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2011.01.10(マンガ・アニメの話より)

2010年のマンガBEST5、を3種類

チャンピオン読者が選ぶ!このマンガが面白いぞっ☆2011」という企画がある。おうとも僕は少年チャンピオン読者だよそうあの4大少年誌のひとつだったはずがいつのまにか「3大少年誌に入ってないやつ」、みたいになってる少年チャンピオンの愛読者ですよチキショー。
 でまあ、マンガも好きだし去年(2010年)もいろいろ買ったわー、だいたい378冊。そこで! さっそうとベスト5を記してみようって寸法よ。ちなみに、見方にバイアスかかりそうで他の人の記事はできるだけ見ないまま書いたら、なんか、僕のほど長々と書いたりするのはめずらしい方みたいよ? ちがうの、空気読まなかったとかじゃなくて、記事読んでなかっただけなの(わりとうまい事言ったつもり)。
 おおむね「読んでない人にむけたおすすめ」として書いていますが、週刊チャンピオン掲載作はそういうことしてません。週チャン1冊読めば全部わかることだからな! ガハハハ! 面白いんだから買っちゃえよ、週チャン! あの「3大少年誌に入ってないやつ」! チキショー!!

秋田書店作品部門(週チャン作品除く)

対象:2010年に秋田書店から単行本が刊行された週チャン連載以外のマンガ作品

1位『真マジンガーZERO』

現代のスタイルで蘇った「熱血」! 地球規模のスーパーロボット戦を堪能!  『アクメツ』コンビ(秋田書店にこだわらないなら『コミックマスターJ』コンビ)の新作は、まさかのスーパーロボットリメイク! しかしこれがなにしろ地力のある作家だけに完全に満足の好リメイクとなってます。「原作を知らないから、ちょっと」? 大丈夫、実はオレも原作自体は未見だけどものすごく面白いよ!(あまり強い思い入れがない・読みながら検索したりして「あーこれはあれが元でこうなったのか」と2度楽しめるぶん、そっちの方が案外いいのかもしれませんね。後付けだけど)
 まず第一に熱い! 元々整理されつつも迫力のある絵を描く作家だったけど、ここでは原作(テレビアニメ・マンガ双方)をオマージュした野太い迫力の線で、構図で、デフォルメで、どのページを開いても大迫力!
 その絵で文字通り「神にも悪魔にも」状態と化したマジンガーの大破壊と虚無を描く第1巻は、もう善悪関係なく燃えることうけあい。さらに一転してコミカルな第2巻はいかにも原作の味を感じさせ、……こうして書くと1巻と2巻の内容に温度差がありすぎる。えーとこれはネタバレになるので詳しく言わないけど、ある重要な設定によってこうなるんです! あえてそこは説明せずに話を進めると、今風なスタイリッシュさと永井豪的どろ臭さをうまいことミックスして楽しく読めるのが第2巻。しかし楽しいだけで終わらないのは当然、いよいよ加速する第3巻では機械獣1000体単位の大決戦が!
 大迫力の筆致で描かれる絶望的な戦況、笑って死地に赴く戦士たちのカッコ良さ、この熱さを維持したまま第4巻掲載分はさらにヒートアップしていく!
 いま「熱血」を描こうとするとどうしても笑いか失笑がついてこざるをえない現代、しかし本作では原作が原作なので熱血もいたって自然! 旧作のリメイクにはこういう効能もあるんですな。
 原作と永井豪作品へのリスペクトに溢れたオマージュ、パロディ、リファイン、これらの情報量の多さもオタク的にはたまらないところでしょう。諸君、Google画像検索とWikipediaの出番だ!

