人生: キャプテン・ラヴ(まとめ読み)

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キャプテン・ラヴ(まとめ読み)

プレイステーション用

※下に行くほど新しい記事です。


目次から...

2005.07.01(キャプテン・ラヴより)

理解できないけど言っときたい

 ふと思いついて「ギャルゲーなんてやってみちゃどうだろう」と言い出したのがついこの間
 とはいえギャルゲーについての知識が「『後夜祭』のキャラクターデザインが美樹本晴彦だったけど、ギャルゲーと美樹本キャラってむしろ食い合わせ悪くね?」とかいう今さら死体に鞭打たなくてもレベルの非常に偏った知識しかない僕のこと。正直どのゲームを遊んでいいものかわからない。少なくとも『後夜祭』はないと思うが。
 そこでコメント機能で読者諸兄のおすすめギャルゲーを募ってみたものの、『ときめきメモリアル Girls Side』とか『ワルキューレ』の伝説か冒険か、ってそれ全部ギャルゲーじゃないし! このサイト読者の総力を結集した結果がこれだというのか。僕はただライトノベルみたいなKOIしたかっただけなのにこの仕打ちか(勢いにまかせて言っているがそれもどうか)。どうやら貴様達に任せた私が間違っていたようだ(一度言ってみたかった言い回し)。
(※なおこの後に、ちゃんとギャルゲー然としたギャルゲーのおすすめもありましたが時間軸上ではまだそこまできていません)
 そこで総統たる自分おん自らゲーム屋さん等でリサーチしてみた結果、よく分からなかったであります、サー!(総統だったはずなのに)
 ぶっちゃけた話どれが傑作でどれが駄作かなんてパッケージ見ただけじゃさっぱり分かんねえ! そりゃまあ他のジャンルでもゲームなんてそんなものではありますが。そしてなんだかんだ言って五千円台を余裕で上回る値段にも結構引いた! そりゃまあ他のジャンルでもゲームなんてそんなものではありますが。
 じゃあってなもんでいわゆる「THE BEST」的なある程度売れてるし価格もお安い、くだいていえば在庫処分ゲーム(くだきすぎた)の棚を見たら、これがギャルゲーって全然ないのね。それともあれはたまたま売り切れてたのか。
 あと今書いてて思ったけど、ギャルゲー普通に知ってる人から見たらこのへんですでに間違った認識が多発してて身悶えているような気もするんだけど、まあいい。これはギャルゲー初心者の偽らざる心情を謳った記録なのだ。それにしてもこの日記、いつになったらゲームを遊ぶところまで話が進むんだ。

 そんなこんなで見つけてきたのがこの『キャプテン・ラヴ』(中古)だ!←がっかり
 いやがっかりするのはもうちょっとだけ待ってほしい。なんでも聞いた話じゃこのゲーム、基本的にはそりゃ頭に「キャプテン」が付いてる時点でアレですが、「ラヴ」も付いてるだけあってギャルゲーとしても光るものを持っているとか。聞きかじりの知識。
 そんなギャルゲーにあってギャルゲーにあらず的な存在のこのゲーム、ならむしろギャルゲー初心者の僕とかにはアリなんじゃないのか。からめ手から攻めるがごとく、キャプテン要素で食いつかせておいてラヴ要素にすんなり入っていったりとか、そういうウマい話がころがってたりはしないだろうか(溺れる者がつかむにはひどく細いワラ)。雑君保プ先生(*1)がキャラクターデザインしているという時点で無駄に僕を惹きつける要素はあるし。
 OK、とりあえず説明書を読んでみよう。もう買っちゃったものはしかたないし。←言っちゃったよこの人
 そこで僕が見たキャプテン・ラヴ取説の世界は、なんかもうとんでもないものだったのだ。
 「むてき! 正義の論撃パワー!!」とか書いてあるパケ表紙の段階でどうかと思ってましたが、なにかただごとではないワードがガンガン攻めてくる。
 いわく「愛の共産化」! いわく「ラブラブ党」! いわく「主人公はなぜかモテモテ」! 「ラブラブ党入党アンケート」! 「ラブラブ党員10ヶ条」! 「論撃バトルシステム」! 「尊敬する人:夏木ゆたか」! 「ラヴ・巻き」! 「アルバイト紹介所では雑君保プ直筆の4コママンガを見ることができます」!
 だ、だめだ、これ一体どんなゲームなんだか想像がつかねえ!
 ていうかこれがギャルゲーなのか?(違うと思う) こういうものがギャルゲーなのか!(断固違うと思う)

