか面白いわ」と思ったら『フダンシズム』に進むのが初心者にはおすすめのルートですが、たいがい気の長い話だなそれ!
 まして『フダンシズム』は最初のうちオタク文化と腐女子心をストーリー仕立てで学ぶ学習マンガ(なんだそれ)の性質が強く、これはこれで面白いとはいえキャラが動き出しストーリーが大きくうねり出す4巻あたりからが真骨頂という、ええい本当におすすめの難しいマンガだなもう!
 しかしそれでもこのマンガは素晴らしくキラキラと輝く青春を、誰よりも優しい視線で描いた傑作なのです!
 好きになった女の子と接点を持ったのがよりによって(とある事情でしかたなく)女装していた時、というタイミングの悪さが生んだ男と女(装)の二重生活。あの娘に少しでも近づきたいとオタク道に踏み込むも、オタクの道は生真面目すぎる素人には疑問まみれというカルチャーギャップ・コメディ。もともと人付き合いの苦手だった主人公が、女装でもう一つの人格を得ることで違った角度から人と知り合い、仲間とも言える友人を作っていく青春譚。二重生活のボロを必死で隠すスラップスティックな軽いサスペンス。
 登場人物はほぼ全員オタクで、おおむね全員間違ってる(本当に全員ろくでもなく間違ってる)んだけど、全員好きなもののために一生懸命でその瞬間瞬間を精一杯楽しんでいることもはっきりと肯定的に描かれているバランスも絶妙。オタク文化に無知な主人公が(この人たちはだめなのでは?)という疑問をもちつつ、好きな子のためというちょっと不純な動機でオタク活動を続けていくうちにその「価値」を自然に理解し、仲間と、好きな子と共有できるようになる。その様はとても美しく、そのいつか終わってしまうだろう日々が切なくも爽やかであるのです。
 『フダンシズム』全7巻と『フダンシフル!』全3巻で計10巻。初期は絵に独特のクセがあるのと、その上1コマ1コマの情報量が多いので急ぎ足で読むのはまったくおすすめしないし、もうホント難しいんですがあえて、ぜひ読んでほしいと言える作品。

つけたり

 難しー! 3つに絞るってすげー難し−!
 というわけですげー惜しいところで3つに入りきらなかったのをダイジェストでお送りします。
 まずエッジの効いたなんだかカオスな月刊誌「チャンピオンRED」(読んでない人に姉妹誌「チャンピオンREDいちご」とごっちゃにされることで有名)から3作。『真マジンガーZERO』は前回も書きましたが、オタクな原作元ネタ大好き視点と現代のマンガ演出表現の技巧、そしてどっちに注目せずともドカンとくる巨大ロボ魂、苦難を乗り越える男の戦い、英雄そして同士としてのスーパーロボットを描ききった、リメイクの域を超える傑作。
 ついこの間最終回を迎えた『昭島スーサイド☆クラブ』、まだエピソード1だけで終わっちゃった感あるわ! いまだに「昭島」をなんて読むか忘れがちなのがまずかったのだろうか。決して万能ではない高校生たちが町の自警団を組む(しかもリーダーは魔法少女きどり)というちょっと変でちょっと真面目な話ですが、純粋さがひどく切なく、一方で間違ったことにはっきりNOと言ってやるのが痛快な成長物語。知ってました? REDってこういう話も載るんですよ!
 2巻が出るかどうかは売上と人気のみぞ知る『死人の声をきくがよい』。諦観しきってやれやれ系にすらなれない人生に疲れっぱなしの美少年と、基本棒立ちで無表情で喋らなくてというかなにぶん幽霊な美少女という、話動かす気が見当たらねえ2人によるロマンス以前のロマンス! まあ血はしぶき内臓がはみで画面の7割ぐらいが斜線の陰影で埋まっているホラー・ショートストーリーなんですけど。でも本当に陰鬱でじめっとした雰囲気と、反して意外にカラッとした物語、そしてホラーなのにやたら萌える主人公とヒロインのキャラクター造形は素晴らしく、ホラーだからというだけで敬遠するには惜しい作品です。
 そしてこっからは「どうせみんな読んでるんでしょ?」部門! すごいよ、たしかにすごいけどさ、すごいってもうあちこちで言われてるから今さら言うまでもないよね。という、はいまず『進撃の巨人』。すごい! あいかわらずすごいんだからしょうがない! 全編緊張、絶望一歩手前が持続する中にもわずかに希望を見せる手管、皆いいキャラしてるしそれを僅かな描写で見せる技術に、衝撃につぐ衝撃の展開。ああ本当すごい。「絵が下手」という評価も多くきくけど、世の中にはデッサンやデフォルメやタッチやレンズ効果やカメラワークや記号化や演出技法といったものがあり、この場合は下手というよりは「選択された手法」であってそういう人が言う「上手い絵」で描いたら別のマンガになっちゃうと僕は思いますなー。
 『ハイスコアガール』! ついに押切蓮介本格ブレイク! そりゃ面白いもの女の子は可憐だもの主人公はボンクラだけどいい奴だもの丁寧なボーイ・ミーツ・ガールとして完璧だし「当時」のゲーム事情を知ってればノスタルジーまでついてくるわいいとこだらけですわ。押切先生のマンガはどれも素晴らしいのでもうみんな全部読めばいいじゃない! 『ミスミソウ』や『椿鬼』みたいな劇薬指定作もあるけど、傑作なのは一緒じゃ!
ハイスコアガール(1) (ビッグガンガンコミックススーパー)
押切 蓮介
スクウェア・エニックス (2012-02-25)
 『HUNTER×HUNTER』は、なんかもういまさら何をかいわんやですね。なんでこの人こんな無理していつも週刊少年ジャンプで描いてはるのやろ……と思うことはありますが、たぶんどこ行っても休載はするんじゃなかろか。
HUNTER×HUNTER 31 (ジャンプコミックス)
冨樫 義博
集英社 (2012-12-04)
 メジャー作のわりにそれほど「すごい!」の声は聞かないがいやこれ十分すぎるほどすごいっしょてのが『史上最強の弟子ケンイチ』。50巻の節目を迎えんとしている長寿連載なのに、決してマンネリにならず見せ場につぐ見せ場、泣かせ所と痛快な一撃。常にエンターテイメントとして高水準を保っているどころか、より高みに進むいきおい。大人の厳しさと優しさ、頼れるところをきちっと描ける少年マンガも最近は貴重ですよ。
 逆に比較的マイナー作だけど知ってる人にはもう話題沸騰の『風雲児たち 幕末編』。ここ最近の盛り上がりはどうだ! もとより歴史ギャグと本格歴史ものの交錯する作品ではありましたが、ここにいたり今まで誰も描けなかった「迫真のノンフィクションとしての桜田門外の変」! もう20巻と21巻だけでも読むべきじゃね? という無茶を思ってしまう展開。いや本当に。
風雲児たち 幕末編 20 (SPコミックス)
みなもと 太郎
リイド社 (2012-04-26)

続いては2012年に新創刊された週チャンのフレッシュ姉妹誌、「別冊少年チャンピオン」からBEST3!

②別冊少年チャンピオン部門

対象:2012年創刊号〜2013年1月号までに別冊少年チャンピオン本誌に掲載されたマンガ作品から上位3位まで

第1位『サンセットローズ』

 「あの」がつく傑作『フルアヘッド! ココ』の正統続編とくれば読まずにおれないというものですが、厳密には「アナザーストーリー」だそうで実際これ『ココ』とはかなりスタイルが違っていて続編としてより単一作として評価すべきでしょうか。現時点で実際『ココ』との繋がりは世界観とごくちょっとのアレだけだしね。
 『ココ』のことはいったん忘れてこのマンガ、何しろ男がカッコいい。主人公チェリー・ブラッサムが血気盛んなだけの若造と見せかけて、その実腕が立つ! 心が強い! やるべき時にやるべき事をやってくれる! まさに英雄の資質アリの大器。
 月刊誌連載ということで1話あたりのページ数が多いおかげもあってか、このヒロイックさをきっちり時間をかけつつ1話完結で魅せる尺のとり方も職人的で、「完成度の高さパネエ」というのがこのマンガのいちばん適切な形容でしょうか。思えば『ココ』以降も作者にはいろんな連載があり、中には正直なんであんなことになったのかわかんなかったものもあり、打ち切りの憂き目にあった作品もけっこうあり、でもまあ傑作ももちろんあるし一度した失敗の二の轍はふまず常に現役を貫いている、そんな中で培われた漫画力がいま『サンセットローズ』という形で現われているんじゃないでしょうか。現在1巻。

第2位『みつどもえ』

 週刊チャンピオンで短期集中連載という名の試用期間を経てようやくの連載開始、そこから徐々にファンを増やし遂には夢のアニメ化、しかも2期、そんな絶頂期に突然の長期休載。何があったのかはわからないがとにかく往時のパワーそのままに電撃復帰、そして別冊チャンピオンの目玉連載として電撃移籍という、読者にとって実にドラマチックな変遷を経た『みつどもえ』。
 月刊誌に移行して2本立て体制になったのが意外に重要というか、読者として読むリズムが変わったのがいちばん大きな変化でしょうか。個人的には週刊時代にはなかった満腹感があり、本の柱のひとつとして支えてる感があって大いにアリ。
 2本立ての満腹感ってもカラー扉抜き本文16ページではありますが、このマンガの場合1ページに何種類も笑いがギッチギチに詰まっているのでボリュームは十分。キャラの立った群像劇として話の主軸の横で1コマストーリーが展開してたり、キャラ同士の関係性が生む展開のドミノ倒しがラストで1コマ目に戻ってきたりする実によく練られた脚本。アニメの番宣だけ見て「よくわからないが日常系萌えぷに系かしら」と思ってる人にこそ読んでほしい、そして日常系という言葉が似合わないにもほどのあるテンションで巻き起こるあってはならない事件の数々に衝撃を受けてほしい。でもまあ移籍前の約12巻分たまったキャラ相関図の蓄積あっての今でもあるので、新創刊誌の柱として新規読者の目に実際のとこどう映るのか、ちょっと心配でもありつつ興味のひかれるところですよな。

第3位『ブラック・ジャック創作㊙話 〜手塚治虫の仕事場から〜』

 思い起こしてみたらこれ「週刊少年チャンピオン創刊40周年記念」の企画モノ短編シリーズだったはずが、いつのまにやら好評が好評を呼んでアンコール連載に、そして別冊チャンピオンの目玉連載、不動のアンカーに。世の中わからないもんですね。
 「神様ってこんなに一緒に仕事したくない存在だったの……」と思わされてしまう「漫画の神様」手塚治虫の悪夢的ワーカホリックとわがままぶりというか、もう神様でもなんでもなくない?という「偉人伝」ではありえない身も蓋もないエピソードの数々。
 これ仕事が神のごとくできてなかったらただのダメ人間だ! あっ、できてるのか! そして人間的になんかいい人。大げさな美談はないけど、というか悪気のないままヒドいことしたりもしてるけど、それでもやっぱいい人だったんだろうな、どんなキツい職場でもこの人の笑顔があるとちょっとがんばれるのかもな、と思わせる感じ……あっ、それってヤクザの手口やないか!
 ……うん、まあそういういい話困った話とりまぜて、情熱の筆致で最終的にやっぱすげえ! 手塚先生すげえよ! としびれるように描いちゃうあたりが脚本・作画ペアの見事な技巧。本当にこの人の絵で描かれる「手塚治虫のくったくのない笑顔」ずるいと思います。
 かつては短編シリーズを急に連載化してネタ切れしないの? という心配もありましたが、タイトルの「ブラック・ジャック創作秘話」から脱線して秋田書店すらかかわりのない実録・手塚治虫物語へと展開してきてるのでその点も心配無用。瓢箪からコマ的ですが、別冊チャンピオンはいい連載を持ったよね。現在2巻。

つけたり

 って、並べてみたら続編・移籍・連載版とフレッシュさの足りないラインナップになってしまった! まずい、別冊チャンピオンの魅力にいまいちふれてない!
 別チャン、この他に『バキ外伝 創面』『バキどもえ』『クローズZEROII』『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話外伝』『別冊 木曜日のフルット』と週チャン好評作の外伝・続編がやけに多く、まあ別冊誌というのはそういうものではあるのでしょうが、しかしここでしか読めない連載もかなりの充実度。
 魔法少女ものの極北と話題の『魔法少女・オブ・ジ・エンド』。ひとことで言えば魔法少女・ミーツ・ゾンビという飛び道具ですが、第1話の衝撃「まじかるー」な異形と閉塞感には心ふるわされたもの。
 『空が灰色だから』で一躍有名になった阿部共実のライトサイド『ブラックギャラクシー6』。ほのぼの漫才マンガでも力を発揮する作者のグダグダ青春コメディーが読めるのは主に別冊チャンピオンだけ!
 タイトルからは何のマンガかよくわからない『ハダカノタイヨウ』は実は漫研もの。漫画描いてるとか友達に噂とかされると恥ずかしいし……というオタクならずともなんかわかる気恥ずかしさを持った主人公が、完全プロ志向のクラスメート(つよい眼鏡っ娘)に引きずられてマンガに踏み込んでいく物語。自分に厳しい上昇志向で一直線にプロを目指す姉崎さん(つよい眼鏡っ娘)の頼もしさが主軸ですが、ノンプロ志向や、立派なアティテュードはないけどマンガ好きな気持ちに嘘はない主人公、様々なまんが道に平等に光が当たっているのもいいですね。
 「ある日突然教室の中の誰を見殺しにするか、選択を強制されたら……?」 『少年Y』はそんなソリッドなシチュエーションスリラー。選択を迫るのがジグソウ的なアレじゃなくちょっとちょろそうな神様少女というあたりも親しみやすくていいと思います。チョチョイのチョイス!(←僕の頭が唐突におかしくなったわけではありません)
 『サクラサクラ』は別ワクで書きましたが『フダンシフル!』作者もりしげ先生の新作として見逃せない。少子化が進みすぎた近未来、残り数名となった世代の少年少女3人のディストピアを描くこれまたクセの強い作品。この人そんなんばっかりか! まあ、そうだよね! 背景には不穏な大人の理論も見え隠れするのですが、その中で疾走する思春期が強靱で面白く、先の気になる作品ですな。
 『眠らないでタエちゃん』、居眠り体質の少女の睡魔との戦いを描くショートショートですが、毎回シチュエーションに工夫があって理に落ちる技巧派。眠りたいけど眠れない苦悶の表情が必要以上にエロティックなのもバカバカしくも通には見逃せないところでしょうか(何の通だ)。
 バカといえば『しこたま』そして『サイケデリック寿』! 『しこたま』は甲子園に挑む女子高生という正しいテーマを、むだなお色気と間違ったキャスティング、完全におかしい理論が台なしにする! 主人公はすぐ脱ぐ(養成ギプス的なものを、しかし結局服とともに脱ぐ)ピッチャー、女房役は女相撲出身のキャッチャーだ! そして『サイケデリック寿』は週チャン本誌で『金縛っておくれよベイベー』『キザクラショウ』等の短編連作でおなじみ西森茂政先生によるナンセンスショートギャグ。説明することを左脳が拒否するVERYハードモードなナンセンスっぷりはますます軒昂で、もう読んで一緒に左脳のはたらきを停止させるしかない!

2012年の週チャンからBEST5、「週刊少年チャンピオン部門」! はっきり言うけどこれ以外のどれを読んでも面白いぞ!(企画意図が否定されかねない)

③週刊少年チャンピオン部門

対象:2012年に単行本が刊行された「週刊少年チャンピオン連載」のマンガ作品 及び、週刊少年チャンピオン本誌2012年NO.1〜NO.53に掲載された読み切り・短期連載を含む全作品から上位5位まで

1位『バーサスアース』

バーサスアース 1 (少年チャンピオン・コミックス)
一智 和智 渡辺 義彦
秋田書店 (2012-12-07)
 いま週チャンで、バーサスアースが一番熱い! と言い切ると「そこまで言っていいのか……?」とさすがに及び腰になってしまう充実の誌面ですが、週チャン俺デミー賞をどれか1作に捧げるならやはり『バーサスアース』。
 僕はこのマンガをことあるごとに「中二の見た夢」「厨二魂を刺激するマンガ」「とことん中二ソウルに響く」など形容していてなんか無自覚にネガティブキャンペーンを張ってるのではないかと反省しますが、それほどこの作品は少年心を熱く燃え上がらせるのです。
 地球がいま、人間達に牙をむく。というテーマは実はどうでもよくて、その牙のむき方が地中から発生した「深柱しんちゅう」で使うは「マントル熱線」! 対抗する組織の開発した武装は「十式対熱多層防護盾ヤタノカガミ」「十一式対甲破壊槌ヤサカノマガタマ」「深柱髄幹裂断刀クサナギノツルギ」!!
 (※ここからしばらく読みとばして大丈夫です)十式対熱多層防護盾ヤタノカガミは256枚の強化対熱セラミック防護パネルが放射状かつ(間に吸熱ジェルをサンドイッチしながら)多層状に積載され、マントル熱線に対して表面から順に使い捨ての装甲となるのだ!! 十一式対甲破壊槌ヤサカノマガタマは巨大ハンマーの打突部がリボルバー式のパイルバンカーとなっており、激突→弾丸発射で接着面にゼロ距離打撃という二段階攻撃が可能である!! 深柱髄幹裂断刀クサナギノツルギは脚部装甲に据え付けられた固定武装で、「抜刀」動作で足先より深く突き出し、これを目標に蹴り込む形で刺突、「射出」してパージと同時に目標に突き入れ固定される! この状態の裂断刀ツルギ破壊槌マガタマで打撃することで目標の中心部に届かせ破壊せしめるのである!!! のである!!!!
 オペレーターの指示とそれを復唱しながらの戦い! 主人公は一般人の高校生だったが、偶然とやむを得ない事情と奮い起こした勇気によって貴重かつ未知数の戦力となる!
 人にはやらねばならない時と、燃えずにおれない中二設定があるのだ。決して男の中の男とはいえない主人公がいいところで覚悟を決め、頼りになる周囲がそれを助ける筋立ても絶妙。レオさんことおっぱいこと作品世界一目つきの鋭い女性戦闘員「玲央」の周囲の男性を次々とヒロイン化させる姐さんっぷりおよび普段時のポンコツぶりも注目せざるをえない。あと原作者公認かわいいこと一般人ヒロイン「カナ」があんまり健気でかわいく描かれているのでいつ殺されて主人公が精神的に成長するきっかけになるのか心配でしかたないです。現在1巻。

2位『囚人リク』

 これ週チャン連載作としては比較的知名度がある気がする。絵が上手い! 描写がシビれる! 男と男の絆が泣かせる! ダメージ描写に容赦がない! 驚きがあり、ドラマがある、いま一番熱い囚人もの。(囚人ものってそんなに言うほどあるか? という疑問はないでもないです。『AREA D』とか囚人ものに入るんだろうか?)
 一時期、囚人間のシマの取り合い、トップ争いが続いて「おもしろくはあるけど、これは初期の脱獄ストーリーからの路線変更なのでは?」と疑問を感じる時期もありましたが、それまでで得た仲間とツテで本格的に脱獄を計画し始めてからが特にアツい。
 看守と警備の隙をつく頭脳戦ととっさの機転、仲間をどこまで信じて命を預けられるかの壁、計画通りに進まないハプニングに襲いかかる絶体絶命の危機! 決してバトってるわけではありませんが「計画バレ=おわり」の監獄島ではこれこそが命をかけたバトル。そして努力と友情と勝利がある、意外にまっとうな少年マンガ性。華やかさや派手さには欠ける地味めで男臭い設定ですが、少年マンガが問題なく読めるなら(要するにひろくマンガ好きなら)読んでいいのでは? 現在9巻。

3位『ハンザスカイ』

 終わっちゃったかー! いやすごくキリのいい所、そしてキレイな終わり方だったのでいわゆる打ち切りエンド感は少ないんだけど、やっぱ明らかに先をもっと見越してたよなー! こういうのすごく複雑な気分ですけど、週チャンはこういう時きちんと幕引きの時間を用意してくれていると感じることが多く(本当のとこは一読者にはわかりかねますが)、現実的にはいいことだと思う。
 で、ハンザスカイ。負け知らずの不良少年が空手部の「クソ女」に手も足も出ず負けてしまったことから始まる恋、そして空手道。主人公「半座」は直情で裏表のない好男子ではありますが、仲間も友達も礼節も知らなかった無頼漢。今まで出会うことのなかったそれらに触れて、人間的に成長していく──というよりも、半座の目に映る世界が少しずつ拓けて輝きを増していく様子が彼自身の目線から描かれていて、とても爽やかで気持ちいいのですね。
 サブキャラクターたちも魅力的で、「団体戦の主役以外」も読み応え十分。どこかで曲がってしまったりうまくいかなかったりねじれてしまったりしたものが空手を通して消化され昇華されていくところも押しつけがましくなく、素直にキャラ全員を応援できるように描かれてます。
 キレイな終わり方には間違いないのでオススメしやすい全13巻。

4位『さくらDISCORD』

 これも終わっちゃったかー! といっても、この作品の場合「長編」と言うには短いながらも用意されたテーマをちょうど全部描ききったようにも見え、円満完結と言っていいのでは? あいかわらず一読者にはわかりかねるとこですが。
 この作品でみごとに消化されきったテーマ、それは友情、恋、すなわち青春! いまどき? そう、いまどき誰もが避けたがる剛速球ストレートをブン投げてきたのです、このマンガは! しかもチャンピオンなのに! いやむしろチャンピオンだからできたド直球の蛮勇なのかもしれません。
 作者は何を描いてもドラマチックになるという不可思議な能力をもつ俊英、増田英二。要は球技大会のメンバー集めじゃろ? みたいな話(本当)がまるで世界の存亡をかけた戦いの序章かのように描かれる(本当)マジックが炸裂しています。しかし考えてみたら青春時代とは、本人たちにとって世界で一番大事なことは目の前のことだったりするもの。これがいちばん正しい表現だとは本気で思います。
 挫折、仲違い、家庭の事情、諦めきれない目標、告白、全部主人公たちにとっては最重要事項であり、全身全霊をこめてブチ当たるのです。こうして文字に書けば過剰でひと昔前のさすがにちょっとフワフワしすぎな青春マンガがイメージされるかもしれませんが、そこは今風。いわゆるバトル物的な「熱い」ドラマチックな展開と演出で、熱気にあてられて気恥ずかしさの吹っ飛ぶ痛快さで迎えてくれます。
 今週から新連載が始まるのも楽しみな作家の前作、揃えやすい全5巻。なぜかAmazonで3巻だけは最初の数ページが読めるのでちょっと見てみるのもいいのでは。

5位『ハーベストマーチ』

 学園怪奇妖怪討伐アクション『ケルベロス』がやりきったといえばやりきった、打ち切りといえば打ち切りもいいとこな終わり方をしてしまったのがいまだ哀しい今日この頃ですが、その作者の新作ファンタジーとあれば注目せずにはいられない。
 で、思ったんですけど、この作者……好きにやらせたときが一番おもしろい。じゃあ『ケルベロス』が好きにやってなかったのかと言えばNOですが、さらに上を行こうとしてるのがわかるエッジの効かせ方。普通少年誌で主人公の姉があんなおねショタカップル感を出したりしないし、ましてそんな犯罪的な組み合わせで二人旅に出て新婚旅行感や初夜感をかもし出したりしない。(ひどい)
 えっと……あ、これ気弱な少年がある日「天使」に世界の憎しみを背負わされて、異形の力を持つものの自分の世界を守るために戦うという、非常にまっとうかつダークなプロットの話ではあるんですけど。
 読者の予想をはるかに飛び越えた「お前は天才か!」と言わずにおれない新しすぎる表現(テテテテテ)、しかしたしかに正解、予想される正解例とまったく違うとこにあるけど正解としか言いようのない作者が好きにやった表現がここにはある。さっきも書いた諸悪の根源である「天使」がほのぼのとハートマークをぷわぷわ出してナレーションしてたり、普通はナシな表現だけどそれをやっちゃうしそれがアリになるのだからおそろしいぜ。
 と、ここまでまるきり上級者向けのような書き方をしておいてなんですが、容赦なくサブキャラが凄惨に死んじゃい、人の身勝手さが別の誰かを傷つける残酷さ、その一方残酷な世界の中で時に小さく時にたしかに保ち続けられる健全さがこのマンガにはあって、残酷さにふれるだけでもうムリっていうことさえなければ誰もが読んでいい内容だと思います。現在単行本は第1巻が3月発売予定。

ラスト! 2012年の週チャンのキャラからBEST3を決めろ! 「チャンピオンキャラクター部門」!

④チャンピオンキャラクター部門

対象:2012年に単行本が刊行された「週刊少年チャンピオン連載」のマンガ作品 及び、週刊少年チャンピオン本誌2012年NO.1〜NO.53に掲載された読み切り・短期連載を含む全作品

1位『さくらDISCORD』より、住吉さくら

 通称「住吉」「ヨッシー」「スミ」、『さくらDISCORD』のツッコミ役、なんか不幸の星の下に生まれた感強いこと住吉さくらが1位であります! えらく趣味の出たチョイスであることは一切否定しない。常時鋭い目つき! トラッドな(制服の)着こなし!
 ここからはややネタバレ気味になりますが、寡黙無愛想で人をゴミ虫のようにさげすんだ目で見下ろすことに定評のあった住吉さんですが、その実まじめないい子でした(かなりはしょった)。
 バトル漫画でたとえると(『さくらDISCORD』は青春漫画ですが、バトルでたとえやすいマンガなのでこれはしかたないことなのです)一度敗北し自分を取り戻した住吉が後に主人公パーティーの危機に立ち上がり共に戦うことを誓う、あのシーンの凛々しさときたらどうでしょう。その後「あ、この子、他人と関わろうとしないから見えなかっただけで人と多く関わるとかなりのポンコツっぽいわ」と判明するのもフフフ、ご愛敬っていうんですかね。
 ビジュアル的に凜として可憐、話の最初から最後まで主要人物として関わり、その臨終も南斗水鳥拳のレイのごとくすずやかだった(←あくまでもバトル比喩です)住吉さくらは2012年前半のチャンピオンを華やかに飾ったと思います。

2位『ブラック・ジャック 〜青き未来〜』より、ブラック・ジャック

 「中山昌亮の絵で描かれる壮年のブラック・ジャック」! それだけでもう反則じゃないでしょうか。
 作品『ブラック・ジャック 〜青き未来〜』はシナリオが『ヒストリエ』『寄生獣』の岩明均、作画が『不安の種』『オフィス北極星』の中山昌亮という大実力派タッグで「数十年後のブラック・ジャックを描く」という話題性満点の夢の連載でした。
 で、いざフタを開けてみるとたびたび休載するし載っても話が進まないしで、この2人話も絵も丁寧すぎて週刊マンガのペースにまったく合ってないと判明し、あげく単行本ではいかにもわけあり気味に脚本クレジットが「シナリオ原案:山石日月」に変わっているという、まあ、あんまり誰も得をしなかった作品でしたが、連載ペースを忘れて単行本(全1巻)でまとめて読むと非常によく練られた大作だと思うんですよね。
 ここで描かれたブラック・ジャック(壮年)、考えたら原作のブラック・ジャックってわりと短気だったよな(たぶん1話完結で話を早く動かすのに必要な機能だったんでしょうけど)と思い起こすとぐっと落ち着いた大人のしぶみ。トシはとってもいい男、年輪が生む余裕がさらにかっちょ良く、ブラック・ジャックのありえる未来像として、読者の目から見て理想の大人像として、たいへん魅力的でした。

3位『りびんぐでっど!』より、灰田もなこ

 ゾンビがヒロイン! それはまだしも、ものすごい気軽に首がとれたり左右に割れたりするヒロイン!(臓器なども比較的よく見えます)
 さすが人外ヒロインへのアグレッシブさに定評のあるチャンピオンですが、しかもちょいラブコメだというから驚く。なにぶん体の接合がゆるくしばしば肉食の本能に支配され野鳥にさらわれやすいヒロインなので(ヒロインの条件としてだいぶ下のランクに位置すると思う)ラブらないコメディ回も多かったですが、それでも話の起点になり事態を引っかき回すキャラでありながら悪気もイヤ味もなく、人の良いかわいらしい立派なヒロインでした。
 ちなみに僕は「もののふ口調とかの意味じゃなく、むしろ昭和の文豪みたいな物々しいボキャブラリーがいつもじゃなく話しことばの中に唐突に飛び出す女の子萌え」という「萌え属性」のひとことで区切るには限界を感じる嗜好のもちぬしなのですが、その点でも素晴らしいヒロインでした。問題は彼女以外もこのマンガに登場する女子はたいていそうだった(作風)ことですが。



 さあ、キミのお気に入りの作品やキャラクターはランクインしたかな?(わりとどうでもよさそう)
 2013年もチャンピオンにとって雄飛の年……というか、悲しいことのない年であるといいですね(チャンピオン読者特有のネガティブ思考)。

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2011.01.10(マンガ・アニメの話より)

2010年のマンガBEST5、を3種類

チャンピオン読者が選ぶ!このマンガが面白いぞっ☆2011」という企画がある。おうとも僕は少年チャンピオン読者だよそうあの4大少年誌のひとつだったはずがいつのまにか「3大少年誌に入ってないやつ」、みたいになってる少年チャンピオンの愛読者ですよチキショー。
 でまあ、マンガも好きだし去年(2010年)もいろいろ買ったわー、だいたい378冊。そこで! さっそうとベスト5を記してみようって寸法よ。ちなみに、見方にバイアスかかりそうで他の人の記事はできるだけ見ないまま書いたら、なんか、僕のほど長々と書いたりするのはめずらしい方みたいよ? ちがうの、空気読まなかったとかじゃなくて、記事読んでなかっただけなの(わりとうまい事言ったつもり)。
 おおむね「読んでない人にむけたおすすめ」として書いていますが、週刊チャンピオン掲載作はそういうことしてません。週チャン1冊読めば全部わかることだからな! ガハハハ! 面白いんだから買っちゃえよ、週チャン! あの「3大少年誌に入ってないやつ」! チキショー!!

秋田書店作品部門(週チャン作品除く)

対象:2010年に秋田書店から単行本が刊行された週チャン連載以外のマンガ作品

1位『真マジンガーZERO』

現代のスタイルで蘇った「熱血」! 地球規模のスーパーロボット戦を堪能!  『アクメツ』コンビ(秋田書店にこだわらないなら『コミックマスターJ』コンビ)の新作は、まさかのスーパーロボットリメイク! しかしこれがなにしろ地力のある作家だけに完全に満足の好リメイクとなってます。「原作を知らないから、ちょっと」? 大丈夫、実はオレも原作自体は未見だけどものすごく面白いよ!(あまり強い思い入れがない・読みながら検索したりして「あーこれはあれが元でこうなったのか」と2度楽しめるぶん、そっちの方が案外いいのかもしれませんね。後付けだけど)
 まず第一に熱い! 元々整理されつつも迫力のある絵を描く作家だったけど、ここでは原作(テレビアニメ・マンガ双方)をオマージュした野太い迫力の線で、構図で、デフォルメで、どのページを開いても大迫力!
 その絵で文字通り「神にも悪魔にも」状態と化したマジンガーの大破壊と虚無を描く第1巻は、もう善悪関係なく燃えることうけあい。さらに一転してコミカルな第2巻はいかにも原作の味を感じさせ、……こうして書くと1巻と2巻の内容に温度差がありすぎる。えーとこれはネタバレになるので詳しく言わないけど、ある重要な設定によってこうなるんです! あえてそこは説明せずに話を進めると、今風なスタイリッシュさと永井豪的どろ臭さをうまいことミックスして楽しく読めるのが第2巻。しかし楽しいだけで終わらないのは当然、いよいよ加速する第3巻では機械獣1000体単位の大決戦が!
 大迫力の筆致で描かれる絶望的な戦況、笑って死地に赴く戦士たちのカッコ良さ、この熱さを維持したまま第4巻掲載分はさらにヒートアップしていく!
 いま「熱血」を描こうとするとどうしても笑いか失笑がついてこざるをえない現代、しかし本作では原作が原作なので熱血もいたって自然! 旧作のリメイクにはこういう効能もあるんですな。
 原作と永井豪作品へのリスペクトに溢れたオマージュ、パロディ、リファイン、これらの情報量の多さもオタク的にはたまらないところでしょう。諸君、Google画像検索とWikipediaの出番だ!

2位『ミカるんX』

笑いと熱さとこのさい何でもありの変化球剛速球。高遠るいの真髄ここにあり!  このマンガをさらりと説明するのは不可能に近く、それでもあえてキーワードを並べるなら「特撮」そして「巨大裸女」! ほら、なにがなんだかわからない。
 話の構造だけ引き抜くと、いわゆるウルトラマン形式(もっと今風にいえばエヴァンゲリオン形式)。おおむね1体ずつ現われては破壊をもたらす怪獣に対し、主人公ふたりが合体(「合大」)して巨大ヒーローとなって戦う、という感じです。特撮ヒーローマニアの作者ならではな遊び心もありつつ本気のバトルもあり、しかしその本気バトルをしているのが巨大裸女というあたりの何がなんだかわからなさがこれまた作者らしいところ。ハハーンつまりエロいマンガですなと思われるかもしれませんが、びっくりするほど健康的だし変身した本人も特に恥じらわないしでエロさがまったくないよ!
 構造は基本(特撮バトル)に忠実、内容は変化球(巨大裸女)。ここにものすごく雑多なオマージュとSFと複雑な伏線、そして作者一流のめっさとぼけた笑いまでがばんばん混じっていよいよカオスな世界観ですが、ここまで来た上でむしろメインと言えるのが戦いの中で語られるドラマです。
 主人公の2人は凜としたリアリスト・ぽやぽや系世間知らずと対照的ながら、どちらも非常にまっすぐ。知り合いが傷つけば本気で怒るし、仲間が辛い時は苦しみを共有して力になろうとする。そんな子らの全身全霊を賭けた(それでいてポジティブな)激熱バトル、これで燃えなかったらウソでしょう!
 「第壱期」完結までのわずか4巻の間にごく自然に神レベルの敵と渡り合うことになるテンポの良さも気持ちよく、2巻は1巻の倍面白く3巻はそのまた倍テンション上がる倍々ゲーム式の展開。連載中の「第弐期」がまたもやスゴいことになっている現在、まずは1〜4巻までお読みになることを勧めます。
 あ、1巻表紙で事実をかなり誇張しつつ描かれてるように百合要素も(おもに片方から一方的に)ありますが、これは作者のデフォルトですし気になる人でも気にならない程度の描写なので、まあ、そこだけ知ってれば大丈夫!

3位『地球の放課後』

「日常系」のある種の到達点。確かな実力で読ませるワンアンドオンリーのジャンルマンガ!  器用。ガンアクションから百合マンガまで、ひたすら器用にソツなくこなしながら器用貧乏に陥らず自分のスタイルを持っている実力派、吉富昭仁先生の最新作のひとつ(いろいろかけもちしてるので)がこれ。
 舞台は現代。人類を「消す」謎の存在ファントムによって世界は壊滅し、残されたのは主人公と旅の仲間3人だけ……。そんなあらすじだけ言えばハードサバイバルなはずが、本作は……その、言ってみれば……日常系?
 危機感たいしてなし! エンジョイする気まんまん! 時間はたっぷりあるからガッつきもせず! まさに毎日が「放課後」のまったりサバイバルライフが続きます。
 カラッとした清潔な絵柄で描かれる「人だけがいない」都市の気持ちよさ(似た設定では映画『アイ・アム・レジェンド』冒頭を思い出しますが、本作では日当たりも良くひょっこり誰かが出てきそうな生活感があってとても明るい感じ)。そこに作者のはたから見てて心配になるくらいの「風景」にかける情熱、絵の力があるからとても説得力。このガランとした東京を自由に使っていいなら、楽しもう! たっぷり寝よう、お店の物持ち帰ろう、好きなとこに野菜植えよう、もう泳ごう! この明るさがやけっぱちなものでもなく「他にも仲間はいる、きっとみんなも戻ってくる」という健康な発想からきているので陰鬱なところがなく楽しく読めるというもの。
 日常系であれば大きなドラマもそんなに起きないわけですが、明るいサバイバルの知恵や「まったりした放課後感」の叙情的な感覚、ちょっとした思いやり、そういう気持ちよさだけで十分読ませるのがこの作者のおそろしいところ。文字通り「このマンガがすごい!」こんなマンガ見たことないよ!
 まったりライフの中でも一応大消滅の謎解きはSFチックにしっかりと(ただし、とてもゆっくりと)描かれてはいくのですが。謎といえばピンチの時でも女の子2人(と自由すぎる幼女1人)に囲まれてても平常心でしかもサバイバルに長けた主人公、正史の聖人高校生ぶりにも読んでてイヤミを感じないというのが一番の謎だったりして。現在2巻。

4位『人間失格 壊』

新鋭異色作家が達した新境地。紙に叩きつけられた情念に注目!
人間失格 壊 (チャンピオンREDコミックス)
ニノ瀬 泰徳 太宰 治
秋田書店 (2010-07-20)
 「あの二ノ瀬泰徳が『人間失格』を描く!」 連載予告の時点でそれは爆弾のようなニュースでした。従来の二ノ瀬=そんな触手ただのヌルヌルしたヒモだ=泰徳先生といえば全1巻『魔女の騎士(ヘクセン・リッター)』で知られ、もっとありていに言えば「触手と女装少年のマンガ家」であり、その精神の根幹からの徹底ぶりはつとに有名です。その後いくつかの実験的な(あと常に触手が出てくる)短編をものした後に突然の太宰治! 血迷ったか、というかそれはいつもか!
 ところが触手と女装少年のインパクトの陰に隠れがちですが、実は「自分」に悩む人間のドロついた苦悩を描くのもデビュー作以来の二ノ瀬マンガの特徴だったりします。そこに『人間失格』。懊悩の物語の傑作である原作を得て完全に振り切れた、そう言っていいでしょう。原作は読者に感情移入させつつ、その主人公がどうしようもない絶望に何度となく陥りつつ、ページを繰る手は決して止めさせない、見事な鬱系エンターテイメントでした。二ノ瀬版『壊』ではここに加えてさらに原作をスクラップ&ビルドした展開と凄惨なまでの執拗な描き込みで、ビジュアル表現・マンガ表現としての絶望を見事に描ききっています。全てのページ、全コマがこれ入魂。これだけですでに必見! ここまで激しい、正直ムチャクチャでさえある表現があったというそれだけで、2010年のマンガ史のひとつの事件だったとは言いすぎでしょうか。
 さて、二ノ瀬マンガといえば懊悩。しかしてそれを苦しみながらもはねのける強さとカタルシスもまた二ノ瀬マンガの真髄でもあるのです(ウソのようですが本当。『魔女の騎士』でも遺憾なく発揮されていましたね)。ではこの絶望ばかりの物語に、はたして二ノ瀬マンガはどう決着をつけるのか? 原作を「壊」してまでも心の力を信じて貫くのか、それとも自分のカラを「壊」してあの原作のエンディングを迎えるのか? そこは実際に読んで確認すべき所でしょうし、読者によって受け取り方にも幅が出そうなところですが、個人的には「見事!」とまったく感じ入ったとだけ言っておきましょう。
 原作も今なら手軽に青空文庫から無料で読めますし、わりと短い話なので全1巻の『壊』とセットで読んでみてはいかがでしょう。2倍、3倍に楽しめると思います。
 ちなみにおなじみ触手と女装少年ですが、原作通りに幼い頃に女装をさせられますし、触手も人の悪意や肉欲といったものの比喩表現として念入りに描かれます。さすがだ!

