1999.06.06(テレビの話より)
朝八時の狂気
「とにかく一回観てみて。マジで怖いから」最近生活が荒れてかえって早起きになってしまった某氏はそう主張したのだった。金曜朝八時の子供向け番組『テレタビーズ』である。どうでもいいけど、朝早くにきっちり目が覚めてヒマなのはわかるけど、観るなよ。子供向け番組を。
で、『テレタビーズ』。その逆オススメに気圧されて一応録画してみましたが、これ、本当にマジで怖い番組でした。静かなる狂気っていうのはたぶんこのことです。
我々にとっての子供番組といえば『ポンキッキ(ーズ)』とか『セサミストリート』ですが、あれにも一応あれなりに脈絡というかストーリー性はあったじゃないですか(途中にたびたび挿入されるナンセンスな15秒アニメは除く)。そんなものはこの番組にはありません。光を放ちながらひたすらに回り続ける風車。地下から唐突にせりだしてくる伝声管から聞こえる無意味な声。テレタビーズ(※着ぐるみ)達の異常としか言いようのない、意味をなさない会話。それをあの子供番組特有の暖かみのある映像で。それでいてやたらと焦燥感をあおるローアングルを多用。不気味なカット挿入の方法論は、現代前衛映像さながら。これ、子供のトラウマになったりしないのか。しないんだろうけど。でも、怖いよ、これ。
途中に入る子供たちによる工作コーナーなんかは、まあごくふつうでホッとしますが、それも「もういっかい」とか言ってマジでもう一度同じフィルムを繰り返すのは衝撃でした。三、四分はあるフィルムなんだぜ。なんて大胆な演出。
とにかく一回観てみて。マジで怖いから。