2位『ミカるんX』

笑いと熱さとこのさい何でもありの変化球剛速球。高遠るいの真髄ここにあり!  このマンガをさらりと説明するのは不可能に近く、それでもあえてキーワードを並べるなら「特撮」そして「巨大裸女」! ほら、なにがなんだかわからない。
 話の構造だけ引き抜くと、いわゆるウルトラマン形式(もっと今風にいえばエヴァンゲリオン形式)。おおむね1体ずつ現われては破壊をもたらす怪獣に対し、主人公ふたりが合体(「合大」)して巨大ヒーローとなって戦う、という感じです。特撮ヒーローマニアの作者ならではな遊び心もありつつ本気のバトルもあり、しかしその本気バトルをしているのが巨大裸女というあたりの何がなんだかわからなさがこれまた作者らしいところ。ハハーンつまりエロいマンガですなと思われるかもしれませんが、びっくりするほど健康的だし変身した本人も特に恥じらわないしでエロさがまったくないよ!
 構造は基本(特撮バトル)に忠実、内容は変化球(巨大裸女)。ここにものすごく雑多なオマージュとSFと複雑な伏線、そして作者一流のめっさとぼけた笑いまでがばんばん混じっていよいよカオスな世界観ですが、ここまで来た上でむしろメインと言えるのが戦いの中で語られるドラマです。
 主人公の2人は凜としたリアリスト・ぽやぽや系世間知らずと対照的ながら、どちらも非常にまっすぐ。知り合いが傷つけば本気で怒るし、仲間が辛い時は苦しみを共有して力になろうとする。そんな子らの全身全霊を賭けた(それでいてポジティブな)激熱バトル、これで燃えなかったらウソでしょう!
 「第壱期」完結までのわずか4巻の間にごく自然に神レベルの敵と渡り合うことになるテンポの良さも気持ちよく、2巻は1巻の倍面白く3巻はそのまた倍テンション上がる倍々ゲーム式の展開。連載中の「第弐期」がまたもやスゴいことになっている現在、まずは1〜4巻までお読みになることを勧めます。
 あ、1巻表紙で事実をかなり誇張しつつ描かれてるように百合要素も(おもに片方から一方的に)ありますが、これは作者のデフォルトですし気になる人でも気にならない程度の描写なので、まあ、そこだけ知ってれば大丈夫!

3位『地球の放課後』

「日常系」のある種の到達点。確かな実力で読ませるワンアンドオンリーのジャンルマンガ!  器用。ガンアクションから百合マンガまで、ひたすら器用にソツなくこなしながら器用貧乏に陥らず自分のスタイルを持っている実力派、吉富昭仁先生の最新作のひとつ(いろいろかけもちしてるので)がこれ。
 舞台は現代。人類を「消す」謎の存在ファントムによって世界は壊滅し、残されたのは主人公と旅の仲間3人だけ……。そんなあらすじだけ言えばハードサバイバルなはずが、本作は……その、言ってみれば……日常系?
 危機感たいしてなし! エンジョイする気まんまん! 時間はたっぷりあるからガッつきもせず! まさに毎日が「放課後」のまったりサバイバルライフが続きます。
 カラッとした清潔な絵柄で描かれる「人だけがいない」都市の気持ちよさ(似た設定では映画『アイ・アム・レジェンド』冒頭を思い出しますが、本作では日当たりも良くひょっこり誰かが出てきそうな生活感があってとても明るい感じ)。そこに作者のはたから見てて心配になるくらいの「風景」にかける情熱、絵の力があるからとても説得力。このガランとした東京を自由に使っていいなら、楽しもう! たっぷり寝よう、お店の物持ち帰ろう、好きなとこに野菜植えよう、もう泳ごう! この明るさがやけっぱちなものでもなく「他にも仲間はいる、きっとみんなも戻ってくる」という健康な発想からきているので陰鬱なところがなく楽しく読めるというもの。
 日常系であれば大きなドラマもそんなに起きないわけですが、明るいサバイバルの知恵や「まったりした放課後感」の叙情的な感覚、ちょっとした思いやり、そういう気持ちよさだけで十分読ませるのがこの作者のおそろしいところ。文字通り「このマンガがすごい!」こんなマンガ見たことないよ!
 まったりライフの中でも一応大消滅の謎解きはSFチックにしっかりと(ただし、とてもゆっくりと)描かれてはいくのですが。謎といえばピンチの時でも女の子2人(と自由すぎる幼女1人)に囲まれてても平常心でしかもサバイバルに長けた主人公、正史の聖人高校生ぶりにも読んでてイヤミを感じないというのが一番の謎だったりして。現在2巻。