5位『シグルイ』

侍マンガの金字塔。長編がもつ重みがラストに結実する!  もはや説明不要では? 掲載誌を知らない人でもこれは知ってるという代表選手、このマンガのインパクトから絶版だった原作まで復刻された、あの締まり屋の秋田書店が「関連本」まで出した、こう言っちゃなんだけどあまり需要がなさそうにもかかわらずテレビアニメにまでなった、残酷時代劇の傑作です。
 静と動のド迫力に、加えて必殺技に弱い男の子ゴコロまでくすぐる見事な剣戟。「死狂い」の狂気が生む圧倒的な重み。容赦ないスプラッター描写。男の筋肉から匂いたつ色香。交錯する二人の剣士の情念。まさに傑作!
 しかし身も蓋もない言い方をしてしまえば、全15巻というのはさすがに(元々の原作が短編小説だったことも含めて)ストーリーを引き伸ばしすぎという面もあったと思います。あの描写ははぶく方が作品にはプラスだったのでは? 少なくとも「がま剣法」のエピソードだけは不要だったのでは? 読んでてそういう思いがあったのも事実(後に作者本人が語るところでは「がま剣法」は自分へのサービスとして描いていたそうで、たしかにそこまであからさまに言われるとぐうの音もでないですが)。
 そんな『シグルイ』が今年ついに完結! リアルタイムで連載を追いかけていましたが、終盤を読むにつけ「あの描写はむだじゃなかった!」と考えを改めることしきり。まあ、がま剣法はともかく。すべての要素に、ひとコマひとコマにそれまで費やされた時間分の重みが加わって、この迫力はなるほど長編にしか出せないもの。
 原作でこの物語(『無明逆流れ』)がどういう結末を迎えるかはもう確定しているものの、『シグルイ』ではこの試合に至るまでの長い描写の中で、原作と食い違った部分もできたのは明らか。このまま原作通りに終わるとはどうしても思えない中、はたしてどう着地させるのか? そこで作者が描いたアンサーがこれまた見事のひとこと。原作をたしかに踏襲した決着、しかしそこで描かれた深い思いと、描き加えられたあの終幕は! まさに残酷、これほど壮絶なエンディングはまったく想像していなかった。劇作として冷静にクレバーでいつつ、深い業を描ききったあのラストはこの作品を確かな傑作として確立したと思います(ただあのラスト、あんまり額面通りにとらえると「?」となってしまうようですが……この辺り解釈も分かれるところですが、個人的な解釈はtwitterでひどく簡単につぶやいています。,)。
 全15巻。ここに書いた通りやや長いですが、しかし(モツなどに強い抵抗がなければ)完結まで読む価値のある名作でしょう。

つけたり

 こうして挙げてみると、奇しくも全部が『チャンピオンRED』掲載作になってしまった。実際、自分が買っている週チャン以外の秋田書店系誌は『RED』と『いちご』だけで、好きな雑誌にはそれだけの理由があるというところだろうか。
 と言っても他誌にもランク外ながら傑作・怪作がずらり。笑いと生死がオフビートに交錯する『ヴォイニッチホテル』はもっと巻数が進めばいっそう評価が上がっていくだろう。
 総じて秋田書店系のマンガはディテールよりも根本のレベルでフリーダムまたは過激であり、その代表選手と言える山本賢治(原作)の『trash.』のエクストリーム(エクスプロイテーション?)ぶりは「山賢」の復活を強く印象づけた。
trash. 1 (ヤングチャンピオン烈コミックス)
山本 賢治
秋田書店 (2010-12-20)
 『バビル2世 ザ・リターナー』は『マジンガーZERO』と異なるリアリティ重視のアプローチで、まだ序盤1巻の段階でも好リメイクと言っていいだろう。
 『ワルタハンガ 夜刀神島蛇神伝』は掲載誌のリニューアルに合わせてという不幸な形での打ち切りとなったが、怪生物パニックホラーというジャンルを見事に消化して畳みきった手腕はもっと評価されていい。
 いっそう作画表現を先鋭化させつつある『ブラック・ジョーク』、短編連作のスタイルを堅持しわが道をゆく『フランケン・ふらん』、いずれもそれぞれの形でシニカルで過激、一読の価値はある。
 まだ未単行本化でノミネートの条件を満たしていないが、徹底的にデタラメだった『おっパ!』、激しい熱量を秘めた『このはな』など『いちご』掲載作も注目株は多い。『プリンセスGOLD』誌でも、梅田阿比の連載の試金石を思わせる短編『ブルーイッシュ』が掲載され、なんと米原秀幸原作という『GOLD RUSH』の新連載も決定している。
 今年も秋田書店に注目せざるを得ない1年になりそうだ。

秋田書店以外部門

対象:2010年に秋田書店以外の出版社から単行本が刊行されたマンガ作品

1位『嵐の伝説』

「若き日の嵐 文吾である!!」それだけで笑えるとてつもない新感覚ギャグ!  1話12ページの短編連作ギャグマンガを、ここで1位に据えることに多少のためらいはありました。しかしこのマンガ、どうしようもなく面白い!
 ギャグ(厳密な分類だとコメディー)マンガにあんまり「面白い!」を連発してもハードルが高くなってしまうので、まずは単純なあらすじだけ紹介。文明が崩壊した近未来、異形クリーチャーの跋扈する荒廃した世界に現われた一人の英雄、嵐 文吾あらし ぶんご! 嵐は強いカリスマ性とリーダーシップから人類の新しい希望となっていた。……しかし、まだ特に文明の崩壊していない現代、彼はただのマイペースで偉そうなだけのろくでなしだった!
 言うなれば「乱世の英雄、治世のダメ男」。乱世で皆が頼りにする苛烈な決断力も、平和な現代では「空気読まずにやりすぎ」でしかない。前半カッコ良く描写される未来の嵐(前フリ)、そして後半これただのバカじゃねえか!な嵐(オチ)。やってる事は同じなのにこのギャップ。しかも入魂の劇画タッチで言葉遣いも常に堂々としているから(現代では)たちが悪い。
 基本的にはこのワンアイデアの一点突破なんですがこれが面白いんだからしょうがない(あっ、また面白いって言っちゃった)。加えてなんだか説得力のある物々しいナレーション。「これは嵐が宿す苛烈さの発現であった!!」(※人の物を粗末に扱う横で) このナレーションの言語感覚、作者はもともと週刊チャンピオンで『富山ねじ』『コトノハ学園』といったやっぱりどこか変わった言語感覚の短編シリーズを描いていたんですが(現在も読者投稿コーナーのイラスト担当)、その能力をさらにパワーアップした感じ、といえばチャンピオン読者にはわかりやすいでしょうか(せめえ!)。
 こんな話なのに実はキャラクターも魅力的で、正直にいえば未来でのカリスマ性あふれる嵐の姿に素直に格好いいと思っちゃう自分を認めざるをえない。未来で敵対する殺人鬼「首刈りアズサ」の現代の姿なんか普通に超かわいい。まあ将来的に殺人鬼ですけど。
 同じように、少しずつ明らかになっていく未来の様相もまた意外にドラマチックで、これはこれでまた面白いと思わされてしまったり(そういえば前作『コトノハ学園』でも劇中小説で新奇な密室ミステリを描いたりもしていましたね)。その意味ギャグマンガの範疇も超えていて、いややっぱり1位にしちゃうでしょこれは。単行本にはものすごいディテールでそして特に意味のない(ひどいな)書き下ろしも満載で、連載読者にもおすすめ。もうすぐ第2巻も発売になるよ!

2位『バニラスパイダー』

センスで一気に突っ走る、これがセカイ系の最新モード。  まず先に言ってしまうと、これ意地悪な見方をすれば完全に「セカイ系」というジャンル漫画です。不器用で傷つきやすく世界とうまく折り合いをつけられない少年が、突如として不可解な世界の危機に直面し、そのたった一つの対抗戦力として理不尽に戦いに巻き込まれ、何度も傷つきながらもかすかに報われ、戦いの中で守るべき者を得て少年は大人になっていく──おい、テンプレもいいとこじゃねえか!
 と、批判することは簡単なんですが、しかしこういうジャンルがテンプレになるのは実際それがとても読者の心を惹くからで、その点本作がまったく読者の期待を裏切らないことは保証済みとも言えます。もちろんそれだけでは単なる一ジャンル漫画であって「このマンガがすご」くはないのですが、そこをスゴいと思わせるのがこのマンガの独特のスタイル。
 木版画のような鮮烈で繊細な白と黒の画面。奇怪で生物的で奇妙なリアリティを持った異形「エレベター」のデザイン。乗っ取られていく町の恐怖。重苦しい中にもとぼけた味のある笑い。エレベターを斬る時の“どろり”とした感覚と、噴き出す血しぶきの重量感。
 特にいつか見た暗い夢のような舞台美術は必見で、町の上に張った巨大なクモの巣、しんしんと降りつもる白い雪、武器になる無骨な「蛇口」(本当に鉄パイプの蛇口!)、吊り下げられた自動車、廃棄された遊園地のコーヒーカップ、閑散とした動物園……、こうしてキーワードを列挙して伝わるものか自信はありませんが、ぼんやりと不安をかきたてつつどこか懐かしくもある、「気持ちの悪い気持ちよさ」はこの作品ならではの感覚。この世界の中で丁寧に描かれる孤独な少年の戦いは、セカイ系という範疇を超えたオンリーワンと言えるでしょう。
 残念ながら連載は打ち切りとなりましたが、それをほとんど感じさせないキレイなまとめ方で全3巻、簡単に揃えられる冊数でもあり非常にオススメです。ちなみに作者の新作『血潜り林檎と金魚鉢男』は電撃コミックジャパンで連載中。

3位『花もて語れ』

マンガは「朗読」さえも表現してしまった。等身大から描かれる圧倒的な世界。
花もて語れ 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
片山 ユキオ
小学館 (2010-09-30)
 あの片山ユキオ先生の新作。前作『空色動画』では手書きアニメーションを題材に、「動き」をマンガで描くという不可能事をやってのけた作者ですが、今度の題材は「朗読」! 確実にマンガ向きじゃない! 動画ならまだ「絵」という共通項がありましたが、朗読は文章と声の世界。いったいどうすんのこれ。
 と、この不可能事をまたしてもやってのけたんだから物凄い。構造としては、「朗読によって聴衆の脳裏に現われるもの」を描くということになっていて、なるほど理屈としてはたしかにぐっと不可能から可能に近づいた。しかしこれは「とても上手い朗読」のマンガ化なわけで、ただ絵にするだけでは足りんのです。とても上手い朗読が見せるであろう世界を絵に描くには、とても上手い描写力が必要なはず。怖い場面にはものすごく怖い絵を、楽しい場面にはものすごく楽しい絵を描かねばならないわけで、これが既に無理難題ですよ。
 そこに作者は真正面からマンガの力でぶつかっていきます。構図、コマ割り、「間」、書体、人間と物語世界の画面の重ね合わせ、もうおそらくマンガでしかできない表現を駆使して朗読の世界を誌面に引きずり出す!
 また古くは『ガラスの仮面』では演技のすごさというマンガ化しづらいものを、聴衆のリアクション(「おそろしい子……!」)で表現するというテクニックが用いられましたが、『花もて語れ』はその正統進化形のひとつだとも言えるでしょう。朗読によって生まれる聞き手の心の動きを同時進行で描き、時には聞き手の経験を対比させることで読者により具体的なイメージを持たせ、ストーリーの流れで朗読の世界を補足し、ああもう書き出せばキリがないくらいあらゆるテクニックが使われているのです。一読すれば「朗読って凄い!」と思っちゃいますが、おい、これマンガだよ!
 技術論をさておいても、朗読の力が人を変えるというドラマも見逃せません。主人公自身がいっぱいいっぱいな女の子で、朗読の才能によってこれからどう変わっていくのか。前作でもヤスキチが似たポジションのキャラでしたが、その変化を知っているだけに本作の今後もきっとうまくやってくれるはず、という期待がありますし、現在第1巻時点でのある「聞き手」にも大きなドラマがあります。この続きが気になるものの2巻は今春発売予定。今のうちに1巻を買って一緒にやきもきしてみてはいかがでしょう。

4位『サムライ・ラガッツィ 戦国少年西方見聞録』

いま一番アツい理系の冒険野郎! 清く正しく、新しい少年漫画  作者の金田達也先生は、おなじみ藤田和日郎先生(『うしおととら』『月光条例』など)門下の出身で、特にまっすぐで熱くも優しく明るい、少年漫画な作風はいかにも藤田直系を感じさせるものがあります。前作『キミタカの当破!』とか……うん、あんまり知られてないし2巻で打ち切りだったけど、すごく良かったんだよ。
 その最新作である本作は、戦国時代が舞台。というとぐっと硬いイメージを持つかもしれませんが、少年が元気に動き回る、いたって明るい少年漫画になっています。そもそも大合戦が起こる前に日本を飛び出してローマに向かうし!
 サムライ少年のローマ行すなわち「天正遣欧少年使節」が話の元ネタですが、主人公・播馬晴信は人夫あつかいの下働き。その目的は「この世界を全部知ること」!(さらにその先にひとつの大きな野望があるのですが、それはネタバレ) つまり知識欲が彼のバックボーンなのですが、その行動は書斎派ではなく至ってアクティブ。本草学目的で野山を駆け回って自然に鍛えた体と目の良さ、それに頭に叩き込んだ雑多な知識を武器に、旅の困難や邪魔者相手に一歩も引かない元気な少年です。
 しかもこの男、元気なだけならず実に気持ちが良い! 戦国の世でも誰も殺さない、自分の前で人が死ぬのも我慢ならない、言ってみればとんだ甘ちゃんですがそれを自分の命を張って、かつただの精神論でもなく「どうすればできるか」を常に考えてやってのける。こんな痛快な主人公、好きにならずにいられないでしょう!
 その主役とコンビを組むのが、戦国最強と言われた忍者・桃十郎。彼も晴信の人柄とウデにほだされ従者となるのですが、そうは言っても殺し屋の目をしたどシリアスな男。晴信の行動にも懐疑的に接しつつ、主のピンチや求めとあらば「やれやれ」と忍の腕を発揮する、これがまた格好いい! 熱く優しい少年と凄腕クールガイの凸凹コンビとなれば、男は燃え腐男子は萌ゆるというもの。
 現在単行本はまだ1巻。このとびきり気持ちよく面白いマンガが長く続くように、そして何はともかく前作の2巻のカベを破るように、みんな応援してくれーッ!(わりと本気で)

5位『LOVE SO LIFE』

文句なしのかわいい女の子の育児奮闘記。優しく清廉な世界のニヤニヤ  本作は強引に分類するなら「職業もの」になるでしょうか。主人公の女子高生・詩春しはるはアルバイトのベビーシッター。とある事情でメインキャラの双子の2歳児兄妹の世話をすることになった彼女が、持ち前の才能と愛情と機転で育児のちょっとしたハプニングを解決していくのがひとつの見せ場になっています。もちろんそこはほのぼの系の清らかなマンガ。育児疲れとかネグレクトとかDVとか難病とか事件とか出てこないから、秋田書店じゃねえからこれ!(秋田書店に対してやや偏見がある) あえて他のマンガでマンガを例える愚を犯せば、『よつばと!』でとーちゃんの育児っぷりを見るのと近いものがある、と言えばイメージはしやすいでしょうか。
 マンガにおいては血と肉とか爆発とかひねくれ・ねじれとかをわりと愛する筆者ですが、本作を愛するのはむしろその毒気のなさゆえ。基本的にレギュラーキャラはいい人ぞろいでタイマン張ったりなどのない世界観ですが、主人公のしはるはその中でもずば抜けた良い子。何につけ他人に優しく自分に厳しい。欲がなく健気な分ささやかな善意にも敏感で、必要としている相手には世話焼きしっかり者。家庭的なスキルは抜群でもオシャレには疎いお母さん体質。しかも笑顔が可愛く、普通にしててもなお美人ときた。
 うんまあぶっちゃけ萌えるよね。この萌えのベクトルは「イカ娘がかわいい」と思うのと同じような、おのが邪気の霧散するタイプの萌えであり、言ってみれば「しはるすげえいい子」という点だけに注目しても毎話楽しく読みきれるだけのポテンシャルがあるというか。もちろんイカ娘同様、話そのものも中身がちゃんとあるのでそこだけに注目する必要はありませんけど!(実際この「いい子」ぶりは元々の性格に加えて、ある事情から生まれた引け目も混じっていて、それが解けていくのが見逃せないドラマになってもいるんですが……こう書くと一見重そうに見えちゃうから割愛!)
 本作、少女マンガであれば惚れた腫れたがあるのはデフォルトですが(これもわりと偏見)、この作品の恋模様が異様に健全なのも初心者には嬉しい仕様です。大丈夫、少年マンガ読者にもイケるよ! まずしはる自身が奥手というかまともに異性を意識していない。一方「本命」キャラに位置する、双子の保護者の若手アナウンサー(ややこしい事情をはぶくと、双子の親ではないし未婚)松永さんはマジ紳士な社会人でしはるを人間として尊重するものの恋愛対象範囲としては見ていない。つまり恋が始まってすらいないのですが、時にはどちらか一方が思わず意識して顔を赤くしたり「いやいやいや、それはない」と必死に煩悩を否定したり、ちきしょうニヤニヤさせるじゃねえか!
 こういうマジ天使な女の子に「本命」以外の男の影がちらつくとそれだけでチッ、となってしまうのは我らダメオタクの悪いクセですが、その点も安心して読める心配りは空恐ろしいほどで、しはるに想いを寄せる幼なじみはろくに気持ちを出せないシャイボーイ、遊び人キャラはチャラいが遊び人ゆえにかえってしはるは対象外、しはるに2番目に近い位置のレギュラーすら「比較的気安い相手」以上にはまったくならない、という徹底ぶりです。良かったじゃんか、我らダメオタク共よ!
 本作、1巻の時点では不定期連載の短編あつかい(週チャンで例えると『キザクラショウ』のような……むしろわかりづらいか)だったので1話ごとに全要素ぶっこむ分ダイジェスト感が強かったり、連載に昇格した2巻からも掲載誌が異動したので基礎設定から追い直し、みたいになっていて本格的にエンジンがかかるのは3巻から、という辺りが人に勧めるときに難しいところでしょうか。1巻で何か感じたら続巻を、と覚悟を決めるのもいいですし、「引っ越し後」の2巻から読み始めても違和感はないはず。現在5巻、今月発売の次巻では話がいろいろ動くとの情報にハラハラしつつ。

つけたり

 一番ランキング選びに苦労したのがこの部門だった。実際、秋田書店系のマンガが好きで昨年買った冊数トップも秋田とはいえ、冊数全体から見れば21%にすぎない。「秋田以外全部まとめて」79%の中から選び出すのはなかなかに難しかった。
 結果的に「あまり知られていなさそうなところ」に偏ったきらいはある。たとえば元祖「このマン」1位の『進撃の巨人』は筆者も傑作と思っているが、もう知らない読者も少なかろうと真っ先にノミネートからは外してしまった。
 冒頭のテンションを最後まで維持して見事に完結した『惑星のさみだれ』もやはり「誰でも自然に読むだろう」という判断があったのは否めない。平野耕太節がいっそう高いレベルで結実した、作者にしか描けない怪良作『ドリフターズ』にも同様のものがある。
ドリフターズ 1巻 (ヤングキングコミックス)
平野 耕太
少年画報社 (2010-07-07)
 選外にしたことを我ながら惜しいと感じたのは、童話のような優しい短編連作ファンタジー『できそこないの物語』、怪談をテーマに言霊で戦う異色サスペンス『詭弁学派、四ツ谷先輩の怪談。』だろうか。どちらも2010年に完結。セールス的に奮いはしなかったようだが全てにおいて高いクオリティで「名作」と呼びうる作品だったと思う。
 クオリティという点でずば抜けていたのは、航空機トラブルに絞った娯楽作『CAPTAINアリス』、小説コミカライズの最高峰と呼べる『魍魎の匣』、少年期の友情というテーマを徹底的にエンターテイメント化した『友達100人できるかな』、本格戦記を美麗な美術表現とともに描ききる『将国のアルタイル』。この辺りはできれば外したくはなかった。
魍魎の匣 1 (怪COMIC)
魍魎の匣 1 (怪COMIC)
posted with amazlet at 11.01.10
志水 アキ
角川書店
 「このマンガがすごい!」というテーマでは当然言及すべきだろう異色作・怪作では、近年いよいよ美術表現の限界に挑むがごとき『孤高の人』、野生と文明という大きなテーマに持ち前の作家性で正面から挑んだ『どうぶつの国』、登場人物の異様なエキセントリックさで異端化した正統派娯楽作『ノノノノ』、バカと叙情を同時に語りきる『しまいずむ』などはお薦めせずにいられない。
 ショッキングな2010年の事件として、暗澹さと圧倒的な後味の悪さでは何より群を抜く『千九人童子ノ件』、生に対する悪と冒涜を描ききった『神の子供』の2作は(決して簡単に人に勧められるものではないにしろ)忘れることができない。
千九人童子ノ件 (ビームコミックス)
羽生生 純
エンターブレイン
神の子供
神の子供
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西岡兄妹
太田出版
 ファーストガンダム好きなら、という注釈つきになるが『光芒のア・バオア・クー』『ギレン暗殺計画』『ジョニー・ライデンの帰還』3部作も、近年では出色のリアル系ガンダムマンガとして書き留めておきたい。
機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー (角川コミックス・エース 83-10)
Ark Performance
角川書店(角川グループパブリッシング)
機動戦士ガンダムMSV−Rジョニー・ライデンの帰還 (1) (角川コミックス・エース 83-9)
Ark Performance
角川書店(角川グループパブリッシング)
 他にも良作・傑作はあるが、あまりにも取りとめがなくなってしまうのでここで一旦筆をおこう。

週刊少年チャンピオン部門

対象:2010年に単行本が刊行された「週刊少年チャンピオン連載」のマンガ作品
及び、週刊少年チャンピオン本誌2010年NO.1〜NO.52に掲載された読み切り・短期連載を含む全作品

1位『バチバチ』

 パーフェクト。これ以上を望むのはいけない事なのではないか、そう本気で思っているのがこのマンガです。ストーリーから演出表現、週刊連載としての「次号に続く」ヒキ際まで、スポーツマンガとして、男の成長マンガとして、完全に最も近いところにあるのでは。
 あまり売れているとは言えないのは、相撲というテーマと少なくとも今風とは言えない絵柄が読者を選んでいるのか、はたまた筆者の好みがかたよっているのか、そもそもチャンピオン連載作だからか(少し悲しくなった)。アニメ枠のCMでも『バチバチ』の名が呼ばれているあたり、誌面ヒエラルキーの中でも決して低いわけではないと思うんですが……。

2位『みつどもえ』

 「徹底的な密度」、このマンガのすごみはそこにあるのではないでしょうか。わずか数コマに1つは常にある笑い、毎話ボケが連鎖してラストに決着する綿密に設計された展開、相関図がすごいことになるキャラクター同士の関係性、読者に委ねられた妄想の余地、はてはサブタイトルのパロディから単行本描き下ろしの豪華さまで、すべてにおいて高密度。
 もちおん萌えあり加えてゆがみあり、こんないいマンガそうそうないよ! コメディー、というかコントマンガ?として最高峰とここに断言してしまいます。

3位『ケルベロス』

 女の子をリョナる(専門用語)ことにかけては少年マンガ界最強との呼び声も高い作品ですが、そのへんの嗜好はさておき。というかそこばかりクローズアップしてもおかしいだろう、という意味でも「応援したくなるマンガ」No.1です。
 すごい熱量と異質性を持ったまま熱い少年マンガを続けている作者を応援したく、またまっすぐで優しい主人公はじめへこたれないヒロイン陣、それぞれの事情それぞれの正義の中で葛藤するサブキャラクター達、素直に感情移入して素直に応援したくなる!
 少年マンガには「熱さ」も大切ですが、言うなれば「人柄」も重要な要素だと思うのです。

4位『出陣!!ムショ高排球軍』

 「将軍」とバレーボール。そのイカれた世界観の中で、しごくまっとうに時に熱く、時に楽しく、これぞチャンピオン流スポーツ漫画! と言うにはさすがに変化球すぎたのか、リアルタイムの誌面掲載位置がすごく不安であり話の展開の早さにもこれまた不安がつきまとうのが現状。
 それでもオレはこのマンガがスゴいって言い続けるよ! だって面白いもん!

5位『弱虫ペダル』

 とびきりの熱さ、スピード感、友情、キャラ立ち、名悪役、なんでも揃ってるスポーツ漫画の傑作。ただ妙に「波」のあるマンガで、どうも週刊連載のペースにうまく合わない時があるようにも見える(あまり評価の高くない14巻辺りの展開も、エピソードの位置関係を整理するだけでかなり変わっていたはず……と個人的には思っています)のがランクに影響したという感じ。それでも傑作良作怪作ぞろいのチャンピオンマンガの中で5位に入れてるんだから評価はかなり高いですよ!

つけたり

 週刊少年チャンピオンにも色々な事があった2010年だった。もう遠い過去のような気がするが『ネコチワワ』が終了したのは2010年第1号なのだ。
 ランキングを作ってみると5位中3作がスポーツ物という結果になったのは少々意外だ。そういえば週刊チャンピオンのスポーツ物は滅多にハズさない傾向があるかもしれない。短期集中連載『Goofy』のような正統派から、『マウンドの上の焔立つ!』『タイガーリリー』のような異色短編まで、非連載枠でも健闘が目立った2010年だった。『ANGEL VOICE』『ハンザスカイ』など連載中作品もクオリティは高い。
 嬉しいトピックとしては『出陣!武将頭高校排球軍(ムショ高排球軍)』『スーパーバイトJ』『キガタガキタ!』この3作が本格連載に昇格したというのが大きいだろうか。総じて2010年に始まった新連載はこれまでに挙がらなかったところでも『AL』『シュガーレス』『はみどる!』『仁侠姫レイラ』と粒ぞろいで、雑誌としての活気を強く印象づけた。
 連載陣でも『ナンバデッドエンド』『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』はクライマックスに向け盛り上がり、安定したクオリティの『釣り屋ナガレ』『侵略! イカ娘』(優れたアニメ化も忘れることはできない)『クローバー』『木曜日のフルット』と豪華な布陣で筆者にとって「読み飛ばせるところのない漫画誌」となった。
 実験的に開始され、近く終了を迎える予定の「週刊少年チャンピオン the WEB」も、週2回のお楽しみとしてすっかり定着した感があり今から再開が望まれるところ。施川ユウキ作品の掲載は決定済みとして、他にも『ひよりびより』『ドラゴンスワロウ』『禍々! 桂さん』などは本誌にもみずみずしい力を運んでくれそうで本格連載にも期待したい。
 最後になるが『悪徒』が完全版としてまさかの復刻というトピックも2010年の事件として特記しておくべきだろう。秋田書店ではなくエンターブレインから、という所がなんとも単行本に締まり屋の秋田書店らしいが。今年は「惜しまれる単行本未収録作」の出ないよう祈るばかりだ。

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2009.08.04(マンガ・アニメの話より)

宣伝ブログ(※金は懐に入りません)

 オーケー、たまに更新したと思ったら『みつどもえ』の話で諸君(諸 大介ことモロ君。快活だがちょっと天然なところのあるサッカー部員)も食傷ぎみかもしれないが、本当になんとかしないといけないとは思います。更新の方を。あとモロ君のことも。

 とはいえ『みつどもえ』がいまトップクラスで熱いマンガということは代えがたい事実だと僕などは思う。いま一番イキのいい漫画誌は? 週刊チャンピオン! いま一番イキのいいギャグコメディマンガは? みつどもえ! そんな社会的に言えばねじ曲がったアンテナで受信したみつどもえラブ等が色々な化学変化を起こして、このたび同人誌になりました。

参照:
「みつどもえが好きでしょうがない隊」による夏コミ同人誌「小学6年3組」が出来ました!
全みつどもえファンに捧ぐ!豪華付録つきの同人誌「小学6年3組」なのよっ!


 どういうわけか僕の名前が「企画・編集」に挙がっている不思議。皆さん(皆 春香ことミナさん。クラスの女子の中でリーダーシップを発揮するが、意外と八方美人的なところもあるとかないとか)の疑問に答えるために僕がこの本でなにをしたかといえば、ええと……レイアウトとかのコンセプトをもらって、なんていうかそういうのの再構成っていうか、まあひらたくいうと文字組みっていうかイラストと本文を組み合わせて……(※「グラフィックデザイン」という仕事をどう説明すればいいのかいまだによくわからないでいる)。あと、ミナさんって、だれだ。
 という感じでいくつかのページのグラフィックデザインをさせていただいてます。それとちょっとだけイラスト仕事もした。

 いちばんわかりやすいのは表紙とかじゃないすかね。
 
 マンガ家ガビョ布せんせいのイラストと編集者であるたまごまごさんのコンセプトデザインを元に、僕がちょこちょことイロを付けたみたいな、そんな中間業者みたいな仕事です。
 あと力入ったといえば付録のタロットカードですよ。
 イラスト:イクヰロン
 もう見て、この全体の色遣いとか下の方の文字組みの感じとか!(そこかよ)
 いやあでも僕の仕事はさておき、総勢十何名というイラストレーターによるトレカ形式のみつどもえタロット(+おまけカードでカードゲーム兼用)という、あらためて字にするとなぜそんなものが存在するのかさえよくわからない過剰さで、これだけでも世のみつどもえファン一見の価値アリですよ。
 だいたい執筆陣がまた豪華で、件のガビョ布せんせいにはじまり(以下ダイナミズムを重視して敬称略)いさわのーり・あわじひめじ・大原久太郎・月吉ヒロキと、まさにコミックLOオールスター! ……それはなにかが大丈夫じゃないんじゃないか。いや本当に全年齢むけの本なのでそこは大丈夫です。まあ多少のお色気があったとしてせいぜいチャンピオンRED程度だよ! うん、それはぜんぜん大丈夫じゃないんじゃないか。(※なお、筆者がコミックLOにいまひとつうといため、もしかすると執筆陣にカウント間違いがあったかもしれません。念のため先回りしておわびいたします)
 前記リンクを一読すればおわかりの通り、どういった具合の奇跡か商業誌のマンガ家さんから同人界で名をはせたあの人まで、なんかもうどうかしている豪華メンバー! バカじゃねえの!(いい意味)←「いい意味」と書けばいつでも好意的に解釈してもらえると思うのは驕りかもしれない。でもいい意味。
 そんなイラスト/マンガに加え、企画の方もいい感じにどうかしていまして、総投票数3000票以上という人気投票にはじまり(あ、ここのレイアウトも僕が担当したので必見です。僕が。刷り上がりを)、千葉雄大の48の必殺技を勝手に想像するコーナー(あ、ここのレイアウトも僕が以下略)、どっかで聞いた気がするタイトルのマンガ「ないしょのみつば」とか、マンガ内ヒーロー番組である「ガチレンジャー」のヒーローイベントの内容を勝手に想像してレポートするとか、まあ詳しくは前記リンクにもっときちんとした紹介が載っていますが、ふつう思いついてもなんらかの技術的・あるいは人員的・あと人倫的な問題などにより実現にはいたらないであろうハイボルテージが凝縮されてます。100ページほど。本当にどうかしてるよ!(いい意味)
 まー実際デザイナーという立場を活かして盗み見しほうだいだった僕から見ても、このうち企画2つ3つだけでも十分成立するほどの濃い内容。みつどもえファンは夏コミ(C76)でこのクレイジーな企画本をゲットすべきでは? してもいいじゃん! あ、僕? 僕はそのあいだ北海道でじっとしてますよ。いまだにコミケを知らなくて……夏。

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2009.05.18(マンガ・アニメの話より)

みつどもエモーション

 というわけで(だいたい前回などを中心に参照)、『みつどもえ』が熱い! だいたい華氏451度くらい。←焚書!?
 なにしろ週刊チャンピオンという狭いパイの中の話なので(だってほら、せまいでしょ?)こう大増刷御礼! アニメ化! ゲーム化! 焚書! などという騒ぎにはならないものの、世に『みつどもえ』同好の士はいる! そうさながらスターリン統治下のソビエトで反体制派の文学家たちが地下に集ったように! 僕は本当にこのマンガをほめる気があるのでしょうか。
 いや真面目な話、たまごまごごはんさん真・業魔殿書庫さんマンガがあればいーのだ。さんというそうそうたるメンツ編集による『みつどもえ』同人誌が目下鋭意制作中であり、ええまあ僕もその中でソビエト国家保安省のおとり捜査員のような立ち位置でちょっとだけまぜてもらってます。僕はいったいこの企画をどこに持っていこうとしてるのでしょうか。

 何の話をしたいのかというと、もちろん同志スターリンの偉大さである。いやない。そうではなく、いまその本(『共産党宣言』じゃない方)のための『みつどもえ』キャラ人気投票が行なわれているということですよ皆さん! おお、民主主義万歳! どっちだ。
※現在この人気投票は終了していますが、自分で言うのもなんだがどうかしている記事になったので投票フォーム以外を残しています。
 というわけで僕のところでもフォームを設置してみる。みるのだけど、熱心に単行本を熟読(『共産党宣言』を読むくらい)していない人には顔と名前とキャラが一致しないこともあろう。そこで、僕なりに解説を加えることで紹介に代えさせてもらおうと思う。代えるもなにも、普通に紹介じゃないか、それ。

丸井みつば
雌豚!(最初のひとことからこれはないと思う) 言わずと知れた丸井家長女。
丸井ふたば
生ける暴力(だいたいバキの登場人物くらい)にしておっぱい求道者のピュアガール。すごい振れ幅だ。丸井家次女ですよもちろん。
丸井ひとは
だからもう矢部っちと添い遂げればいいじゃんかよチクショー! ぜんぜん紹介になっていないが、暗黒オーラと意外な悪ふざけのノリのよさに定評のある三女。
杉崎みく
「縦ロール」というだけで杉崎を表現できた時代もかつてはあった。いまや財界一の雌豚ウォッチャー。
吉岡ゆき
「眉毛」というだけで吉岡を表現できた時代もかつてはあったが、いまもそうといえばそうです。その恋愛妄想力には近所の仲人マニアおばちゃんすら舌を巻くという。
宮下
杉崎グループきっての理性派だった彼女も、いまやその気配りゆえに裏目裏目を引いたり信用を失ったりする自爆少女に。がんばれ宮なんとかさん!
松岡咲子
変態ではないかもしれないが、いちばん頭のどうかしている人ではある心霊マニア。いやごめん、やっぱり変態。
緒方愛梨
変態(ずばり)。彼女の佐藤くん愛を有効活用すれば地球のエネルギー問題の大半は解決すると思われる。
伊藤詩織
そのドス黒い心底に隠れがちだが、立派な変態です(いいところのない紹介)。その知謀を活かしていつ佐藤君を監禁陵辱するか心配でしかたありません(つくづくひどい紹介)。
加藤真由美
光の緒方・闇の伊藤のインパクトに隠れがちだけど、彼女も立派な変態です(フォロー失敗)。どうしてこんなまっとうな子がしょうが隊に……。
佐藤信也
その変態たちに追われる若きイケメン。たぶん作中いちばん苦労をかかえているが、イケメンならしかたないな。
千葉雄大
見るものでも揉むものでも読むものでもなく恥じらわせるものと知る(同じくチャンピオンの『ムラマサ』参照)、齢に似合わぬ男の中の男。
矢部智
担任であり、おおむね丸井草次郎に殴られ、あとひとはと結婚しちゃえばいいじゃんかチクショー!(紹介失敗)
栗山愛子
スーパードジッ子保険医。そのドジは軽く人を殺しうる。たぶん医療資格を得たのもドジがたまたまうまく入った結果な気がする。
海江田先生
三十路手前と呼ばれた女。みつどもえ時空では一生同じ年齢でいられるから平気だよね! 彼女に限って年齢が進行する可能性大ですが。
野田校長
たぶん知的な人格者だと思うけど、おっぱいのためなら知も人格もたやすくドブに捨てる危険性をもつ男。おっぱいの事を考えるときも常にダンディ。
丸井草次郎
不審者に間違われる人こと丸井家の父。痩せればいいのにという意見もあろうが、おそらくイケメン時代に「モテる努力」をしなかったせいでそういう発想自体が生まれないのではないだろうか(なぜか真面目に考察)。
杉崎麻里奈(杉崎母)
2児の母であるという段階で、いちばん厄介な変態だと思います、社会的に。変態じゃなければ理想のお母さんですよね(条件がいかんともしがたい)。
杉崎龍太(杉崎弟)
みつどもえ世界でもかなりのショタ度をほこる、ガチレンジャー大好きっ子。常識がまだ形成しきらない年齢であるがゆえに、わりと常識人。
佐藤あかり(しんちゃん母)
いちばんまともな人(たぶん)。しんちゃんの目が死んでいるのはこの人のせいです。遺伝的な意味で。
千葉和実(千葉氏母)
千葉氏が気の良い助平なのはこの人のせいです。かっこいい女傑だが、かっこいいと思う前にまず常識を疑え!
吉岡紗江子(吉岡母)
真面目な人なはずなんだけど、そこに存在するだけで危険なエロス地雷。たった数ページの登場でここまで言われるのも珍しいと思う。
吉岡純次(吉岡父)
愛の深さと毛深さでは他の追随を許さないエロス地雷。夫婦以外のポジションで登場するさまがなかなか想像できない人。
緒方一郎太(おがちん兄)
ストーカーを追うストーカー。ミイラ取りがミイラ的な。警察官が実の妹をストーキングとは、世も末ですな!(いろいろ言い過ぎ)
メグちゃん (龍太クラスメイト)
痴女になりそこねた女(「ビートルズになりそこねた男」的なノリで)。ほらみつばを慕っていた少女ですよ。
鴨橋オリオンズの監督
ほら宮なんとかさんのバスケチームの監督ですよ。りりしく美しく、あと体罰とかも辞さないが、りりしければたいていのことはどうにかなるものだ。
オリオンちゃん
ほら宮なんとかさんのバスケチームのマスコットキャラですよ。ふたば画。その巨乳にはやたら定評があるが、この世界はもうだめだ。
チクビ
敏感な部位の名をもつハムスター。強く生きてほしい。
ガチレッド
ガチレンジャーのリーダーおよび熱血担当。今日からお前もガチで仲間だ!
ガチブルー
ガチレンジャーの……たぶん、知性派担当。こんなキャラにスポットの当たる人気投票も珍しいと思います。
ガチピンク(白浜あずさ)
ガチレンジャーの巨乳およびパンチラ担当。なんたる子供番組! グラビアアイドル出身というあたり変にリアルですよね。
ガチイエロー
ガチレンジャーのショタ枠担当。あんまり戦隊ものにそういう枠の存在はないと思いますが、かわいければそれでいいじゃない。
ガチブラック
ガチレンジャーの無口担当。クールにろくでもないことをやらかすポジション(それはクールではないのでは?)。
ゲスラゴン
ガチレンジャー界におけるモグラ獣人とかがんがんじいとかそういう担当。戦隊ものでこういう立ち位置ってわりと珍しいですよね(どうでもいい)。
桜井のりお(作者)
僕らに奇跡を見せてくれる痴女。淫猥なマンガを描いておられる。逮捕されたときはみんなで嘆願書書こうぜ!

