2000.05.21(その他もろもろの話より)
37度8分線
ひとむかし程度の以前、PSY・S(*1)というバンドがあって、彼らのある曲の一節に「7度8分のデジャ・ヴ」という歌詞があった。曲名はぜんぜん思い出せない。『パラシュート・リミット』だったかと一瞬だけ思ったが、ぜんぜん違う。たしかに曲調は似ているがしかし違う。タイトルに「薔薇と」という言葉が入っていたような気もする。じゃあ『薔薇とパラシュート・リミット』か。そんなわけがないじゃないか。ここで私が問題にしたいのは実はPSY・Sのことではない。7度8分というあいまいな温度のことである。緯度かもしれないが。経度だったらどうする。どうすると言われても困るだろうが。
たとえばあなたのいまの体温が37度8分だったとしよう。いきなりそんなことを規定する私は何様なのかと少し思ったが、ここはひとつ泣いて37度8分になってほしい。どうだろう、この中途半端な体温は。そして規定したかと思えばいきなり中途半端とこきおろす私はいったい何様なのだろうか。
それにしても37度8分である。37度2分だったらまあ、比較的平気でいられる。ちょっと頭が重いかなとか言っていられる。だが37度8分ではそう呑気ではいられないだろう。かといって、ただ寝ているというのもどうだ。何もしないでいる分にはけっこう体は楽なのだ。なにしろ、何もしてないんだから。これでなおふらふらだったとしたら、それは37度8分ではない。38度を超えていると私は断言する。別に力を入れる場所じゃなかったか。とにかくそういうものなのだ。
寝ていると楽ではあるが、暇でもある。そりゃあまあ、何もしていないわけだから。おまけに体が楽なので、これならイケるとか思ったりもする。かといって起きてなにか書き物のひとつもしてみようかと思うと、これが一向にすっきりしない。頭が痛い。体の動きがどうもしっくりこない。37度8分も熱があればそれも当然なのだ。じゃあ、俺はいったいどうすればいいのだ。病院に行ったところでこの程度では点滴がいいところで、たいして効き目も薄い。だいいち病院に行く道中の手間がいかにも体に悪そうじゃないか。外は寒い。病院は遠い。これはいけない。なんだかよくわからないが、とにかくいけない。明日は学校とか仕事とかに行けるのだろうか。いや、間違いなく行けるんだが、行ったら行ったでふらふらになることは目に見えているのだ。だからといって休んだらそれはそれで寝てる分には元気だったりして、休まなくても良かったような気にさせられるのだ。くそ、なんだこの37度8分というやつは。
ということを、37度8分の熱を出しながら思いました。