4位『人間失格 壊』

新鋭異色作家が達した新境地。紙に叩きつけられた情念に注目!
人間失格 壊 (チャンピオンREDコミックス)
ニノ瀬 泰徳 太宰 治
秋田書店 (2010-07-20)
 「あの二ノ瀬泰徳が『人間失格』を描く!」 連載予告の時点でそれは爆弾のようなニュースでした。従来の二ノ瀬=そんな触手ただのヌルヌルしたヒモだ=泰徳先生といえば全1巻『魔女の騎士(ヘクセン・リッター)』で知られ、もっとありていに言えば「触手と女装少年のマンガ家」であり、その精神の根幹からの徹底ぶりはつとに有名です。その後いくつかの実験的な(あと常に触手が出てくる)短編をものした後に突然の太宰治! 血迷ったか、というかそれはいつもか!
 ところが触手と女装少年のインパクトの陰に隠れがちですが、実は「自分」に悩む人間のドロついた苦悩を描くのもデビュー作以来の二ノ瀬マンガの特徴だったりします。そこに『人間失格』。懊悩の物語の傑作である原作を得て完全に振り切れた、そう言っていいでしょう。原作は読者に感情移入させつつ、その主人公がどうしようもない絶望に何度となく陥りつつ、ページを繰る手は決して止めさせない、見事な鬱系エンターテイメントでした。二ノ瀬版『壊』ではここに加えてさらに原作をスクラップ&ビルドした展開と凄惨なまでの執拗な描き込みで、ビジュアル表現・マンガ表現としての絶望を見事に描ききっています。全てのページ、全コマがこれ入魂。これだけですでに必見! ここまで激しい、正直ムチャクチャでさえある表現があったというそれだけで、2010年のマンガ史のひとつの事件だったとは言いすぎでしょうか。
 さて、二ノ瀬マンガといえば懊悩。しかしてそれを苦しみながらもはねのける強さとカタルシスもまた二ノ瀬マンガの真髄でもあるのです(ウソのようですが本当。『魔女の騎士』でも遺憾なく発揮されていましたね)。ではこの絶望ばかりの物語に、はたして二ノ瀬マンガはどう決着をつけるのか? 原作を「壊」してまでも心の力を信じて貫くのか、それとも自分のカラを「壊」してあの原作のエンディングを迎えるのか? そこは実際に読んで確認すべき所でしょうし、読者によって受け取り方にも幅が出そうなところですが、個人的には「見事!」とまったく感じ入ったとだけ言っておきましょう。
 原作も今なら手軽に青空文庫から無料で読めますし、わりと短い話なので全1巻の『壊』とセットで読んでみてはいかがでしょう。2倍、3倍に楽しめると思います。
 ちなみにおなじみ触手と女装少年ですが、原作通りに幼い頃に女装をさせられますし、触手も人の悪意や肉欲といったものの比喩表現として念入りに描かれます。さすがだ!

5位『シグルイ』

侍マンガの金字塔。長編がもつ重みがラストに結実する!  もはや説明不要では? 掲載誌を知らない人でもこれは知ってるという代表選手、このマンガのインパクトから絶版だった原作まで復刻された、あの締まり屋の秋田書店が「関連本」まで出した、こう言っちゃなんだけどあまり需要がなさそうにもかかわらずテレビアニメにまでなった、残酷時代劇の傑作です。
 静と動のド迫力に、加えて必殺技に弱い男の子ゴコロまでくすぐる見事な剣戟。「死狂い」の狂気が生む圧倒的な重み。容赦ないスプラッター描写。男の筋肉から匂いたつ色香。交錯する二人の剣士の情念。まさに傑作!
 しかし身も蓋もない言い方をしてしまえば、全15巻というのはさすがに(元々の原作が短編小説だったことも含めて)ストーリーを引き伸ばしすぎという面もあったと思います。あの描写ははぶく方が作品にはプラスだったのでは? 少なくとも「がま剣法」のエピソードだけは不要だったのでは? 読んでてそういう思いがあったのも事実(後に作者本人が語るところでは「がま剣法」は自分へのサービスとして描いていたそうで、たしかにそこまであからさまに言われるとぐうの音もでないですが)。
 そんな『シグルイ』が今年ついに完結! リアルタイムで連載を追いかけていましたが、終盤を読むにつけ「あの描写はむだじゃなかった!」と考えを改めることしきり。まあ、がま剣法はともかく。すべての要素に、ひとコマひとコマにそれまで費やされた時間分の重みが加わって、この迫力はなるほど長編にしか出せないもの。
 原作でこの物語(『無明逆流れ』)がどういう結末を迎えるかはもう確定しているものの、『シグルイ』ではこの試合に至るまでの長い描写の中で、原作と食い違った部分もできたのは明らか。このまま原作通りに終わるとはどうしても思えない中、はたしてどう着地させるのか? そこで作者が描いたアンサーがこれまた見事のひとこと。原作をたしかに踏襲した決着、しかしそこで描かれた深い思いと、描き加えられたあの終幕は! まさに残酷、これほど壮絶なエンディングはまったく想像していなかった。劇作として冷静にクレバーでいつつ、深い業を描ききったあのラストはこの作品を確かな傑作として確立したと思います(ただあのラスト、あんまり額面通りにとらえると「?」となってしまうようですが……この辺り解釈も分かれるところですが、個人的な解釈はtwitterでひどく簡単につぶやいています。,)。
 全15巻。ここに書いた通りやや長いですが、しかし(モツなどに強い抵抗がなければ)完結まで読む価値のある名作でしょう。