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2009.05.18(マンガ・アニメの話より)

ここ1月ほどのマンガ状況

 うん、なんか知らんのですがここ最近マンガが熱い(おおざっぱにもほどがあるね)。
 どういう星の巡り合わせか、けっこうな頻度でこれはすげえっていうマンガを買ってる気がする。
 そうあれは先月のいまごろ、『ブラック・ジョーク』2巻と『ミカるんX』3巻を買ったあたりから。
 まず『ブラック・ジョーク』ですけどこれがもう田口雅之先生の過剰な魅力が出すぎで、まあ人にすすめるタイプのマンガかどうかっていうと疑問もありますが(大半のエピソードでおおむね内臓や脳漿や脊髄が出たりするので)、それにしたってどのキャラもイキイキしすぎでしょうよコレ。見ててすげえ楽しい。
 そして楽しいといえばその『ミカるんX』3巻ですよ。何これ。正気とは思えぬこの所行。いやいいんだけど。もう読んでる最中「あんた(高遠るい先生)最高だよ!」てなもんですけど。いやー連載中も「飛ばしてんなあこれ」とか思ってたけど、こうして単行本で読むとひとしお。合体ロボて!

 そんなこんなで高遠るい信者となった僕は『CYNTHIA_THE_MISSON』を買いそろえる決心をしたのです。それにしてもどこにも売ってないのです。しょうがないのでちょっとずつ何かのたしにAmazonで買って(個人的に配送料無料まで料金を上げるためによくやる)、1巻でほうと感じ2巻であれこうなるのかと思ったりしてたわけです。その間に『空色動画』3巻も発売されてしばらく心がそっちに行ってたんですけど(このマンガについては別の機会に後述)、再びシンシア。3巻ではああそれっぽくなってきたなーと思ってたら、4巻でちょっと、え、何これそういう事になるの!?とあぜんとして5巻から7巻まで一気買い。ちょっとずつ読み進めようと思ってたのに。これがもう面白くって、マンガの根源的な娯楽性にあふれてるっつうんですか、それにしても聞いた話じゃ9巻で「第一部完」とは聞いているけど、この状態でどうやって話締めるのっていうか締まりきらないよなー打ち切りエンドっぽいラストになるのかなあとか思ってたら、8巻がもう猛烈な面白さとスピード感で、9巻で大感動のコンクルードですよ。できるんだ、そんなこと! いやあ充実した。しばらくは何も手に付かないくらい読み返した。

 で、それから一週間もたたないうちに『みつどもえ』7巻が発売ですよ。
 もうこの人(桜井のりお先生)どうなってんの。かのチャーリー・チャップリンは自分の最高傑作を問われて「次の作品だ」と答えたと言いますが、『みつどもえ』毎回パワーアップしすぎ。1巻2巻のころは「急成長してんなあ」的な目で見てましたが、もう3、4巻あたりから毎回これ以上すごくはそうそうならねえだろうと思いつつ新刊のたびに記録(脳内)を更新してるんですけど。
 まーヘッドバンギングもののニヤニヤ萌え(というのもちょっと違う気がするんだけど、うまい表現が見つからないのでとりあえず萌え)あり、計算されつくした見事なコントあり暴力的なコトバ芸あり個性的なキャラいじりは上手くなる一方と、なんかもう今いちばんギャグマンガとしてそしてギャルマンガとして熱いです。うまいことを言おうとしましたが厳密にはギャグではなくコメディです。

 という感じで暴動でも起きそうなくらい盛り上がっただいたいここ1ヶ月。惜しむらくはこれ人に薦めようとすると「1巻のうちはまだ序盤」なことが多いんだよなー。『ブラック・ジョーク』除く。
 だからこそ前回『バチバチ』第1話に感激したんですけど、えーとこれけっこう好きな薦めかたなんですが、「1巻読んで何かひっかかるものがあったらためしに3巻まで読んでみて、そこまでで5巻まで読んでもいいかなーって気になったら実際読んでみる」ってのはどうだろう。いまやたいていの人が大名作と認める『うしおととら』とて本当こういうパターンだったと思うんですよ個人的には。まず5巻で完全にハート奪われると思うんですよこの場合『CYNTHIA_THE_MISSON』しかり『みつどもえ』しかり。かといっていきなり5巻から読んでも「1巻からの積み重ね」がないから楽しめないだろうし、そこ難しいわー。
 ええ、まあ「難しいわー」で終わるオチのない話。

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2009.05.17(マンガ・アニメの話より)

とりあえず今書かねばならないこと

 あーまあ人それぞれだと思いますが、マンガとかで個人的にどんなに面白くっても「コレ最高に面白いから今すぐ読め!」と言われてもそれほど背中押されないしむしろ引くこともある僕なんですけど、何の話かって言えばこれから「コレ最高に面白いから今すぐ読め!」という話を書くわけです(予防線張り終わり)。

 で、今週のチャンピオン。そうアリスや谷村新司が歌う方じゃないチャンピオン。月刊とかヤングとかREDとかいちごじゃない方のチャンピオンすなわち週刊少年チャンピオン。
 新連載の『バチバチ』がなんかすげえ!
 なにしろあのどこで切り取ってもよくできてた大名作『いっぽん!』の佐藤タカヒロ先生の新作だからそりゃーよくできてるでしょうよとも思うんだけど、ああなんで『いっぽん!』打ち切りになっちゃったんだろうなあ。
 いやそんなことよりも、『バチバチ』第1話の話。なんか最近のマンガの第1話って、設定説明とか前フリとか、以後の定型を手堅く見せるとかあくまで導入部とか、そういうの多いって思わない? 僕個人で言えばとても思う。第1話ってたいてい大増ページなわりに、ツカミに終始してるっていうかさー。いやもちろん否定するわけじゃなくて作劇技法としての必然ではあるんだろうけども。
 ところが『バチバチ』第1話のすべてを大放出してる感は凄かった。1話目にして、もう正直主人公が何者かもよくわかってない状態で、なぜか第1部クライマックスばりのテンションなの。それでいて読者おいてったりもしないの。何これ。1周して新しいよ!

 なんでこんなに熱く語ってるかってことですけども、それというのもこれ今週号の話なわけですよ。つまり、いま読めばこれからの展開に心おきなくついてこれるってことですよ!そう、 NOW! このタイミングを逃すべきではない!(←だいたい詐欺をなさる人はこういう言葉を使います)
 もうこのさい導入としては立ち読みもアリじゃねえのと、お店や出版社に無縁の僕などは勝手に思う。クローズ映画版が表紙じゃない方のチャンピオンね、なぜかアイドルグラビアが表紙の方(でいてヤングチャンピオンじゃない方)のチャンピオンで、巻頭に載ってるやつ。あれ見とけという話ですよ。
 走れ! コンビニへ!
 あ、チャンピオンって入荷数少ないからいまコンビニ行ってももう置いてないかもね。(そうすべてをだいなしにして終わる)

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2008.12.20(マンガ・アニメの話より)

このマンガが個人的にすごい (2009)

 『このマンガがすごい! 2009』ベスト10×2ランキングのうち読んだことのある本が3つ(『GIANT KILLING』『アオイホノオ』『よつばと!』)しかなかった僕ですが、がんばって生きています。
 なんだか湿っぽくなっちゃいましたね。

 この時点ですでに「このマンガがすごいって言う人」とのセンスやアンテナの乖離が凄いことになってることが判明しましたが、そういう僕なりに今年の「すごい!」ベスト10を挙げてみようと思います。いわば Myこのマンガがすごい! 2009。舞妓のマンガがすごい、すなわち倉科遼先生の『華なりと』のことでしょうか。ごめんダジャレだけでここまで文脈がとりかえしつかなくなるとは思ってなかった。
 なお、この思いつきは360度の方針転換様に激しくインスパイアされております。それと、以後各タイトルの横にあるリンクは一時的に試してた「ブクログ」へのリンク。文体がだいぶ違っても一応僕の文章です(つまり、あんまり参考にならない)。

10位『ムダヅモ無き改革』大和田秀樹
 いきなりでなんだけど、けっこう話題作じゃねえ? このあいだ本屋で政治書のコーナーに置いてあるの見たよ。←それはそれでどうかと思うけど、実話。
 小泉総理人気がちょうどスーパー高かった時期に始まったこの連作、時代性というかいまこの瞬間でないと面白くない「旬」というものがあるのでこの場に持ってくるのもちょっと躊躇しましたが、そこで描かれている男の中の男の世界は普遍的なものであろうとあえてエントリー。
 「事実は漫画よりも奇なり」を地で行く政治家のキャラ達(元KGBでコマンドサンボの達人で大統領って、普通にマンガで出てきたらとんだ厨設定だよ!)が大和田秀樹空間でこれでもかと男らしく描かれる大熱血は必見。はじめただのギャグキャラだったタイゾーがしだいに男を見せていく姿には素直に感動したよ!

9位『鉄のラインバレル』清水栄一, 下口智裕 10
 アニメになって絶好調ですが、ごめんアニメ版は観てないです。だって地方で放送してないしさあ! PCオンデマンドで観るのもさすがに限界がねえ?
 とかいう話はおいといて、このマンガ今年になってからの加速がスゲエ。いわゆるキリヤマ編の盛り上がりが山場につぐ山場、基本的に脇役を掘り下げるシリーズとはいえクライマックスでは主人公にちゃんとスポットが当たり、またその動機付けが非常に自然で上手いとくる。こ……このマンガ、今まで思っていたものとは何かが違う。認識を改める必要がありそうだ……。そして続くカウントダウン編の静かに溜めて溜めて華々しく爆発する熱い展開がまた燃えるんですよ。
 今年の注目株としては絶対に無視できない作品だったと思う。

8位『フルセット!』梅田阿比
 ええ打ち切りですよ! 打ち切りですがそれがなにか?
 ああもうずいぶん前の話のような気がしてたけど、まだ半年前くらいのことだったんだなあ。現在新連載『幻仔譚じゃのめ』がまたえらいことに(いい意味で)なっている梅田先生の不遇な前作ですが、これまた今年に入ってからのスパートが凄かった。とにかくキャラは立ちまくるわ物凄く熱い大熱血だわ別になにもしてないのになんか知らんが絵がエロいわ、しかも打ち切りとはいえきちんと畳みきって終わるスッキリ感。
 全5巻と非常に手頃なところもあるし、集めてみてもいいんじゃないかと僕などは思う。まあ、連載終了したチャンピオンコミックスなんて本屋でなかなか見ることもないとは思いますけども(がっかり)。

7位『惑星のさみだれ』水上悟志1〜6
 このマンガがすごいのは完全に今年にはじまった話じゃないですよね。第1話から安定してずっとすごいよ! ただ、まあ、僕がこのマンガを知ったのが今年の10月だったので。本当はもっと高いランクでもいいと思ってたくらいです。
 このマンガについて一言で説明するのはとても難しいんだけど、ひとつ言えることがあるとすれば「女の子に言ってほしい言葉ランキング第1位:『さあ、一緒に世界を滅ぼしにいこう!』な僕にドストライクなヒロイン」ということです。嘘じゃないが、間違った紹介だと思う。
 ヒロインの件はとりあえずさておき、話の大筋は現代異能力決戦もの。とつぜん青少年数名が異能にめざめ、そして異形の敵が……、そして結果いかんで世界は……、とか、そういう。そんなジャンプイズム全開の話に反して、そのお約束をことごとくスカすとぼけたキャラクター達! 飯食ってる場合か! と思わせた隙をついて熱く燃ゆる精神の慟哭! 笑いあり熱血ありをオフビートに描く傑作。

6位『ブラック・ジョーク』田口雅之 / 小池倫太郎
 過剰すぎるほど過剰な表現で「どうかしている」と思われがちな田口雅之先生ですが、まあ実際どうかしていると思います。
 しかしそんな過剰さも、本作のB級臭あふるる設定(もちろん最上級のほめ言葉)の上ならばむしろ絶妙のスパイス。日本の一端に集った殺し屋たちの「タフな日常」を主役を次々交代しながらワンエピソード単位で描く贅沢な構成、ワクワクするじゃないですか実際。原作とも息が合っているのか、キャラも皆これでもかとクドくも生き生きしていて魅力的。R18な暴力表現ばりばりですが、後に引くイヤさは無いので青少年にもオススメ……は、できんか、さすがに。

5位『空色動画』片山ユキヲ1〜2
 もうこのマンガ大好き! 青春ばんざい!
 そりゃね、絵柄はいまどきの少年マンガとしてかなりギリなラインで地味ですよ。むしろ1巻の段階では話すらかなり地味ですよ。自主制作のカートゥーンアニメにハマる話なんて、まあどう見ても地味じゃないですか普通。けどねえ、地味で「それしかできない」少女とド派手な性格のクラスのお祭りリーダー少女となんでもこなす実力派の姐さん少女が手を組んで、クラス中を巻き込んで果敢に困難に立ち向かって学祭で爆発するんですよ! カッコいいじゃないですか。燃えるじゃないですか!
 このクラスのみんなが「理屈ぬきでただ意味もなく夢中になっている」姿が、またぐっとくるんですよ。みんなで一緒になって盛り上がってる感、つうか。
 雑誌連載では第一部学祭編はけっこう前に終わったんだけど、単行本ではいよいよ決戦の日!というすさまじくいいところで止まってるのがある意味もったいない。その後取材期間とかで連載でも空白があるから3巻がいつになるかわかんないしさあ。

4位『HUNTER×HUNTER』冨樫義博26
 うわあ普通! という声もありましょうが、昨年末の『HUNTER×HUNTER』復活からこっち、凄まじいテンションでこの1年楽しませてくれたのは間違いない事実。今年発行された25巻と26巻の異常な密度の濃さときたら、もう休載とかほどほど程度ならいくらやってくれていいからとにかくこのテンションを維持してくださいあとのことはもうどうでもいいです。というくらいの内容。
 というかぶっちゃけた話、今まで単行本買ってなかったんですがこの展開読んで一気買いした。なので今年の「すごい!」でOKなのだ。個人的に。

3位『サナギさん』施川ユウキ
 まったくもうアンタときたら口をひらけばサナギさんサナギさん、いつになったら『12月生まれの少年』の話をするのかしらね! ああそういや『12月生まれの少年』はそれはそれでまた違った面白さがあるのですごい。
 が、まあ今年のビッグトピックといえばどうしても外せないのが本作の最終回。おいおい、今までものすごく面白い理屈こね回しマンガだったのに、最終回になって突然芯から叙情的で面白い理屈こね回しマンガになるなんて聞いてないぜよ。叙情的でありながらカラッとして普段から並外れた逸脱(打ち切りマンガ的な、ああいうの)もせず、それでいて一段高いステージに上ったこの最終回は僕の心の大事件だったのです。あと、その後の描き下ろしもね。

2位『FLIP-FLAP』とよ田みのる
 ベスト2のここにきて短編(単行本1冊)ものの登場だ! もう単行本1冊なんだからみんな買っちゃえよ!(無茶)
 まー知らない人むけにひとことで言えばピンボールラブコメってことになるんでしょうか。好きなあの子がピンボールマニアで、彼女に近づくためにピンボールを練習するっていう、うん、いま僕は自分がおもしろいものを物凄くつまらなく表現するセンスの持ち主だと自覚できた。
 えーと何が面白いって実はこれ青春熱血ストーリーでもあるんですよ。とある「目標」を目指して日夜ゲーセン通いしてピンボール練習し続ける様、まるでスポ根のごとし。この表現がねえ、固定台のメカゲーのくせに、スポーツ漫画ばりにやたら熱いんですよ。そんでまた周囲のピンボール仲間がみんないい奴ぞろいで、一緒になって盛り上がるのね。こういう言い方もアレですけどたかがピンボールじゃん。それを全員で一緒に大騒ぎするなんて輝いてるじゃないですかこいつら。
 絵柄も独特だけど気にならない独特さっていうか、むしろこの絵柄でないとだめだっていうか、まあ簡単な例として、ヒロインがあんな顔なのに超かわいい。性格とか仕草とか、そら惚れるわ! ヘンな子だけど! いやだからこそか?
 まあそんな具合で言い出せばきりもなく、短編部門ではブッちぎりのMy1位ですわ。

1位『ミスミソウ』押切蓮介
 またどえらいマンガが1位にきたものだな……。ひとごとのように言っていますが、こういうセリフを1度言ってみたかっただけなので大丈夫です。
 しかしまあ実際のとこどえらいマンガであり、この企画が「みんな読んでみようよ! イェーイ!」的な側面をもつからには言っておかなければいけない。おすすめはしません!
 ざっと単行本のオビにも書いてあるレベルで大筋を説明すると、夢も希望もないような過疎化しつつある田舎(現代)で主人公の少女がイジメにあい、エスカレートしてついには両親が殺されてしまう。そして少女は復讐の凶刃に手を染めるのだった。という、簡単に言ってハートフルストーリーの真逆みたいなストーリーです。
 こ、これはおすすめできねえ! しかしこのマンガはすごい!
 ストーリーの表層だけなぞるとそんな話ですが、えーとチャチな言葉使っていい? 全体のムードがとても詩的で美しいのです。うわあチャチな言葉。こんな駄文でしか表現できないのがもどかしいけど、本当に何にもない田舎の秋から冬の風景、深く静かに降る雪の景色があのあらすじに反してじんわりくるんですな。
 なんていうかなBGMでたとえればホラー映画的な「キン! キン!」とか「グワァァアーー!」とかの恐怖や焦燥をあおるBGMがかかりそうにない感じ。このマンガに似合うとすればノイズではなく、ピアノやバイオリンだと僕は思う。
 ひどいことやってんですよ双方。余裕で血とか出る。あー痛いこれは痛いわ、と思うことが起きてるんだけどそのことがまあ、たいしたことじゃないかと思うくらいに雪の風景の中に沈んでいるわけですよ。これたぶん死や痛さの重みを「登場人物が」意識しなくなってしまっているコワさの意図的な演出だと思うんですけど、同時にひどく哀しく美しいんですね。
 あと面白いのは、いや面白がってる場合かどうかわかんないですけど、意外とイジメもカラッと描写されてるんですね。んーと説明が難しいけど『元気やでっ』(注・たとえがふるい)みたいな読んでてああもうこんな世の中終わってしまえばいいんだ的な気分にはならないっていうか、精神にクるイジメ描写じゃないんですよ。かなり淡々とステレオタイプに描かれていて、もちろんそれが両親殺害というクライマックスですごい反動になるんですけど、その殺害さえも結果のひどさはさておき、描写自体はネチネチしてない。むしろ苦しむ姿とかは省略されてるんですよ。主人公も完全に孤立しているわけじゃなく、1人とはいえ親身にしてくれる少年がいたりおじいちゃんが優しかったり、なんつうかある種それほど絶望的じゃない世界。そこで絶望が起きるからこのマンガがすごいということになるわけですけど。オススメ。
 って、オススメしちゃダメだー!

 と、10位から1位までランク付けしてみたところかなりの率で「熱さ」とか「熱血」がキーになってることに気づいた。とんだジャンプ脳ですね。そういうジャンプマンガはHUNTER×HUNTER1つしかランクインしなかったけど。
 他にも選外になったけどすごいマンガは一杯あったねー。まず『みつどもえ』は鉄板。4・5・6巻とすさまじいテンションで面白さがヒートアップする1年でもあった。というか、回を追うごとにパワーアップするマンガなんで「今年」すごかったなら「来年」はもっとすごかろう、という意味で選外。
 『どきどき魔女神判!』()の驚異的な悪ノリも今年最大の「事件」ではあったと思う。パロディの元ネタがチャンピオンREDを中心にしているという間口の狭さ(だって、せまいでしょ?)からランキングには入れませんでしたが。
 チャンピオン漫画でいえば『白亜紀恐竜奇譚 竜の国のユタ』から『D-ZOIC』に続くシリーズも、今年に入って本格架空戦記物になって一気に盛り上がったし、『GAMBLE FISH』もビリヤード編クライマックスから阿鼻谷ゼミ編まではテンション上がりっぱなし。『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』もハンパ無い原作愛と見事な「料理」のしかたで輝いていた。『マイティ♡ハート』もちょいエロコメと見せかけて限界(主に打ち切りラインの限界)に挑むデタラメぶりをちょくちょく見せてくれた1年でもあった。ああ、デタラメといえば『悪徒 -ACT-』もあのデタラメな最終回をふくめて忘れることはできない。一見キワモノのようで、まあ、実際キワモノではあったけど、真剣に面白くカッコいい漫画だったのに。帰ってきて、お願い!
 『ゆうやみ特攻隊』は『ミスミソウ』と同じ作者なので外したけど、表裏の関係のようなこの2作、こっちはこっちでメチャメチャ面白い。特に今年、2巻以降の展開は神がかっていた。
 ガビョ布先生の久々の新作『日本全国豆投げ音頭』はこの中で唯一18禁なのでランクインとかそういう問題とはまた別の問題ですが、ヘンでバカでオモロでときどき奇妙だったり奇抜だったりとんでもなかったりを暖かい世界で描く、ガラクタおもちゃ箱のような短編集。ようじょエロ本を本棚に置いて悔いナシという人は読むといいと思う。
 今年『弱虫ペダル』『まじもじるるも』とまるで違う方向性で同時にずば抜けた実力を見せた渡辺航先生は、もう『制服ぬいだら』復刻版刊行という大ニュースも含めて本人がすごい。ランクとかそういう次元じゃない。
 『ノノノノ』。作者(岡本倫)の「あの『エルフェンリート』の」というバイアスをかけずに読んだ方が面白いと思うんだけど、というくらいスリリングで楽しくあとヘンで面白い。皆川亮二のとどまるところを知らない安定感を見せつけた『PEACE MAKER』、「H×Hの子供達」でありながらジャンプに新たな地平を切り拓いてみせた『トリコ』、特撮・SF・コメディ・全裸という食い合わせ以前になんだわからないごった煮をめっぽうおいしく調理した『ミカるんX』、全4巻まとめて読んだ時の凄さ『ツレビト』、どれもすげえよ!
 そして「ヒーロークロスライン」シリーズの作品群も、なんつうか実際初期の頃はこういう企画をどう進めればいいかのノウハウがまとまってなかったんだろうなーというグダグダ感が正直、正直ございましたが、今年それも後半に入ってからのスパートが凄い! 掲載先がもうじき死ぬという逆境! それをものともしないキラ星のような新作群! がぜん盛り上がる旧作群! 新しい掲載先も決まったし、来年こそはHXLシリーズにとって良い年であってほしいですね。

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2008.12.15(マンガ・アニメの話より)

初コミケ

 日本におけるリオのカーニバルと言われて久しいコミックマーケット略してコート。(おしい)
 みんなコミケ行ってる? 僕は行ってません。こちとら北海道住まいだしそこまで気合いが入ってない弱オタク。コミケ? アレでしょ、犯罪者の巣窟なんでしょみたいな認識でいました(※いません)が、このたびコミケデビューを果たします! いままでありがとう!(完結)

 まー実際には同人誌に寄稿させてもらったという、そういう話なんですが。コミケに行くわけではないです。
 ハイ注目! これから広告! ややライムに乗せたが言ってることは生々しい! あ、お金とかは僕に発生しません(一応言っとくあたりが気弱)。
 内容はずばり『サナギさん』。本当サナギさん好きだなお前! と言われようが好きだからしかたない。
 たまごまごさんのサナギさんアンソロジー本『サナギさんありがとう 〜バスよりもメロスよりも早いよ』に4ページほど僕の原稿が載ってます。はっきり言って僕は浮いています! 見りゃわかるでしょ、僕が場違いでしょ普通に考えて。スラムダンク風に言えばなぜ桜木がそこにいるんだぁ━━!! 的な立ち位置ですよ。ドラゴンボール風に言えば「残像だ」的な立ち位置ですよ。若干たとえ間違えてる。
 まー同人慣れしてない僕にできることはサナギさんへのリスペクトを徹底することだけです。その点ではやれるだけのことはやったと思います。

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2008.12.06(マンガ・アニメの話より)

ありがとうサナギさん

 エヴィバデダンシーン!(挨拶としてはかなり知性を感じさせない挨拶)
 約2年ぶりのごぶさたです。まあときにはそんなこと(約2年放置したりとか)もあるさ。杉浦印字でございます。ヒーロークロスラインを読むためだけにWindowsマシンを1台よぶんに所有しております。杉浦印字でございます! 2年ぶりに書いてるというのに文章がここまで気負いを感じさせない適当っぷりというのもわがことながら驚くが、器のでかさを感じさせるとは言えるのではないでしょうか。そういや思うんだけど、器もでかけりゃいいってもんじゃないよね。カレー食べる時とかさ。←さ、じゃねえ

 そんな日本のラブマシーンこと僕がいまおすすめするのが、『サナギさん』であります。うん、このあいだ最終回をむかえたやつ。
 いまかよ! と言うのはたやすい。だいたい息を吸うのと同じくらいたやすい(かなりハードルを低くしてみた)。しかし諸君、あの最終回をもって『サナギさん』はそれまでの十分おもしろくユカイでかわいくも理屈っぽいいつもの『サナギさん』からさらなる高みにのぼったのだ。どういうふうに? それは実際にその目で見てもらいたい。何の説明にもなってないすねこれ。大丈夫、これまだ話のマクラ的位置だから。でも実際読むといいと思うよ、サナギさん。
 それはそれとして、そしてその後発売されたコミック最終巻の描き下ろしにおいて『サナギさん』はこれまた高みにのぼったのだった。見えぬ! 見えぬ……この男の限界が──! などと原哲夫マンガぽく思ったのはともかく、こいつはすげえぜ!という気持ちぬぐいがたく(ぬぐわなくていいね)、たまごまごさんの「サナギさんありがとう企画」に参加させていただきました(本題)。
 具体的に言えばこのあたりに投稿させてもらったわけですが、そちらにある通りpixivにて絵を公開しています……って、pixiv登録制限中かよ!(わかりやすいひとりボケツッコミですね)

 でまあ時は若干すぎて昨日。買ったチャンピオン読んでたら、終わったはずの『サナギさん』載ってんじゃん! む、村長(むらおさ)、こいつはいってえ! 山の神のたたりでねえべか、村長! とかいう話もこれといってなく特別編2ページだったわけですが、このちょいとしたミラクルに心わき肉おどり(後半よけい)、pixivにアップした絵も普通にこのサイトにアップしてみました。このへんとかこのへんとかこのへん

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2006.04.22(マンガ・アニメの話より)

夢幻紳士の時間

 たまたま調べ物をした時に見つかった発見なんだけど、けっこう好評だったし意外に知られてない事実みたいだったんで、ここに記す。あ、『夢幻紳士』というマンガを読んでないとさっぱりわからない話です。例によって。

 何の話かといえば『夢幻紳士』(いわゆる少年探偵版)の主な舞台になってるのが西暦何年なのかという話で、まあ実は特定することじたいは結構簡単なのです。こんな具合。
  1. 「上海の夢幻紳士」の回(単行本第2巻)にこういうセリフがある。「六万トン級戦艦の試案図をあっちこっちに売った(大和のこと)」。平賀譲の指揮のもと戦艦大和の設計が始まったのが1936年とされるから、この回は1936年以降の話といえる。ついでに言えば大和の就役は1941年だから、1936〜1941年とさらに限定できる。
  2. 「王道楽土の夢幻紳士」の回(第4巻)には「そーゆー日中関係にヒビ入れるような歌はやめといた方がいいと思う」というセリフがある。つまりこの回は日中戦争より前、すなわち1937年以前が舞台だと断定できる。そして (1) とあわせて考えると、この回は1936年以降1937年以前と一気にせばめられた。
  3. さて「上海の夢幻紳士」の次の話は「年末の夢幻紳士」(第2巻)。この回でいちど新年を迎えている。つまり「上海の夢幻紳士」と「王道楽土の夢幻紳士」の間は最低1年の開きがあることになる。このことから、「上海の夢幻紳士」は1936年の話、「王道楽土の夢幻紳士」は1937年の話と限定されるのだ。
    ちなみに1936年といえば日本では二・二六事件が起きた年でもあり、青年探偵版夢幻紳士が登場する『帝都物語 TOKIO WARS』第一部の舞台でもありますね。まあこれは世界観が別物なんでさすがに余談だ。
  4. (3) で書いた件に戻ると、『夢幻紳士』には新年(または大晦日)を迎える回は他にもいくつかある。順序通りに書くと、
    • 「年末の夢幻紳士」(第2巻)
    • 「師走団欒夢幻家御帰国」(第5巻)
    • 「冬だ見合いだ年の瀬だ おまけもついてる夢幻紳士」(第6巻)
    • 「新春かしましトリオの巻」(第8巻)
    • 「初春公演、夢幻一座の巻」(第9巻)
    という感じだ。1936年の「上海の夢幻紳士」から数えると年またぎの回は計5回。つまり5年経過して1941年になっている計算になる。で、最終話「そーゆーわけで大団円の巻」を見るとまさに真珠湾攻撃が始まっていて「一九四一年」という記述があるのだった。おお、計算がぴったり合うぞ!
  5. あとちょっとあやしいが「めんどうをおこしてくれなきゃいいが / わし年末は忙しいんよ」というセリフがある「百発百中」(第2巻)は多分いちばん最初の年末エピソードだ。つまり「百発百中」以前の話は「上海の夢幻紳士」の回(1936年)から1年引いて1935年が舞台ということになる。
 そう、夢幻紳士は1935年〜1941年が舞台のマンガだったということだ。こうも綺麗に計算が合うとは思ってなかった。たまたま符合しただけかもしれないけれど。
 まあ年またぎを省略した可能性もあるから1935年以前〜1941年ということにしておくのが正確か。
 ついでにもう一丁、年齢についても片付けてみようか。
  1. 「洋上の夢幻家御一行様」(第5巻)で狂四郎が魔実也にこう言っている。「おまえは女に関しちゃ奥手だからなー / わしが十五のころは愛人が五 六人……」。さっきの計算によればこの回は1937年が舞台になるから、1937年時点で魔実也は15歳なのだとわかる。
  2. と、言ってもそのまま順当に年を取ると最終話では19歳ごろという計算になる。そりゃちょっと無理じゃないかしら。へたすると青年探偵と言っていい年齢ですよ。
  3. そこでいったん魔実也から離れて、福音温子の年齢を考えてみよう。「茶わんの思い出の巻」(第7巻)では「もう十五・六年も前になるか 〜 わしの子を孕みおった」というセリフがある。これが温子の誕生と同時期という設定だから、この回のとき(1939年)温子は15、6歳前後ということになる。ところがこの計算でストーリーをさかのぼると、温子が初登場時に浅草でストリッパーをやっていたのが12歳前後になってしまってやっぱり具合が悪いんですな。
  4. 結論。『夢幻紳士』では周囲の時間が進んでも登場人物が年を取らない、あるいは急に年をとるいわゆる「まんが時間(サザエ時間)」を採用しているということになります。
 そういや『帝都物語 TOKIO WARS』でも青年探偵の方の魔実也が1936年から1945年あたりまで足かけ10年近くえんえん青年の姿で登場してましたな。そういう人たちなんでしょうな。
 ちなみにまんが時間説を補強する例にはこういうのもある。魔実也が生まれた年のことだ。さっき書いた通り、1937年のとき魔実也15歳は確定だから、これを単純に逆算すれば1922年生まれという結論になる。ところが……
  1. 「夢幻狂四郎の青春」(第5巻)で魔実也が生まれる前の話が描かれているが、この中で関東大震災が起きている。つまり魔実也が生まれたのは1923年以降。
  2. 「魔実也誕生秘話の巻」(第7巻)では魔実也誕生直前の頃に「大正末期」とナレーションが入ってるので、大正時代が終わる1926年以前とわかる。
  3. (1) と (2) を合わせて考えれば、1923〜1926年のうちどこかが魔実也の生まれた年ということになる。
 計算が合わないのだ。このことからも、魔実也の年齢の進み方は周囲の時間と食い違っているとわかる。まんが時間であろう。やはりまんが時間だ。
 時間といえば、こんな調べて意味があるのかないのかよくわからないことをずっと調べていた僕の時間はどこに行ってしまったのだろう。

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2006.02.15(マンガ・アニメの話より)

その馬鹿を極める

 ごめんなさい実はいままで『スクライド』(マンガ版)買ってませんでした。
 この告白を聞いて、ふざけんなよ! あんた少年チャンピオン大好きだってあんだけ言っといて、チャンピオンイズム全開のあのマンガを買ってなかったってどういうつもりだ! という声も当然あろう。あと、スクライドってなに?っていう声もあろう。
 いや連載を読んではいたんですよ当時(2001年)から。あのころはまださほどチャンピオンコミックスを買う習慣がなかっただけで。
 そんな僕でしたが、なんでも今月号のチャンピオンRED(*1)で続編にあたる『スクライド・ビギンズ』が始まるとかなんとか。このさい前作をちゃんと把握しておくためにも単行本買っとこうかてな感じで買いましたよ全5巻。
 いやあいままで買ってなかったことを後悔したマジで。

*1 チャンピオンRED

すべてにおいて間違ったような月刊少年マンガ雑誌ですが、毎号愛読しています。

 面白いのは前からわかってたんだけど読めてなかった回もあったし、何より通して読むとその疾走感がハンパじゃねえ。どれほど生き急いでんのかというほどに全身全霊ノーブレーキで突っ走るストレイト=クーガーっぷり。このマンガがですよ?
 まあたしかに第1巻のころはスピードもゆるめで、よくあるバトル漫画をなんか歪んだ絵(ものすごい濃い筆のタッチとところどころジョジョの奇妙な冒険第3部リスペクトな絵柄となぜか可愛い女子キャラ)でまとめてみました的な、ひとことで言えば「ちょっと変わったマンガ」でしかなかったとは思う。ところどころにぐっとくる決めゴマと妙なセリフ回しが散見される程度で、この時点ではまだまだ普通なマンガだ。
「なにっ!? 我が隊の立浪ジョージが倒されただとっ…!!?
 Cクラスの能力者で 広域戦闘を得意とし 落ち着きがなく面倒くさがり屋で… 『太くて硬いビッグ・マグナム』を持つ ──最近アトピーで悩んでいた あの……
 立浪ジョージがっ!!!」

 しかし2巻ごろから何かがおかしくなってくる。具体的には箕条(みじょう)晶さんが出てきたあたり。もはや伝説と化した感すらある衝撃のコマ「なんですって…!!?」が出てきたあたり。
 アニメ版と決別するかのごとく箕条やハーニッシュらマンガ版オリジナルキャラがやたら生き生きと動き出し、散漫だったストーリーもきちんと1本スジが通ってくる。やりすぎにもほどがある必殺技「殲滅艦隊(ゴーランド・フリート)」とストレイト=クーガーの強烈な再登場シーンとともに2巻は幕を閉じ、そして3巻!
 巻頭からの男同士の熱い対決で何かが弾けたのか、言語感覚のネジが外れてくる。笑わせるためのギャグゼリフではなく、大マジメにどこか妙なセリフが飛び出てきたりする。
お前の 勝ちだ!!!
「ああ あんたの負けだな」
 そしてまたこのあたりから戸田康成の絵がノリにのってきてこの妙なセリフに妙な説得力がついてくる。ついてきてしまう。
男泣き!!?
 暴走するセリフ! それをパワーアップさせる絵! いま読んでいるスクライドは、今まで読んでいたスクライドとは何かが違う!
「気持ちよく昇天しな!! あはははははははは!!」
「しね━━━━━━よ!! ははははははははは!!」
 ついにふっきれる3巻ラスト、またしてもオリジナルキャラのメアリー=ジェーンがなんかもうどうだっていいやというぐらいにはっちゃける!
「それに!! 伊集院光だって 入ってるのよっ!!!
 カバー裏に書いてある「TVアニメをベースに独自の世界を展開!!」ってこういう事なのか? なんだろう! もう好き放題に暴れまくるキャラ。ふざけてんのか「アルター仙人」って!
「まんまじゃね〜〜か!!?」
 しかしただ世界観がすっ飛んでるだけというわけではなく、この勢いに乗ったままで熱いセリフとバトルの応酬をするという男展開!
「坊主 そうまでしてこのワシに反抗するかよ!!?」
「ああ する!」
するか
する!!!
 もはや暴走特急と化したこのマンガを誰も止められない! ていうか本来だれかが止めるべき原作者・マンガ家・編集者の3人が一体となってついに最終巻の5巻に突入!
「こ…小林って なんだ……?」
 だめだこの連中、(マンガで)やっていい事と悪いことの区別がついていない! だというのに、なんだ、この熱い空気は!
「だが俺が進む道の先に その答えはある!!!」
「……あるのか?」
なくても見つけ出す!
「クッ ククク…… クククククク…… フハハハハハハハ
 …なら やれ!!!