 長くなったんで実際にゲーム遊ぶ話は次回に回します。

*1 雑君保プ

(ざっくん・ぽっぷ)ゲーメスト出身のマンガ家(←そう書くとなんだかつらいね)の人で、ものすごくゆかいなギャグを駆使される。代表作『そして船は行く』。素直な意味で面白かったけど、まあ、打ち切られちゃったのもわからないではない。そんな漫画。
 

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2005.07.02(キャプテン・ラヴより)

手さぐり日記

 くどいようだが、僕はギャルゲー初心者である。ゲームというのはあるエポックメイキングな作品(ギャルゲーでいえばおそらくは『ときめきメモリアル』)を起点に何年もかけてシステムを成熟させひとつのジャンルに昇華していくものであるか、それともそうでないかだが(←だいなし)、そういう成熟の過程を僕はギャルゲーに関してはまったく知らずに人生をすごしてきたのである。ギャルとラブるであろうことはわかるが、どういうゲームシステムをもってラブるのか、それを僕は知らないのだ。
 もちろん聞きかじりの知識はあるし現に『サクラ大戦』なんかは(ギャルゲーとしてではなく)遊んでいるから、ある程度はわかる。だが、RPGで「敵を倒すと経験値がたまって成長する」ことを知っていたからといってそれでいきなりドラクエを何の遅滞もなく遊べるかといえば、そうではあるまい。勝手がわからないのである。

 たとえば効果音だ。
 このゲームは随所に選択肢が登場して(この選択肢の一種「ファジー選択肢」というシステムはちょっと面白いんだけどここでは割愛)その選択によってある種の効果音が鳴る。これはだいたいわかる。『サクラ大戦』にもあったし。それは俗にいう「好感度」が上下した音なのだろう。主人公(プレイヤー)に対する好感度が上がればピローンって鳴るし好感度が下がればブプーとか鳴るのだ。たぶん。
 たぶん、と言うのはあきらかにヒロインではない「ラブラブ党書記長 永堀義光教授」との会話でもやっぱりピローンとかブプーとか鳴っているからだ。ちなみに永堀氏の風貌はヒゲの似合うナイスミドルである。まさか彼がヒロインではあるまい。
 彼の娘であり雨の中主人公とちょいとした運命的出会いを果たした「永堀 愛美(まなみ)」が物語上のヒロインで彼女の好感度が上下するのは理解できるし、その親友である「近藤 香織(かおり)」もいわゆるギャルゲー的な意味での攻略対象で好感度が上下するのもわかる。それはそれとして、永堀教授や相撲部所属の巨漢「クラッシャー・アイアン関」との会話で好感度が上下する意味がわからない。

 また別のわからないところといえば、セーブだ。
 このゲームではだいたい選択肢1つと会話十数ボタン分ほど話が進むと、きまってゲーム進行が一時停止してセーブ画面に入る。これはけっこうなペースだと思う。だいたいの体感時間で2分に1回くらいセーブ画面が出ている気がする。
 これはこのゲームが特別なのか。それともギャルゲーとはこうしたものなのか。どういう意図があってこういうシステムなのか。もしかして選択肢ひとつとしておろそかにできないレベルで分岐やパラメータ調節があるからこうなのか。いちおう小まめにセーブしておいた方がいいのだろうか。それとも単に「ポーズ画面セーブ」をさせたくないからこうなのか。適当に今日はここまでというあたりでセーブすればそれでいいのだろうか。僕はこうしておっかなびっくりゲームを進めているのである。

 ヒロインの愛美の声がちょっとびっくりするほどダウナーなのはそういうものなのか。いや、これは遠藤久美子(*1)が声をあてているからか。どうして遠藤久美子?
 こんな「ラブラブ党」とかいう悪の(?)秘密結社が跋扈する世界観で主人公やヒロインがわりと現実的なリトルトラウマを持ってるっぽい(暗示だけされる)のはどういう狙いなのか。
 ヒロインが偏執的なまでの東京タワーマニアなのは、ギャルゲーのヒロインの個性づけとしてアリなのか。
 微妙な感じの「立ち絵」よりも雑君保プ調にデフォルメされた2頭身バージョンの時の方が魅力的な気がするのは僕の感性が間違っているのか。
 謎は尽きない。