つけたり

 こうして挙げてみると、奇しくも全部が『チャンピオンRED』掲載作になってしまった。実際、自分が買っている週チャン以外の秋田書店系誌は『RED』と『いちご』だけで、好きな雑誌にはそれだけの理由があるというところだろうか。
 と言っても他誌にもランク外ながら傑作・怪作がずらり。笑いと生死がオフビートに交錯する『ヴォイニッチホテル』はもっと巻数が進めばいっそう評価が上がっていくだろう。
 総じて秋田書店系のマンガはディテールよりも根本のレベルでフリーダムまたは過激であり、その代表選手と言える山本賢治(原作)の『trash.』のエクストリーム(エクスプロイテーション?)ぶりは「山賢」の復活を強く印象づけた。
trash. 1 (ヤングチャンピオン烈コミックス)
山本 賢治
秋田書店 (2010-12-20)
 『バビル2世 ザ・リターナー』は『マジンガーZERO』と異なるリアリティ重視のアプローチで、まだ序盤1巻の段階でも好リメイクと言っていいだろう。
 『ワルタハンガ 夜刀神島蛇神伝』は掲載誌のリニューアルに合わせてという不幸な形での打ち切りとなったが、怪生物パニックホラーというジャンルを見事に消化して畳みきった手腕はもっと評価されていい。
 いっそう作画表現を先鋭化させつつある『ブラック・ジョーク』、短編連作のスタイルを堅持しわが道をゆく『フランケン・ふらん』、いずれもそれぞれの形でシニカルで過激、一読の価値はある。
 まだ未単行本化でノミネートの条件を満たしていないが、徹底的にデタラメだった『おっパ!』、激しい熱量を秘めた『このはな』など『いちご』掲載作も注目株は多い。『プリンセスGOLD』誌でも、梅田阿比の連載の試金石を思わせる短編『ブルーイッシュ』が掲載され、なんと米原秀幸原作という『GOLD RUSH』の新連載も決定している。
 今年も秋田書店に注目せざるを得ない1年になりそうだ。

秋田書店以外部門

対象:2010年に秋田書店以外の出版社から単行本が刊行されたマンガ作品

1位『嵐の伝説』

「若き日の嵐 文吾である!!」それだけで笑えるとてつもない新感覚ギャグ!  1話12ページの短編連作ギャグマンガを、ここで1位に据えることに多少のためらいはありました。しかしこのマンガ、どうしようもなく面白い!
 ギャグ(厳密な分類だとコメディー)マンガにあんまり「面白い!」を連発してもハードルが高くなってしまうので、まずは単純なあらすじだけ紹介。文明が崩壊した近未来、異形クリーチャーの跋扈する荒廃した世界に現われた一人の英雄、嵐 文吾あらし ぶんご! 嵐は強いカリスマ性とリーダーシップから人類の新しい希望となっていた。……しかし、まだ特に文明の崩壊していない現代、彼はただのマイペースで偉そうなだけのろくでなしだった!
 言うなれば「乱世の英雄、治世のダメ男」。乱世で皆が頼りにする苛烈な決断力も、平和な現代では「空気読まずにやりすぎ」でしかない。前半カッコ良く描写される未来の嵐(前フリ)、そして後半これただのバカじゃねえか!な嵐(オチ)。やってる事は同じなのにこのギャップ。しかも入魂の劇画タッチで言葉遣いも常に堂々としているから(現代では)たちが悪い。
 基本的にはこのワンアイデアの一点突破なんですがこれが面白いんだからしょうがない(あっ、また面白いって言っちゃった)。加えてなんだか説得力のある物々しいナレーション。「これは嵐が宿す苛烈さの発現であった!!」(※人の物を粗末に扱う横で) このナレーションの言語感覚、作者はもともと週刊チャンピオンで『富山ねじ』『コトノハ学園』といったやっぱりどこか変わった言語感覚の短編シリーズを描いていたんですが(現在も読者投稿コーナーのイラスト担当)、その能力をさらにパワーアップした感じ、といえばチャンピオン読者にはわかりやすいでしょうか(せめえ!)。
 こんな話なのに実はキャラクターも魅力的で、正直にいえば未来でのカリスマ性あふれる嵐の姿に素直に格好いいと思っちゃう自分を認めざるをえない。未来で敵対する殺人鬼「首刈りアズサ」の現代の姿なんか普通に超かわいい。まあ将来的に殺人鬼ですけど。
 同じように、少しずつ明らかになっていく未来の様相もまた意外にドラマチックで、これはこれでまた面白いと思わされてしまったり(そういえば前作『コトノハ学園』でも劇中小説で新奇な密室ミステリを描いたりもしていましたね)。その意味ギャグマンガの範疇も超えていて、いややっぱり1位にしちゃうでしょこれは。単行本にはものすごいディテールでそして特に意味のない(ひどいな)書き下ろしも満載で、連載読者にもおすすめ。もうすぐ第2巻も発売になるよ!