 もはや2ページに1つ必ず見せ場がある凶暴なスピード展開!!
臨時ニュ━━━ス!!!
 戸田康成の絵はこの時点ですでに行き着くところまで行ってしまっている!
さあ 唱えよう!!!
 s.CRY.ed!!!

 そして最後の敵、マーティン=ジグマールとの決戦! 1000対1の激動バトル! 変なところで驚くジグマール! もはやまともな事をひとことも喋ってないジグマール! しかし強い、あまりにも強いジグマール!
「『人間ワープ』なんだとよ」
「フッ… なるほど それは手強い」
 だが!!!
手強くても 勝つ!!!
 男と男が手を組んだ! この熱い展開に、なんだ一体そのふざけたっていうかメチャクチャな真の姿はジグマール! だというのになぜテンションが下がらないんだこのマンガは!
許さん!!!
俺だって許さん!!!(なんでお前が)
 そして、そして……「第41話/ギャラン=ドゥ」って何だ━━━━!!
カッコイイだろう!!!
 ふざける時も戦う時もこのマンガは全力だ! まさに反逆! こんな、こんなにもバカなマンガなのに、一体なぜこんなにも感動的なんだこのラストは!
──嗚呼 人よ 神は知っているのです
 この作品に通底するテーマを高らかにうたい上げる「最終話/反逆」。今までの超絶スピード展開が嘘のように静かに、そして重々しく、爽やかに完結──って、え━━っ!!?
嗚呼 しかし カズマの反逆は終わらない───
エピローグ/そして反逆
 バカだ! これ描いた人たち本物のバカだ! もうどっからつっこんでいいかすらわかんねーよ!
その馬鹿を 極める!!!

 ……というわけで、懐かしのセリフとともにお送りいたしましたスクライド全5巻の一応ネタバレにならない範囲のダイジェスト。あらためてどうかしているマンガだ。『覚悟のススメ』が切り開いた道をロードローラーだけで舗装したかのような凶暴きわまるマンガ。この作品が現在の少年チャンピオンの方向性を決めたと言って過言ではあるまい。
 あまりにもひどすぎる悪ノリにもかかわらず、それが読者の胸をうつというある種の奇跡がここにはある。自分で言っておいてなんだがいったいどんな奇跡だ、それは。いまは感動とともに筆をおき、来週のチャンピオンREDを楽しみに待つとしよう。

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2006.01.17(マンガ・アニメの話より)

ピリオドの向こう

 ようし勢いだけでを描いた!(なにかをやりとげたかのような顔)

 てなわけでついに『武装錬金』が完結いたしました。週刊ジャンプで見事に打ち切りを食らったかと思えば赤マルジャンプというなんていうか微妙な気はする雑誌に読み切りで65ページの大型最終話『武装錬金ファイナル』が掲載されたかと思ったら実は最終回というのはフェイクで本当の最終話は次号掲載の『武装錬金ピリオド』だった! というタモリ倶楽部なみの流浪を重ねた末の最終回。もう赤マルジャンプつったら季刊ですよ季刊? 今日までどんだけ待ったと思ってんのよつうぐらい待ったけど、それに値する最終回でした。いい最終回でした。え、まだ単行本に書き下ろし新作があんの?(巻末コメント情報)

 まあそういうサプライズはともかく、ストーリー上は最終回。これでもかってくらいギチギチに詰め込んだ濃密な全編クライマックスの展開は、まあパラ見派の人とかには正直何が起こってんのかすらわかんなさそうな気すらしますが、これは武装錬金の単行本を何度も読み返して全ての展開を頭に叩きこんでは幸せな結末を熱望していたファンのための最終回だからこれでいいのだ。たぶん。僕なんつったらまさにそういうファンですよ武装錬金。

 つまるところこの話は、どうしようもないほどのお人よしの少年が新たな力を得て世界の平和のために戦うのだ式の正しい変身ヒーロー物なんですが(変身はしないけど)、今の時代が忘れた青くさい正義感を真正面から貫き通すこのマンガが僕は好きでした。
 そらもう彼らは幸せになってしかるべきなのです。そうじゃねえとこの主人公の武藤カズキという本当にどうしようもないほどのお人よしがヒーローをやってた意味がなくなるのです。ただ当然そこはマンガなもんで最終話一歩手前ともなれば幸せのかけらも見えてこないような猛烈崖っぷちでして、そう書けばいかに僕がこの最終話を待ち望んでいたかいくばくかおわかりいただけるでしょうか。
 ああ本当にいい最終回だった。ああ僕はこのマンガが本当に大好きでした。

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2005.09.17(マンガ・アニメの話より)

ブラック・ジャックまつり

 ヤングチャンピオン増刊号『ブラック・ジャック スペシャル』遅ればせながら購入いたしました。
 いやあコンビニ版コミックスばりの安っすい装丁と、これどこのコロコロコミック?的な分厚さ(634ページ)に一時はどうしようかと思ったけど、あいかわらず面白いわーこのシリーズ(*1)

 簡単にいえばヤンチャンの連載企画『ブラック・ジャック ALIVE』と月刊サスペリアミステリーの連載企画『ブラック・ジャック M』の単行本的存在のこのシリーズ。いろんな作家が好き勝手に自己流ブラック・ジャックを描く『ALIVE』と、いろんな作家が過去のBJのエピソードをミステリー風にリメイクする『M』。まあ要するにブラック・ジャックまつりですわ(東映まんがまつり的表現)。
 えらくていねいに手塚フォーマットを踏襲した手塚LOVEなマンガから、手塚BJではこんな話絶対ありえねえっていうマンガ、はては自分のマンガのキャラと共演させるっていうなんつうかプロだから許されるし面白いからいいけど基本的にはそれ反則だよねっていうマンガまで色々あってもう最高。
 ページを開けばのっけから手塚(息子)こと手塚眞によるこんな不健康そうなBJ見たことねえ!っていう感じの怪奇コミックに始まり、その次は柴田昌弘が描いた『赤い牙』シリーズのランとBJが共演っていうかむしろこれ主人公ランじゃねえかという話。さらに『釣りバカ日誌』の北見けんいち作画という気の狂ったキャスティングの作品が始まるに至り、もう読んでて脳汁とか出まくる。
 しかしこの北見けんいち版BJ、ものすごく素な北見けんいち的ほのぼの都会と田舎とちょいとしたペーソス世界観で構成されてるにもかかわらずちゃんとBJ話として成立してるのはさすがベテランの貫録。さらにきくち正太(『おせん』とか)版BJに至ってはあの独特の絵柄はもちろん作者のお江戸趣味が炸裂してBJがなぜか着物を着ている始末。でもちゃんと最後にはぐっと来させるのがこの作者のちくしょう粋なところだ。
 あの『ななか6/17』絵柄のままでBJを描く八神健、400年後の宇宙ステーションでBJがクローン再生されるというトンデモ作品を描く乾良彦、原作の「猫神家の人々」のリメイクだけど到底そうは見えねー!という相変わらずすごいイヤな絵柄の御茶漬海苔、ああもう何このキラ星のようと言うにはちょっと違う気もするけどキラ星のようなラインナップ。
 いま気が付いたけど、この企画って『バットマン:ブラック・アンド・ホワイト』(*2)に雰囲気似てますねそういえば。

 こんな機会でもないと生涯読まなかったんじゃないのっていう作家の作品にバッタリ出会えるのも面白いところで、今回驚かされたのは佐藤マコトとやまだないと。
 佐藤マコトっつったら『サトラレ』がドラマになってましたよね、観てないし読んでないけど。程度の認識しかなかったこの僕ですが、舌噛んで死んだ方が良かったんじゃねえの自分っていうくらい魅力的な絵と話で猛反省ですよ実際。やべえこの人こんないい絵といい話描くのか! 買うわサトラレ、とりあえず単行本行くわってな具合。
 そして今回いちばんのサプライズがやまだないと版BJ。まーやまだないとっていう人の作品、僕の人生にまずクロスしねえだろと思ってはいたし今も思わんでもないのですが、それにしてもこの作品性の高さにはやられた。一見していきなりアゴヒゲを生やしたBJにそれアリかよと思わせておきながら、細かいセリフ回しや小ギャグ、たびたび出てくる手塚スターシステムキャラクター達はまごうことなき手塚BJ。途中にチラっと出てくる手塚版BJくりそつな絵とか見るに、普通にBJも描けるけどあえてこういうアゴヒゲ有りにしたという心意気っつうんですか、それ。そんでこの内容がまた手塚BJ的なムードを保ちつつひどくロマンティックで切ない話で、ええまあ泣かすわぶっちゃけ。大いに泣かされましたわ個人的に。

BJ  それにしてもこうして23人の描くBJ見てて思ったけど、BJって手塚キャラの中でも特に「記号」的な特徴の多いキャラクターだなあと。ツギハギは当然として、ツートンカラーの髪、リボンタイ、黒コートと、マンガキャラの原則「特徴はひとつ大きいのだけを用意して、あまり散乱させない」に立ち向かいかねない造形。マンガ『ブラック・ジャック』自体が作家としてかなりダメまっていた時代の手塚治虫が半分くらいヤケになって描いてみたら成功しちゃった作品っていう話は聞きますが、追いつめられてこれでもかとばかりに特徴をぶちこんでみたとかそういうことだったりするんだろうか。
 とにかくこれだけ特徴があると、誰がどんなふうに描いてもちゃんと瞬時にBJに見えるもんだなあということですよ。いや、わざとその特徴を崩して描いた手塚眞やきくち正太ややまだないとは別として。
 てなわけで僕もためしに描いてみたのがこの横の方にあるやつ。うーんまあなんだその、記号さえ満たしてればBJかっつうと、やっぱそういうわけでもないようだ。

*1 このシリーズ

いちおう前作が『ブラック・ジャック マガジン』だと思うのでこう書いたけど、『マガジン』と『スペシャル』では判型からして違うのではたしてシリーズと呼んだものかどうか。

*2 『バットマン:ブラック・アンド・ホワイト』

『BATMAN: BLACK AND WHITE』の邦訳版(そのまま)。色んな作家が好き勝手にバットマン描いてる。なぜか『AKIRA』の大友克洋まで描いてる。

ついでに余談

 この2シリーズの他に、『ALIVE』で1作描いたらそれがあまりに傑作だったんで連載化しちゃった田口雅之の『ブラック・ジャック NEO』と、週刊チャンピオンで隔週連載中のリメイクシリーズ『ブラック・ジャック 〜黒い医師〜』(山本賢治)があって、どっちもこれまた面白い。
 『NEO』はあの原作をおおいに独自解釈してすごい領域に入ってしまった『バトル・ロワイアル』マンガ版の田口雅之だし当然絵はあの繊細かつものすごく濃い画風だしでどうなることかと思ったら、これが原作版BJのリスペクトは欠かさずそれでいて現代的でオリジナリティ溢れ、かつ単品作品として面白く完成してるという極まったマンガになっていて驚愕。
 一方『黒い医師』は『カオシックルーン』でおなじみ爽やかな絵柄で臓物飛び散り放題バイオレンス悪趣味アクションを描くナイスボンクラ作家山本賢治の作画でどうなることかと思ったら、やっぱり山本賢治だけあって物凄く悪人めいた面構えのBJがその奇跡のメスで今日も誰かを救うんだか救わないんだか、とりあえず切る(奇跡のメスで)。何はなくとも切る。むしろ切りたい。という感じの手術フリークが主人公のダークヒーロー漫画に変わり果てていて、どこがヒューマン・コミックスだよこれ! というつっこみ所は満載だが、いちマンガとして間違いなく魅力的という、もう大好きこれ。いつかの『ガラスの仮面』で同じ展開・同じセリフ回しなのに演技によってまったく違うストーリーに見せてしまうという話がありましたが、いわばそれのブラック・ジャック版。セリフや大筋は手塚版のまんまでまったく違うヒーロー像が描かれているっていう。

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2005.08.16(マンガ・アニメの話より)

素敵な登場人物

さらっとひどいことを言う人  『史上最強の弟子ケンイチ』の17巻は基本的にはラグナロク編終了後の中継ぎの巻で、クリストファー・エクレールとの対決(を見学する)話が主なのですが、僕がこの巻を読んで一番心に残ったのはあまりにもチョイ役の「死合い場の見届け人の僧」だ。なんか知らんが好きだ。妙に好きだ。17巻のことを思い出そうとすると真っ先に出るのはこの人だ。顔だろうか。セリフだろうか。人生で一度でいいから「死人はできるだけ だしてもらいたくない!」とか言ってみたい。人生でそんなセリフを言う場面がいったいあるのだろうか。

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2005.08.14(マンガ・アニメの話より)

文化の衝突

 ふだん赤マルジャンプを「うっかりジャンプと間違えて買いそうになる、ある種の罠」というとらえ方しかしていない僕ですが、今回発売の2005年夏号だけは別だ。『武装錬金ファイナル』が載ってんだよあの惜しくも(というか、まあ、やっぱりというか)打ち切りになった『武装錬金』のファイナルエピソードが!
 てなわけで慌てて買ってきたわけですが、一応公式発売日より前(*1)なので武装錬金の話はしないでおくことにして。

 読んでて衝撃を受けたのが、巻末に掲載されていた『wisse Maria』というマンガ……というかコミックというか、なんとも言えないものだ。
 なんでもドイツ語版少年ジャンプ(『BANZAI!』)の漫画賞受賞作品らしくて、当然描いたのもドイツ人。しかしこれ、最初見た時自分の目がおかしくなったのかと思ったよ。
Weisse Maria
Rene Scheibe『weisse Maria』(赤マルジャンプ2005SUMMER掲載)より

 絵が死んでいるとかコマ割りの間が平坦とかそもそも何が起きているのか読んでてもわからないとか純粋にぜんぜん面白くないとか、マジ半端ねえコミッククラッシャーぶり。な、なんだこれ、ドイツ中探してこんなのしかいなかったのか! ドイツ人はみんなアレなのか! こんなことならベルリンの壁崩すんじゃなかった!(暴言) と思ったけど、よく考えたら同じドイツ人でも『MAUS(*2)みたいな傑作描いてる人もいるんだけどなあ。
 つまりこのマンガ(いちおうそう呼ぶ)、無理に日本のマンガっぽく描こうとしたらこうなったらしい。思えば『MAUS』も'90年代のコミックとして確実にありえなくねっていうくらいクラシックなコマ割りとタッチでしたけど、そういう環境の中で日本マンガを彼らなりに分析して解釈した上で描いたのがアレだったんじゃないかっていう。
 このことから明らかになるのは、君らの解釈はヘンだからそれマジで、ということだ。

 いやバカにしてるわけじゃなくて、興味深い事実だなあと。そりゃ確かに僕も最初に読んだ時はドイツ人ありえねえ!とか思いましたが、今は純粋に興味深いって思う。
 つまるところドイツ人、まだ「日本マンガの読み方」を知らないっていうことですよ。そういや僕もアメコミ最初に読んだ時はアメコミ特有の「コマとコマの『行間』を読まないといけない」(*3)というお約束が理解できず、なんで日本のマンガだと10コマ以上はかけるこんな場面を1コマだけで描いちゃうのかとしばしば頭を悩ましたものですが。
 生きた絵の描き方とか動きのあるコマ割りのしかたとかそもそも情景描写のしかたとか、日本に生きてる僕らがふだん何も気にせず読んでるマンガのお約束とかを、彼らはそもそも知らずに今までずっと生きてきた。知識ゼロの状態からドイツ語版少年ジャンプというケーススタディだけ(かどうかは知らないけど)を頼りに少しずつ勉強している。その中途半端な段階での成果が、今回のひどくいびつなマンガなのだろう。
 「もし日本のポップスが海外で大売れしたとしても、その曲は日本人が聴くのと同じ感覚で聴かれているというわけではないだろう」てなことを最初に言ったのは糸井重里さんだったかしら。それと同じことで、日本人がマンガを読むようにはドイツ人は日本のマンガを読んでない。彼らドイツ人の目には、たぶん日本のマンガはどっちかというと『wisse Maria』みたいに見えてるのだ。
 日本のマンガが海外で高い評価を受けているなんて話も、こういうのを見ると話半分で聞いた方がいいんじゃねえのと僕なんかは思う。たぶん僕らが読むのと違う読み方されてるよ『HUNTER×HUNTER』。

*1 公式発売日より前

お盆休みのまっただ中が発売日になった都合上、本来の発売日よりかなり前に本屋に卸されているらしい。

*2 『MAUS』

アート・スピーゲルマン著。日本語版(『マウス:アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語』)は晶文社より刊行中。

*3 コマとコマの『行間』を読まないといけない

アメコミはコマとコマの間の「画」だけ省略する(だから1コマの中に異常に大量のセリフが詰め込まれてるように見える)。読者はコマとコマの間にあるキャラクターの動作を想像しながら読まないといけないのだ。

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2005.06.30(マンガ・アニメの話より)

キカイ(畸界)より愛を込めて

もっと本格的なの描いてる途中でソフト死んじゃったんで、なんかこんな絵  たまたまのぞいた本屋。やけにいかした装丁の表紙にオビが唐沢俊一先生大絶賛という本『キカイ探偵』(福原鉄平 著)を発見。しかしカバーかかってて中は確認できないし連載誌はその本屋に置いてないコミックバーズだしそもそもコミックバーズ読んだことないしで、情報ゼロのまま購入。俗に言う表紙買いである。「ああまた表紙買いなんかしちゃったこんなの失敗するに決まってるじゃんか」とか思いながら。
 そしたら驚いたことに面白かったというから、表紙買いも捨てたものじゃない。※レアケース

 唐沢先生のオビに曰く、「いい若いもんがこんな懐古趣味満載のまんがなんか描いて……最高だよ!」とまでに昭和レトロの薫りに満ちたこの作品。
 奇怪な「怪人」事件を専門とする機械の体の青年探偵、銑極超志朗(せんごく・ちょうしろう)の事件簿……かと思えば物語は早々に銑極の事務所に出入りする少女たち「少女探偵團」を主役に据えて脱線、はたまた復帰。ドタバタナンセンスから真摯な情愛物語までストオリイの範囲は幅広く、オマージュにパロディなんでも御座れ。時に莫迦々々しく時に涙を誘う快作とくる。
 あえて漫画を漫画で例える野暮を犯せば、『夢幻紳士』でいえば「怪奇編」+「マンガ少年版」といった所でありましょうか。各話のタイトルを並べただけでも「怪人燈」「人形王國の謎」「天使館の妖女」「骨董の鬼の人外魔境綺談」「瓊脂坂の脳汁絞りの家」「福魔術師」「學舎幻圖」「黒雨M」「東京ピラミッド」とくればもう後は推して知るべし。好事家諸兄には堪らない内容となっております。
 絵にクセはありますが猟奇でデカダンな旧き善き帝都を描く筆致は精細をきわめ、この作者の筆になるものか目次や中トビラのデザインも洋風モダァン。誰にでもお薦めできる本ではないとは言えど、お薦めせずにはオレヌ逸品で御座いました。

 短編連作形式のこの作品、続編も読みたい所ですがどうやら現在作者氏は『満鉄小龍』というこれまたタイトルだけでワクゝゝとしてしまう話を連載中の御様子。こちらも単行本化が楽しみでありますナ。
 というかコミックバーズ売ってる店見たことねえ!(結論)

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2005.06.26(マンガ・アニメの話より)

リーオー

知らない人が見たらこれ、どこまでが頭なのかわからないんじゃないのか  なんの因果か『ガンダム・ファクトファイル』(*1)創刊号から買い続けてるんですが、今週号の最後の方にリーオー(*2)が載ってました。
 で、設定画しげしげ眺めるに、リーオーって物凄い完成度のデザインだったんだなあって。
 今までリーオーのことを真剣に考えたことがなかったが(普通はリーオーに限らない)ザコMSにも五分の魂で、見れば見るほど絶妙にできているのがわかる。
 敵方の量産型MSとして主人公MSに触れれば死すレベルのさんざんな扱いを受けるために生まれてきたMSですが、そういう「やられメカ」ということが演出以前に見た目で瞬間的にはっきり分かるというのは結構すごい。あの顔にはなんの主張もない。弱いということが一目でわかる。相手にもならないということだけを主張している。
 それでいて手抜きデザインかといえば、まあ実際パッと見シンプルなデザインにも見えるんだけど(主に顔がシンプルだから)、実は立体的にすごくメリハリのある面構成をしてて、正直言ってかっこよかったりする。こういうメカとしてのかっこよさとザコキャラとしてのかっこ悪さを矛盾なく両立させる職人的な仕事はさすがカトキハジメというか。
 しかもトールギス(*3)の「血筋」を感じさせるデザインになっている、というか実はほとんどのパーツがトールギスと色違い程度の共通パーツになっている。それなのにトールギスという準主役級MSのかっこ良さにはまったくカブらずにかっこ悪さを維持し続けているのは、もう見事としか言いようがない。
 こういういいMSが「ただやられるためだけの存在だったから」という理由でまともなキット化もされずに不遇の扱いを受けているのは、なんだかもったいないよなあ。

*1 『ガンダム・ファクトファイル

ディアゴスティーニ社から週1ペースで発売され続けている悪魔の雑誌。全号集めてファイリングするとガンダム図鑑が完成するという、四国八十八箇所巡りっぽい存在。はじめ全100号だったはずが、1/3くらいまで買った頃にしれっと全150号に訂正されるという、賽の河原みたいな存在でもある。

*2 リーオー

『ガンダムW』に登場する、敵側のザコMS。『ガンダム』におけるザクの扱いを20倍くらい悪くしたような存在。デザイナーはカトキハジメ。

*3 トールギス

リーオーの試作機にして最強クラスのMSという、思えば不思議な立ち位置のMS。これもデザイナーは当然カトキハジメ。

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2005.06.24(マンガ・アニメの話より)

ラストチョッパー

「自陣(の中)を(永久に)守る」から陣之内永護なのか!(いま気付いた)
 これだから週刊チャンピオンは目が離せない。
 なにがって、それはもちろん先週と今週の前後編読み切り『Last Chopper』のことだ。こういういかした新人が彗星のように現われるからチャンピオンは目が離せないのだ。たとえ編集部がちょっとどうかしてる感じのマンガ選球眼を持っている(*1)としても、時々こういうスマッシュヒットをぶちかますからチャンピオンはやめられねえのですよ。
 前編はもはや返本倉庫の果てに旅立ってるから未読の人のために説明しとくと、卓球マンガ。卓球マンガといえばすでに『ピンポン』(松本大洋)という偉大なる先達(*2)の存在があるんでそれだけで新人作家には不利なフィールドですが、どうしてこいつはちゃんと勝負してるぜ。打ち負けてねえよ!←がんばって卓球っぽく表現してみた
 いわゆる「カット打法」でボールに回転を加えて打ち返し続け、その回転による予想外のバウンドで相手のミスを誘う「カット主戦型」(このへん『ピンポン』とこの漫画から得た知識)で、あとプチ対人恐怖症ぎみの少年、陣之内永護が主人公。ていうかこの漫画やってることは一から十まで卓球勝負なんでこれだけで全てのあらすじ完了ってくらいなんですが。
 そういう卓球勝負オンリーな話の中で、きっちりキャラを立てて魅せるとこは思いっきり魅せてくるのがスゲエ気持ちいい。なんつっても「必殺技」が話の骨幹なんだけど、コレにちゃんと説得力がある! いまどき必殺技なんて追いつめられたマクドナルドのメニュー並に安いしろものですが、このマンガちゃんと必殺技を絵と伏線とウンチクで思わず納得いく形に落とし込んでるの。しかも格好いいし。これだ! これぞ少年マンガだ! 久しぶりに魂の震える必殺技を見せてもらった!
 粗削りなんだけど迫力と動き中心の絵柄(*3)もいかすし、ついでに申せば主人公はエロ可愛かっこいいしで、ちきしょうコレ連載しないかなあ。まだ早いって気もするんですが、やっぱり連載で読みたいわコレ。

 でもチャンピオンだから、こういういいマンガに限って冷遇したりしそうだ。
 とりあえず今のうちにスキャンして永久保存しておきました。

*1 編集部がちょっとどうかしてる感じのマンガ選球眼を持っている

そうとでも考えないと、アレとかアレとかが打ち切られてアレとかアレとか『フリオチ』とかがプッシュされてるのは理解できない。

*2 偉大なる先達

『稲中卓球部』とかはいちおう外しておく。あとこう言ってはなんだが、『地上最速青春卓球少年ぷーやん』はもちろん外しておく。

*3 迫力と動き中心の絵柄

上で描いた絵とかけっこう無理してメチャクチャなポーズで描きましたが、本物はこんなもんじゃねえよ。

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2005.05.21(マンガ・アニメの話より)

親愛なるご近所さん

[画像] スパイダーマンJ  ヤベエ、マジオモレェ!(『フリオチ』風に)
 ……えーとゴメン、フリオチ(*1)を出した時点でまったく面白くないかある意味オモロイかのどっちかに範囲が限定されてしまうんで仕切り直します。
 マジで面白えよ『スパイダーマンJ』!
 コミックボンボンに連載されているとかされていないとか(よく知らない)のこのマンガ、たまたま行った本屋で立ち読み可になってたんで読んでみたわけですよ。おいおい「J」はねえだろうとかそもそも日本の小学生がスパイダーマンになるとは笑わせるぜとか掲載誌的には妥当とはいえいかにも子供向けな絵柄でちょっとなあ、とかオレはこの手のにはちょっとうるさいぜ的なことを思いながら。
 そしたら何このちゃんとした少年ヒーローマンガ。
 お手並み拝見的な気分で読み始めた僕を余裕で打ちのめす男の魂がそこにはあったのだ。どのバージョンのコスチュームがベースなのかとかオタク的な見方する余裕とかなかったですよ実際。

 もともとコミックボンボンといえば基本的には小学生むけ子供マンガ雑誌なわけでそこには制約がある。ページ数は少なめとか、ヘビーな展開はNGとか、ギャグ入れないとだめとか、子供読者にも分かりやすく描かないといけないとか、主人公は子供とか、頭身は小さめとか。ましてこれ映画版『スパイダーマン』の、なんつうか悪い言い方すれば便乗企画なわけで原作の設定もある程度引っ張ってこないといけないっていうダブル制限なわけですが。
 その制約のワクをきっちり守りつつ、オリジナリティのある孤独な熱血ヒーローをちゃんと描いてるんですよこのマンガ。
 毎回毎回この絵柄にしちゃ意外なくらい大掛かりなアクションバトルが繰り広げられるんですけど、基本的に「J」は子供がやるようなこっちゃないレベル(作品世界の中でも)で危険なワザ使ったりボロボロになったりするんですよ。それでもなお人々のために戦うこの勇気が泣かせるじゃないの普通に。むしろこれ青年ピーター・パーカー(原作)がやるより子供がやる時点でそのガンバリ度合いの差があってすでに勝ちですよ実際。
 これを読者にうまく分からせるための表現としてスパイダー・センス(*2)の設定をうまく拡大解釈して、「他人の身の危険や、その結果の(悲しい)未来像が見える」という能力にしてるんですわ本作。そんな光景を見たくないから戦う! このわかりやすさそして熱さはどうよ? マジで。
 しかも毎話ちゃんと能力バトルしてるっつうか、敵のバラエティあふるる能力に対して機知をふりしぼってアイデア勝負で勝つっていう、下手すっとそこらの力押しバトルマンガの50倍は面白いぜ?
 いま「一番熱いヒーロー物って何よ?」とか聞かれたら本当の話余裕で「J」と答えるね僕は。こういうきちんとしたマンガが掲載されるからつくづくボンボンは侮れない。  

*1 フリオチ

週刊チャンピオンでどういうわけか連載されてしまっている、ある意味オモロイ漫画。

*2 スパイダー・センス

原作では「野生生物特有の危険感知能力」という扱い。

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2004.04.19(マンガ・アニメの話より)

僕は今こんなマンガを読んでいる

 ものすごく唐突に、現在進行中で買ってるマンガ単行本を並べてみたよ。しばらく更新してなかったんで(主に風邪が原因。長引きすぎだと病院の先生も驚いていた)、勘を取り戻すためにテーマの明確な文章を書くというからくりだ。読んでる人にとっては何のためにもなるまい。

(50音順)
アイシールド21
 アメフト。ものすごく真面目に練られた原作とものすごく描き慣れた感じの作画がナイスコラボ(ナイスコラボの意味はよく分からないまま使用)。
 キャッチとかランが絵になりつつも説得力がある描き方(具体的にいえば「スゲー速い! カッチョ良いー! スゲー!」とか言う感じ。読んでて)で思わず夢中になるときたもんだ。実にこのマンガの影響でBSでやってるアメフト中継を毎回録画するようになったという。僕が。

アメコミ新潮シリーズ
 スパイダーマンとかX-MENとか。どう見ても売れてなさそうなんで、いつ休刊になるのかドキドキします。
 元が "ULTIMATE" シリーズっていうリメイク版なんで、アメコミ特有の信じられないような裏設定はリセットされてるしキャラ設定も現代っぽくアレンジされてるから読みやすいけど、それかえってつまんなくねえ?という気もします。でも時々面白いので、まあ、良し! 正直、何を考えて刊行にGOサインが出たのか謎なシリーズですが、数少ない邦訳アメコミなんでちゃんと毎号買うよ?

いでじゅう!
 ドタバタ。イヤな気分にならない青春物(青春物を「イヤな気分になるもの」と最初から定義づけている僕もどうかと思う)。
 クセ者ぞろいの井手高校柔道部員が今日も柔道はそこそこに、こう……何をするでもなく、ギャワーとかなったり、ならなかったり。あと時々ラブに悩んだり。ツッコミで流血したりとかは日常茶飯事ですが、おおむねほのぼのマンガ。ちなみに第1話は最悪だったが、そのうちなおった。
 意外にいでじゅうの説明って難しいなあ。

カオシックルーン
 カードでモンスター召還して血みどろで殺し合い放題。そんな漫画。
 毎回変な思考回路を持った敵が現われては毎回死んでいくし、明らかにやりすぎた残酷表現とかも出るけどなぜか絵柄はスッキリしてるし明るいから痛々しくはありませんよ? ハラハラしたり感動したりメッセージ性があったりとかは徹底的にしませんが、それがわかってるだけに安心して読める安定株。

がじぇっと
 少年の日の冒険。たぶん。
 すごく素敵な夏休みっぷりを見せていてとにかく面白いんで、なんでもいいから早く次巻だしてください。

仮面ライダーSPIRITS
 仮面ライダー(平成じゃないほう)。設定から長靴のソールのディティールに至るまで徹底的に原作(特撮版)を再現しつつ、マンガならではのド派手な演出とグッとくるストーリーで魅せるオマージュ力(ぢから)大解放マンガ。
 オマージュしすぎたせいで第1話なんか、主人公格として登場した人(滝)がクライマックスで唐突に現われたキャラ(ライダー1号)にすっかり助けてもらうという、作劇としてはおおいに破綻した構造になってたりする。でもライダーオマージュとしてはそれで正解なのでいたしかたなし。他の回ではけっこう作劇としても普通によくできた話もあるから大丈夫ですよ?
 参考書として仮面ライダー画報あたりと首っぴきで読むと各所にちりばめられた小ネタ大ネタがわかっていっそう楽しめると思います。いちおう『仮面ライダーSPIRITS -受け継がれる魂-』っていう解説本も同じ出版社から出てる(本編と似た装丁なんで紛らわしい)けど、正直内容が浅くってこちらはおすすめできません。

がんばれ酢めし疑獄!!
 4コマギャグ。細かいボケにきちんと突っ込む「漫才系」のネタと、世の中のいちいち誰も突っ込まないささいな事に着目する「重箱系」のネタと、すごく意味が通っていそうで別にそうでもない奇妙な味わいの「ミニシアター系」のネタがほどよくブレンドされた、えーと少なくともファミリー4コマではない4コマです。
 ギャグマンガなのに馬鹿になろうとしてない感じが新鮮。考えオチって意味でもなく。

銀魂(ぎんたま)
 コメディ。適当時代劇SF世界観の中で、現代的な若手お笑いっぽいセリフ回しのネタが冴える。「アンタの行く末がどうしようだよ!」とか「お前はそのキレイな瞳のどこに汚い心隠してんだ!」とか「何その戦国大名みたいなモットー!」とか、そういうアンタッチャブルの柴田(ツッコミ芸人)の声でアフレコしやすい感じの。
 あとそんな話なのに、たいていきちんとした人生訓で落とすのが不思議。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN
 ガンダム。安彦良和がガンダムを描くっていう、そりゃアラン・リーが『ロード・オブ・ザ・リング』撮るようなもんじゃないのかってくらい(わかりづらいし、間違ってすらいるたとえ)の夢の企画。
 相当アニメ版に忠実な漫画化なんで、ある意味これほど先が見えきってるマンガもないんですが、初代ガンダムの総決算として楽しみにしてます。
 それにしてもこの量でこう立て続けに刊行される作業量は単純にすごい。

機動戦士ガンダム 宇宙(そら)のイシュタム
 ガンダム。人類最初の「コロニー落とし」をドラマ化しているとかいないとか。いや、なにしろ深く静かに進むストーリーの上にまだ1巻なんでよくわからないんですが。
 後期の『08小隊』の監督が描いたマンガだけあって、映像的な「間」とケレン味のある描写が魅力。あとよく「作者はマンガ世界の神である」とかなんとか言うけど、この人の場合神というよりは悪魔だなっつう感じのえらく底意地の悪い演出とか。
 独特の牧歌的な絵柄については、まあ、気にしなければ全然気にならないよ?(役立たず)

機動戦士ガンダムSEED ASTRAY R
 ガンダム? えーと、たぶんガンダム。
 そもそもガンダムとしてというか作品としてどうなのよっつうアレだった『ガンダムSEED』のさらに外伝的存在にあたるこのマンガ。しかし本編のアレぶりをよそに気持ちいいくらいのはっちゃけぶりを見せ、なんかもう本編よりさらにガンダムでもなんでもないけど、これはこれとして単純に面白えよ! という具合になった。
 迫力がありすぎてもはやなんだかわかんなくなりつつある線で描かれた男ガンダム(武器:日本刀)の宇宙を股にかけた鉄火肌な大活躍という、ガンダムという冠でやる必然性をすら疑う内容ですが、それでもきちんとガンダムマンガとして成り立ってるのも考えてみれば不思議。

ゲノム
 コント。他になんて説明すればいいんだ。
 基本的なフォーマットとしては昆虫の生態学習マンガのパロディで、先生役の女博士と助手の美少女とクレイジーロボットのかけあいで進んでくんですけど、このかけあいの狂いっぷりがただごとではない。(以下引用)
「生まれたての子鹿とかがプルプルふるえてんじゃん。あれとかも俺の強大な宇宙パワーを察知して怯えてんだぜ?」
「巨乳の娘がなんらかの理由でセーラー服着せられて俺と向かい合って縛られろよコノヤローッ!!」
「あんたも俺の変身した姿を見たら心のビッグベン鳴り響いて止まらんぜ!?」
 こうやって抜き出すと心底だめそうだ。とにかくこんな会話が平然と毎日のように交わされる人外魔境であり、ドタバタギャグが特に目的もなく繰り広げられるのです。