 しかしまあ、ゲームを進めていくうちにある程度は理解した。とにかく選択肢をイイ感じに選んで話を進めていって、途中に出てくるラブラブ党員との「論撃バトル」で相手を言い負かしたりしつつ、あとはほぼオートで(選択肢をはさみつつ)ストーリーは進むのだ。20回ほどセーブポイントを通過すると「第1話完!」てな具合なのだ。
 そんなわけでどうにか第一章は終わった。だんだんこのゲームのリズムをつかんできた。
 ネタバレにならない範囲でぼかしながら予告編風に言えば「キャプテン・ラヴ登場! 〜君は愛のために戦えるか!〜」という感じだった。もう少し具体的に言えば、第1話のヒキ(ラスト)は、ヒロインであり主人公と晴れてラブ仲になった愛美がラブラブ党にさらわれてしまう(理由:党首の娘なので、悪い虫がつかないように)という説明書のストーリーに書いてあったけど衝撃の展開で終わったのだった。
 おなじみセーブポイントで次回の章タイトルが表示される。
 「第2話 愛のクリパン繁盛記
 や、やっぱりこのゲームはつかみきれねえ!

*1 遠藤久美子

俗に言うエンクミ(←俗に言わせるな)。当時アイドル。この『キャプテン・ラヴ』もそうだが、どういう基準で仕事を選んでいるのか昔から不思議だった。

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2005.07.03(キャプテン・ラヴより)

補記

 ここまでの日記でいくつか書きもらしていたことがあったので、手遅れにならないうちに書いておこう。
 それはゲームのやや具体的な進行に関する問題であり、敏感な人にとってはネタバレの範疇に入るかもしれないので一応気をつけてほしい。こんな古いゲームでネタバレもなにもない気はするが、念のためというやつだ。

薔薇の名前

 ゲームを始めると、早々に主人公の名前を聞かれた。RPGとかでよくある、「そういえばまだキミの名前を聞いていなかったな」「オレか? オレの名前は……」(入力画面)というやつだ。それのレベルを数段低くした感じのやつだ。
 漢字アリ(ただしプレステレベル)で姓4文字・名4文字。さて、どうしたものだろうか。
 こういう時には本名プレーが正しいのだろうか。ギャルゲー的には。たしかに自分の本名を入れれば確実に感情移入度も上がるというものだろう。しかし同時に「オレはこんなセリフを吐いたりはしない!」と一気に醒める可能性もある諸刃の剣。だいいち僕はゲームを第三者視点で遊ぶタイプの人間で、主人公に自分を投影することはめったにない。ゲームの主人公は小説とかの主人公と同様、架空の存在としてクールに遊ぶのが僕のやりかただ。そういうのがクールなのかどうかは別として。
 別のパターンとしては、マンガのキャラクターや実在の人物の名前を流用するというやり方もあるが、それはそれで何か違う気がする。そのキャラ名にひきずられて主人公のキャラクターも(脳内で)固まってしまい、「このキャラはこんなセリフを吐いたりはしない!」となる危険もはらんでいる。キャラがハマればそれで何の問題もないんだろうが、いまこの時点では主人公がどんなキャラなのかつかめていないのだ。仮に1度エンディングまで行ってからもう1周やり直すことがあるとすれば、主人公の性格と合ったキャラクターを探すことも可能なのだろうが。うん、今度やってみよう。
 それはそれとして命名だ。ここでいわゆる「適当な名前」をつけるという方法もあるだろう。たとえば「勇者 くそむし」とかだ。姓は勇者、名はくそむし。人呼んで勇者くそむしと発します。こんな脳のシナプスを最短経路で猛進してきたような命名も、それはそれでたしかにひとつの手だろう。恋仲のヒロインに糞虫呼ばわりされるだけでなんか面白そうだし(けっこう安い笑いのツボ)。だがしかし待て。ここは安易に笑いを取りにいくべきではない。たぶん制作者側としてはそういう安易なおもしろを提供するために命名機能をつけたのではあるまい。それは映画で言えば安易な客寄せのために監督の意図に反したシーンをプロデューサーがつけ足すがごとき所業ではないのか。そうではないと言われれば、まあたしかにそうではありませんが、それでも僕はあくまでこだわっておきたい。
 となると架空の名前、かつギャルゲーの主人公として恥ずかしくない語感が重要となる。しかしよく考えると僕はギャルゲーを遊んだことがなく、どういう名前がギャルゲーの主人公として違和感なくイケるのかよくわからないのだ。
 ここはひとつ説明書の限られた情報から考えてみよう。たとえば主人公の友人(男)の名は「杉江 範宣(のりあき)」とある。女性キャラだと「神原 のどか」「青野 静果(しずか)」「加賀谷 忍(しのぶ)」等々。どうやら「ちょっと珍しいというレベルで一般的な名前」ラインにあることがわかる。つまり「氷幻嵩人(*1)」とかは確実にないわけだ。だいたいどう読むのかもわからないし、氷幻。あるとするなら「松江名 俊」とか「畑 健二郎」とか「皆川 亮二」とかだろうか。手元にあった少年サンデーから適当に作者名を出してみましたが。こういうノリで命名すれば、おそらくゲームを正しく普通に楽しめるはず……いや、だが待て!
 そこにはオリジナリティを入れる余地が少なすぎはしないか。そこらの電話帳から探してきたような名前ではたしていいのか。頭をひねって考えた名前……それでこそ感情移入できるってもんじゃないのかい? だいいち僕は人名覚えるのが苦手だから、普通の名前つけたら遊んでてもすぐ忘れちゃいそうだしな!(本音)
 というわけでいささかの遊び心を付け加えることにする。名前に。具体的には自分が付けた名前だと見た瞬間に思い出せるくらいに。だいいちこれは『キャプテン・ラヴ』などというアレなゲームだし、多少の脱線なら許されるんじゃないのか。
 僕がめざすのは、基本的には人名として許容される範囲内で、しかし総体として微妙に間違っちゃっている名前だ。たとえば……そう、いい大人なのにゲームキャラの命名ひとつでこれだけ苦悩する僕にあやかって「ボンクラ」というキーワードはどうだろう。「盆倉(姓)」。いやだめだそれは単なるダジャレじゃないか。それはさすがに遊んでて最初の1分間だけは楽しくても、後々自分のセンスがイヤになって遊びたくなくなってしまう危険がある。
 ボンクラが駄目なら、クズはどうだろう。といって「屑(くず)」という漢字では名前としてかなりどうかしているので、「葛(くず)」にする。それなら名字としてありうる話だ。「葛」単体では語呂が悪いので、もう1字ほしい。クズ……鉄クズ……それだ!(それか?) 主人公の名字は「鉄葛(てつくず)」としよう。まあ、現実に僕の名字がそれだったとしたら速攻で家庭裁判所におもむきますが、しかしこれはゲームだ。人生という名のな!(かっこよく言ってみた)
 名字が鉄クズとくれば、名前はもう流れで決まってくる。「鉄葛 兵樹(てつくず・へいき)」それが今日から貴様の名だ! ※こういうセンスがボンクラ
 どうにか名前は決まった。名前ひとつ決めるだけでこの騒ぎか。まだまだ僕はギャルゲー初心者ということか(おそらく関係はない)。そして遊んでみて思ったが、「鉄葛(てつくず)」よりも「葛鉄(くずてつ)」の方が名字っぽくて通りもよかったなあ。←早くも後悔