2位『バニラスパイダー』

センスで一気に突っ走る、これがセカイ系の最新モード。  まず先に言ってしまうと、これ意地悪な見方をすれば完全に「セカイ系」というジャンル漫画です。不器用で傷つきやすく世界とうまく折り合いをつけられない少年が、突如として不可解な世界の危機に直面し、そのたった一つの対抗戦力として理不尽に戦いに巻き込まれ、何度も傷つきながらもかすかに報われ、戦いの中で守るべき者を得て少年は大人になっていく──おい、テンプレもいいとこじゃねえか!
 と、批判することは簡単なんですが、しかしこういうジャンルがテンプレになるのは実際それがとても読者の心を惹くからで、その点本作がまったく読者の期待を裏切らないことは保証済みとも言えます。もちろんそれだけでは単なる一ジャンル漫画であって「このマンガがすご」くはないのですが、そこをスゴいと思わせるのがこのマンガの独特のスタイル。
 木版画のような鮮烈で繊細な白と黒の画面。奇怪で生物的で奇妙なリアリティを持った異形「エレベター」のデザイン。乗っ取られていく町の恐怖。重苦しい中にもとぼけた味のある笑い。エレベターを斬る時の“どろり”とした感覚と、噴き出す血しぶきの重量感。
 特にいつか見た暗い夢のような舞台美術は必見で、町の上に張った巨大なクモの巣、しんしんと降りつもる白い雪、武器になる無骨な「蛇口」(本当に鉄パイプの蛇口!)、吊り下げられた自動車、廃棄された遊園地のコーヒーカップ、閑散とした動物園……、こうしてキーワードを列挙して伝わるものか自信はありませんが、ぼんやりと不安をかきたてつつどこか懐かしくもある、「気持ちの悪い気持ちよさ」はこの作品ならではの感覚。この世界の中で丁寧に描かれる孤独な少年の戦いは、セカイ系という範疇を超えたオンリーワンと言えるでしょう。
 残念ながら連載は打ち切りとなりましたが、それをほとんど感じさせないキレイなまとめ方で全3巻、簡単に揃えられる冊数でもあり非常にオススメです。ちなみに作者の新作『血潜り林檎と金魚鉢男』は電撃コミックジャパンで連載中。

3位『花もて語れ』

マンガは「朗読」さえも表現してしまった。等身大から描かれる圧倒的な世界。
花もて語れ 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
片山 ユキオ
小学館 (2010-09-30)
 あの片山ユキオ先生の新作。前作『空色動画』では手書きアニメーションを題材に、「動き」をマンガで描くという不可能事をやってのけた作者ですが、今度の題材は「朗読」! 確実にマンガ向きじゃない! 動画ならまだ「絵」という共通項がありましたが、朗読は文章と声の世界。いったいどうすんのこれ。
 と、この不可能事をまたしてもやってのけたんだから物凄い。構造としては、「朗読によって聴衆の脳裏に現われるもの」を描くということになっていて、なるほど理屈としてはたしかにぐっと不可能から可能に近づいた。しかしこれは「とても上手い朗読」のマンガ化なわけで、ただ絵にするだけでは足りんのです。とても上手い朗読が見せるであろう世界を絵に描くには、とても上手い描写力が必要なはず。怖い場面にはものすごく怖い絵を、楽しい場面にはものすごく楽しい絵を描かねばならないわけで、これが既に無理難題ですよ。
 そこに作者は真正面からマンガの力でぶつかっていきます。構図、コマ割り、「間」、書体、人間と物語世界の画面の重ね合わせ、もうおそらくマンガでしかできない表現を駆使して朗読の世界を誌面に引きずり出す!
 また古くは『ガラスの仮面』では演技のすごさというマンガ化しづらいものを、聴衆のリアクション(「おそろしい子……!」)で表現するというテクニックが用いられましたが、『花もて語れ』はその正統進化形のひとつだとも言えるでしょう。朗読によって生まれる聞き手の心の動きを同時進行で描き、時には聞き手の経験を対比させることで読者により具体的なイメージを持たせ、ストーリーの流れで朗読の世界を補足し、ああもう書き出せばキリがないくらいあらゆるテクニックが使われているのです。一読すれば「朗読って凄い!」と思っちゃいますが、おい、これマンガだよ!
 技術論をさておいても、朗読の力が人を変えるというドラマも見逃せません。主人公自身がいっぱいいっぱいな女の子で、朗読の才能によってこれからどう変わっていくのか。前作でもヤスキチが似たポジションのキャラでしたが、その変化を知っているだけに本作の今後もきっとうまくやってくれるはず、という期待がありますし、現在第1巻時点でのある「聞き手」にも大きなドラマがあります。この続きが気になるものの2巻は今春発売予定。今のうちに1巻を買って一緒にやきもきしてみてはいかがでしょう。