シグルイ
 時代劇。いちおう原作(原案レベル?)は南條範夫。
 臓物出ほうだい。あと登場人物全員静かに狂ってる。それはそれとして絵的な説得力とクライマックスに至るまでのものすごい盛り上げぶりは他に類を見ない。
 でも実際、第1話の「見せ絵」的なテンションの高さだけでその後の話引っぱり続けてる的な面もあって、もっと展開早い方がうれしいんだけど、まあいいや。

史上最強の弟子 ケンイチ
 学園格闘。「学園格闘」っていう言葉はどう考えてもヘンだが、意外に市民権のある言葉みたい(ジャスティス学園とか)。諸君、もっと日本語は大切にしたらどうかね。
 話の骨子としては気弱な少年がナイス師匠を得てスーパー強くなって悪をこらしめる的な、まあベストキッドストーリーですわ基本的には。ただこのマンガの場合そういう大枠のわりに随所にコメディ要素が頻出するのと、あと師匠がやけに多くて4、5人いるのと、彼らそれぞれみんな頼れる兄貴的イイ味出してるのが特殊。
 そういえば主人公が理屈派ツッコミキャラ(『すごいよ! マサルさん』におけるフーミンていうか)にもかかわらず狂言回し役じゃなくちゃんと主人公してるっていうのは、格闘マンガに限らずマンガ全般としても珍しい気がする。これがけっこういいんだ。それでいてハートにはバッチリ熱い正義の魂を持ってるというのも読んでて気持ちいい。
 あと、女性キャラが無闇に巨乳かつボディラインを強調し過ぎかつパンチラし放題なのはやりすぎだと僕も思いますが、たぶんこのマンガ読むかぎり、作者の人はこれをやらないと死んじゃう病気の人なのでよしとします。

JIVE AMERICAN COMICSシリーズ
 米版トランスフォーマーとかアマルガムコミックスとか。アメコミ新潮シリーズが映画ファンとかの層を取り込もうとして初心者向けにした(そしてたぶん失敗してる)のとは逆に、もうどうせアメコミなんてマニアしか買わないんだから最初からマニア向けの作品をチョイスするし、マニアはどうせ値段高くても泣く泣く買うだろうからおもきし高く売りつける。そんなシリーズ。
 今のところオススメは『トランスフォーマー G1』。透明感あふれる色彩と精緻な描写はアメコミとか抜きで本気でスゲエよ。

TWO突風!(ツートップ)
 ストリート格闘。連載開始直後は「ヤンキーマンガなのにキャラの身体がよく動く」程度の(なぜか少年漫画界では伝統的にヤンキーマンガはたいてい人体を描くのがヘタだ。不思議だ)よくあるマンガだったのが、だんだんエンジンがかかってきて多数の勢力・派閥が群雄割拠、共闘したり裏切ったりのストリート三国志になってがぜん面白くなった。
 主人公ふくめ登場キャラ全員がケンカバカという気持ちのいい設定なので、ヤンキーマンガお得意の「敵の悪さの描写のためだけにいろんな犠牲者が出て読者が嫌な気分にさせられる」という展開と無縁なのもいい(最初の2話くらいまでは一応そのフォーマットに沿おうと努力してたけど、面倒くさくなったらしい)。
 あと「強さのインフレ」をしないで、かわりに名前がインフレするのって新しいと思う。

鉄人28号 皇帝の紋章
 スーパーロボットリメイク。アニメ版(この漫画とは無関係)もかなり凄いことになってますが、こっちはこっちでイカすぜ。アニメ版が原作のテイストを徹底的に維持しつつ現代のクオリティで描き直したのに対して、こっちは原作の設定をそのままに現代の手法で新たに描いたっていう感じ。簡単にたとえると、アニメ版がカバーで漫画版がアンサーソングというか。
 しかしまあそこは長谷川裕一なのでロボ愛と活劇愛とあとついでに特撮愛とにまみれた正しいリメイクに仕上がっててアニメ版とは違った意味で安心。いや実際巨大で非人間的なメカの「格闘戦」っていうどう見ても無茶な状況を描かしたらたぶん今一番かもしれない。第2話の扉絵(鉄人vsモンスター)はこの作家以外には描けない名シーンだと思うよマジで。

D-LIVE!!(ドライブ)
 乗り物。えーと説明が困難ですが、主人公は乗り物関係ならドンと来いな少年(もちろん普段はさえない)で、様々な難事件に挑むのだ。雰囲気としてはアメリカ80年代TVドラマシリーズみたいなものっていうのが一番近いと思うんですが。マクガイバーとかナイトライダーとか、ああいう。
 毎回毎回いろんな乗り物が登場するバリエーションと、基本的には毎回主人公のスーパーテクでハッピーエンドというお約束TVドラマノリが読んでて気分いい。

ニニンがシノブ伝
 コント。さっきの『ゲノム』と同じ作者なんで、だいたい同じ話です。設定が忍者やくのいちに変わったぐらい。と思ってよく見たらゲノムの「学習マンガ」しばりがなくなってる分シチュエーションに変化があったり、ゲノム以上にネームが長かったりと意外に違うことに気付いた。
(自分の分身と対峙しながら)「こんな美少年が2人もいたら世界中の女たちがそわそわしすぎて大地震が起こるだろが!!」「そのまま地球滅亡か……!!? それもよかろう!! 宇宙の歴史に俺の美という神話が永遠に語り継がれるのだ!!」
「強くなりたい……その願いが星に届いた時俺は光を越える! そう!! これがサスケ・バトルチェンジだ!」(そんな設定はない)
(カップルをからかって)「恋愛Gメン!! 逆探知はどうか!!」「成功です!! 発信元は……フフフ やはり純愛!! スカッとさわやかです!!」
 等。ボケ役がやたら多い(頭領と忍者集団)のでかけあいの連続でボケ倒す場合が多いっていうのもゲノムとの違いかしら。

ピューと吹く! ジャガー
 コント。どうしても『マサルさん』の作者だからってついその流れで見がちですが、まあそれはそれでいいじゃない?(肯定)
 やはりシチュエーションに対して何度となくボケ倒す芸風は安定して愉快です。あとエンプティー浜(ハマー)とかなんかそんな名前の人のダメぶりはよく考えるとマンガ全体からは浮いた要素のような気がするけど、好きです。

ファイブスター物語
 ロボ。ていうか有名なんでしょ? 大方。大量の設定と伏線と気の違った美形キャラとすごいデザインでドーンでしょ? なんで僕が切れ気味なのかわからないんですが。個人的には大風呂敷の広げぶりとディティールの細かさ、あと凄いメカデザインで純粋に好きですよ。
 ところでファイブスターの「膨大な歴史設定と膨大なキャラクター」っていう手法は、実はアメコミのソレの正統な後継なんじゃないかって思うんだけど、誰も理解してくれなくて(両方読んでる人が少ないから)ちょっと寂しい。

フェイスガード虜
 シュールコント。基本的にノー突っ込みでボケ投げっぱなし。
 いま1巻を見直したら、藤子F不二夫パロディとして始まってたので純粋に驚いた。このなごりの残らなさは異常とすら言えよう。
 ものすごくどうでもいい小ネタをばらまきつつ、全体として豪快にシュールなボケを放り投げる、そんな漫画。よく何巻も続いてるなあ。

風雲児たち(幕末編)
 歴史。読む前は「歴史マンガの最高峰」的な評判と学研の学習ギャグマンガ的絵柄がうまく結びつかなかったんだけど、なるほどこれは間違いなく素の意味で最高峰だ。
 要するに古典的ギャグ漫画のテンポの速さを活かしてぽんぽんと軽妙に語りつつ、またギャグ漫画のデフォルメした描写で泣かせるところは泣かせつつ、基本的には歴史の「ずっと昔のことや関係なさそうなことが、後々とんでもない結果を引き起こす」面白さと英傑どものとんでもない豪快エピソードの紹介に徹していて、なんかある意味歴史マンガにはうってつけの手法だったんじゃないですかね、その、学習ギャグマンガ的手法は。

武装錬金
 学園怪物退治アクション。徹底して好感を持たずにいられない主人公と、やけに素敵キャラな戦うヒロインの魅力はでかい。アクション物としてはいささか弱い感があるものの、キャラ回しだけで十分読ませるのはさすがというか。
 2巻あたりから楽しく読めるコメディ要素も付加されてますます面白く読めるようになったんだけど、なんか連載の方は早期まとめにかかってるっぽいのが不安だ。

冒険王ビィト
 正統派RPG。安定したというか完成した画力とソツのないストーリー展開で、モンスターとかばったばったなぎ倒す。あんまりソツがなさすぎてどう説明したものか困るんですが。
 とりあえず長期連載する気まんまんなので、読む方としても長い目で見てこうかと思う。

吼えろペン
 マンガ家ウラ話ギャグ……とか、そういう。とにかく煮えたぎったマグマのような暴走描写がギャグも熱血も超えて無効化し、後には焼け野原ととんでもなく熱い1人の男だけが残ったという感じのマンガ。もう滅茶苦茶だ。
 男の魂が必要以上に溢れているので、そういうの嫌いな人には絶対薦められないと思います(ほめ言葉)。

HELLSING(ヘルシング)
 ガンアクション。でかい銃とかでかい兵器で人とか吸血鬼が笑いながらばんばん死ぬ。
 たぶん日本で一番ジョン・ウーでロドリゲスでタランティーノな漫画ですが、そこに持ってきて登場人物の大半が銃LOVE・兵器LOVEな頭のどうかした人たちなので、なんていうか楽しそうに殺伐としてます。祭りだ祭りだワッショイ(死亡)気分で。
 決して上手いマンガ家ではないんだけど、その目のつけどころとケレン味あふるる描写で、毎回「今日はどんな血みどろ劇がくりひろげられるんだろう」と楽しみなマンガです。あと、最近けっこう泣かせるとこは泣かせるようになってきたのも嬉しい。

マリアナ伝説
 ドタバタコメディ。シンクロに憧れる水球部員(男子)が奮闘するとかそんなことをすっ飛ばしてひたすらメチャクチャなセリフ言いながらメチャクチャなことをする。
「あなたの悩みをとんちとか あと腕力でたちまち解決!! 水ッ球さん見〜〜参ッ!!! ──フフフ……あわてるな まん中を歩けばイイのですよ?」(女子スクール水着を頭から被った変装で)
(試合に勝って)「オレはいったん舞台を降りよう……だが!! 人類が再びおごりたかぶった時またオレは現れる!! またオレは現れてしまうのだ!!」
「ええい黙れ負け犬にしてチキン野郎…… 要約すると いきもの! どうぶつ!!」
とか。
 最初ゆうきまさみ(個人的に苦手)原案ということで危険なフォースを感じ取っていましたが、フタを開けてみればゆうきまさみ成分ほぼゼロで完全な田丸浩史マンガでした。田丸浩史好きなのでむしろ良し!

美鳥の日々
 コメディ。美少女が右手になった!(比喩表現なし)という「女の子居候もの」の極北のような設定で始まったのもつかの間、いやその設定は生き続けてるんだけど、どっちかっつうとその辺はそこそこに主人公を中心としたゆかいな連中のドタバタ劇としてむしろ完成をみた、なんつうか変わったマンガ。
 毎回ぽんぽんと投げつけられる小ギャグの洪水と心地いいマッタリ世界という、設定に反して非常に正統派なコメディだと思う。

よつばと!
 コメディ。元気でもの知らずな子供の発見と冒険の日々……を、周りの大人の視点から描いたかんじ。簡単に言うと軽く振り回されて、おおむねしょーがないなーと笑っていられるというレベルの。
 基本的に子供「よつば」のもの知らずぶりが多少オーバーに描かれている以外はまったく現実から遊離してないので、けっこう地味なテンションで進むのがほのぼのと楽しくもありじれったくもありなんですが、変にしみじみした話をしないかぎりこういうの好きです。

ラブやん
 ドタバタコメディ。ダメな男の元にキューピッドの美少女がやって来たといえば設定の聞こえはいいが、そこは田丸浩史マンガなので馬鹿ゼリフ満載で恋愛とか人間的成長とかそういうのまったく無視で話は続く。
「妹が欲しいい────ッ!!!(中略)うっかりおフロのぞいちゃったりしてね『んもうお兄ちゃんのエロス人(びと)!!』とかそれはもう!!」
(きれいな笑顔で)「ウフフ……死ねよ ボケッ」
(世界の命運を賭けた勝負の方法を問われて)「では お医者さんゴッコで!!!」
 なんだか『マリアナ伝説』以上にえげつなくダメになってる気がする。

RAY(レイ)
 SFサスペンス。いちおう医療物という設定は毎回機能しているけど、それ以上にSFサスペンス。毎回ギリギリの状況になって毎回ギリギリで解決する。
 ていうかまあ簡単に言うと主人公が無敵じゃない『EAT-MAN』なんだけど、それでこそこの作者だ。


 以上。単なる簡単なリハビリ気分で書き出したものの、思ってたよりたくさん買ってたことが判明した。それに多分たまたま本棚に入ってなかった的な理由で書いてないマンガもある。
 それにしてもいったい僕は何がしたかったのだろう。

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2003.12.27(マンガ・アニメの話より)

初めて奴を男と認めた

 いままで正味の話少年マガジンといえば豪快すっ飛ばしマンガ(読むのを)として僕の中で有名だったのですが(*1)、いや本当好きな人には悪いと思っているのですが、だってしょうがないじゃんかGOLDRUSH打ち切りになっちゃったし(←どうやら彼はずいぶん前から読んでいないらしい)。
 とは言うものの、なんだか最近『おれはキャプテン』(*2)も始まったしでちょくちょく読むようになったんですよ。立ち読みで。ごめん。でも面白いよ『おれはキャプテン』。
 で、つられて他の連載マンガも読むようになったり読まないようになったりしたんですが、ごめんいくつか読むの正直言ってつらいマンガとかもあるんだ僕だってがんばってはみたんだとか、まあそれは少年マガジンに限ったことでもありませんが。とにかく色々流しでとはいえ読んではみたんですよ。ちなみに『奇跡の少年』(*3)が毎回異様なテンションで面白かったです。
 そんな中でどうも判断に困るっていうか自分の立ち位置を見出せないでいたのが『魔法先生ネギま!』(*4)で、根本的にこのジャンルにさほど興味がなく、しかしそれだけにとりたてて怒りの炎を燃やすわけでもなく、えーとまあ、その調子でがんばればいいんじゃない?(チキンをほおばるのに夢中になりながら発言)という程度の感想しか持てないという中途半端っぷりをいかんなく発揮していたわけですよ。
 それはそれで別にいいわけですが、しかし今日! 唐突にネギま超おもしれえと悟ったわけですよマジで。思えば僕といえばアメコミ大好き人間。アメコミといえばトランスフォーマーとかXメン等数十人単位でやたら大量のキャラクターが登場しては消えまた別の話で登場しの大所帯ぶりが魅力といえます。こ、これだ!(そうか?) いや実際の話女の子わんさかコメディーだと思うから入り込めないところあるわけで、アメコミ式キャラクターの洪水マンガとして読むと普通に面白いよ? 少なくともここまで大量のキャラがレギュラーとして出てくるマンガそうそうないし。マジ話単行本とか買いそろえかねねえですよ。注目点はどのキャラとどのキャラが絡むのかと、あとはまあ、どうでもいいや(ひでえ)。アメコミ読む時もそこくらいしか見てない気がするし(つくづくひでえ)。

*1 豪快すっ飛ばしマンガ(読むのを)

『神聖モテモテ王国』連載再開記念引用。

*2 『おれはキャプテン』

野球マンガ『ショー☆バン』の原作者の人が描いている野球マンガ。この人のマンガはいつも性根が曲がっていて素晴らしいと思う。

*3 『奇跡の少年』

麻雀マンガ『哭きの竜』の人が描いている超能力マンガ? とりあえず登場人物全員が正気じゃない。

*4 『魔法先生ネギま!』

『ラブひな』で「女の子わんさかコメディー」という舌を噛み切りたくなるようなキャッチフレーズをつけられても超余裕で次回作のコレではむしろ女性陣を大増量しているんだから、なんていうか、凄い。

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2003.10.25(マンガ・アニメの話より)

春がキタ

 グルグルが終わっちまったああァアアアーーー!
 『魔法陣グルグル』が最終巻を迎えちまったよおおォオオオーーー!

 なんつってなんかこの間『EAT-MAN』が終わった時とは別種のエキサイトぶりを見せてますが。
 グルグルは特別なんですよ実際の話思い入れが半端ないっつうか。なんつうのドラクエバブルRPGバブルの全盛期にその巧妙なパロディとして始まったのがグルグルで、もちろんその時代のまっただ中にいた僕なんか速攻でこのマンガはなんかスゲエ面白いってことに直球でなって、で時代が進むごとにアニメになったり掲載誌が色々あったりしてまあそのへんは僕自身はおもきしスルーしてたわけですけど、とにかくグルグルと一緒に大きくなった世代なわけですよ僕ら。
 RPGに出てくる「魔王」っつう存在に何も疑問を抱かない時期にちょうど魔王ギリは現われて、少年期の終わりを迎えながらニケやククリの成長を目にして、それでまあ色々あって(一応ぼかす)あの今となっては懐かしくそして輝かしい日々のすべてがひとつの終局を迎えたわけで、取り乱すなっつう方が無理なわけですよ本当。
 そんなこんなで取り乱した勢いでめずらしく絵も描いてみるほどだった。いままでありがとう衛藤先生。僕らはグルグルが大好きでした。あと、『がじぇっと』もがんばってください。もしよければ早いペースで。

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2003.10.01(マンガ・アニメの話より)

THE END

 『EAT-MAN』の最終巻がついに出てしまった。まあすでにこの作者の人は『RAY』が始まってるっていうか早くも2巻まで出てるんでこの先の心配は別にしないわけですが。とにかくあの名作『EAT-MAN』が完結である。ちなみに個人的には連載分は読んでないっていうかどの雑誌に連載してるかもよく知らないぐらいなので、とにかくこの最終巻が僕にとっての最終話なのだ。なんだそれ。
 で、EAT-MAN第19巻。なんていうか……いいマンガだったなあって、しみじみ思わされましたよ。
 悪く言ってしまえばこの吉富っていう人、器用貧乏みたいな作家なんでまあそういうところもあっていまいちスターダムにのし上がってないんですけど、このマンガが売れてないであれやこれやが売れる世の中ってのはやっぱりどこか間違ってるって僕は思うわけですよ(*1)
 エレガントなマンガだと思うわけですよ。いや美的だとか詩的だとかいう意味じゃなく。きれいに伏線を張って、きれいに起承転結をまとめあげて、きれいにオチをつけてっていうことを、毎話毎話ひたすらにやり続けている。誰に頼まれたわけでもないのに。そうでもないか。しかもその中にちゃんとスペクタクルっつうかハデな要素も組みこんで、基本的には主人公の最初から最後まで変わらない能力ひとつだけで話を作ってるのにマンネリにもならず、全19巻の短編連作大長編を作り上げたってわけで、この徹底した職人ぶりはなんか知らんけど見てて泣きそうになる。
 とかなんとかそんな事を考えなくても、普通に面白かったわけですが。というかこの巻だと最終話よりも最初に入ってる短編(どれも短編だけど)『アルバトロス』がなんとも絶妙に良かったと思ってたりする。本当にエレガントな話描くなあこの人。

*1 どこか間違ってる

この数日前に『ガンダムSEED』の最終話が放映されたのでこんなことを思うのかもしれない。いちいち他の作品をひきあいに出すのもなんだけど。

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2003.09.13(マンガ・アニメの話より)

ぼくらの時代(コンタロウ)

 けっこう前に録画したまま放ってあった『ビューティフル・ドリーマー』やっと見たけど、やっぱり何度見てもスゴいわこの映画。個人的には押井守の最高傑作だと思ってたりもする。いまだにクラクラしてますよ。あーもう押井作品は見た後かならず現実感を見失うってわかってて、なんでよりによってこんな台風(*1)で現実感のない日に見ちゃったかなー実際。これだけ破壊力のある狂った作品を『うる星やつら2』つって見せられたら、そりゃ当時のファンも賛否両論出るよなー。

 で、まあこの映画、いまや名作というか殿堂入りというか、とりあえず見とけマジで一度、というあつかいになっている一方、いまや見てない人の方が多いだろう圧倒的に、という気もするくらい古い作品なわけで。実際の話『うる星やつら』の世界観知らない人がこの映画見ても意味かなりわからないだろうし、しかも原作とアニメ版両方知ってないといけない(なにかとアニメ版オリジナルキャラが出張る一方、原作をちゃんと全部読んでないとあのキーパーソンの存在が、こう、困る)わけで、これはかなり敷居の高い話だ。ましてそのへんをなんとかクリアした上でも、やはり当時の「押井節に免疫のないところにしかもいつもの『うる星やつら』だと思って観たらこんな内容でウーワー」気分についてはもう想像することしかできないとくる。かくいう僕も当時はマンガ版は中盤から立ち読みはじめてアニメ版は2、3回しか観てないし映画となると存在すら知らないというレベルだったので、もちろん当時の熱狂は想像する他ない組である。
 つまり何が言いたいのかっていうと同時代性っていうか時代の空気の中にいるっていうのはありがてえもんだなーっていう、うっかり時代の空気から外れるともったいないなーっていう、そういういささか教訓的な気分になったわけですよ本当の話今日は。だからってまあ『機動戦士ガンダムSEED(*2)』の真っ最中に生きてる今日このごろをありがてえと言ったものかどうかはやけに疑問なわけですが。

*1 台風

すごかった。

*2 『機動戦士ガンダムSEED』

この間「これがもしガンダムという冠じゃなく、単なる新規のロボットアニメだったらこれを楽しめたのだろうか」という事を考えてみた。やっぱり無理だと思った。

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2003.06.15(マンガ・アニメの話より)

青春

 いまだに「青春」って書くたびにハイロウズの曲が頭に浮かぶのはどうしたものか。

 でまあ話はかわって衛藤ヒロユキ(*1)の単行本が出てたんで買ってみたんですよ。『がじぇっと』第1巻。
 この人そんな連載してたっけなあと思ってよく見たらどうも月刊コミックブレイドという読む気をおおいに失わせる雑誌に連載してるらしくって、あーそりゃ気付かないわけだ。
 で、その内容というのがびっくりするくらい直球で青春なのだった。というか実際ビックリですよものすごい少年期の青春ですよ。学校と友達と慣れないオシャレとぎこちない恋と夏休みですよ。ガジェットの謎とかそういうのもからめつつ基本的にはものすごく僕たちの夏休みですよ。でもこういうの、正直嫌いじゃないぜ。っていうか、大好きですよこういうの正直言って。
 恋愛で苦労する話だけどあんまり切なくはないっていうか、ドロドロしてないのがいいっつうか(まあ中1だし)、もともと『グルグル』の頃からすでに少年の日々をてらいなく大まじめに描く人でしたが今回さらに直球で勝負しにきたって感じで。気がついたらギャグ要素まったく入ってないし。
 そんな具合に最近めずらしい「買ってみたらスゲエ良かった」系の本だったんですけど、やっぱりこの作者だし、続き出るまで1年くらいかかるんだろうなあ。

*1 衛藤ヒロユキ

主に『魔法陣グルグル』の作者として有名。

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2002.08.25(マンガ・アニメの話より)

妄想吸い込まれ

 という訳 (前回参照) で調子こいて松本大洋の『GOGOモンスター』を買ってきました。
今まで買ってなかった理由:
 1. 高い (?2500)
 2. それでいて書き下ろしなので、どんな内容なのかよくわからなくて不安
 3. そもそも本屋どこ行っても置いてない
 思うに、出版社のガッツが足りないのが全ての原因のように思えますが、まあいいや。

 そんなこんなでどんな話なのかさっぱり知らずに買ったんだけど、まあばくぜんとしたイメージではほのぼのとした話かなーと思ってたんですよ。子供がテーマでしかもタイトルが「GOGOモンスター」だし。
 それで読んでみたら、もうすっかりディープな気分になっちゃって、これはどうなんだろう。いったい誰がこの日曜のまっ昼間から心の暗闇をかいま見た僕の補償をしてくれるのかって話なんですけど、本当にもう少し出版社に内容を伝える努力があっても良かったんじゃないかって思うんだけど。

 僕に言わせればっていう前提で話しますけど、この話って要するに「妄想吸い込まれ」(*1)の話ですよね。
 あー妄想吸い込まれというのが何事なのかって話から始めないといけないから、少しこの話長くなるんですけど。
 たとえば、超能力吸い込まれ。信号機とかあるじゃないですか。あれをじっと見つめてると超能力によって信号が赤から青に変わる「ということにする」とします。もちろん放っておいても変わるんだけど、じっと見つめてると変わるんだって! 多少早く。マジでマジで。という妄想。
 妄想というか、まあちょいとした思いつきですよ。あくまでも想像ですよ。本人もわかってやってますよ。でも実際の話、妄想じゃなくて現実に超能力で多少早く信号が青になってるかもしれないじゃないですか! なんで力説してんのかよくわかんねえですけど、そういう具合にこの妄想の怖いところは「可能性が否定できない」っつうところなのです。
 本人の気持ち的には、もうその超能力が妄想かどうか証明できないんですよ。科学的な「証明」の定義としてはおかしい話なんですけど、そういう次元の問題じゃないんですよすでに。むしろその意味ではすでに超能力が現実にアリになってて、逆に怖いのはその超能力が現実である以上、信号機があって渡りたいなら、じゃあじっと見つめればいいじゃん! と直で思っちゃうっていう。下手をするとじっと見つめないかぎりこの信号変わらなくて周りに迷惑がかかるんじゃないかって所まで話が進んじゃうっていう。妄想が現実を規定するっていう、ええと言ってる意味わかりますか?
 これがいわゆる妄想吸い込まれですよ。そんな話でしたよGOGOモンスターは僕が思うに。
 で、このマンガのスゲエよくできてるというか意地が悪いというかそういうところがあって、妄想はあくまで妄想扱いで描いてるかと思うとそうでもなく、逆に凝れ妄想じゃなくて本当は現実じゃねえかって匂わせる描き方もところどころしてるんですよ。意図的に。たぶん。
 そういうの読むと、読者的にもこれが妄想の話なのか、それとも妄想とみせかけて現実の話なのかわかんなくなるじゃないですか。その気持ちっていうのはつまり妄想と現実の区別があやふやになった、まさに妄想吸い込まれ状態なんですよ! 読者まで妄想吸い込まれ状態にさせてやがるんですよこのマンガは!
 もちろん間にマンガがクッションになった、いわばバーチャルな妄想吸い込まれなんで現実に実害はないんでおおいに結構なんですけど、じゃあ何も知らずに読んですげえディープな気分になった僕の心の補償はどうなるって話ですよ。
 妄想吸い込まれド前面のハードな話だって最初に誰かが言ってくれてたら、僕もそれなりの心構えして読んで、ちゃんとこのマンガの怖くない面? ユキとマコトの子供らしい友情とか、凄くリアルでセンチメンタルな学校の描写とか、素直に楽しめたと思うんですよ。もうそういうの楽しむ余裕とかないから、大変でしたよ今日の僕のディープ気分ときたら。

 あーしばらくは読めないわ。面白いし名作だと思うんだけど、もうお腹いっぱい。

*1 妄想吸い込まれ

伊集院光命名。もしかすると「ファンタジー吸い込まれ」だったかも。

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2002.08.15(マンガ・アニメの話より)

そういえば

 ごくごく最近まで『藍より青し』って、藍染めをテーマにした『夏子の酒』みたいな漫画なんだろうなと勝手に信じてましたよ。

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2002.05.19(マンガ・アニメの話より)

物凄い衝撃

 えーと、あー。ちょっとと言わず相当にショックなんですけど、なんつうかサンデーに『焼きたて!! ジャぱん』というあえてジャンル分けするならグルメ漫画に相当するが絶対それ違う(*1)と僕は思うマンガがありまして、それはまあいいんですよ。
 それで今日まで普通に読んだり読まなかったりしてたんですが、なんかこう、違和感というか納得いかざるものがあるというか、なんかが変だなーとか思ってたんですが、今日その意味が明らかになりました。

(小学館オフィシャルサイトより引用)「その少年の名は東和馬。」

 少年……?
 ちょっと待って、え? 東? この人? 主人公? 少年? (この段階でもう様々な思考が周囲を爆走) この主人公、男性だったのか!
 そうなのだ。知らずにいたのだ。もうかれこれ2巻がこの間発売されたというぐらいまで連載を重ねたこのマンガの主人公の性別をずっと勘違いしたまま僕は何の問題もなくオッケーてなもんで読み進めていたのだ。単に田舎育ちで言葉の乱暴なお嬢さんですのうとかウィルソン・フィリップス上院議員 (ディオに歯を抜かれる以前) ばりに余裕しゃくしゃくで見ていたのだ。そういえば河内 (男) と相部屋って変だよなーとか今になって思っているのだ。みんなに男あつかいされて全然訂正しないのも不自然だよなーとか思い返しているのだ。
 こいつはアナスイが男だった (ということになった) 時以上の衝撃だ。そのたとえはおかしい。言い直すと、こいつはヘルシングのインテグラ局長が女だったと知った時(*2)以上の衝撃だ。ローラ・ローラが男だと知った時のハリー大尉(*3)なみの衝撃だ。そういえば昔『サクラ大戦2』で大神とレニ(*4)のエンディング近くともなれば行くぜ相棒まかせろ兄弟的な熱い戦場物になるんだと信じきっていた夢が破れたときの衝撃はこれ以上だったなあ、とかも思った。
 結論。自分の中では東は女性だということで押し通してみることにします。そのつもりで読んでもおおむね矛盾はなさそうなので。

*1 グルメ漫画に相当するが絶対それ違う

じゃあ何かっていうと、あー、思うに『しゅーまっは』と同ジャンル。

*2 インテグラ局長が女だったと知った時

1話目の最後のページ読むまで男だと思ってましたが、そういう人は多かったろうと思う。

*3 ローラ・ローラが男だと知った時のハリー大尉

∀ガンダム。それにしてもハリー大尉は面白キャラだったなあ。

*4 大神とレニ

レニは実は女性だった。いまだに私はこの件でサクラ大戦を許していない。

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2002.05.19(マンガ・アニメの話より)

春だ! だから何だ!

 あーもうなんかスキャナが黒煙を吐きながらガタガタ震動しつつ異音を発するとともにレーザービームとかを全身から全方位に向けて大量に発射したので、今日は画像ソフト等に直で描いたりしてるんですが、気が狂いそうに描きづらかったのでバキの13巻読み直してやっぱり何度読んでも勇次郎の登場シーンで爆笑しちゃってそのまま満足して心地よく眠れます。<完>

 という今日このごろですが、どうも最近時期的に週刊少年マンガ雑誌とかだと新連載シーズンなんでしょうか? 正直よくわかってません(*1)が、たぶんそういったものなんでしょう。
 で、ちょっと間を置いてジャンプとか読んだらあまりの変貌ぶりというか、諸君の愛してくれたジャンプは死んだっつう感じのギレンぎみな感慨に、こう、妙にしみじみとしちゃったりもするんですけど、というかまあ個人的にはジョジョさえ連載されていればそれで十分です。あと三度の食事と暖かい布団があれば。
 いやそうじゃない。ジャンプの話はこのさいどうでもいい。というかジャンプの話はしたくない。そうじゃなく、チャンピオンとサンデーの新連載組とかは気になるわけですよチャンピオン大好きッコとしてはそしてサンデーまあそれなりに好きッコとしては。あとマガジンは読んでません。
 チャンピオンの新連載っていえば、あーなんかオールバックの男がゴルフやってた気がする。←なげやり
 チャンピオンのこの手の垢抜け無いマンガがどうにも苦手なので(*2)速攻スルーみたいなノリになってるんですが、というかゴメンこの前にも新連載は2つほどあったらしいんですが、そこにあることすらも知らずにいたくらいで我ながらもう少しがんばってもいいのではないかと思います。
 というかですな! 新連載組で要注目なのが『無敵看板娘』ですよ。何が素晴らしいかといって、まあおおむね素晴らしくない気もしないではないですが (いい意味で) 、とりあえず個人的にこういう勢い重視の話は大好きなので。むてきヒロインキャラも好きだし。むてきヒロインキャラは本当に素晴らしいと思う。もしかすると最高のヒロイン像はこのマンガにこそあるのかもしれないなんて考えたりもする。まあたぶんそれはない。
 一方そのころサンデーでは『鳳ボンバー』が連載開始されていたのだった。こ、これだ!! いや実際の話くりかえしますがこういう勢い重視の話は大好きなので。この先どう話が広がるのかよく分かってませんが、とりあえず現状かなり勢いだけで読めて先が気になるので非常に期待しております。

 それにしても自分の勢い重視癖はちょっとさすがにどうかと思い始めた。

*1 正直よくわかってません

そもそもそういったシーズンが存在するのかどうかがよくわかっていない。

*2 チャンピオンのこの手の垢抜け無いマンガがどうにも苦手なので

だからといってエイケンがオールオッケーかというとまったくそんなことはないが。ちなみに僕の中では『BM』はあかぬけていることになっています。

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2002.05.08(マンガ・アニメの話より)

カプセル戦記

 連休のド真ん中に発売だったんで札幌だとさらに発売が遅れるしなんかこうボーッとしてたら危うく買いのがしそうになってた『SDガンダムフルカラー劇場(*1)』の4巻を大慌てで購入。
 いやーもうこのマンガ入荷量の段階ですでに少ないし、もし初版買いのがしたら増刷されないから(*2)速攻でどうしようもなくなるという危険な本なんで、かなり焦りましたよ。そして結構あちこち本屋探した結果どうにか購入できたのでかなりはしゃいでますよ。はちゃめちゃ元気っつう感じで。
 つうか面白え! つうか面白え!(繰り返しで愉快さを演出) いやまあ自分がガンダム大好き人間(*3)というせいもあるんでしょうけど、普通にマンガとしてキャラ立ってて素直に読んでて楽しいわけですよ。このページ更新するのも久しぶりなわけですが、最近いささかこう素直に楽しめるマンガがなかったわけですよ。そんなわけで今、この極めてのんきなマンガを力強く僕は押したい。
 あととにかくステイメン(*4)がかわいい。ここは重要だ! ある意味。あと初代ガンダムも。サンドロックカスタムも。むろんみねば様もな! あと風雲再起も! V2も! あとたまに出てくる人間頭身の女子キャラもアリだ! だがブルマ着用のリィナが裏表紙なのはさすがにどうかと思う!
 そんな調子で大変楽しんでます。ちなみに、このページ等を参考にしながら読むと、各話のキャスティングの意味が分かってより楽しめます。
 というか、ウィングガンダムゼロカスタム→ウィングガンダム→ウィングガンダムゼロの展開だけはさすがに読んでてなにがなんだか分からなかったとここで正直に告白。

*1 SDガンダムフルカラー劇場

知らない人のためにあえて繰り返すと、これはあくまで『SDガンダムフルカラー』の劇場であって、決してフルカラー漫画というわけではない。

*2 増刷されない

前後の状況から推測してるだけなんで、違うのかもしれないけど。

*3 ガンダム大好き人間

いや、普通程度に。

*4 ステイメン

GP三兄弟の末っ子。小さい。

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2002.01.13(マンガ・アニメの話より)

あなたは宝物

 あー泣いたわー今日の『も〜っと! おジャ魔女どれみ』。
 というかなんかマジョモンローwithももこ話でこれは相当ヤバいわ (涙腺的に) あとひと押しで泣くわと思ってて、まあ今日はあと一歩レベルでかろうじて何事もなく過ごせるかと思ったら不意打ちであのエンディングテーマですよ。ブワー (涙の効果音) 。
 あれズルイって絶対泣きますよあんな曲にあんな映像見せられたら! というかむしろ毎回エンディングテーマ時には泣きそうになってるわけですけど。音楽って大切ですね。

 でまあその一方で、どれみの直前にやってる番組であるところの仮面ライダーアギトは、こう、本当に最終回きちんと面白くまとまるのかとかなにしろ例の『クウガ』の後番組だし例の井上監督だしで正直な話ちょっと前のアナザーアギト最終話の件はさておき今後に関してはおおいに不安なわけですが、でも今日はおジャ魔女どれみのおかげで実にスッキリした気分で終わることができました。感謝。

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2001.10.08(マンガ・アニメの話より)

100質

「絵描きさんに100の質問」その1

この質問は『Trefoil Clover』さんの提供です。ちなみにバナーは使わない主義なのでご容赦。

Q1

貴方のお名前(HN)は?

 杉浦印字 (すぎうら・いんじ)


Q2

その由来なんかを

 とりあえず「印字」っていう言葉を使いたくって。あの、昔のパソコン用語で今でいうところの「プリント」っていう具合の言葉で。深い理由はないんですけど、こう字ヅラとか言葉の響きがカッコイイとか思いません? マジで。
 で、名字とかどうしようかと思ってて、それでもうこの際適当でいいやとか思って、杉浦康平っていう超スゲエ装丁師の人がいるんですよ、日本に (←なんかもう支離滅裂に) 。その名字だけいただきました。比較的珍しくない名字だから、別にいいかなと思って。


Q3

使っているPCはwin・mac?