*1 氷幻 嵩人

チャンピオンに連載していたマンガ『かりんと。』の原作者で、客観的に言ってこの人がいない方がこのマンガは面白くなっていたろうと思う。

愛とは戦って手に入れるもの(←借り物の表現)

 この日記中でも何度か登場している言葉、「論撃バトル」。この説明を忘れていた。
 論撃について語るにはまず、ラブラブ党について説明しておかねばなるまい。
 ラブラブ党、それはカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによって提唱されたプロレタリアートによるブルジョア的生産関係の変革と階級差別の廃止を旗印とした「愛の共産主義」を実現せんとする組織である(この文章の前半は必要なかった上に、ねつ造)。
 今日まであらゆる社会の歴史は恋人同士とモテない人々との闘争の歴史であり、万国のモテない人々が団結して社会に革命を起こさんとする、えーと書いててもよくわかりませんが、つまり「愛の共産化」である。1対1でイチャつくのは悪であり、そんな恋愛とかうわついたことをくっちゃべるのではなく万民に平等に愛を!というのがスローガンである。 わかったようなわからないような趣旨だがゲーム中でもそんな感じなので気にしないように。
 そんなわけで彼らラブラブ党は日夜、街中のカップルをつかまえてはコンコンと恋愛主義思想の危険を啓蒙し、簡単に言って別れさせたりするのだった。悪の組織なのである。
 主人公もかつてはラブラブ党の一員だったが、ヒロインと出会い人を愛することの素晴らしさを知った彼は党を裏切り、キャプテン・ラヴとして恋愛の尊さを逆にラブラブ党員に教え込むのだ! そんな話なのだ!
 この互いの思想をぶつけあういわば啓蒙合戦、それこそが「論撃バトル」システムなのである。
 敵ラブラブ党員が攻めてくるセリフに対して、制限時間内に有効なセリフを選んで切り返すのが主な流れ。うまくヘコませるようなセリフを吐けば相手にダメージ、逆にセリフ選択に失敗すると反論されて自分にダメージ。そんなシステムである。