4位『サムライ・ラガッツィ 戦国少年西方見聞録』

いま一番アツい理系の冒険野郎! 清く正しく、新しい少年漫画  作者の金田達也先生は、おなじみ藤田和日郎先生(『うしおととら』『月光条例』など)門下の出身で、特にまっすぐで熱くも優しく明るい、少年漫画な作風はいかにも藤田直系を感じさせるものがあります。前作『キミタカの当破!』とか……うん、あんまり知られてないし2巻で打ち切りだったけど、すごく良かったんだよ。
 その最新作である本作は、戦国時代が舞台。というとぐっと硬いイメージを持つかもしれませんが、少年が元気に動き回る、いたって明るい少年漫画になっています。そもそも大合戦が起こる前に日本を飛び出してローマに向かうし!
 サムライ少年のローマ行すなわち「天正遣欧少年使節」が話の元ネタですが、主人公・播馬晴信は人夫あつかいの下働き。その目的は「この世界を全部知ること」!(さらにその先にひとつの大きな野望があるのですが、それはネタバレ) つまり知識欲が彼のバックボーンなのですが、その行動は書斎派ではなく至ってアクティブ。本草学目的で野山を駆け回って自然に鍛えた体と目の良さ、それに頭に叩き込んだ雑多な知識を武器に、旅の困難や邪魔者相手に一歩も引かない元気な少年です。
 しかもこの男、元気なだけならず実に気持ちが良い! 戦国の世でも誰も殺さない、自分の前で人が死ぬのも我慢ならない、言ってみればとんだ甘ちゃんですがそれを自分の命を張って、かつただの精神論でもなく「どうすればできるか」を常に考えてやってのける。こんな痛快な主人公、好きにならずにいられないでしょう!
 その主役とコンビを組むのが、戦国最強と言われた忍者・桃十郎。彼も晴信の人柄とウデにほだされ従者となるのですが、そうは言っても殺し屋の目をしたどシリアスな男。晴信の行動にも懐疑的に接しつつ、主のピンチや求めとあらば「やれやれ」と忍の腕を発揮する、これがまた格好いい! 熱く優しい少年と凄腕クールガイの凸凹コンビとなれば、男は燃え腐男子は萌ゆるというもの。
 現在単行本はまだ1巻。このとびきり気持ちよく面白いマンガが長く続くように、そして何はともかく前作の2巻のカベを破るように、みんな応援してくれーッ!(わりと本気で)