 Macintosh。いちおうWindowsマシンもあるんですけど、手元にソフトないし。


Q4

普段絵を描く時に使うソフトを教えて下さい

 Adobe PhotoShop とか Adobe Illustorator とか Painter とか。


Q5

タブレット・マウスどちら派ですか

 絵を描くときはワコムのタブレット使います (筆圧感知機能が重要なので) けど、マウスの方が扱いやすいので困ってます。


Q6

主に何色を良く使います?

 灰色。←白黒絵を描いてるだけでは?


Q7

イラストを描く時に一番気を付ける事はなんですか?

 それなりに見栄えよく見えること。


Q8

1枚当たり平均どれ位時間をかけますか?

 きちんとした絵だと2、3時間くらい。あれ、もっとだっけ? つうか、数字とかよくわかりません。←最悪


Q9

下書絵とかは保存してます?保存方法とか。

 いちおう普通にPhotoShop形式で。あ、スキャン前の紙に描いたやつのことだったら速攻で捨ててます。


Q10

お勧めのフィルタ用法とか(フォトショ)

 鉛筆で描いた下絵のレイヤーをコピーして「乗算」にしてからぼかし (ガウス) かけて、線がいい感じにぼんやりしたらレイヤー結合して、シャープかけると意外なくらい線がキレイになるとかいう噂。


Q11

色を塗る時の画面解像度は?

 300dpiとか? ←よくわかってない


Q12

絵を描く時は何かしながら?(チャットとか)

 たいてい横でテレビ (ビデオ) かけてます。


Q13

1ヶ月にどれ位絵を描きますか?

 ほとんど描いてない気がします。あ、仕事で描く絵は別。


Q14

線画に使う用紙はいつも何を使います?お勧めとか。

 メモ用紙とか、ルーズリーフの無地とか使っているんですが、やっぱりもっと気をつかった方がいいんでしょうか。


Q15

下書きの際の画材は何を使っていますか?

 シャーペン。っていう回答であってるのかなあコレ。あ、芯はFを使用。


Q16

ペン書きまでにどれ位時間かかります?

 イラスト1枚だと2、3時間くらい?ってやっぱこれおかしいよ! Q8と明らかに矛盾してるよ! ていうか僕は1時間以上なにかをするときの体感時間はすべて「2、3時間くらい」で統一されているらしいです。スゲエ! ←すごくない


Q17

同人はやってます?もしくはやってました?

 大学で漫画・イラスト研究会っていう恥ずかしい名称のものに所属していたことを隠していました。


Q18

同人やってて良かったと思った事はありますか?

 とりあえず画力は向上したような気がする。意外に同人やらずに個人でこそこそやってても同じくらい向上したのでは? という疑問は残りますが。


Q19

雑誌に投稿した事はありますか?

 『ファミ通』(当時は『ファミコン通信』) と『ログイン』(当時はおもしろかった) に。各2枚づつ。


Q20

その内で載った事は?

 それぞれ1枚。考えてみると5割の掲載率なんで、わりと自慢できそう。いまだにガバスやら図書券やらは送られてきませんが、そういうものだと思っています。


Q21

好きなイラストレーターさん(漫画家)は?

 アメコミのMIKE MIGNOLATRAVIS CHARESTJOE MADUREIRAとかはスゲエ好きですよ。あとカトキハジメってイラストレーターっていうくくりでいいんでしょうか。好きなマンガ家の人は大量にいますが、絵だけで大好きっていうと (そういう趣旨の質問だと思うので) 、それは意外にいないなあって言われてはじめて気がつきました。


Q22

好きな漫画は?お勧めとか

ジョジョの奇妙な冒険』 (いろいろとナニな点もありますが、素直にスゲエと思う) 。
うしおととら』(マイエバーグリーン) 。
シャカリキ!』(この作者の最高傑作だと思ってますよ) 。
夢幻紳士・怪奇編』と『夢幻外伝』(理屈ぬきでいいって思えるレベルの) 。
サンドマン (日本語版)』(もしかするとこの中でも一押しかも。認知度低いので)。


Q23

その中で自分的ツボなキャラはいます?その理由とか

 個人的にあんまりキャラ単体でどうこうっていう事少ないんですけど、夢幻魔実也 (『夢幻紳士・怪奇編』『夢幻外伝』) は絶妙だと思う。


Q24

こんな絵が描きたいと思う絵描きさんはいますか?

 TRAVIS CHARESTくらい絵が上手かったら笑いが止まらないだろうとは思います。


Q25

良く購入する本とか

 『ファミ通』。あれ、もしかすると毎号買ってる雑誌って今これだけ? うわあ。あ、そうだ『世界の美術館』も毎号買ってた。あとは適当に買ったり買わなかったりです。


Q26

今まで買った中で参考になった本は?(絵関係で)

 BURNE HOGARTHの『Dynamic Figure Drawing』。たまたま家にあった本で、自分が買ったわけじゃないんだけど。とにかくスゲエいい本でした。(これの日本語版が『ダイナミック美術解剖』なの?)


Q27

ゲームではまった作品はあります?

 楽しんだとか泣いたとかは多すぎるんで、あくまで「はまった」っていう縛りでいうと『ファイナルファンタジーVI』(※スーファミ版) とかは全メッセージ・演出収録完全編集版ビデオ (計12時間) とかつくったくらいなので、相当はまっていたような気がする。あの情熱はいったいなんだったのだろうか。あと『ドラクエIII』(※ファミコン版) も全メッセージ記録したりとかしたので、それも。とても恥ずかしいです。


Q28

その中で自分的ツボなキャラは?その理由とか

 FF6のロックはステータス画面の顔が良かったので、その部分だけ局地的にツボでしたが、いかがでしょうか。


Q29

好きな小説家さんは?

 スティーブン・キング大好き。マイケル・オンダーチェもスゲエぜ。あとエラリー・クイーンの古い訳の作品はもうスゲエ最高なんですけど、最近のは改訳されてて味わいもへったくれもなくなってもうスカスカの小説で、なんでこんなひどいことになってるんだろう本当に。あれ、日本の作家は?


Q30

好きな小説は?お勧めとか

 とにかくスティーブン・キングの『IT』と『刑務所のリタ・ヘイワース (ゴールデンボーイに収録)』はみなさんにオススメしたい。浅田次郎の『壬生義士伝』も死ぬほど誰にでもオススメ。


Q31

詩・小説等の文章書きはします?

 前に書いたことはありますが。


Q32

絵を描く時に良く聞くBGMってありますか?

 ダンス系テクノとかユーロビート関係を。←恥ずかしい


Q33

お勧めの曲とか

 そのユーロビート系でですね、DOMINOの『I WANNA DANCE』っていう曲だけは冗談抜きで本当に素晴らしくて、特に『SUPER EUROBEAT VOL.90』に入ってるバージョンは聴くたびに泣きそうになるんですけど、僕はどうかしているんでしょうか。


Q34

尊敬するHPはありますか?

 毎日更新してる出来のいいページは全部。


Q35

毎日通ってしまう程好きなHPはあります?

 ありすぎてとても書ききれません。いや本当の話。


Q36

目指しているHPってどんなのですか?

 わかりやすくておもしろくて見た目のいいページ。(←なんかスゲエ頭悪そう)


Q37

自分の絵、好きですか?

 正直申しまして、好きです。それがいけないんだって思ってはいるんですけど。


Q38

好きなテレビとか

 BSでやってる『騎馬警官』! もう最高。あとこれは万人向けじゃないと思いますが、『仮面ライダー アギト』がもう大好きで……。


Q39

好きな芸能人はいますか?

 えーと、うわ思いつかない。え? あれ、外国の俳優とかダメですよね。あー……、松本人志 (ダウンタウン) はアリかなあ……、あ、そうだ濱田マリさん (ex.モダンチョキチョキズ) は日本で一、二を争う絶世の美女だって前から主張してるんですよ僕は。


Q40

好きな色は?

 クロームイエローと黒の組み合わせは相当好きです。赤地に白も。最近だとパワーパフガールズ的な色合いが。1色だけで好きな色ってあんまりないですね。


Q41

好きな食べ物は?

 甘くそれでいて混じりけのないもの ←微妙にロマンチック表現


Q42

好きな飲み物は?

 紅茶あるじゃないですか、あれに砂糖をスプーン5、6杯 (こんもりと盛って) 入れるとスゲエウマイっすね! いや本当に。


Q43

良く行く、又はお気に入りのお店ってありますか?

 もの食べるのって苦手だったりします。あ、ひかないで。


Q44

料理ってします?得意料理は?

 全然ダメです。


Q45

メールソフトは何を使ってますか?ポストペットは飼ってますか?

 ARENAっていうMacintosh用のソフトがお気に入りですよ。ポスペは飼ってないです。ごめんなさいいま全然面白くない文章書いた。


Q46

PC関連で持っている資格を教えて下さい

 あれ、たしかずっと前ワープロ検定の2級? だっけ? なんかそういう奴? とった記憶が、こう、おぼろげに。


Q47

プロになりたいと思いますか?

 一応すでにプロというか、絵描きっていうのとはなんか微妙に違う気もするんだけど、まあ、そういう具合なので。


Q48

イラストレーター以外になりたい物があれば教えて下さい

 楽してウハウハな人生であれば、なんでもいいです。


Q49

絵以外での特技ってありますか?

 小食っぷりではスゲエなってよくいわれます。


Q50

映画好きですか?

 人並みに好きっていうレベルで。


Q51

好きな映画を教えて下さい

 『トレマーズ』は本当に良かったなあ。一見B級ホラーだけど、実はパニックアクション物なんですよ。そういえばパニックアクション物は基本的に大好きです。あと『デスペラード』みたいなド迫力さえあればあとはどうでもよさそう (監督的に) な映画とか、『アルマゲドン』みたいな開き直ったお涙頂戴映画とかも大好きで。


Q52

アナログ塗りの時の使用画材は何を使いますか?

 手間のかかることが嫌いなので、アナログ塗りはできるだけ避けます。どうしてもというならコピックスケッチのブラシを。


Q53

絵を本格的に描き始めたのはいつ頃からですか?

 高校3年の夏、このままでは公立の大学に入れないということに気付いて (恐竜ばりの鈍さ) 美術系大学に入ることを志したので、じゃあ高校3年の夏。


Q54

ネットでイラコンに出たことありますか?

 イ、イラコンって何ですか?……(googleで検索)……ああ、そうか、なるほど。ということで出たことないです。


Q55

絵を描く時に参考にする物はあります?手とか

 服とかだと、たまーにファ、ファッション誌とか見て描くことはあります。


Q56

メル友多いですか?

 メル友を「毎日のようにメールを出したり出されたりする関係」と定義するのなら、100%いません。僕が筆無精なので。


Q57

絵描きさん友達は多いですか?

 オンラインで? えーと、友達になりたい人は多いですが、いません。泣きそう。


Q58

ネットを繋ぐ時間は深夜?夕方?

 夜間。深夜は眠いので、しません。


Q59

チャットは良く行きますか?

 そういえば一度もやったことないや。


Q60

自分専用のPCを持っていますか?

 5台使いつぶして、現在2台。


Q61

憧れの人に一言言うなら?

 (何も言わずに土下座)


Q62

絵が描けて良かったと思う時は有りますか?

 絵を褒められたときと、大学に入れたときと、就職できたとき。そんな上手くないとは思ってるけど、しかし人生助かってるなあ。


Q63

逆に損をした事は?

 ないような気がするけど、気付いてないだけで大切な色々を失ってきているという可能性も捨てきれませんな。


Q64

オフラインでの絵描きさん友達は多いですか?

 職場の同僚とかそういうのはダメですよね。学校の同期とかは? 微妙な気がする。それ以外だと、えーと、いない。泣きそう。


Q65

普段遊ぶとしたらどんな所?

 本屋とか好きですけど、これもそういう事聞かれてるんじゃないだろうな。


Q66

此処だけの話、嫌いな絵描きさんいますか?

 いないです。いやマジで。嫌いなマンガ家?……あー、まあ、それは、ねえ。


Q67

HPをやってて、ここだけは許せない!って事あります?

 どこをクリックすればどういう場所に飛ぶのかわからないっていうのは本当に。でも中身が良かったりすると平気で許せたりするからいいかげんだ。


Q68

HPやってて良かったと思う事は?

 やってなかったら知り合えなかった人とかは絶対いるし。


Q69

ネットをやっていて良かったと思う事を教えて下さい

 単純に面白いので、それ良かったと思います。


Q70

逆に嫌な事

 嫌なことはそれはそれで、結果的に面白かったりするっていうのは、まだ本当に嫌なことに出会ってないってだけなのかしら。


Q71

初めてネットで公表した絵はどんな作品ですか?

 たしか、アメコミ系ページの企画に参加するために送った絵だった、かなあ。絵じたいもハードディスクに残ってないし、全然あいまいです。


Q72

その作品はまだ展示していますか?

 ページ自体が現存してないはず。


Q73

画風って昔から変わりました?

 みんなに変わってないって言われます。


Q74

そのきっかけとか

 いや、自分ではなんとなく変わったような気がするんだけれども。その時々の自分の中のハヤリとか反映して。


Q75

スランプになった事はありますか?

 描きたいものがなくなったりとかそういう事はないです。描きたいものが思ったとおり描けないとかは、別にいつもの事なんで。


Q76

その脱出法は?

 たぶんもっと真面目に絵を描く姿勢が大切なんだと思います。お、なんか今格好いいこと言ったよオレ! 言うだけで実行に移してないんだけど。


Q77

スランプになるといつもどんな感じになりますか?

 気にしない。←それ、スランプか?


Q78

影響されたプロの方っていらっしゃいますか?

 もう大量に。一番強い影響ってことでは、たぶん1997年当時の『UNCANNY X-MEN』(JOE MADUREIRAのタッチとTIM TOWNSENDの描線、STEVE BUCCELLATOのコンピュータカラーリング) 。なんかいちいちアメコミ関係出すのって、スノッブな感じでイヤだなあ。


Q79

絵を描き始めたきっかけを教えて下さい

 幼稚園のころ『ドラえもん』模写したのがきっかけにちがいない。もっと現在に近いあれで言うと、中学のときに上條淳士の『ZINGY』が好きで (いまでは別にどうでもいいです) 、ああいうマンガを描いてみてえなあ、とか思ってアレンジ (アレンジ?) しながら模写したのが最初だったかも。


Q80

HPを作り始めたきっかけは?

 『タダものではない!』ってページ見て、ああページ作るのってメールアカウントさえ持ってれば無料でもいけるんだって初めて知って、じゃあ試しに作るだけ作ってみようって思って、その後なんかこんな具合に。ちなみにCOOL ONLINEでした。


Q81

HPタイトルの由来を教えて下さい

 えーとなんか当時カタカナの意味わかんないタイトルがはやってて、コジャレっていうんですか? 当時は意識してなかったんだけど。で、意識しないまま流れでとりあえず「テロ」ってつけようとしたんですけど、なんか適当に特徴つけようとして『〒□』になったんですよ。かえって読みづらくなっちゃって、今ではリトル後悔。
 ※現在は『〒□』から『鉄の靴』に変更になっています。


Q82

ネチケットについて一言

 いくらネットエチケットだからって、ネチケットっていうその言葉はどうなんだろう。


Q83

荒らしに会った事はありますか?

 そういえばないです。ヒット数じたい少ないから、標的になりようがないんじゃないんでしょうか。


Q84

HPを止めようと本気で考えた事は?

 そういえば驚くほどないです。適当にやってるからなあ。


Q85

良ければそのお話を・・・(話したくなければ結構です)

 つうかですね! 止めたくないんだけど、結果的にまるで止めてるかのような更新状況でですな! こんなことではヤベエと正直思ってるんですけど、どうしたらいいんでしょうか (弱気) 。


Q86

いつも画像サイズ(KB)はどれ位ですか?

 いま計算してみたところ、平均53KBだとか。大きいんだか小さいんだか、よくわかりません (頭が悪いので) (いや、本当に数字ってよくわかりません) 。


Q87

HPを創る時は何を使ってますか?(例:ビルダー*メモ帳等)

 JEDIT4っていうテキストエディタfor Macがあって、これマジに便利なんですよ! あの、話わかりづらいですけどマクロ機能でショートカット一発でタグ打てるようにカスタマイズ効くんで。うわオタクだ、先生、杉浦君ごっつオタクです! あとタグの色分けも自動でしてくれるし! そういうわけで基本的にいわゆる手打ちです。


Q88

目、良いですか?

 けっこう悪いです。例によって数字とかわかんないんで視力いくらって言えないんですけど、とにかく悪いはずですよ。


Q89

もし誰からでも1人からサインをもらえるとしたら誰から欲しいですか?

 あー、本当にサイン欲しいような相手にサインもらうときっと保管場所に困ると思うんですよ。ていうか捨て場所に。あってもジャマじゃないですか。なんだかひどい事を書いているぞ。だから、こうもらって直後に捨てても良心がまるっきり痛まないような相手。じゃあ神田うのだ! ファンの人には悪いが。


Q90

サイン下さいと言われた事は?

 ないです。って、あったあったそういえば! 高校のとき、友達に「将来なんか有名な画家とかになったら値打ちの出そうなサインをくれ」って、雲をつかむようなことを言われました。もちろんあげてないし、有名な画家にもなってないわけですが。


Q91

自分にファンって付いてます?

 絵以外だったらファンですっておっしゃる方は実際いらっしゃってそれはそれで大変ありがたいお話なんですが、絵に関してはどうだろう。いないんじゃないだろうか。


Q92

お絵かき掲示板好きですか?良く描きます?

 話にはよく聞くんですが、その、お絵かき掲示板っていうやつ。見たこともないっていうのはどういうことだいったい。


Q93

美術得意でしょうか?

 んーとまあ、美術の先生的に「まあいいんじゃないの」と思わせるすべは心得ています。


Q94

学校以外でデッサンや美術関係を習った事はありますか?

 高3のころに、例の大学に入る関係で行った美術系の塾で、いわゆるデッサンとかポスターカラーの塗り方とかさんざん習いましたが、今はもうすっかり忘れています。マジで。


Q95

漫画を描いた事はありますか?

 大学時代に、その、研究会に所属していたくらいなので。あの時描いたのはさすがにちょっともうかんべんしてほしいようなお粗末なできでした。


Q96

好きな台詞・言葉は有りますか?

 セリフとかだと前後のシチュエーションに左右されるので、これはっていうのが思いつかないんですよ。響きのいい言葉っていうことだと、逆にちょっと数多すぎて書ききれません。あと格言は苦手。とりあえず、島本和彦マンガのいいセリフ全部 (『炎の言霊』等を参照) 。


Q97

オフラインとオンライン、自分のキャラは違いますか?

 人からよくそのまんまだって言われるんで、たぶんそのままです。


Q98

これからの目標を

 楽してウハウハ人生。


Q99

自分に対して一言

 お前は人生をなめている。


Q100

最後に読んで下さった皆様に一言どうぞ

 ごめんなさい。




「絵描きさんに100の質問」その2

もちろんこの質問も『Trefoil Clover』さんの提供です。

Q1

絵を描くときにこだわってる点は?

 最小限の手間で最大限の効果を。


Q2

自分の絵(柄)を自分で評すると?

 さっぱり系? ←なんかとても適当なことを書いている気がする


Q3

一番始めにどこから書き始めますか?(輪郭・目など)

 たいてい目。ときどき手からという場合も。


Q4

着色の際、何処から塗りますか?

 画面の上のほうから。


Q5

イラストを描く時にどこに力をいれますか?(例:瞳)

 ポーズのバランス。あ、これは単にポーズつけるのが好きなだけか。じゃあ、顔がぶさいくじゃないこと。


Q6

苦手なポーズや構図などがあったら教えて下さい。

 一枚に何人もいると、たいてい各人のスケールが合わなくなるので困ります。


Q7

書くのが苦手な部分は?(手・体など)

 ナイスバディの女体は、描くのに照れがあって描きづらいです。それ以外でいえば全部苦手みたいなものだし。


Q8

アイデアに困ったときはどうしますか?

 気にしない。←なんだか僕はもう申し訳なくなってきたよ。きちんと真面目に絵を描いている人たちに。


Q9

自分の絵の欠点は何だと思いますか?

 大量にあるはずですが、そういうことを気にしないところが最大の欠点だ。なんて、今ちょっとウマい事言った? ねえ、いまウマい事言わなかった、オレ?


Q10

どんなモチーフ(題材)が好きですか?or良く描きますか?

 地に足がついているポーズ。いや、物理的な意味で。


Q11

逆に苦手な題材は?

 背景のついた絵。←正直


Q12

一枚の絵にレイヤーは何枚使いますか?

 3、4枚くらいだと思うんですが、あんまり意識してないから実は10枚くらいという可能性もおおいにある。


Q13

一枚に人物は何人ぐらい描きますか?

 できるだけ1人のほうが描きやすいので、1人。


Q14

絵の背景はどうしていますか?

 できるだけ描かないようにしています。(なんだか責められているような気になってきました)


Q15

お絵描き作業のお供は?(音楽・テレビ等)

 音楽だとユーロビート(聞き流せるので) 。テレビは主にビデオでCM抜きした『笑っていいとも!増刊号』(聞き流せるので) 。


Q16

キャラ以外で良く描く物は有りますか?(物・背景等)

 矢印? (それは手慰みに無意識に描いている図形では?)


Q17

逆に、キャラ以外で苦手な物は有りますか?

 およそすべてと言ってよろしいのでは。


Q18

絵で、ここは努力していると自信を持って言える事がありますか?

 ありません。どんどん責められている気分になってきました。


Q19

逆に自信が無い事は?

 努力とかガンバリとか苦手です。なんかジョセフ・ジョースターみたい自分。


Q20

目標としている絵描きさんが居れば教えて下さい。

 本当の話、いっぱいいて書ききれませんが、より冷静に考えてみるなら「目標」という真面目だしなんだか大変そうなものを自分は持っていないような、そんな気がします。


Q21

どんな絵描きさんになりたいと思っていますか?

 もうなんか魔法のように絵を描いたりとか。マジで。


Q22

もし、今業者さんからお仕事の依頼が来たらどうしますか?

 大変そうな仕事でなかったら、こうアルバイト感覚で。


Q23

絵を描くのを止めたいと思った事はありますか?

 これが意外にないときているから、世の中は素敵だ。


Q24

絵を描く時にやってしまった恥ずかしい失敗とか有りました?

 えーと、自分の絵が上手いと勘違いしたりとか、そういうことですか? あります。


Q25

この人だけには負けたくない!というライバルがいますか?

 汚い話、こいつにだけは勝っているはずだ!っていうことはあります。


Q26

いるとしたら現在その人に勝っていると思いますか?

 しかしそういう場合、えてして負けているものだということを経験上知っているので、もう何も言わないことに。


Q27

子供の頃になりたかった物は何でしたか?

 なんかコンピュータ関係ってアリかなーって思ってたので、とてもオタクだと思います。先生、杉浦君メチャオタクです!


Q28

子供の頃一番夢中になったものを教えてください。遊びでも可。

 パソコン……だったのか? なんだそれすげえオタクだ。


Q29

UFOや幽霊を信じていますか?

 信じてませんけど、面白いとはとても思ってます。


Q30

キリ番リクとかはやっていますか?

 ていうかそもそもカウンタついていないし。(内部的にカウントしてはいますが)


Q31

キリ番Yes/Noの理由は?

 カウンタつけてないのは、なんか最初は見た目がカッコ悪いなあっていうのがあって、ほらレンタルカウンタしか付けるスキルなかったから。そのうち自分でカウンタ作れるようにはなったんですけど、それはそれで別に自分さえ見れればいいやとか思って。


Q32

相互リンクについてどう思われますか?

 個人的には、もし「これはちょっと……」っていうページの人から相互リンクしてほしいっていうメールが来たとしても断る勇気に欠けているので、最初から相互リンクはしないことにしています。他の人がやるぶんには結構な話じゃないでしょうか。


Q33

また、リンク関連で嫌な思い出が有れば良ければ教えて下さい。

 特になかったような気がする。ひとつくらいあった方が話ひろがってよかったですよね。


Q34

逆に良かったな〜と思える様な事は有りましたでしょうか?

 まあ人間だれしもいい意味でリンクされていれば気分がいいものです。


Q35

そして、リンクについて皆さんにこれだけは伝えたい事はありますか?

 リンクのスペルは rink じゃなくて link だよ!


Q36

良く色々なサイト様を見に行く方ですか?

 ときどき発作的にリンクページを上から順にうろつきますが、ふだんは至ってひきこもりぎみです。


Q37

もし良く行く場合、ROM中心でしょうか?それとも足跡を残す派ですか?

 周囲の空気から浮いたことを書き込みかねないので、書き記したい自分をグッと抑えたりは。


Q38

定期的にお知り合い・相互様のサイトには行く方ですか?

 たぶん。


Q39

掲示板にカキコがあった方のサイトは絶対行きます?

 行きます。っていうか掲示板置いてねえじゃん俺!


Q40

好きな音楽アーティストが居れば教えて下さい。

 LOVE MACHINEっていうダンス系ハッピートランスのユニットがもう本当に好きなんですけど、誰にもわかってもらえません (様々な意味で) 。


Q41

その音楽によって絵が影響されることってありますか?

 幸せな曲調の曲聴いて、幸せな感じの絵を描いたりとか。でも結果的に不幸せな感じの絵になってたりするので、えーとじゃあ、ない!


Q42

メール友達は何人位いますか?

 メール友達を「毎日のようにメールを出したり出されたりする関係」と定義するのなら、1人もいません。僕が筆無精なので。


Q43

また、メル友についてどうお考えですか?

 いいと思います。毎日メールを出せるほど僕の筆がすすめばなおいいです。


Q44

メール交換で楽しいと感じる事が有ればそのお話とか。

 読んでて素で爆笑するようなこと書いてくる人はスゲエって思いますよやっぱり。


Q45

逆に嫌な思い出とかあれば。

 いつからあの人のメール届いていないだろう……とかそういうことだったら、ときどき。


Q46

ウィルスを送りつけられた事、有りますか?

 どことも知れない場所からやってくることはあります。放置してるけど。※感染しているわけではないです。


Q47

もし有る場合、感染してしまった事があればそのお話を聞かせて下さい。

 一度くらい感染しておいた方が話にはずみついて良かったでしょうか。


Q48

ウィルスに対して、どの様に思いますでしょうか。

 自分Macだしそれなりにセキュリティしてるからあんまり困りはしないんですけど、ジャマくさいなーとは思います。


Q49

絵を描くときに、見本など有りますか?

 最近はもうすっかりなくなってしまいました。


Q50

ペイントソフトは何種類位使っていますか?

 Adobe PhotoShopPainter の2種類。いまだに Painter の使い勝手に慣れません。


Q51

イラストの圧縮方法はどの様になさっていますか?

 基本的に色数少ないので、PhotoShopのWeb形式保存を使ってGIF形式でさらに減色して保存してます。JPEG形式はどうしても画像荒れちゃうので、できるだけ使いたくないんですけど。PNG形式は、どうしても見れないブラウザがありそうで怖くてまだ一回も使ってません。


Q52

また、イラストが重いサイト様に対してどの様に思います?

 イラスト系サイトならそれはそれで仕方ないって思いますけど、不必要なパーツ (見出しとか背景とか) まで重いっていうのはどうかと思います。


Q53

重さと言えば・・・ネットはアナログ・ISDN・ADSLどれでしょうか。

 フレッツISDN ←もっとも中途半端


Q54

プロバイダは?24時間繋ぎ放題ですか?

 So-Netを。「ソニーだし、なんかいい感じだろう! ガハハハ!」というおおざっぱな印象論で選びました。えーと、たしかつなぎ放題コースだったと思いますよ。


Q55

また、HPスペースはプロバイダの物ですか?

 バナーとか極力出したくなかったんで、そこはマネーパワーを駆使してCOOLの有料スペースを使ってます。


Q56

パソコンのスペックは?(CPU・メモリ等)分かる範囲で結構です。

 350MHzで128MB×3枚でしたが、うち2枚が死んだので128MBです。いやあ、PhotoShop立ち上げると飛ぶこと飛ぶこと。←買えよ


Q57

モニタのサイズ(インチ)は?

 21インチ。モニタだけはデカいにこしたことないです。


Q58

パソコン、改造とか出来る方ですか?

 あー、まあ普通程度に。


Q59

いつものデータ保存は何で行いますか?(MO・CDR・CDRW・FD等)

 基本的には単にハードディスクに直で。バックアップは外付けハードディスクだけど、そういえば最近バックアップしてないや。


Q60

お絵描き掲示板は描きますか?

 よく知らないんですよ。


Q61

描くならマウス・タブレットどちらですか?

 え、お絵描き掲示板で? タブレット使えるんですか? あ、そうか筆圧感知しなければデバイスは関係ないのか。


Q62

pooとしぃちゃんどちらが好きですか?その理由とか。

 だ、誰て!? ……(googleで検索中)……ああ、えーと、使ったことないんでよくわかりません。


Q63

どちらで描くことが多いですか?

 いや、本当に使ったことというか見たこともなくて。


Q64

お絵描き掲示板で描くとき見本など有りますか?

 もしかしてお絵描き掲示板ってそんなにメジャーな存在なんですか?


Q65

お絵描き掲示板で背景は描きますか?

 というかもしかして日本でお絵描き掲示板使ったことないのって僕1人ですか?


Q66

お絵描き掲示板は大体いつも1枚にどれ位時間をかけていますか?

 むしろ「OEKAKI-KEIZIBAN」が世界の共通語に!?


Q67

お絵描きチャットは参加した事がありますか?

 お絵描き掲示板で、し、しかもチャット!?


Q68

チャットは良く行きますか?

 い、一度も。


Q69

ICQ・メッセンジャー等のインスタントメッセージソフトを使っています?

 なんか、そういうものが存在するとは聞いていますが。


Q70

もし使っていれば日頃お使いのソフトを教えて下さい。

 こんなことじゃ、ダメなんだろうか……。


Q71

ネットのお絵描き友達とは、オフラインでも交流ありますか?

 というか、お絵描き友達いないし……。


Q72

携帯メールは頻繁にしてますか?

 携帯イヤだから持ってないし……。


Q73

携帯でweb観覧はしますか?

 やっぱり……人間って、1人じゃ生きていけないですよね……。


Q74

今の携帯の壁紙・着メロは何にしていますか?

 携帯くらい持ってなくちゃ……、生きてる資格もないですよ……。


Q75

また、携帯壁紙を自作で作った事は有りますか?

 あ、それはある。何考えてるんだろうか僕は。


Q76

ホームページを今何個管理していますか?

 2つ。


Q77

複数作っている理由は?/1つだけの方は新しくサイトを開きたいですか?

 ひとつは仕事上、ひとつは自分の。自分のページはめっさ手を抜いて作ってるなーってつくづく思います。


Q78

バナー製作の時はどのお絵描きソフトを使用します?

 Adobe PhotoShopAdobe Illustorator。Illustratorは文字を組むときになにかと使うんで。


Q79

イラストの服は創造ですか?それとも何か参考に?

 参考にしたりしなかったり。なにしろいいかげんに描いているからなあ。


Q80

イラストを描いていて1番楽しい所(作業)はどこですか?

 文字組むの楽しいです。いや本当の話。


Q81

逆に、1番悩む・苦しむ所は有りますか?

 時間がかかってくると、面倒くさくなります。


Q82

下書きを描く時はシャーペン・鉛筆どちら派でしょうか。

 シャープ。別にモノにこだわりはないです。


Q83

また、その濃度(HB等)はどれ位ですか?

 Fを愛用。純粋に下描き (後でペン入れをする) っていう場合は、2Bもいいんだけど。


Q84

愛用の文房具品とかあれば教えて下さい。

 しいて言うなら、F (替芯) 。


Q85

下書きからペン入れの時はどうしていますか?(トレース台等)

 普通に下描きの上から、ピグマの0.1mmで。消しゴムかけると線が荒れますが、どうせコンピュータでごまかせるし。


Q86

アナログ塗りの時は何の画材を使いますか?

 できるだけ塗りませんが、しかたのないときはコピックスケッチのブラシでごまかします。


Q87

1ヶ月に何枚位アナログ塗り絵を描きますか?

 1枚も描いていません。ここ数年、ずっと描いてないと思う。


Q88

アナログ絵とCGではどちらのほうが時間がかかりますか?

 もう間違いなくアナログ。パレットだとか水だとか筆だとか、いちいち手入れしないといけないのでアナログは本当に苦手です。ああいうのをきちんと使える人っていうのがデカく羽ばたける人だと思うよ。←酔っ払ってるのか。


Q89

画材は結構揃えている方でしょうか?

 むかし美術系の大学に通ってたころは一揃え持ってたっていうか持たざるをえなかったんですが、全部人にあげちゃいました。


Q90

絵を描いている間、楽しいですか?

 簡単に描ける絵であれば、はい。


Q91

絵を描く事が嫌になる時が有れば教えて下さい。

 時間がかかると、面倒くさくなります。


Q92

ペットはお家で飼っていらっしゃいますか?

 喪中 (猫) 。


Q93

動物では何が1番好きですか?

 猫かニャー。


Q94

逆に苦手な動物とかいますか?

 虫って動物? じゃあ虫。


Q95

1ヶ月に本はどれ位(何冊)買いますか?

 15〜20冊くらい。ときどき発作的にマンガ全巻とか買うので、そういうときはさらに20冊ドンとか、そういうことになるので困ります。


Q96

また、それはどんな本ですか?(種類)

 雑誌とか、マンガとか、小説とか、コンピ専門書とか。うわ凄い今普通なこと言ってる。


Q97

絵について、皆さんに何か一言伝授出来る事が有ればお願いします。

 僕のようになるな!


Q98

ネットをやる際でこれだけは止めて!って事が有れば。

 画面に向かって情熱的なひとりごとを言ったりとか?