 白状すると、僕は最初このシステムにどうしてもなじめなかった。
 相手の言ってることがそもそもムチャなので、的確な反論のためには相手の言ってることをまず理解しなければいけない。するとどうしても態度が受け身になってしまうのだ。それではダメージを受ける一方で、なんだかわからないうちにゲームオーバーになったりするのである。
「コラー! 公道でイチャイチャと見苦しいぞ!(中略)どうして2人だけの世界を作ろうとする!」とくる相手にこちらの選択肢は4つ。
 「(殴りかかる)」
 「イチャイチャしてたら悪いのか?」
 「オレのどこが見苦しいんだ?」
 「2人だけの世界は大事だろ!」 である。
 普通に考えて「殴りかかる」はまあ無しとして、理屈から言ってイチャイチャすること自体は罪でもあるまいし、見苦しいというのは相手の主観であるから、敵の足下をすくうには「イチャイチャしてたら悪いのか?」「オレのどこが見苦しいんだ?」あたりではないかと選択すると……
「迷惑も迷惑、大迷惑だ! だいたいだな……(後略)」とか「今からジックリ教えてやる、そもそもだな……(後略)」とか調子づかせてしまうのである。ここでの正解は最後の選択肢、「2人だけの世界は大事だろ!」で、それ言うと「な、なんだと……そりゃオレはモテない、でも仕方ないんだ!(後略)」てな具合で相手をしおれさせられるのだが、なんだかスッキリしない。
 会話がうまく噛み合っていないじゃないか。だいたい「2人だけの世界は大事だろ!」というその無根拠な自信はどこから来るのか。むしろこれでは相手に足下をすくわれてしまうのではないか。
 という感じで、出すカード出すカード全部裏目という感じで何度もトライしないと勝てないのだった。無限コンティニューできるからキツくはないが、どうもゲームの流れにさっぱり乗れていない。なにかが間違っているのだ。ボタンを掛け違えているのだ。運命の歯車に押し潰されているのだ。なにかヒントはないものか。
 ふと何気なくプレステの隣の本棚に目をやると、そこに島本和彦(*2)の『吼えろペン』があった。
 そ、そうか、これだ!
 島本マンガの基本は筋が通っているけど根拠はわりとあいまいな勢いまかせの主張を迫力で押し通すところにある。そして島本マンガの主人公なら、きっとあの4択でこう叫ぶだろう。「いや、2人だけの世界は大事だ!!」
(ああ、せ、先生がまた無理な極論を……)
「よく聞け! たとえ見苦しかろうと他人の迷惑だろうと、かけがえのない女に愛を伝えないでどうする!
「そのためなら、おれは見苦しくてもかまわん!!」

 そう、これはディベートではない。論撃バトルなのだ。たとえ根拠がなかろうと、というか愛などという科学的根拠のないものに拠って立つ主人公は全力をもって相手の言い分を却下し、自分の無理を通すべきなのである。
 このことに気付いた後はもう早かった。ビシビシと自分の主張を押し通し無理を通して道理を引っ込めていく。いいぞ、気分いい! 島本マンガの主人公になった気分だ!
 ……ふつうギャルゲーやってて島本マンガ気分を味わうものなのだろうか。  

*1 島本和彦

熱血マンガ家。代表作『逆境ナイン』『吼えろペン』等。

ボイス

 ヒロインの声をなんのタイアップなんだか遠藤久美子(当時アイドル)があてているのは前に書きましたが、あまりにもアレなので早々にオプションメニューでOFFにしました。以後この日記に声についての記述は出てこないでしょう。
 ……ギャルゲーなのになあ。

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2005.07.04(キャプテン・ラヴより)

わかってきた気になる

 第2話である。章タイトルは「愛のクリパン繁盛記」である。なんのことかと思えば、クリームパンづくりに情熱を燃やすパン屋のアルバイト「神原のどか」が話のメインだとそういうことだった。それなら話はわかる。