5位『LOVE SO LIFE』

文句なしのかわいい女の子の育児奮闘記。優しく清廉な世界のニヤニヤ  本作は強引に分類するなら「職業もの」になるでしょうか。主人公の女子高生・詩春しはるはアルバイトのベビーシッター。とある事情でメインキャラの双子の2歳児兄妹の世話をすることになった彼女が、持ち前の才能と愛情と機転で育児のちょっとしたハプニングを解決していくのがひとつの見せ場になっています。もちろんそこはほのぼの系の清らかなマンガ。育児疲れとかネグレクトとかDVとか難病とか事件とか出てこないから、秋田書店じゃねえからこれ!(秋田書店に対してやや偏見がある) あえて他のマンガでマンガを例える愚を犯せば、『よつばと!』でとーちゃんの育児っぷりを見るのと近いものがある、と言えばイメージはしやすいでしょうか。
 マンガにおいては血と肉とか爆発とかひねくれ・ねじれとかをわりと愛する筆者ですが、本作を愛するのはむしろその毒気のなさゆえ。基本的にレギュラーキャラはいい人ぞろいでタイマン張ったりなどのない世界観ですが、主人公のしはるはその中でもずば抜けた良い子。何につけ他人に優しく自分に厳しい。欲がなく健気な分ささやかな善意にも敏感で、必要としている相手には世話焼きしっかり者。家庭的なスキルは抜群でもオシャレには疎いお母さん体質。しかも笑顔が可愛く、普通にしててもなお美人ときた。
 うんまあぶっちゃけ萌えるよね。この萌えのベクトルは「イカ娘がかわいい」と思うのと同じような、おのが邪気の霧散するタイプの萌えであり、言ってみれば「しはるすげえいい子」という点だけに注目しても毎話楽しく読みきれるだけのポテンシャルがあるというか。もちろんイカ娘同様、話そのものも中身がちゃんとあるのでそこだけに注目する必要はありませんけど!(実際この「いい子」ぶりは元々の性格に加えて、ある事情から生まれた引け目も混じっていて、それが解けていくのが見逃せないドラマになってもいるんですが……こう書くと一見重そうに見えちゃうから割愛!)
 本作、少女マンガであれば惚れた腫れたがあるのはデフォルトですが(これもわりと偏見)、この作品の恋模様が異様に健全なのも初心者には嬉しい仕様です。大丈夫、少年マンガ読者にもイケるよ! まずしはる自身が奥手というかまともに異性を意識していない。一方「本命」キャラに位置する、双子の保護者の若手アナウンサー(ややこしい事情をはぶくと、双子の親ではないし未婚)松永さんはマジ紳士な社会人でしはるを人間として尊重するものの恋愛対象範囲としては見ていない。つまり恋が始まってすらいないのですが、時にはどちらか一方が思わず意識して顔を赤くしたり「いやいやいや、それはない」と必死に煩悩を否定したり、ちきしょうニヤニヤさせるじゃねえか!
 こういうマジ天使な女の子に「本命」以外の男の影がちらつくとそれだけでチッ、となってしまうのは我らダメオタクの悪いクセですが、その点も安心して読める心配りは空恐ろしいほどで、しはるに想いを寄せる幼なじみはろくに気持ちを出せないシャイボーイ、遊び人キャラはチャラいが遊び人ゆえにかえってしはるは対象外、しはるに2番目に近い位置のレギュラーすら「比較的気安い相手」以上にはまったくならない、という徹底ぶりです。良かったじゃんか、我らダメオタク共よ!
 本作、1巻の時点では不定期連載の短編あつかい(週チャンで例えると『キザクラショウ』のような……むしろわかりづらいか)だったので1話ごとに全要素ぶっこむ分ダイジェスト感が強かったり、連載に昇格した2巻からも掲載誌が異動したので基礎設定から追い直し、みたいになっていて本格的にエンジンがかかるのは3巻から、という辺りが人に勧めるときに難しいところでしょうか。1巻で何か感じたら続巻を、と覚悟を決めるのもいいですし、「引っ越し後」の2巻から読み始めても違和感はないはず。現在5巻、今月発売の次巻では話がいろいろ動くとの情報にハラハラしつつ。

つけたり

 一番ランキング選びに苦労したのがこの部門だった。実際、秋田書店系のマンガが好きで昨年買った冊数トップも秋田とはいえ、冊数全体から見れば21%にすぎない。「秋田以外全部まとめて」79%の中から選び出すのはなかなかに難しかった。
 結果的に「あまり知られていなさそうなところ」に偏ったきらいはある。たとえば元祖「このマン」1位の『進撃の巨人』は筆者も傑作と思っているが、もう知らない読者も少なかろうと真っ先にノミネートからは外してしまった。
 冒頭のテンションを最後まで維持して見事に完結した『惑星のさみだれ』もやはり「誰でも自然に読むだろう」という判断があったのは否めない。平野耕太節がいっそう高いレベルで結実した、作者にしか描けない怪良作『ドリフターズ』にも同様のものがある。
ドリフターズ 1巻 (ヤングキングコミックス)
平野 耕太
少年画報社 (2010-07-07)
 選外にしたことを我ながら惜しいと感じたのは、童話のような優しい短編連作ファンタジー『できそこないの物語』、怪談をテーマに言霊で戦う異色サスペンス『詭弁学派、四ツ谷先輩の怪談。』だろうか。どちらも2010年に完結。セールス的に奮いはしなかったようだが全てにおいて高いクオリティで「名作」と呼びうる作品だったと思う。
 クオリティという点でずば抜けていたのは、航空機トラブルに絞った娯楽作『CAPTAINアリス』、小説コミカライズの最高峰と呼べる『魍魎の匣』、少年期の友情というテーマを徹底的にエンターテイメント化した『友達100人できるかな』、本格戦記を美麗な美術表現とともに描ききる『将国のアルタイル』。この辺りはできれば外したくはなかった。
魍魎の匣 1 (怪COMIC)
魍魎の匣 1 (怪COMIC)
posted with amazlet at 11.01.10
志水 アキ
角川書店
 「このマンガがすごい!」というテーマでは当然言及すべきだろう異色作・怪作では、近年いよいよ美術表現の限界に挑むがごとき『孤高の人』、野生と文明という大きなテーマに持ち前の作家性で正面から挑んだ『どうぶつの国』、登場人物の異様なエキセントリックさで異端化した正統派娯楽作『ノノノノ』、バカと叙情を同時に語りきる『しまいずむ』などはお薦めせずにいられない。
 ショッキングな2010年の事件として、暗澹さと圧倒的な後味の悪さでは何より群を抜く『千九人童子ノ件』、生に対する悪と冒涜を描ききった『神の子供』の2作は(決して簡単に人に勧められるものではないにしろ)忘れることができない。
千九人童子ノ件 (ビームコミックス)
羽生生 純
エンターブレイン
神の子供
神の子供
posted with amazlet at 11.01.10
西岡兄妹
太田出版
 ファーストガンダム好きなら、という注釈つきになるが『光芒のア・バオア・クー』『ギレン暗殺計画』『ジョニー・ライデンの帰還』3部作も、近年では出色のリアル系ガンダムマンガとして書き留めておきたい。
機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー (角川コミックス・エース 83-10)
Ark Performance
角川書店(角川グループパブリッシング)
機動戦士ガンダムMSV−Rジョニー・ライデンの帰還 (1) (角川コミックス・エース 83-9)
Ark Performance
角川書店(角川グループパブリッシング)
 他にも良作・傑作はあるが、あまりにも取りとめがなくなってしまうのでここで一旦筆をおこう。