Q99

今後の目標とか

 楽してウハウハ人生。


Q100

ここまで読んで下さった皆様にメッセージを

 本当にすいません。


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2001.10.08(マンガ・アニメの話より)

100Q

 今ハヤリといえば「絵描きさんに100の質問」なんですか?
 どうも僕の個人的大スキーページのさきざきで掲載されていて、これは人の尻馬に乗ること火の如し←無茶 の僕としてもやっておかねばなるまい、っつう感じで速攻回答してみましたよ。しかもPART1・2の両方に。ま、まるでパテオだぜ!←最悪のたとえ
 そんなこんなで回答してみてはっきりわかったのは、僕は絵に関してものすごい露骨にやる気がないということです。正直あきれました。回答はこちらから。

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2001.09.16(マンガ・アニメの話より)

大阪

 『あずまんが大王』では大阪と神楽さんが個人的にかなりキています。猛烈に邪気のなさそうなところが(*1)
 全然関係ないですが大阪といえば、3巻買いに行ったとき本屋で女子2人連れが「大阪って本名なんていったっけ」話で盛り上がっていて僕はテレパシー力全開で「春日歩! 春の日に歩くと書いてカスガアユム!」とか心中シャウトしてたわけですが、むしろその場にいた男子客5名ばかりの全員が同じことを考えていたに違いなく。←違うとおもう

 で、帰宅後ニヤニヤしつつあずまんが大王を読んでいるとこんなことで自分は大丈夫なのかという気にもなろうというものです。そんなに女子高生見てて楽しいのかよ! この軟弱者が! カイさんばりのな! と自分を口汚く罵る毎日。
 たしかにちょっとどうかと思うので、ここでひとつためしに「もしあずまんが大王の登場人物が全員男性だったら」と想像してみることにしました。
 こんな邪気のねえ男子高生いるわけねえ! <終了>

 まあ、こんな邪気のない女子高生だっていないとはわかっているんですが。

*1 猛烈に邪気のなさそうなところ

ちよや榊さんでも一応邪気はあると思う。

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2001.09.16(マンガ・アニメの話より)

バキを深読みする

 前回みたいなオチにはしないので安心して読んでください。

 でまあ、バキ。あのあんまりに唐突というか脊髄の命ずるままに後先考えずに描いてるっぷりが若者にウケて、いまや日本一のおもしろ漫画家 (この場合「おもしろ」は「漫画家」にかかる) となってしまった感のある板垣恵介ですが、本当にどうなんでしょうか。あ、違った。本当にそうなんでしょうか。
 例によってあえていったん固定観念を捨てる必要があるのではないか (とくに根拠なく) 。

実験:『バキ』の展開が実はすべて計算づくで描かれていると考えてみる
 バキが特におかしくなってきたと言われるスペック編終了以後を考えてみると、意外なほどに伏線がきちんと引かれていることに気付く。
・刃牙の唐突な敗北 (VS柳)
……以後のフヌケ期間の理由付けとして、これ以上の出来事はない。(フヌケ期間の必要性については後述) この場合、負け方は唐突であればあるほど (刃牙にとっての) 衝撃は大きく、効果的であるといえる。
・ドリアン編 (総括)
……支離滅裂な展開とさえ思えるこのシリーズだが、俯瞰して見るとドリアン初登場からラストに至るまで、完全に空手 (ここでは唐手=中国拳法を含む) にフォーカスしたストーリーであることがわかる。
・オ・トワ・ラヴィ熱唱
……「いつの日か小さくても かほり高く素晴らしい夢を いつの日か見つけた時は この両手にしっかりと抱いて」 この歌詞で暗喩されているのが「敗北」を求めるドリアンの姿ではなく、「勝利」を求めるドリアンの姿であることを我々は知っている。(後に「勝利」が烈海王のセリフではっきりと「夢」と表現されていることにも注目)
・催眠術 (ドリアンVS加藤)
……この一連の闘いにおいて、催眠術はあきらかに蛇足である。ドリアンには催眠術を使わなくても勝てるだけの戦力差があった。にもかかわらずここで催眠術を使ったのは、後の「私は勝ったことがない」発言 (常に卑怯な方法を使ってしか勝てなかった、という意味と解釈する) への伏線だったとしか考えられない。
・メリーゴーランドやコーヒーカップでウキウキドリアン
……ドリアン編のラストで幼児退行することを思い出すなら、このシーンが深い意味を持っていたと言わざるをえない。
・末堂やられっぱなし
……前回のVS加藤戦は、実際のところ正攻法に近い闘いに終始していた (催眠術は「使わなくても勝てた」と思われるので考慮に入れない) 。ラストの「私は勝ったことがない」発言につなげるために、作者はドリアンの卑怯さを一層アピールする必要性を感じたのであろう。
・烈の試合放棄
……思えば烈海王がやられっぱなしで終わるはずもない。この時すでに作者はドリアンVS烈海王戦でストーリーを終えることを想定していたと考えられる。
・色を知る刃牙
……この長いフヌケ期間がVSシコルスキー戦までのいわゆる「タメ」であると同時に、爆発への動機付けでもあった事がいまや明らかだ。

 といった具合でつじつまはけっこう合うし、実際のところ作者板垣恵介的にもそれなりに伏線を張っていたのではないだろうか。もともと『グラップラー刃牙』第一部の頃から色々と伏線を張っておくのが好きな人ではあったし。
 ただ板垣の場合、ありとあらゆるものに対して全力投球するという漫画家として異常な傾向をもっている。ふつうは伏線といったらまったくその存在に気付かないか、または逆にみえみえであるかのどっちかなのだが、板垣作品ではさりげなさとかそういう事を考えず全力投球のノリノリで伏線を描いてしまうために、みえみえを通り越してあからさまに不自然になってしまうのである。そしてあまりに不自然であるがゆえに、読者は伏線であると気付くこともできず、単に板垣壊れちゃったの?としか思えない。ここに板垣恵介という作家の欠点があり、不幸がある。

 ってまあこっちはわりと本気で思いかけてるんですが、実際のところはどうなんでしょうか。とりあえず独歩がどういう復活のしかたをするかを見守ろうと思いました。

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2001.09.16(マンガ・アニメの話より)

エイケンを深読みする

 もうどこ行っても『あずまんが大王』3巻売りきれてて大変だったんですけど、この間ちょっと遠出してまで購入したんですよ。もうマジに鬼のような形相&勢いで。略してマジ鬼で買ったわけですが、ついでにエイケンも購入しました。

 『エイケン (第1巻) 』。
 もうここのところマンガを読むならまずエイケンを読むべしといわんばかりの世間の風潮で、だからといって僕なんて超ヘナチョコなわけで無理に買うことはなかったんですが、ちょっと気になってて確認したいことがあったので。

 どうも世間ではエイケン=「ラブひな等のスタイルを突き詰めつつも、突き詰めるベクトルを誤ったうえにつぎこむパワーがただごとではなかったために、なんつうか尋常ではないことになってしまった女の子わんさかコメディー界の鬼子。兄は鬼子です!」という扱いになっている。
 それはそれで合っているように思うが、だが待て。我々はあえていったん固定観念を捨てる必要があるのではないか (とくに根拠なく) 。
 もしやエイケンは、「女の子わんさかコメディーに対する確信犯的なパロディ漫画」なのでは?
 あの異常な肉体描写、不自然なサービス精神、破綻したというか存在すら疑わしいストーリー、そういったものもラブひなの類をカリカチュアライズしたものと考えれば、確かにつじつまが合う。例の「たっぷんたっぷん」とかの凶暴な擬音も、いわゆるボケ (ここでは巨乳) に対するツッコミ的な性質をもつものと考えるべきだろう。
 かつて私はエイケンを『グラップラー刃牙』の登場人物にたとえて、不自然な手法を用いて強さを極めた男ジャック・ハンマーと表現した。しかしこれは誤った比喩で、むしろエイケンはドリアンだったのだ。それまで『刃牙』で描かれていたお約束のすべてを否定し、ついには作品そのものを破綻させかけたあの男ドリアンこそがエイケンの比喩にはふさわしい。

 とか想像をたくましくしてみましたが、そんなわけないじゃないか。
こうして1巻分まとめて読んでみると、意外にふつうな萌えマンガになっているなあというのが正直な感想。これは連続で読むことで感性が慣れてしまったのか。

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2001.09.02(マンガ・アニメの話より)

雑記

 とかなんとか前記のようなことを書いていたら、またサーバに接続できなくなってて、なんつうかナイスタイミング!←危機感ゼロ
 しょうがないのでそれとは無関係に私事まるだしの小ネタとかで適当にお茶を濁そう。なんつーか私事なんで、ふだんと調子が違いますが。リンクも妙に多いし。

 ちょっと前の話になりますが、どうやら英語版のYahoo! 掲示板でこのページの一部が一瞬だけ話題になったそうです。本当に私事だ。
 そもそもYahoo! 掲示板じたい名前以外はあきらかにマイナーですが、その中でもさらにマイナーと思われる『POWER-PACK』というコミックのスレッド (っていうのか?) 。ここに、
「この絵は一体何? 誰か知ってる人詳細キボン」
 という感じの書き込みが入ったんですよ。英語で。
 その絵というのがよりによって僕の描いたこの絵だったわけですが。ちなみに『POWER-PACK』というのは本来こういったコミックです。バカにしてんのか!(僕が)
 で、それからしばらくして掲示板の方に返答があって、
「これ日本語のページだな。どうやら個人で描いたイラストで、こういうコミックがあるわけじゃないっぽいぞ」
 とかなんとか。ここにきて気付きましたが、最初の書き込みは「こういう絵柄のコミックが実在しているのか? いつ発売だ?」という方向で聞いていたらしいです。 ちなみにアメコミというのは同じタイトルでも作者がころころ変わるというシステムになっていて、変わり種としてうたたねひろゆきと士郎正宗の影響を強く受けたというびっくりするような業が大爆発した画家(*1)とかもいるくらいなので、たしかに可能性というレベルではこういう作品が現実にあっても不思議はないといえます。不思議はないっていうか、まあ、それはつまり次のファイナルファンタジーはドリームキャストで発売!っていうことがありえるのと同じレベルで不思議はないわけですが。
 で、掲示板の話はさらに続いて
「この作者のページ、他にもいろいろアメコミヒーローの絵が載ってるけどどれもなかなか イイ(・∀・)!」
 とか (大意) 書き込んであって、いやあそれほどでもははは、なんつって笑ってる場合じゃなくて。オーケーだったんですかあなた達はアレで! 英語圏の人の許容範囲は僕の想像をはるかに超える。描いた自分で言うのもなんですが。

*1 うたたねひろゆきと士郎正宗の影響を強く受けた画家

つまりはケビン・ラウのことですが。

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2001.09.01(マンガ・アニメの話より)

水曜日の救い

 本当はこれ、3日前の水曜日の話なんだけどその間サーバに繋がらなかった(*1)ので、あらためて土曜日の今日。

 とにかくその日待ち合わせをしていて、で、私はたまたま時間よりかなり早く来ちゃったのでコンビニで10分ばかり時間をつぶそうと思った。
 そして私は愕然としたのだった。そんなたいした話じゃないけど。
 水曜日である。水曜日といったら私の住むあたりではマンガ雑誌のコーナーに何もないのが通例なのである。月曜発売のジャンプは既に売り切れ、かといってサンデーとマガジンは明日発売。金曜発売のチャンピオンがあるはずもなく、私はしばしあまりにも貧相な棚を前にして日本の雑誌流通事情に思いをはせたりはせなかったりしたのだった。←100%はせてない
 しかたなく手に取ったのが『サンデーGX』である。実をいえば普段ろくに読んでやしなかったわけで、内容をたいして知らないくせに「しかたなく」とか言うのはサンデーGXに対して失礼な言い草かもしれない。
 しかし、実際に読んでみて思ったのは、これはかなりのしかたなさだという事だった。いや、こういうのが好きだという人も多かろうし、その気持ちも分からんではないが、だが、この内容は……、いやしかしそれは個人の趣味で……、だが本当にこれは……、たしかに絵はきれいだが……、とかなんとか「…」を大量に脳裏に浮かべつつ各連載の冒頭部分を読んでは「…」とか思ってまた次の連載の冒頭を読み、これまた「…」とか思ってさらに次の連載の冒頭へ、というなんか頭上にたくさんの「…」が (おもにフキダシに入って) 浮かんでいる状態だったのだ。その時の私は。終わらない悪夢のごとしだった。血も凍るほどだった。
 その時! もはや半泣きと言っていい状況のその時! 私の目に飛び込んだのが島本和彦の『吠えろペン』だった! (ドラマチックな効果音)
 ありがとう吠えろペン! このマンガのおかげで私の中でサンデーGXは救われた! 面白いよ! 素直な意味で面白く読ませていただいたよ! 特に今回といったら男の魂関係は比較的おざなりで、むしろ本当に勢いだけで描いてるような気さえする (いつも以上に) 内容だったが、その勢いだけで面白く読ませてしまうこの作家はやはり凄い。
 つうことでビバ島本。

*1 サーバに繋がらなかった

理由はきちんと解明していない。放っておいたらその後うまいこといったので。

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2001.08.27(マンガ・アニメの話より)

もう何がなんだかわからない

 なんだったっけなあ、あのマンガ。たしか少年となんか、魔物?か? とにかく異世界的なものがコンビを組んでいたはずで、かなり激しいバトル (たとえば電撃風な衝撃波がドカドカいうような) をその二人がくぐりぬけていた。わりと友情というか心の交流みたいなそういうものもあったと思う。そしてその話のきわめて重要なアイテムが、ええと、鍵だったっけ、いや本だったかも、人形? もっと広く魔法とかだったかもしれない。
 いや、これは決して『金色のガッシュ!!』のことを言っているのではない。

 『金色のガッシュ!!』連載はほとんどノーチェックに近かったんですが、この間から読み始めたらこれが結構に面白くて、単行本の1〜2巻まとめて買って読んだらこれがスゲエ面白いときたものです。テンションのド高いお笑いと熱血 (お涙) と戦術バトルがいい感じで融合しててイエー。
 で、なんで連載開始時にノーチェックだったかっていうと、ここで話は最初の方に戻るんですが、どうも思い返してみるに『金色のガッシュ!!』と非常にかぶった連載 (しかも内容的にいまひとつ) が、同時期にあったような気がするんですよ。
 たしかあの連載の印象がどうも悪くて、それとけっこうに被った内容のガッシュもなんとなく流れで読む気がしなくなったとか、そんな記憶があるんですが。しかし思い返せば返すほど、その連載とガッシュのかぶりっぷりは尋常ではなく、もしかしてそれって単にガッシュそのものの事なんじゃないのか? という気さえしてきます。もしもそうだとすれば、いったい僕の記憶というかそういうのはどうなっているんだという疑問が。
 あー、とりあえずガッシュ面白いですよ。週刊サンデー連載中。

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2001.07.14(マンガ・アニメの話より)

最後の夢幻紳士関連

 たぶんタイトルに反して最後じゃない。
 で、ついに『学校怪談』の9・11・12巻が届きましたフロムamazon.co.jp。詳しくは6月28日参照。つうか注文してから半月ばかりかかっているんですが。イヤー! 助ケテー! ←なんですか
 そんな具合で前回に引き続き至福の時間が到来しっぱなしなんですけど、それにしてもなんで11巻の夢幻君はこんなに嬉しそうなんでしょうか。巻末で作者の人も書いてますが。想像するにこれは(*1)こんなときでもないと呼んでもらえないし久しぶりに孫の顔が見れるしついでに釣りもここのところずいぶんやってないしでこの機会が嬉しくてしかたがなかったに違いなく、お、お祖父さんそんなカワイイことでどうするんですか! 素晴らしいですよ! この分なら奥様とも (家に帰らない亭主なりに) それなりに仲良くやっていたのではと思われて心配の吹き飛ぶものがあります。ちなみに僕の中では一応所帯を持っていたということになっているんですが。万歳。

*1 想像するにこれは

「この先は読み飛ばしていいです」の同義語。

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2001.07.13(マンガ・アニメの話より)

 ヤッタゼ! もう第2部で終わりなんだと思ってた『BM -ネクタール-』の第3部 (完結編) がスタートしました! 一応言っておくと週刊チャンピオンで。ワーイ。今度はタフガイ風な新キャラ登場で、彼がいったいどういう (ブーちゃんとかぶらないような) 使われ方をするのか、これは純粋に素直な意味で楽しみですよ。
 とかなんとか自分の中でテンションが上がる一方なのでおもむろに単行本を全巻買ってみました。つうかまだ買ってなかったのかと思われるだろうが、まとめて読みたかったという僕の気持ちを君はわかってくれないのか。それでもって最近チャンピオンコミックスを平気で置いているという度胸満点本屋も発見したので速攻で1〜6巻購入してワーイという状況。まとめ読みできる幸せ! シーアーワーセー。
 という具合で至福の時間を過ごしていたわけですが、ええっ!? ちょっ、マジで、えっ? 第2部この6巻で完結するんじゃなかったの!? うそ? 7巻? つうことは第3部しばらく連載して話たまるまで7巻発売なし? ウワー! 僕第2部のラストの方読んでないんスよー!(なにしろチャンピオンがどこにも売ってないので)

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2001.07.12(マンガ・アニメの話より)

いまブロスが熱い (熱くない)

 なにげなく読んだ今月のファミ通ブロス(*1)の比較的最後の方の読み切りマンガ。なにしろ適当にパラパラめくってたんでかなり意表を突かれたんですが、いきなり全裸で鎖に吊されてる美少年がいて、とりあえず本を閉じました。で、いったん表紙を見て「ああ、今読んでいるのはファミ通ブロスで間違いないのか」と納得してから読み返したわけなんだけど、それは実際すごい事になっていたのだった。
 明らかに確信犯的 (作者が) に美少年がさらわれ! 全裸にされ! 鎖につながれ! あげく怪物的ななにかにねちっこく体を触られて頬を赤らめる始末!(*2) 加うるに彼は渋めの私立探偵的な男と同居アパート二人住まいで、その徹底的なやり口にはショタ版オヤマ!菊之助の称号を与えるべきではないかと思うほどのナニでした。
 まあ僕と言えば美少年が多少脱いだところで喝采を送るほどのダメ人間ぶりを発揮しているわけですが、しかしこれはファミ通ブロスだ。ブロスにこういうのはアリなのか? おおいに間違ってるような気がするのは僕だけか? 関係ないですけどブロスって読み切りマンガ妙に多くないですか?

*1 ファミ通ブロス

雑誌名からは想像つかないが、マンガ雑誌。ゲーム中心で主にターゲットは小学生男子だったはずが、今月の表紙はなぜか田島昭宇。そんなことより自分で言うのもなんだが、これ「なにげなく」読むような本なんだろうか。

*2 頬を赤らめる始末!

書いてて嫌になってきた。

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2001.07.10(マンガ・アニメの話より)

次の試合で君は確実に死ぬ!

 っつうか今週の『エイケン』。俺的なドスゲエ頑張りを見せて読んだわけですよ(*1)
 それで思ったんですけどこんなマンガ人間業じゃねえです。ロッキー4のドラゴ調にいえば、「奴は鉄でできているのか?(おもに作者の神経が)」とか。いやボロボロにけなそうとかそういうわけじゃなくってですね、素直にこの魂のはっちゃけぷりに感服し、そしてまあ実際あきれたわけですけど。
 今週号を読むまでの僕のエイケン知識をさらっと解説しておきますと (←うぜえ)、「主人公はいい人」「とりあえず巨乳をわしづかみにする (主に事故で) ことでストーリーが進行していた」「くまのぬいぐるみの中になんと美少女が!」「なんか巨乳の清純派ヒロインが、ええと、いるんですよね?」「高校が舞台と思われる」「見たことはないがポニーテールで巨乳の人 (not 清純派) が、重要なキャラらしい」「なんでも巨乳と占いになんらかの関係が?」などという、ろくにストーリーを追ってないっぷりが頂点に達した感じなんですが、なんでこの程度の情報の中に巨乳という言葉が4度も登場するんですか。
 そんなわけで読み始めた今週号。まず最初に僕が思ったのは、このポニーテールの明らかに間違った (色々な意味で) キャラクターは、なんつうのか何事だろう本当の話、ということだった。お笑いマンガ道場の富永一郎先生画かと思ったというのはいくらなんでも嘘ですけど、富永先生を思い出したのは本当です。つうか作為なしで素で思ったんですけど、このポニーテールの人はたとえば前回などに体形が極端に変わってしまう薬をうっかり飲んでしまったとか、ある種のそういった呪いをかけられてしまったとか、前回に。そういうキャラクターなんだろうかと思いましたよ。本気で。
 そしてストーリーといえば件のポニーテール女子による悪魔のささやき状の妄想だけで1話が完結してしまうというある種強烈な夢オチっぷり。というかこれは夢オチをいいことにタッチボイン状況を無作為に並べただけであって、ストーリーと呼んでいいんでしょうかこういうの。ス、スゲエ!
 いや冗談抜きで。だいたいこの手のモテモテ物というのはストーリーとかそういうのは本来関係なく、妄想の突き抜け具合を競うものといえます。言えるか? たぶん。そう、モテモテ物にストーリー展開だとかまともな恋愛観とか脱ぐなとかそういうことを要求するのは、いわばミステリ漫画に対して血わき肉おどるバトル (波動拳あり) を望むようなものであって、筋違いもはなはだしいと言えましょう。きちんとした事を言っているようで、とても失礼な事を言っている。
 そういう意味においてエイケンたるやどうだ。ストーリーとかそういうのはこのマンガに必要なしと断ぜられ、このなんつうかまさにダイアモンド(*2)。そんなジャック・ハンマーばりの凄まじい明日の捨てっぷりには素直に敬意を払いますよ僕は。払われても困るとは思うが。
 あ、そういえば『ラブひな』と『エイケン』の関係って刃牙とジャックの関係に似てねえ? 勇次郎が何になるのかはさておき。

*1 俺的なドスゲエ頑張りを見せて読んだ

読んでて猛速でページ閉じたい気持ちにカツを入れつつ。

*2 このなんつうかまさにダイアモンド

中途半端な引用具合。『グラップラー刃牙』ですけどね。

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2001.07.04(マンガ・アニメの話より)

楽してモテモテ思想

 このページはもともとは「なんつうか素直に愉快なマンガとかそういうのの話を思う存分にしよう。このさい萌えとかそういうのもありで」とかいうコンセプトの元に設立されたんですけど、ふと気付けばしてる話といえばバキと夢幻紳士とジョジョという男っぷりあふるる取り返しのつかないラインナップになってしまっていた。ふと気付けば一面焼け野原。だいたい隅っこに描いてる速攻イラストのたぐいに至っては女性キャラ1人もいない始末。
 こんなことではいけない。理由はよくわからないんだけど、いけない気がする。そういうわけで、『ラブひな』(*1)の話をしよう。←物凄い素直なテコ入れ

 とかなんとか書いてますけど、実際ラブひなスゲエとか思いますよ。素直に。まあ実際のところろくに読んでないわけですけど。「えっ!? ラブひなのヒロインの名前って『ひな』じゃなかったの?」(*2)とかなんの作為もなしに言い切れるほどに読んでないわけですけど、しかしそれでいてマガジンを読む機会があればそのたび読むほどには読んでいるわけで、いったいどういうことだこれは。
 それであれですよ、ラブひなって新しい発明だと思うんですよ。なんつうかこう、新たな地平をひらいたマンガだと真剣に思うんですが。
 さえない男がとくに努力しないでモテモテになるマンガというのは前からあったわけですけど、このマンガの凄えところは主人公 (さえない男) が主人公=ストーリーの指導者として成立していなくても話が成り立つ、という恐ろしい発見をしてしまったところにあると思うのです。だってラブひなってそうですよ、おもに女子が主人公のことを慕って悶絶することだけで話が進んでますよ! むしろ主人公マジに登場しない回もありますよ! これはやはりマンガの表現世界におけるひとつの革命といえるだろう。リベロ革命ばりの。
 考えてみれば主人公 (さえない男) なんてものは読者 (さえない男) にとって別にどうでもいい存在なわけで、女子の悶絶部分だけ見てればそれで大いに満足だったりするわけですけれども、真剣にそれをマンガで実行に移す人ってはじめて見ました。神だよ!(思い切りのよさが)
 そういった点から考えてみると、『エイケン(*3)』なんつうのはまだまだ甘いと言い切れます。一見ラブひなのドすげえ拡大再生産として鬼レベルに達してると巷間いわれるエイケンですが、普通に主人公が出張ってるようではまだラブひなには勝てねえ。ましてこの主人公たるや普通にいい人であって、そこには「デキる男はモテて当然」という藤田和日郎的うしおととら世界観もなければ、「モテとかそういうの関係なしにエロ」という『オヤマ! 菊之助』が見いだした悟り (ダメな) にも達していない。もはやエイケンに未来はないと言っても言いすぎだが、まあそんな具合にエイケンはまだまだ青いと思うんですよ。虹色ラーメンの主人公くらい。スゲエよ俺 (えらそうで) 。

*1 『ラブひな』

週刊少年マガジンにおける、なんというかああいったものの最終形態。

*2 ラブひなのヒロインの名前って「ひな」じゃなかったの?

本気でそう思ってました。納得いかねえ!

*3 『エイケン』

『フジケン』とは関係ないらしい。同じ雑誌なのに。

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2001.07.03(マンガ・アニメの話より)

すごく素直なつっこみ

 イギリスに死刑制度はないんですけど、いったいドイル君がされていたあれはなんですか。
なんというかあんまり誰もつっこまないんでかえって僕の知らないところでみんな気付いてて僕は遅れに遅れた感じのチェリーボーイという風情なんじゃないかと非常に不安にかられるんですけど。

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2001.06.28(マンガ・アニメの話より)

エシディシの不気味の巻

「杉浦 印字様には、お届けできる商品の手配状況をご連絡いたしましたが、見込みどおりに手配が進まず、ご注文の商品が当社では確保できないという状況になってしまいました。お待ちいただいているうえにご迷惑をおかけしてしまい、心苦しい限りです。深くお詫び申し上げます。」

 HEEEEYYY あァァァんまりだァァァァ
 AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHHH !!
 (アヒイイイイ アヒイイイイ アヒイ ウホオオオオオオオオオオオオオオ)
 おおおおおおれェェェェェのォォォォォ学校怪談ンンンがァァァァァ〜〜〜!! (*1)

 という具合に気分はもう大号泣なんですが、つうかヒデエ! なんで一時は取り寄せバッチリだったものが急に取り寄せ不能になるんですか『学校怪談』9〜12巻。だって変ですよ! 13〜15巻は楽勝で届いてるんですよ! っつうよりか僕の手元に明日届く13〜15巻をいったいどうしたらいいんですか! 12巻読まずに13巻読めるわけねえでしょうが! そりゃ怒るよりぎゃ…逆に不気味なものがあるっつうねん!(*2) とりあえず買わないわけにはいかないから買うことは買うんですけど、とにかく9〜12巻買い切るまで封印しないといけないわけで。自分ルールとしては。
 とりあえずイー・ショッピングはこのような具合だったので今度はamazon.co.jp.に注文してみましたが、こっちでも11〜12巻は取り寄せになるとか言われまして、こ、こいつは本当に届くのかどうか疑問ですよ? ヤベエ! つうかマジでピンチ!(マジピン) 秋田書店さんなにやってるんですか! 学校怪談つったら名作ですよ? 今まで買ってなかった僕が言うのもなんですが。

*1 あァァァんまりだアァアァ

もう知らない人も多いでしょうが、ジョジョの奇妙な冒険第二部。

*2 怒るよりぎゃ…逆に不気味なものがある

とにかくジョジョの9巻さえ読んでもらえれば意味わかります。

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2001.06.20(マンガ・アニメの話より)

夢幻紳士関連さらにその後

 届きましたよ! 例のブツが到着しましたよ! それはつまり『学校怪談』の6〜8巻のことなわけですが。
 でまあとりあえず通り一遍の感想とかを書いておくと、魔実也スッゲー格好いい! 物凄い男っぷりですよ。男が惚れる男ですよ。匂い立つ男の色気がなんつうかこう、アレだぜ? という具合に取り乱してます。前回『KUROKO』の巻末のあれは山岸 (祖父) に出番を食われてて正直活躍っぷりには疑問符がつきましたが、今回の大活躍ときたらそれはそれは……とてもとても……(←中国拳法でございます)。なんだか本当に意味わからなくなってきました。書いてて。(*1)
 というかアレですよ! なんかこう『KUROKO』1巻読んだあととしては妄想(*2)も広がる一方でこう頬杖ついて「うるさい娘だ。誰に似たんだか……」なんつってぼやくシーンなんか夢幻さんこの時点で心中「やっぱりアレに似たんだろうなー。アレも死んでる間は可愛いげがあったんだがなー。どこでどう間違えてこうなったんだろうなー」とか思ってるに違いなく物凄えラヴリーですよ? (想像の泉がだだ漏れ中)
 しかし結局あれですか、『ライオン』のあの娘さんは九鬼子じゃなかったっぽいですね。「バカみたい魔法使いみたいな帽子」とか言ってるし。いやじゃあ魔子か。あの少女は魔子だったのか。戦後十年そこらで日本があれだけ復興してるもんなのかどうかよくわからないけど、もうこのさいだからそういうことに決定しました。むろん自分の中だけで。

*1 中国拳法でございます

いちおう説明しておくと、刃牙ネタ。

*2 妄想

詳しくは前々回を参照。

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2001.06.17(マンガ・アニメの話より)

夢幻紳士関連その後

 とかなんとか (前回) やってる間にどうやら『KUROKO -黒衣-』の第一巻にも夢幻紳士が収録されているという話を聞いて、そっちなら本屋にも売ってるので速攻買ってきましたよ。
 でまあ結論としては、前回個人的に広がった妄想もあながち外れてはいないという具合でした。だいたい100点満点で30点くらい。←低
 いちおう読んでない人向けに詳しい話はしないことにしておきますが、とにかくまだすべての謎に答が出ているわけではない。一刻も早く『学校怪談』を読まなければならないのだ。読んだからって謎の答が出るとはかぎらないが。ちなみに3日後に届くとか言われました。遅え! チャンピオンコミックスおそるべしっていう雰囲気ですが、おそれるような問題なのか、それって。

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2001.06.15(マンガ・アニメの話より)

新説 (←そうでもないと思う)・夢幻紳士

 こんなものを考えてどうなるという気もするが、まあひとつ冷静になって考えてみよう。おそらくここから先は『夢幻紳士』シリーズをはじめとする高橋葉介作品をいろいろ読んでないと心底なにがなんだかわからない話になるだろうが、もうこのさいだからひとつ馬鹿になって考えてみよう。

 まずそもそもえーと、例の先生の名字が「夢幻」じゃなかったはずだから、つまりこれは高確率で母方のほうの祖父が魔実也だということになる。そうか魔実也氏の子供は (一人っ子であるとは限らないが) 女性か。名前は「魔子」だろうか。それはもちろんアニメージュ・コミックス版のほうの娘の名前だが、しかし夢幻猫や明鈴がアニメージュ・コミックス版と怪奇編 (と思われる世界) の双方にいる以上、夢幻魔子がいても不思議はあるまい。
 じゃあこの<怪奇編≒アニメージュ・コミックス版>リンク説をそのまま押し進めてみると、魔子の母親の名前は「福音温子」ということになる。もちろん怪奇編に「福音温子」と名付けられたキャラクターは登場していないので、怪奇編「福音温子」はマンガ中に登場しないか、あるいは誰か名前のついていないキャラクターが本当は「福音温子」だということになる。まあ、やっぱりそれは誰かっていうと『夢幻外伝』の「下宿の娘」ということになるんだろうけどさ。髪型も設定もぜんぜん別人だけど、性格といい顔つきといい似てるし、だいいち健気に「魔実也」に惚れ込むという設定はまさしく福音温子といえる。
 アニメージュ・コミックス版での福音温子の設定といえば元カフェーの女給で、そのへんにこだわるなら『夜の劇場』の回に登場した女給こそが「福音温子」である、という線もあるだろうが、どう考えても彼女の子供っていうのは無理がある。やはり下宿の娘だろう。
 話の流れからいってもそうでなくっちゃいけない。「橋の上で修羅場を演じた姉御」でもあるまいし、行きずりの女なんてのはもっての他であろう。洒落た遊び人たるものそんな下手を打つような真似をするものか。ましてあの夢幻魔実也が。やはり相手はあくまで「下宿の娘」であって、プレイボーイで鳴る魔実也氏にも年貢の納め時が、いつだかは知らないけどやってきたと考えるのが妥当だろう。

 と、「いつだか知らないけど」とか書いたけどそういえばその時期ってけっこう重要になってくるんじゃないのか。いま気付いたけど。
 えーとそうか『帝都物語 TOKYO WARS』によれば日本敗戦の1945年までは少なくとも (青年のままで) 生きているんだよな、夢幻魔実也。あの描写をみるかぎり特に係累がいるようには見えないので、この後で結婚?して娘が生まれて、とかなるんだろうが、なるほどたしかにその子供のさらに子供が現代における若い美人教師であるところの九段先生 (←いま名前思い出した) と考えれば、年齢計算がちょうど合う。
 計算は合うが、しかしそれだと魔実也氏の細君が「下宿の娘」という辻褄の方が合わなくなってくるなあ。なにしろ彼女はどうみても一般人で、夢幻外伝は昭和初期のころの物語 (夢幻外伝『烏』の回参照) だから、敗戦のころにはそれなりの年齢になっていることになる。まあ、そういう彼女と結婚するというのもそれはそれでかなりアリという気は非常にしますが。

 ところでここまで「九段先生の祖母=下宿の娘説」で検証してきたのと別に、まだ話に出ていない祖母候補がいるんだけど、それはもうここまで話につきあってくれている人ならお気づきの通り、「黒い天使」である。夢幻外伝の最終話に出てきた「肉体的には死んでいる」女性。
 なぜ魔実也は彼女を成仏もさせず、ただひたすら足しげく (←たぶん) 会いに行っていたのか? なんたって夢幻魔実也といったら「できれば魂より肉体 (からだ) とおつき合いしたいものだ」と思ってはばからないような男である。そんな彼が現世で迷っている死人の霊を彼岸に送るでもなく病院に<保存>しつづけている様子を見れば、そこに何か特別な感情があると思わずにはいられない。まあ、途中彼女をおいて長旅に出たりもしているけど。あとたぶん道中あちこちで浮き名も流している。
 それにしたって『黒い天使』の回のラスト、東京大空襲の焼け跡で魔実也を待つ彼女と迎えにくる魔実也の姿といえば、まるで運命の再会かなにかのような雰囲気すらただよわせている。ちなみにこの焦土は東京大空襲ではなく関東大震災後という見方もあるが、その前に魔実也が「長い旅」に出ているということは、やはりその行き先は『帝都大戦』の満州であって、時期的には東京大空襲後と考えるのが自然だと思われる。「光に包まれて肉体が消滅した」という表現も爆撃を思わせるし。
 あと彼女に関して残る問題というと、肉体がないのに子供を産むもなにもあるまい、という点なんだが、いやでも夢幻魔実也だし、なんとかなるか。

 さてそこでじゃあ「下宿の娘」と「黒い天使」のどちらが魔実也氏の心を射止めたのかという話である。「黒い天使」はその登場がいかにも唐突だったが、そのなれそめはいかにも生涯の伴侶という雰囲気がある。一方「下宿の娘」は魔実也の態度こそつれなかったが、しかし話の筋道としてはいつうまくいってもおかしくない様子でもある。この二人のうちどちらか、と考えて間違いはなさそうだが……。

 さて諸君、なんつってここで唐突に話しかけてみたりしますけど、諸君は「下宿の娘=黒い天使」という説をご存知だろうか。いや、本当のとこいま僕が適当に言ってるだけなんだけど。
 しかしこう考えるとすべての辻褄が合うのである。ここはひとつ仮に、下宿の娘が何らかの事情で死亡して、さらになんらかの事情で魂が肉体にとどまったと考えてみてほしい。そしてその結果、記憶を失なっていると。こうなれば彼女に対する魔実也の執着も納得がいくのである。というかだいたい何より、「下宿の娘」と「黒い天使」は顔がそっくりじゃないか!
 そうなのだ。下宿の娘が髪を下ろすと、本当に黒い天使そっくりになるのである。たしかに「髪型と服を取りかえちゃえば誰が誰だかわかりゃしないのよ」(アニメージュ・コミックス版の福音温子) という声もあるが、それにしても似ていることに間違いはない。特に『夢幻外伝』では「黒い天使」の登場までは何かしらの形で「下宿の娘」とその他の女性の顔に区別がついていたことを考えると、これはもう同一人物と考えていいんじゃないだろうか。

 つまり話をまとめるとこうだ。
 昭和初期に「下宿の娘 (福音温子)」は若いまま死亡して、魂は記憶のないまま肉体にとどまった (もしかすると本人の意思かもしれないし、また魔実也がそうさせたという可能性もある) 。その肉体は防腐処置を施され保存されていた。いっぽう魔実也は二・二六事件のころに「つまらん街になってきた」東京を後にし、「長い旅」に出る。この旅に関しては謎が多いが、終戦直前の満州でその姿が確認されている。
 ふたたび病院の一室で「長い長い間」(1936年〜1945年?) 待ち続けていた温子だが、米軍の空襲でその肉体は消滅する。この頃魔実也も東京に戻っており、温子の前に再び現れて彼女が「何者か/どこへ行くのか」を答えることとなる。
 その後二人のあいだに生まれた娘が夢幻魔子。おそらく魔実也は「いい父親になっちゃ」って「娘でも出来たらすごい子ぼんのう」だったに違いない。その魔子が嫁いだ先が九段家で、その娘が「九段先生」ということになる。
 お、おい良くできてるよコレ!? すべての伏線がひとつに繋がってますよ? それは言いすぎにしてもだ、とにかくこういう視点で読み返してみると一見ストーリーも何もないように見えた『黒い天使』の回が実は悲しく美しい愛の話に見えてくるというから妄想というのは凄い。

 凄いついでにさらに妄想をすすめれば、『夢幻外伝』1巻巻末の短編『ライオン』に登場する謎の少女である。彼女の黒い帽子は夢幻魔実也その人を思い出させずにはいられないが、もしや彼女こそ九段先生なのでは? この人を魔子とする見方もありそうだが、時代 (戦後から復興しているようだったり公衆電話がピンク電話だったり) 的には九段先生の方でちょうど合うような気がする。「ライオンの雄って自分の子供にはけっこう子ぼんのうなのよ。人間とは違うわ」と言っているあたり、父親にあまり愛されていなかったのか、それとも反抗期だったのか?
 さらについでに言えば『夢幻外伝』2巻巻末の短編『白髪の女』に登場する「山岸さん」もまた『学校怪談』に無数に登場する「山岸」の一人であると思われる。山岸の顔を持つ「須田くん」と二人あわせて「山岸」というべきか。
 そして『夢幻外伝』1話・2話に登場する「溝呂木博士」も『学校怪談』の「ミゾロギ」の祖父……ってことだけはないと思うんだけど。溝呂木博士といえば「女性を妊娠させることの出来ない体だった」そうだし、おそらく稀代の殺人鬼溝呂木博士にあやかって勝手にそう名乗っただけなんじゃないだろうか。いやあるいは『学校怪談』世界ではゆるやかに怪奇編とアニメージュ・コミックス版の世界が統合しつつあって (それだとあのドタバタノリの中に怪奇編魔実也が登場することも納得がいく) 、アニメージュ・コミックス世界の「ミゾロギ博士 (登場しないけど)」の孫がミゾロギだという見方すら可能だ。妄想を広げれば。

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2001.06.15(マンガ・アニメの話より)

妄想の翼をひろげてみる

 このあいだイーエス・ブックスで注文した『学校怪談』(*1)がとりあえず在庫アリという報がきたものの、まだ到着予定日さえわからないままで悶々たる日々を送っているというのは言いすぎにしても、まあそんな具合ですよ。
 『学校怪談』といえば聞いたところでは夢幻魔実也 (怪奇編) (*2)が登場するとかいう噂です。それもどうやら話によるとあの霊能女教師的な存在の人 (名前忘れた) の祖父で幽霊とかそういう役柄だそうですが、あのかなりドタバタぎみな『学校怪談』(*3)の中で浮いたりしないんだろうか。いちどアニメージュ・コミックス版『夢幻紳士』(*4)に登場したことがあったけど、ああいうカメオ出演みたいなことなのかな。
 けど祖父っていったらかなり「お遊び」ですまない話じゃないだろうか。やはり話の本筋にからんでくるのか。たしかに『学校怪談』にもシリアスな話もあったわけだし、えーと毎週読んでた (読めてた) わけじゃないから知らないけど、あの先生登場後もしばらくはドタバタ度も少なかったろうし、そういうことなんだろうか。ん、待てよだいたい祖父ってことはじゃあ祖母にあたる人はだれなんだ?

 とかなんとか考えていたら話がおおいに広がってしまってけっこうな行数になってしまったので、とりあえず別記事に移してみましたよ。夢幻紳士好きじゃないと本当についてこれない話になってるんで、そうじゃない人は読まなくて全然大丈夫です。
 でまあ色々考えたわけですが、これでこの想像が当たってるかどうかの保証なんて全然ないわけで、むしろ『学校怪談』きちんと読んでみたら全然違うことになっててキャー恥ずかしいという話になりそうだが、まあ人はこうやって妄想をひろげることができるという一つの見本をここに提示しておきたい。やれやれ。

*1 『学校怪談』

『学校の怪談』とか『学校であった怖い話』とかそういうのとごっちゃになりやすいですが、これはチャンピオンに以前連載されてたマンガのあれです。高橋葉介 作。

*2 夢幻魔実也 (怪奇編)

『夢幻紳士・怪奇編』の主人公だが、それ以外の高橋葉介マンガのあちこちにも出没するので追っかけるのが大変だ。

*3 ドタバタぎみな『学校怪談』

かなり後期の『学校怪談』という意味でだが。

*4 アニメージュ・コミックス版『夢幻紳士』

かなりドタバタぎみ。

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2001.06.13(マンガ・アニメの話より)

映画研究会なんですか?