 説明書の「主人公はなぜかモテモテ」という説明になっていない説明通り、今まで一切接点のなかった神原のどかが突如として主人公に猛烈なアタック(西部ワイルドガンマンズばりの)をしかけるのが今回のストーリーである。
 「あの時(一応ネタバレ範囲)からずっと好きでした」式の後輩からの告白。これぞギャルゲーという感じだ(やや偏見)。だけど主人公にはすでに心に決めた人がいるのである。まあ、ラブラブ団に拉致監禁(実質的には単なる自宅謹慎)されてるけど。
 僕の数少ないギャルゲー知識から言って、おそらくここはヒロインの分かれ道的なところなのだろう。交際を迫る神原のどかに優しい言葉をかけ続けるとヒロイン交代となり、のどかとラブることになるのではないのか。……そうなると自宅謹慎中の愛美(正ヒロイン)はずっと自宅謹慎中のままになったりするのだろうか。
 ちょっとそれはそれで見てみたくはあるが、くどいようだが主人公にすでに心に決めた人がいる以上、のどかの告白はきっぱりと断わることにする。絶対にノゥ!(←そこまで?)
 しかし、ここで例の好感度サウンドが鳴った。いい方に。好感度上昇サウンドである。ピローンなんつって。な、なんだお前、もしやドMか! これやんわり受け入れたりした方が良かったのか?
 という選択を何度か繰り返すうちに、やっとこのゲームの好感度サウンドのしくみがわかってきた。
 つまり、この音は正ヒロインの愛美にとっての好感度なのだ。好感度、とギャルゲー用語を使うからややこしくなるのだが、正確には主人公と愛美との愛の絆度、みたいなものであって、誰との会話中であっても愛美をないがしろにするがごとき言動をしたらそこでブプーなんつってレベルダウンするのである。たぶん。少なくとものどかとの交際をきっぱり断わり続けているかぎり音はピローンって鳴る(上昇音)ばかりなので、おそらくそういうことなのだろう。
 それさえわかれば、けっこう気楽に選択肢を選べる。要するにのどかをフっちゃっていいんでしょ? ……とか軽く思っていた僕だったが、のどかは僕の予想をはるかに上回る不屈の闘志の持ち主だったのである。
 あきらめねえよこの人! むしろ日を追うごとに積極的になる始末。この捨て身のカミカゼアタックに正直若干めんどくせえ!とは思うものの、それを上回る当方の罪悪感。正ヒロインとの愛を貫こうとすれば、必然的にのどかが傷つくような選択肢を選ばざるをえないのだ。しかものどかの親友からはそんな態度を思いっきり非難されるし。
 だが同情で夫婦(めおと)にはなれぬ!(『花の慶次』より) キッパリと断わり、そしてこの心の隙を突いてこようとするラブラブ団に論撃バトルで勝利し、ついにのどかはこの恋をあきらめたのだった。
 それでいい……そう、今度のことは君に吹いた春一番(芸人じゃない方)だったんだよ等とブラックジャックめいたことを思いつつ、どうにか第2話をクリアしたのだった。
 すると「愛美とヤマガタくんのラブラブ党日記」がはじまった。
 ここでポカーンとする読者多数だと思うので説明しておくと、「ある条件を満たして各話をクリアすると、お楽しみイベント『愛美とヤマガタくんのラブラブ党日記』が発生します」(説明書より)というアレなのだ。具体的には、ショートコントなのだ。前回第1話をクリアしたときには発生しなかったことも考えると、おそらく前述の「愛美1人のためだけにある好感度」が高いと発生するのだと思われる。

 あれだ、要するに俗に言う「攻略対象」がこのゲームでは「敵」という構造なんですね。たとえ泥をかぶろうとメンツを失おうと正ヒロイン一筋! たとえ正ヒロインが拉致監禁(自宅謹慎)中なんでほとんど登場しなくても、たまに解放(謹慎解除)されたと思ったら必要以上にやきもちを焼いて思いっきりそっけなくされても、断固として正ヒロイン一筋! そのためのシステムが「1人のためだけにある好感度」システムなのだろう。よ、よくわからんがとにかく男らしいぜ!
 これでどうにかゲームの勘所はつかめてきた。なんかこのゲームはやっぱり世に言うギャルゲーとは違うなにかのような気もしてきたが、気にせず進めることにしよう。
 さて「ラブラブ党日記」も終わり、次は……
「第4話 『愛と青春のラヴラヴ・ショー』」
 えーっ!? さ、3話はー!?
 どうやら僕はまだこのゲームをわかっていないようだ。

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2005.07.05(キャプテン・ラヴより)

愛とは戦い

 これは言っちゃうとさすがに大ネタバレになるので断片的に言うと、第6話「愛と喝采のラプソディ」を終えたところである。
 ちなみにやっぱりというか何というか、前回第3話がすっとばされたように第5話もすっとばされた。たぶんなんらかのルート分岐が起こっているんだと思うのだが、どういうことなんだろうか。
 ともかく第6話。
 何たる……。なんたるシリアスさだろうか。
 このゲーム、基本的にはコメディである。なにしろタイトルの段階で「キャプテン・ラヴ」だし。自分のラヴを守るため、自分でもなんだかなあって思ってる変身スーツに身を包み、すっとんきょうな敵を論破する、そんな話である。
 しかし、しかし……この第6話ときたらどうだ。ほ、本気でどシリアスな話してるよこの人たち!
 これまで単なるコメディのための道具だった変身スーツさえも、今までの伏線を総動員して男の生き様とはなんぞや、愛とはなんぞやと熱いテーマを語るための装置に変換されている。
 そして遊んでるのが辛くなるほどの強力な敵の存在。いや、このゲームで「敵」っていうときは、ギャルゲーでいうところの「攻略対象」ってことなんだけど、その敵がえれえ強い。彼女をきっちりフらねば幸せは訪れない。訪れないんだけど、正直くじけそうです! 正ヒロインとの愛を貫くために、こんなにも辛い思いをせねばならないのか! こんなに苦しいのなら、愛などいらぬ!(聖帝サウザー感覚で)
 恐ろしいゲームだ。前にこのゲームを島本マンガにたとえたが、まさにそれくらいの勢いで主人公の誠意が、男の魂が試されるゲームである。島本マンガの主人公であればいきいきと大地を踏みしめ高らかに笑いながら逆境に立ち向かうところだが、基本的にはギャルゲーの主人公レベルの主人公なのでかなりギリギリの戦いを余儀なくされるのだ。振り回されているのだ。
 だからこそ、クライマックスで情けない男からヒーローに変身し堂々とラヴを語るその姿がカタルシスなのである。

 ……うん、まあ、前々から薄々感づいてはいたことだけど、これやっぱりギャルゲーじゃなかったみたいだ。

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2005.07.06(キャプテン・ラヴより)

テンション乱高下

 もう前回で最大の「敵」(一般的ギャルゲーにおける「攻略対象」)を撃破し、こうなりゃ怖いものなしである。思えばこのゲーム、ゲームとして無事に問題なくクリアすると反比例してプレイヤーが精神的ダメージをこうむるというギャルゲーとしてはおそらく相当反逆してるっぽいシステムだったけど、もうこれ以上の精神的ダメージはないと言い切れる。あんな最強の敵を越えた以上、もう残るは話のまとめぐらいだろう。
 そう思っていた僕をあざわらうかのように、最強最大の敵が姿を現わしたのだった。

 今までいうところの「敵」がもちろん登場するんだけど、しかし今回のストーリーにおける真の敵はそんなものではなかった。ここ大事なとこなんで包み隠さず言ってしまうと、それは正ヒロインその人であった。
 実のところここまでの間、メインヒロインはあまり魅力的に描かれてはいなかった。ぶっちゃけ魅力薄ですらあった。登場回数が少なかった(自宅謹慎中で)からという面もあるだろうけど、正直サブヒロインの方が魅力的に表現されることすらあった。だがそこでホイホイと気を変えるようでは主人公は男のクズであろう。キャプテン・ラヴはそんな男ではない!ってな具合でええ、魂を捧げんばかりの勢いでヒロインに尽くす選択肢を選び続けてきたわけですよ。
 しかし今回のシナリオで、それが実は巧妙な伏線だったことが明らかになるのだ!
 シナリオの流れが、ヒロインの言動が、周囲のキャラクターの行動が、選択肢の内容が、すべてヒロインを嫌わせるように動いている!
 具体的な表現はあえて避けるが、こ、この不条理なワガママっぷり、そして主人公をおそう数々の理不尽な仕打ち!
 そう、今までは魅力的なサブヒロインの存在という形でキャプテン・ラヴの愛は試されていた。そして今回は! メインヒロイン本人の存在がキャプテン・ラヴの愛を試している!
 こっから先はこれから遊ぼうって人(いるのか)に配慮して書きませんが、もちろん理不尽なだけじゃないぜとは言っておこう。障害が巨大なほど乗り越えた時のカタルシスもまた大きいのだ。