 少々古い話になるけど、先週の金曜発売のチャンピオン。
 読んだんですよ。何をって、その、『エイケン』(*1)を。
 というか今までも毎回読んでいたというか、読もうと努力していたというか、いつも最初の2、3ページばかり読んだところでイヤになって (自分が) 読むのヤメちゃってたんで結局どういうストーリーなのかいつもわからずじまいなんですけど、で、自分はいつからそんな器の小さい人間になったのだ最後まで読まずにわかったような気になるとは何事かと反省しきりだったんですけど、あれ最後まで読むのってかなり苦行チックな何かがありませんか?
 そんなこんなで今回のエイケン。読んだんですよ。ついに読み切ったんですよ。まさに史上初の快挙である。もうわけがわかりませんが。

 まー本当のところ今回のエイケンときたらくまちゃんの回といえば読んだ人にはわかるでしょうが、普段のタッチボイン路線(*2)の塊のようなアレではなくて、いやたしかにタッチボインのひとつやふたつはあったような気がしますが、それにしてもこれまでの「タッチボインだけでストーリーが展開していく」というスタンリー・キューブリックでもド肝を抜かれるような奇跡の演出がおおいに影をひそめていました。むしろ多少のタッチボインこそあれ全体的にはちょっとしたいい話になっている始末。そりゃ最後まで読めるっつうのです。
 こんなことではいけない。これじゃただの普通のマンガじゃないですか。←それでいいのでは?
 だって少年チャンピオンといえば載っているマンガのどれもが何らかの形で尋常じゃないという、ある種少年サンデーの真逆をいく雑誌。エイケンにはもっと上を目指していただきたい。そして『オヤマ! 菊之助』(*3)を越えたとき、僕はエイケンを愛せるような気がしますが、ヒデエ勝手なことを言っているとわれながら思いましたよ。

*1 『エイケン』

いま一番ホットな問題作 (←こう書いてもあながち間違いではないね) 。

*2 タッチボイン路線

この言葉を考えた人は凄い天才だと思うが、尊敬はしづらい。

*3 『オヤマ! 菊之助』

「ソフトなお色気」とかいう言葉が裸足で逃げ出すような、あらゆる意味で凄いマンガ。尊敬はしづらい。

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2001.06.10(マンガ・アニメの話より)

まさにチャンピオン

 つい最近まで知らなかったんですけど、聞いた話では『学校怪談』になんとあの天下の夢幻魔実也氏(*1)が登場してるそうじゃないですか。
 ヤベエ! 速攻で購入しないと! とか思って本屋行ってみたらこれが抜群に売ってないんですよどこ行っても。そういうもんなんですか?(チャンピオンコミックスが)
 刃牙はどこにでも全巻揃ってるのに、学校怪談ときたらわりと最近完結したばかりなのに一巻たりとも置いてないという始末。むしろ刃牙以外は置いてない始末。キミたちはそんなにチャンピオンコミックスが嫌いか! 今現在最も面白い少年マンガ誌といえば週刊少年チャンピオンと相場が決まっているだろうが!
 実際の話熱い根性関連物の『ココ』『ショー・バン』『虹色ラーメン』の3タテからバーリトゥード (その存在自体が) な格闘物『バキ』ときて、『エイケン』『ななか』『しゅーまっは』『オヤマ! 菊之助』『ファントム零』という狙いすましたのから隠れたのまで萌え及びエロ系の強烈な布陣で隙なしの構えじゃないですか。とてもダメなマンガも大量に連載されている反面、まさに面白さのドかたまりみたいな部分も多い雑誌なので、諸君要注目だ。←いまさら
 それにしてもなんで『BM -ネクタール-』は終わっちゃったかなあ。

*1 夢幻魔実也氏

「氏」がつくあたりが怪奇編の魔実也であるところを示している。

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2001.06.09(マンガ・アニメの話より)

祝福しろ

 なんだかもうこのページはジョジョ日記かなんかか? という感もありますが今日もジョジョネタです。ストーンオーシャンの7巻が想像以上にグッときたのでしかたがない。
 前回書いたとおりエルメェス姐さんが抜群に良かった7巻ではありますが、ああそうそう最後の方の徐倫の格闘シーンもグンバツに美しくもカッチョ良くてこれまた失神寸前でしたが、しかし7巻のみどころといえばまだあります。

 アナスイです。かかか格好イイ! 正直言って7巻はアナスイ登場の巻と言い切っても過言ではないとばかりのナニですよ。←説得力ゼロ
 自信たっぷりな性格とゴージャス感あふるるルックス、さらに大仰なセリフ回しに加えてローランド・イスタス(*1)ばりのジョイントフェチとくれば注目しない手はあるまい。
 ところで連載の方は読んでないから知らないんですけど、この後アナスイの顔はさらに変わったりするんですか? もう第三部のイギー (犬) に匹敵するほどの変わりようなんですが。

*1 ローランド・イスタス

この人は『グラップラー刃牙』の中でも一、二を争う変態的なキャラクターだと思う。

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2001.06.07(マンガ・アニメの話より)

こうでなくっちゃいけない

 タイトルは忘れたけど、とにかく出演者にエド・ハリス(*1) (端役) とキーファー・サザーランド(*2) (悪役) がいるというある意味超豪華な映画をテレビで放送してたのでこれを見逃すわけにはいくまいっつう心構えで観てみたところ、便所のネズミもゲロを吐くようなドス黒い気分になったぜ。って空条承太郎も言ってましたよ。
 なんか娘を殺された母親の復讐劇だって話で、たしかに前半キーファー・サザーランド (悪役) がいかにきちっと死んで地獄にいくべきくず!であるかが描きに描かれてて、こいつがラストで血しぶくズタボロと化すかと思うと大変ワクワクできたんですけど、その一方で観てて非常に不安でしかたない点があったのです。
 サリー・フィールド演じる主人公の復讐者がもうヘナチョコの国から生まれたヘナチョコ社取締役みたいな骨もなければ頭も回らないしかといって人間的優しさではどうかといえば優しさライセンス不合格決定級という、お前はもうチャールズ・ブロンソンの口に言えないようなたぐいの垢やカスをまとめて飲め! 煎じずに。としか言えないような女で、ついでに言えばルックス的にも魅力ゼロの始末。こんなやつにはたして犯人を苦痛にのたうち回らせ後悔と恐怖のるつぼに放り込む役がつとまるのかと、観ててそればっかりが心配でしたよ。
 で、実際最後の復讐シーンも信じられないくらいグダグダだったんですけど。映画としてはエド・ハリス (端役) の抑えた中にも優しさと知性の光る演技が抜群でしたが、究極的に端役でしかも最後の方で復讐シーンにからんでくるのかと思わせる展開がありながらすべてが終わったあとで特に意味もなく登場するっていうナチュラルな演出で骨の髄まで脱力。あと、一見この映画で重要なポジションを占めているし渋い役柄であるかのような刑事が、実際はやることなすことすべてが裏目に出るっていうむしろコメディ映画向けのキャラクターで、そこだけ面白かったです。

 という話は前フリで、この映画を観た直後に『ストーンオーシャン』の7巻を買って読んであまりの素晴らしさに絶叫。エルメェス最高! エルメェス最高!
 「愛と復讐のキッス」っていう章タイトルの段階でこの手の大仰な表現技法に弱い僕とかはもう失神寸前だったんですけど、エルメェスときたらこれが最高の復讐者っぷりでまさにLOVE。
 「『復讐』なんかをして失った姉が戻るわけではないと知ったフウな事を言う者もいるだろう。許すことが大切なんだという者もいる。だが 自分の肉親をドブに捨てられてそのことを無理矢理忘れて生活するなんて人生はあたしはまっぴらごめんだし…あたしはその覚悟をして来た!!」 カッチョ良い! カッチョイーウィー! (泣きながら)
 これですよ! こういう復讐っぷりを僕は心の底から望み続けていたのですよ。ムカつく野郎をブッ殺してスッキリしたいので復讐する! これだ! この身勝手さこそが復讐の真髄! 復讐なんつうものは身勝手なもので、それをわきまえた上でなおあえてヤルという気合にこそ復讐者のカッコ良さがあるのです! そこんところをわかってない分際で復讐について偉そうに語るマンガがシーンを席巻 (←よくわかってない) する昨今、エルメェス姉さん綺麗ッスー。
 それでもってアレですよ! もうこの先はまだ読んでない人のために詳しくは言わないですけど「これはグロリアのぶん」のアレが! もう最高に素敵ですエルメェスさん! いまや「2001上半期・最も輝いてる女性キャラ部門」のトップにおどりでましたよ。自分の中で。

*1 エド・ハリス

目で語らせたら昨今右に出るものがいない俳優として僕の中で有名。

*2 キーファー・サザーランド

サザーランド (兄) として僕の中で有名。

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2001.06.03(マンガ・アニメの話より)

GET BACK JOJO

 唐突に『ジョジョの奇妙な冒険』の第四部でナランチャのベロがスタンドに乗っ取られるくだり(*1)から読み返してみましたよ。
 理由:たまたま手に取って開いたらそこだった

 それにしてもなんだろうこの時期のジョジョの凶暴なテンションは。時期的にはまさに絶体絶命 (連載が) という頃だったと思うんだけど、それを反映したんだかなんなんだか毎回毎回1話ごとに絶体絶命の目にあってるんですがブチャラティ一同が。あるいはボスが。凄まじいストーリーの高密度っぷりですが話のつじつまは時々あってません。
 しかしそういう細かいことをむやみに無効化するほどの不用意なド迫力がここにはある。いいんだか悪いんだかこうなってくるとよくわからないけど。
 格闘バトル物でもないのに毎回これだけ登場人物が汗かいてるマンガってジョジョぐらいですよ。あとエロマンガと。

*1 ナランチャのベロがスタンドに乗っ取られるくだり

こうやって書くと意味がものすごく分からない。

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2000.10.31(マンガ・アニメの話より)

この場所には何の主義も思想もない

 僕はどうにも青年マンガ誌というのが苦手である。
 成年マンガ誌ではない。青年マンガ誌であって、つまりモーニングだったりアフタヌーンだったりヤングだったりビッグだったりするあれである。こう書くとなんだかエロティックだ。そうでもないか。そういえばなんでモーニングとアフタヌーンがあってイブニングがないんだろうか。どうでもいいと思う。あとヤングキングとヤンギキングアワーズって別の本なんですってね。知らなかったよ。もう少し実のある話をすべきじゃないのか僕は。
 という訳で (なにが) 僕はあの手のマンガがどうにもワクワクしないというか惹かれるものに欠けるのである。正直あんまり読む気しないのである。『沈黙の艦隊』とか好きでしたけど。あと『寄生獣』と。あと『Heaven?』大好きですが、あれ載せる雑誌違わないかって少し思う。何の話だっけ。
 そんな僕は週刊ジャンプは文句言いつつも欠かさず読むようにしてるしサンデーでさえそうだしマガジンはさすがにちょっとつらいが『酢めし疑獄』(*1)だけは絶対に読むしチャンピオンはもちろん読むわけである。少年マンガといえば僕である。諸君のしかめっ面が目に浮かぶようだ。
 要するに趣味の問題で別にどうだっていいわけではあるが、問題はそういう事じゃなくって、じゃあなんで青年マンガを読む気しないのか、という点なのだ。僕の中で少年マンガと青年マンガの間に引かれているラインはどんなラインなのか、という事なのだ。答はすでに出ている。それは3年前のある日。僕はジャンプを読みたかった。連れは隣でモーニングを読んでいた。ジャンプよりモーニングだと彼は主張したが、そんな彼に僕は言い放った。
「青年誌にはロック魂がねえよ」
 僕は大いに納得したという。自分で言って。かなりうまいこと言ったと思った。これは使えるとさえ思った。だが言われた彼は別に納得しなかった。
 こんな話に何の意味があるというのか。

*1 酢めし疑獄

これ書いて1週間くらい後にコレ連載してるのはマガジンじゃなくてチャンピオンだって気付いた。どうやら僕は本格的に週刊マガジンを読んでないらしい。面白い? マガジン。

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2000.09.26(マンガ・アニメの話より)

君はそのままでいい

 すげえよ『キャンディ・キャンディ』は。いや別に読んだり観たりしたわけじゃないんですけど。昨日唐突に『キャンディ・キャンディ』のテーマ曲を思いだしたりしたわけですよ僕は。思いだしてみなさいよ皆さん。
そばかすなんて気にしないわ
鼻ペチャだって だってだってお気に入り
おてんば いたずら 大好き かけっこ スキップ 大好き
私は 私は 私はキャンディ
 なんですかこの猛烈なポジティブっぷりは。ものすごい全肯定パワーですよ。326(*1)とかメじゃないですよ。さらに歌は続く。
(ややブルーに)
ひとりぼっちでいると ちょっぴり寂しい
そんな時 こう言うの 鏡に向かって
(猛烈にハッピーに)
笑って 笑って 笑ってキャンディ
泣きべそなんて サヨナラ ね、キャンディ・キャンディ
 寂しさとか強引に力づくで乗り切ってます。信じられない。これはもう癒し系とか言ってられるレベルじゃないっすよマジな話。凄え。ハンパじゃねえよ三組は! 三組?
 いや昔のアニメ曲(*2)っていうのは曲もノリノリですがその歌詞の異常なポジティブさが魅力だと僕は思いますよ実際。信じられねえ! 頭悪い! でも愛してる! そんな気分で乗り切れる歌詞。落ち込んだときはキャンディ・キャンディの事を思い出せ! あるいはアパッチ野球軍を。
俺たちゃ裸がユニホーム たまにゃ蜂にも追われるけれど
ファイト ファイト ファイトひとつが財産さ
しかし強いぜ負けないぜ 俺たちゃアパッチ野球軍
俺たちゃ裸がスパイクさ たまにゃサードへ逆送するが
度胸 度胸 度胸ひとつが財産さ
しかし怖いぜ逃げないぜ 俺たちゃアパッチ野球軍
 君もガンバレ!

*1 326

ナカムラミツル。みんな読んでるらしいですよ。

*2 アニメ曲

「アニソン」って言うと意味が分からないので言わない。

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2000.08.04(マンガ・アニメの話より)

炎の三日間

 うっす! 仕事以外は寝るだけシフト無事完了致しましたサー! これより感情リハビリ作戦を開始いたします、サー!
 まず ながやす巧によるマンガ版『鉄道員 (ぽっぽや)』および『戦空の魂』第1巻を大購入! 凄い! 面白い! 君は泣いたか僕は泣いた! だが本日はシフト完了直後であるのでここまでとしまーす!
 翌日ッ! 『戦空の魂』第2巻を購入!BGMとして『classical ever! 2』よりサラ・ブライトマンの『TIME TO SAY GOODBYE』を使用します! だああああああ何だこれ物凄え! 涙とか鼻水とかドボドボ流しまくりで大変なことになってマジ大変だよ本当に! つうか黙ってられるか! ダッシュで車で10分かけて24時まで開いてる本屋行って即残りの10巻分全購入! 即帰って読んであーもう大変な事に!
 本日ッ! なぜか今まで読んだことなかった『シャカリキ!』を全集でとりあえず1巻だけ購入! 読んだ読んだ信じられねえほど面白い! 熱い熱い熱いんだよ超熱いアッチー! 24時本屋ーッ! 本屋はどこだーッ! 全巻購入するーッ! あとBGMはデイヴ・ロジャースの『GO TO THE TOP』それも『THE BEST OF NON-STOP SUPER EUROBEAT1998』収録MIXの"Y&Co.F-1 REMIX"という最強に熱い曲を用意までして読んで何じゃこりゃあマジに! 馬鹿じゃねえのかこのマンガ熱すぎ! ていうかガッデムこの全集最終回までまだ出てないのか! ああもういい分かった貴様には頼まん本屋はもうどこも閉まってるけど明日会社帰りに本屋回って単行本版で買う! 全集とダブる箇所があろうがたかが数百円程度楽勝で出す!
 つうわけで諸君! 考えてみると『戦空の魂』および『シャカリキ!』の凄さを知った場所でもあり『鉄道員 (ぽっぽや)』の原作の浅田次郎の凄さを教えてくれたところでもあるわけでまずは『OVER LOAD』に敬礼! あんた輝いてるぜ! そして抜群の画力を誇るながやす巧に感謝! 吹雪の描写はいまひとつ違う気がするけど (思うに関東以南の出身では?と思ってよく著者紹介をみたらやっぱり長崎出身だった) それでも凄いぜあんた! 僕らに男の魂を教えてくれた天沼俊に多謝! コピーで同じコマを使い回すのはいただけないが、それでもあんたは立派な男だぜ! そして魂を発火させる男曽田正人にも謝々! この勢いで『昴』もっと面白くしてほしいがそれはそれとしてあんたは最高だ!
 明日も平和な一日でありますように。

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2000.06.13(マンガ・アニメの話より)

時代の波

 なんとなく平野耕太(*1)の本でいま入手できるのは何があるのか気になったのでイーエスブックスで検索しようとしてみた。
 で、はっきりわかったのは「平野耕太」って変換しづれえ! ということです。「耕太」がどうにも変換できません。「こうさく」で「耕作」と出してから一文字削って「ふとい」でアレして、と非常にやっかいなことに。これってまだ漢字わかってたからいいですけど、「平野こうた」ってどんな漢字だったか忘れてたらもう相当に最悪なことになりはしないだろうか。まあイーエスブックスは読みで検索もできるから「平野・こうた」で検索も効くんだけど、今度は『浮動小数点演算シグナルプロセッサプログラミング入門 HSP (平野浩太郎・西村正太郎 共著)』とかがヒットしてしまいこれはこれで厄介な話だ。
 「上條淳士(*2)」とかはもっと大変だ。なんとなくあっていそうな気がして「上『条』敦史」とかで確定してしまいそうじゃないか。とか思っていたら本当にイーエスブックスでは一部「上条」で登録されていて、おいおいというか、いいんですかこれ。正しい名前で検索してもヒットしないってことですよ。

 イーエスブックスに限ったことじゃなくて、出版でもなんでもデジタル化の進む昨今、これからはペンネームを決めるとき「変換のしやすさ」も考える時期に来てるんじゃないだろうか。従来のようなアナログな、多少違ってても本屋のおっさんが気を利かせたりとかそういうなあなあではやっていけない時代になってきているのだ。イッツァ・e-コマース!←うるせえ
 一発で変換できるわかりやすさと、似たような音がないめずらしさを同時に求めないといけないわけで、こいつはなかなか困難だと思う。えらい時代がやってきましたよ。もはや武論尊(*3)とかはペンネームにおける負け組と言っていいだろう。
 そういう視点だと、「うすた京介(*4)」なんか抜群と言えるんじゃないだろうか。まあひらがなやカタカナ使ってる名前だとたいてい変換しやすくはなるんだけど。むしろ全部ひらがな・カタカナというぐらいの方が変換効率としても憶えやすさとしてもよかったりして、その意味ひんでんブルグ(*5)とかのそれはどうかと思うような名前が武論尊より格上ということになって楽しいですね。

*1 平野耕太

『ヘルシング』ですっかり有名な漫画家の人。ギャグマンガでもバイオレンスマンガでもエロマンガでも同人業界マンガでも全部同じような作風になってしまうある種凄い人で、個人的にとても好きです。

*2 上條淳士

『To-y』ですっかり有名だったんですが……。

*3 武論尊

『北斗の拳』(原作) ですっかり有名ですが、僕としてはその頃の作者コメントで「僕のことを中国人だと思っている人がいるがとんでもない誤解だよ!」というのがなにより物凄い記憶に残ってます。

*4 うすた京介

『すごいよ! マサルさん』ですっかり有名だったのに……。

*5 ひんでんブルグ

いま検索したら『性魔学園』とか『女教師の肉便器』とか出てきた。もし代表作が『女教師の肉便器』だったとしたら、それはちょっと大変だろうなあ。人生とかが。

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2000.04.23(マンガ・アニメの話より)

今、最も熱い戦い

 諸君は『グラップラー刃牙』(*1)というマンガを知っているか! それはどうでもいい。
 いや、そうじゃなく。核心はそこではないが、問題はやはり刃牙なのです。いま刃牙をめぐって男と男(推定)の熱い戦いが繰り広げられているのです。
 ことのはじまりは2週間くらい前。唐突に私は思いました。今は刃牙の時代だ! と。そしてさらに思いました。いやそれは言いすぎ! と。いやそうじゃなく。
 とにかく単行本が無性に欲しくなった僕ですが、「刃牙でヌく(*2)のオススメにしたがって、第3部の始まる21巻から買うことにしたわけです。さっそく本の店岩本(*3)に行き、速攻で購入。って、無いじゃん! 全巻揃ってるのに、かんじんの21〜23巻だけが無い!
 間違いありません。僕以外に誰か第3部を狙う謎の人物がいたのです。もしかすると奴も「刃牙でヌく」を見たクチかもしれません。一歩先を越されてしまったのです。
 そして今日。再び岩本に行くと、21巻が入荷しています! もうそこは大人買いというやつで21、22、23と手に取っていくと……、ね、無ェ! 今度は25・26巻が無くなっているッッ!
 間違いありません。奴です。同一人物です。奴はつねに私の一歩前を先んじているのです。「どうする杉浦。クックックッ、21巻から24巻までが手に入ったことで良しとするかァ?」
 そうはいくかッッ! 「出、出たァ――ッ 殿下の宝刀、大人買いですッッッ! なんということでしょうッッ! 25・26巻を手に入れないまま、27巻から31巻までをも一気に買い上げましたァ――ッ!」 ワアアアアアアア
 攻撃に転じた(←フキダシ外のセリフで)「先手を取り返したってワケだが……」「ああ。他の本屋で買えなかったら今度は自分が苦しくなるよ」
 とか刃牙風のコマ割りを脳裏に描きつつ (ダメ) 買いましたよ虫食いつきで21〜31巻。ちなみにその後、本屋2軒まわって無事25・26巻も買えました。そのへんはさらっと流しますが。つまり今度という今度は僕の完全勝利なのです。
 というかあの店で刃牙を買ってるキミ、ゴメン! キミがこれから買おうとしてる27巻買っちゃったの、オレ。
 あと実を言うとその日のうちにまた続き読みたくなって32〜42巻まで全部買っちゃったから。本当悪いと思ってる。

*1 『グラップラー刃牙』

週刊少年チャンピオンで連載中(現在はタイトル『バキ』に変更)。あらゆる意味で強烈な格闘マンガ。

*2 「刃牙でヌく」

猛烈に刃牙欲 (造語) を刺激する凄まじいページ。このページなくして今の僕はなかった。いやかなり限定的な意味でだが。

*3 本の店岩本

札幌では有名な大型書店チェーン。24時まで営業してるので猛烈に便利。

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2000.03.30(マンガ・アニメの話より)

恨み節

 あーなんか僕は自分で思ってたよりもずっと執念深い人間のようです。
 なんか今日、本屋に岡崎武士の画集が売ってたんですが、それを見た瞬間もはや脊髄反射かというようなスピードで速攻「死ねこのくずが」とか思ってしまったんですが。
 たしか『精霊使い(エレメンタラー)』(*1)とかなんとかいうマンガをこの人が描いていたのがもうかれこれ5年前(だいたい)。いくら当時表紙だけ見てなんとなくいいような気がして買ったマンガが中身はどうしようもないものだったからといって、もういいかげんその恨みも忘れてもいい頃合いだと思うんだけど、いまだにこうなのか、僕は。人間こうはなりたくないものです。
 それにしても、あのマンガは実際ひどかったよなあ。

*1 『精霊使い(エレメンタラー)』

絵は、まあそれなりによくできてたと思うんですが、ストーリーがどうにも心躍らないうえにキャラクター造形とか構成力とかが圧倒的にひどいもので、心底いやな気分になったものです。

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2000.02.18(マンガ・アニメの話より)

はじけすぎなザック

 前回から直で話つづけますけど、『はじけて! ザック』のことです。ちなみにメールで「『プラモ狂四郎』『ファミ拳リュウ』あたりと同時に読んでた記憶がうっすらとある」という話も聞きましたが、なんだその『ファミ拳リュウ』って。ぜんぜん憶えてないぞ。いやそういう話じゃなくって、そう、『プラモ狂四郎』で有名な小学生低学年向け雑誌『コミックボンボン』(*1)です。もうかれこれ15年くらい前にボンボンで短い間だけ連載されたのが、そう、『はじけて! ザック』です。
 ほんと連載は短い間、だいたいコミック1巻分っていう感じだったんじゃないですか。約10話。あ、月刊誌だとそうじゃないのか。いやそんなもんだっけ?
 タイトルからわかる通りコメディです。わりと小ぎれいな絵です。いまで言えばアニメ絵ってことになるんスかね。主人公の名前はなんか長い名前で憶えていませんが、略してザックです。どっか南国っぽい未開の地っぽいところから来ました。ちょっとエロだが天真爛漫(*2)アンド金持ってる少年ザックが日本で巻き起こす騒動を描いた、カルチャーギャップコメディーです。そんな具合でしたよ。2話目くらいまでは。
 3話目のころでしたっけ、いきなりライバルが出現します。ボクシング部の。さらに今は用務員だけど実は過去に名トレーナーとしてならした男というツボをこころえたキャラのおっさんも登場。なしくずし的にスポーツ根性ストーリーになります。1話にして。ちなみにさっきのエロと金持ちっていうザックのキャラクターはこのライバルが登場した瞬間に速攻で忘れ去られます。
 練習に1話つかって会得した「ケンタッキーのおっさんパンチ」(カーネル・サンダース人形をサンドバッグ代わりに使ったので)を駆使して、2話くらいでライバルを倒します。やったねザック! とか思ってるひまもなく、新たなライバルが登場します。さすがはスポーツ根性ストーリーです。旧ライバルが流川楓ふうのストイックないい男だったのに対し、ボクシング部に殴り込みをかけてきたこの新ライバルはパンクかメタル風の不良というこれまたツボをこころえたキャラ設定です。
 しかしこのライバルの強さを強調する過程で、よせばいいのにこの男のキャラが立ちすぎてしまいます。打たれ強い男なのです。人間としてNGとしか言えないような。ガラスで腕をざっくり切っても、「こんなケガはなぁ」と言いながらホチキスでバチバチって縫い合わせる! 数秒後には完治! どんな生物だ。
 そのおかげでストーリーはどんどんホラー的な色彩が強まっていきます。当然1話にして。ボクシング漫画として許される範囲をブッチぎりで逸脱して、ザック対怪生物とのドロドロした(なにしろ敵が強すぎるので)闘いが展開。さらにそのライバルの父親として「政界を陰で牛耳りサディスティックな嗜好をもつ謎の老人」というカッパノベルズばりのいらんほどのキャラクター性をもつキャラが登場して試合をプロデュースするにいたり、もうボクシング漫画として以前に小学校低学年むけ漫画としてNGになってきます。
 そしてだいたい、そう、どう長く見積もっても怪生物ライバル登場から5話くらいだと思うんですが、ライバルは悪魔の力を手にしていることが判明し、えーとあとザックは天使の力を得て巨大化してデビルマンぎみの顔になって、とりあえず敵は倒すしこれから来るであろう悪魔の軍勢相手への戦いの決意もあらたにします。もちろん1話にして。そんでそういう話でもタイトルは『はじけて! ザック』。
 誰か、これが私の単なる記憶ちがいだと言ってください。

*1 『コミックボンボン』

そういえばいまもあの雑誌、ガンダムが中心だ。ちなみにボンボンのガンダムマンガは実はすごい質が高い場合が多いので注意。

*2 天真爛漫

テンシンランマンって読むんですけど、自分で変換していうのもなんだが読めねえ。

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2000.02.16(マンガ・アニメの話より)

銀河伝説

 前に一度「世界で一番あんまりな路線変更」ってことで、『流れ星 銀』の話をしましたけど、ちょちょっと待って、これ何よ? この『銀河伝説 ウィード』(*1)って? 本当にあれの続編なの? しかも主人公が銀河の息子? つまり犬? しかも連載中? マジで? うわあこんなの知らなかった。『キン肉マンII世』よりかショッキングだ。とか思っていた今日の本屋、しかしその瞬間、猛烈な記憶の奔流がなんつうか俺をアレした! せ、世界で一番あんまりな路線変更は『流れ星 銀』なんかじゃねえ! 赤カブト(くま)も裸足で逃げ出す(もとからだけど)世界最強の路線変更マンガはその名もこれっぽっちもとどろいちゃいねえ『はじけて! ザック』に違いない! いや、知ってる人少ないとは思うけど。このマンガの凄さについては、また項をあらためて、ひまをみて話します。

*1 『銀河伝説 ウィード』

高橋よしひろ著、日本文芸社刊。

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2000.02.06(マンガ・アニメの話より)

逆転ファイター

 うわ、ちょっと待って。今、muscle(筋肉)ってスペル完璧にそらで言える自分に気がついた。「M・U・S・C・L・E・マッソー!」って調子で。子供の頃の記憶ってすげえなあ。
一応いっておきますが、アニメ版『キン肉マン』のオープニングテーマ曲の話ですよ。アターック! ラスト5秒の〜ってな。

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2000.02.01(マンガ・アニメの話より)

聞いた話

 ある女の子の話。
 女の子っつっても僕と同い年なんですけど、彼女バイトでとある少女マンガ家のアシスタントの仕事をキメたわけですよ。
 で、仕事初日、彼女。しかしそこで渡された原稿一発目は! なんかボーイズラブ(*1)系のたいへんな原稿だったらしいです。
 その話を聞いた僕の感想。
「あ、『天からトルテ!』(*2)の曼珠沙華可憐先生だ。」

*1 ボーイズラブ

少年同士が抱きあったりその先のステップに進んだりする漫画。それにしてもボーイズラブって言葉は、飾りすぎじゃないのか。

*2 『天からトルテ!』

週刊ファミ通に連載中の、不思議マンガ。この作品のすごく微妙で特異なスタンスは本当に特筆に値すると思うんだが、長くなりそうなのでここでは割愛する。

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2000.01.05(マンガ・アニメの話より)

銀河

 世界で最もあんまりな路線変更って何だろうか。意見は色々あるだろうが、おれは『流れ星 銀』だと思う。10年くらい前のジャンプでやってた漫画。
 あれは凄かった。たしかね、最初は少年の成長物語だったのよ。舞台は雪国でさ、山中に巨大な人食いヒグマがいたわけよ。どっかで聞いたような話なのよ。漁師のじっちゃんと主人公の少年と、その飼い犬で猟犬の子犬「銀河」すなわち銀の物語だったとかたしかそんな具合なわけよ。
 それが二巻くらいまでいったころに例の犬「銀河」、洞窟だったか何かに迷い込むんだったっけ。まあ場所はどうでもいいんだけど、そこには犬のコミュニティがあるんですよ。思いだしながら書いていてもちょっとビックリする展開なんですけど。その犬たちは例の人食いヒグマを倒すために団結するんですけど、もう喋りまくりなんですよ。いや、犬同士だから別にいいんだけど。ただ問題なのは会話内容が『魁! 男塾』ばりの熱い男の世界だってことで。
 その後主人公の少年不在のまま、えんえん十何巻も犬同士の命がけの確執があったり命がけの修業したり(犬が)、最終的には甲賀忍者の忍犬の末裔軍団と物凄い必殺技の応酬をしたり涙あり愛ありの犬模様が展開されるんですけど、その頃になると読者のほうももういいかげんヒグマのことは忘れたっていうか、子供なりに「なかったこと」にしていました。
 たしか最終的にはヒグマも倒して、お義理ていどに主人公の少年も再登場して、その後また十数巻分あらたな犬ドラマが再び展開していったような気がするんですけど、誰か憶えてないですか。

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2000.01.04(マンガ・アニメの話より)

「俺の彼女は超ビグロ」

 ハイハーイそこの男子諸君ー、君の好きな女の子のタイプをモビルスーツ(MS)で言ってみてくださーい。女子諸君は好きな男子のタイプをMSで言ってもたいして面白くならないので禁止しまーす。
 で、どうよ? 実際の話、RX-78ガンダムみたいな女子が好み、っていう男はめったにいないと思うんだけど。逆にジム(*2)好きっていう奴はけっこう多いとみた。広末涼子みたいで。違うか?(*3)
 なんつうの、いわゆる「お姉さんタイプ」に弱いっていう人は悩まなくてすみそうですね。ギャン(*4)とか。それ以外だと、さっきも言ったジムとかを別にすれば、どのMSも彼女にしたくないという人は多いんじゃないだろうか。どうかね男子諸君。だって普通やじゃん、グフ(*5)とかドム(*6)とかゲルググ(*7)みたいな女の子って。
 その点、水陸両用MSはどれもある程度かわいらしいけど、異性として見るとやはりちょっとどうかという感じだ。異性として見る段階で間違ってるんだけど。そう考えていった結果、異性としていちばん可愛いMSはたぶんあれだと思う。MS-06Z-3サイコミュ試験用ザク。憶えてない? ほら、あの緑色で動力パイプのない、宇宙用っぽいやつ。違うって、白くて足がバーニアになってるのはサイコミュ高機動試験用ザク! その一世代前のやつよ! あれ絶対かわいいって!
 まあいい。で、結局のところ僕としてはですね。「ジムスナイパーカスタム(*8)が好み」っていう男とだけは友達になりたくないと思うんだ。強く。

*1 「俺の彼女は超ビグロ」

ずうっと昔ね、「俺の彼女は超アムロ」っていう、あ、こっちのはガンダムのパイロットじゃなくて安室奈美恵ですけどね、そういうコピーがあったのよ。なんでいまそれを思いだしたかっていうと、よくわからないんだけどさ。

*2 ジム

連邦軍の量産MS。ここでは妙にスマートでかっこいいバンダイのMG版ジムじゃなくて、テレビ版の妙にかわいいジムのことを言っています。

*3 違うか?

なんかこれ、ものすごく高度な読みを要求するネタのような気もしてきたが、気にせず先に進める。

*4 ギャン

マ・クベが乗ってた機体。貴族趣味な騎士風MS。

*5 グフ

プラモ版グフカスタムの説明書にまで「凶悪な顔」とか書かれていた。

*6 ドム

たしかに「スカート付き」とか別称されているのでその意味女の子らしいのかもしれないが、基本的に太くていかつい。

*7 ゲルググ

全面的に男らしい。通称うまづらだし。

*8 ジムスナイパーカスタム

なんかこう、あらゆる面で異性としては遠慮したいMSだと思う。知らない人にはオチにならなくてごめん。

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1999.06.19(マンガ・アニメの話より)

書評

 しりあがり寿の『弥次喜多 in DEEP』は本当にすげえなあ。
 いくらニール・ゲイマンが凄くて『SANDMAN』で世界幻想文学賞やアイズナー賞をとってようが、そんなの『弥次喜多 in DEEP』が英訳されたらそれどころじゃないぜ。とか思ってしまう(*1)
 祖父江慎+大津千秋(コズフィッシュ)の狂いまくった装幀も最高。祖父江+COZ FISHは僕のここ数年来の一押しなのだ(*2)
 どんな内容なのかは腰巻の文が見事に説明しきってるので、引用して説明に代えておこう(*3)。「『お約束の地』お伊勢さんを目指して、笑いと悲しみ、生と死、妄想(ゆめ)と真実(リアル)の波打ち際をさまよう、ご存じ弥次喜多、魂のふたり旅。千年世紀末にマンガ表現がたどり着いた極北として、圧倒的喝采を呼ぶ、愛と命の物語。」 本当にこういう話なんだよ。最初のうちはわりと昔ながらのしりあがり調ギャグノリが残ってるんだけど、後になればなるほど本当にマンガ表現の極北になってくる。いやー、マジに面白すぎるわ。
 現在二巻。コミックビーム連載中(*4)。アスペクト刊。

*1 『弥次喜多 in DEEP』が英訳されたらそれどころじゃないぜ。
大丈夫か? 俺。

*2 祖父江+COZ FISHは僕のここ数年来の一押しなのだ

小学館プロダクションの『X-MEN』は本当に物凄い完成度だった。最近は同社では『BATMAN: BLACK & WHITE』のような豪華本にしかタッチしてないのが残念。やっぱり仕事料が高いんだろうか。

*3 引用して説明に代えておこう

手抜きか?

*4 コミックビーム

いつ休刊になってもおかしくない事で有名な雑誌。

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1999.05.30(マンガ・アニメの話より)

うしおとら

 夜寝る前に一巻ずつ読んでいた少年マンガの金字塔『うしおとら』ですが、最後のクライマックスにさしかかると、つい一気に5巻ぐらい通しで読んでしまいました。もう大泣き。涙につぐ涙。
 あれ、よく疲れてると涙もろくなるって言いますけど、たぶん本当ですね。今までなら最終話でも涙ぐむ程度で済んでいたのに、今回は号泣。巨人の星の伴宙太ぎみに。汚れちまったこの僕でも『うしおととら』と「さよならドラえもんの巻(*1)」だけは思い出すだけで泣けてくるのです。

*1 「さよならドラえもんの巻」

単行本第6巻収録。ドラえもんの数ある(ありすぎる)エピソードの中でも屈指の名作。

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