 さてちょっと話は切り替わって、今日のゲーム中盤で起こった出来事。
 もうシッチャカメッチャカになってストーリーが猛烈にヒートアップする中、主人公に届く差出人不明の謎の手紙! 謎の……? あれ、なんか登場人物たちみんな、差出人の正体を知ってるって前提で話進んでますよ?
 ……シナリオのバグが発覚しました。
 やっちゃったー!
 この大事なクライマックス直前場面でいきなりの落とし穴である。どうやらこれ以前にある分岐ルートを通るとその人物と出会うことになるらしいのだが、僕はそのルート通過してないのである。だから全然その人物とは初対面なのである。でもストーリー上は「あの時出会った……」式に進んでるのだ。
 ああ、やっちゃった。
 遊んでてこういうのは痛い。醒める。せっかくの大舞台にミソがつく。がんばれオレ、ここでテンション下げるな!
 そしてそこに入るイベントムービー的な演出。ヒロイン愛美の声が入る。
 声?
 あああこれ遠藤久美子のテンション低い演技だー!
 またしてもやっちゃってるよこの人ー!
 そう、オプションで音声OFFにしててもイベントムービーではしゃべっちゃうのだ。そういう仕様なのだ。たぶんムービーの構造が音声トラックと映像トラックに分かれてないとかなんとかなんだろうけど。とにかく僕はもうくじけそうだよ。パトラッシュ、もう疲れたよ。
 そんな感じでここに来てかなり引いたわけですが、あやうく溺れかけたところでイイ感じのストーリー展開になったので、まあ、良し!
 やや具体的に言えば、とある遊技施設上のヒノキ舞台。
 前回もそういうところありましたが、このゲームが「キャプテン・ラヴ」といういわゆるヒーロー物のフォーマットに沿っていることが単なるギャグを越えてちゃんと意味を持ってくるシナリオの妙。
 そして、ええと具体的な表現は避けるけど、やはりあのキャラクターの存在はデカい。このゲームで一番存在感を持っているキャラクターかもしれない。この人がいい感じに軌道修正してくれるのだ。話の流れを俺がやらねば誰がやるという感じに盛り上げてくれるのだ。
 よっしゃ、最高のテンションで最後の戦いだぜ!
 ……あー、分岐ルート通ってないとよくわからない話がまた始まっちゃったよここで。

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2005.07.07(キャプテン・ラヴより)

戦い終わって日は暮れて

 ゲームはひとまずの終幕を迎えた。
 俗に言うトゥルーエンディングと言っちゃって構わないだろう。詳しくは書かないけど、「ヒーローの現実への回帰」を描く、ヒーロー物として非常に正しい最終話だった。……やっぱりヒーロー物だったのか。

 ここまで遊んだ以上、結論をきっぱり出してもかまわないだろう。このゲームはギャルゲーではない。
 とまで言いきるとさすがに語弊があるか。ええと、「恋愛アドベンチャーゲーム」ではあるかもしれないが、それでもギャルゲーではない。
 この日記で何度も書いてきたとおり、このゲームではギャルは攻略対象というより障害物であり、ギャルと恋愛するというよりも己を高めることが目的である。
 そして恋愛アドベンチャーではあるが、それはたまたまテーマとして普遍的でわかりやすい「恋愛」をもってきてるだけで、極端な話「趣味にかける情熱」とか「生きる道」とかに置き換えてもそれなりに話は成立したりする。ギャルがいなくてもゲームとして成り立つのである。それはやはりギャルゲーとは言えまい。
 こうして僕の「ギャルゲーを遊んでみる計画」はプロジェクトの初期段階(だいたいソフトを買ったあたり)で頓挫したのである。慣れないことをしたらこのザマである。しょせんお前はその程度の男だったのである。※この人はひとつの段落中で人称が平気で入れ替わるような文を書いたりしますが、暖かく見守ってあげてください。

 いやまあゲームとしては非常に楽しく遊ばせていただいたのですが。それだけに「2周目」を遊ぶ気にはならないのだった。
 たしかに回収していないルート分岐がまだいくつも残ってたり、オープニングムービー(*1)でなんかやけに魅力的な雰囲気で登場したギャルが結局登場してなかったりするんだけど、結局それは敵が変わるだけで本筋が変わるわけではないのだ。プロットが「主」でギャルが「従」であるこのゲームで、そこまでしてギャルを見たいかといえば、答はNOだ。あとメッセージスキップができないシステムだから結構めんどくさい(ストレートな怠慢)。
 ひとまず今回は奇抜で面白く、あと特撮ヒーロー愛にも満ちた良いゲームを遊んだという認識で、ひとまずめでたしということだ。
 いつか気が向いたら今度こそちゃんとしたギャルゲーでも遊ぼうと思う。でも『みつめてナイト』とか、もうさすがに中古でも売ってないんだよなあ。

*1 オープニングムービー

かなりゆるいアイドルポップス(唄:遠藤久美子)にかなりゆるいアニメがかぶさるが、ときどき非常にテンポが良かったりするのであなどれない。とは言えイセリナが音もなく走ってくる時の演出でヒロインが走ってくるのはどうかと思う。
※イセリナが音もなく走ってくる時の演出=こう書いて意味のわからない人は、むかしの『ガンダム』での死にまつわる演出にそういうのがあったと考えてください。

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