週刊少年チャンピオン部門

対象:2010年に単行本が刊行された「週刊少年チャンピオン連載」のマンガ作品
及び、週刊少年チャンピオン本誌2010年NO.1〜NO.52に掲載された読み切り・短期連載を含む全作品

1位『バチバチ』

 パーフェクト。これ以上を望むのはいけない事なのではないか、そう本気で思っているのがこのマンガです。ストーリーから演出表現、週刊連載としての「次号に続く」ヒキ際まで、スポーツマンガとして、男の成長マンガとして、完全に最も近いところにあるのでは。
 あまり売れているとは言えないのは、相撲というテーマと少なくとも今風とは言えない絵柄が読者を選んでいるのか、はたまた筆者の好みがかたよっているのか、そもそもチャンピオン連載作だからか(少し悲しくなった)。アニメ枠のCMでも『バチバチ』の名が呼ばれているあたり、誌面ヒエラルキーの中でも決して低いわけではないと思うんですが……。

2位『みつどもえ』

 「徹底的な密度」、このマンガのすごみはそこにあるのではないでしょうか。わずか数コマに1つは常にある笑い、毎話ボケが連鎖してラストに決着する綿密に設計された展開、相関図がすごいことになるキャラクター同士の関係性、読者に委ねられた妄想の余地、はてはサブタイトルのパロディから単行本描き下ろしの豪華さまで、すべてにおいて高密度。
 もちおん萌えあり加えてゆがみあり、こんないいマンガそうそうないよ! コメディー、というかコントマンガ?として最高峰とここに断言してしまいます。

3位『ケルベロス』

 女の子をリョナる(専門用語)ことにかけては少年マンガ界最強との呼び声も高い作品ですが、そのへんの嗜好はさておき。というかそこばかりクローズアップしてもおかしいだろう、という意味でも「応援したくなるマンガ」No.1です。
 すごい熱量と異質性を持ったまま熱い少年マンガを続けている作者を応援したく、またまっすぐで優しい主人公はじめへこたれないヒロイン陣、それぞれの事情それぞれの正義の中で葛藤するサブキャラクター達、素直に感情移入して素直に応援したくなる!
 少年マンガには「熱さ」も大切ですが、言うなれば「人柄」も重要な要素だと思うのです。

4位『出陣!!ムショ高排球軍』

 「将軍」とバレーボール。そのイカれた世界観の中で、しごくまっとうに時に熱く、時に楽しく、これぞチャンピオン流スポーツ漫画! と言うにはさすがに変化球すぎたのか、リアルタイムの誌面掲載位置がすごく不安であり話の展開の早さにもこれまた不安がつきまとうのが現状。
 それでもオレはこのマンガがスゴいって言い続けるよ! だって面白いもん!

5位『弱虫ペダル』

 とびきりの熱さ、スピード感、友情、キャラ立ち、名悪役、なんでも揃ってるスポーツ漫画の傑作。ただ妙に「波」のあるマンガで、どうも週刊連載のペースにうまく合わない時があるようにも見える(あまり評価の高くない14巻辺りの展開も、エピソードの位置関係を整理するだけでかなり変わっていたはず……と個人的には思っています)のがランクに影響したという感じ。それでも傑作良作怪作ぞろいのチャンピオンマンガの中で5位に入れてるんだから評価はかなり高いですよ!

つけたり

 週刊少年チャンピオンにも色々な事があった2010年だった。もう遠い過去のような気がするが『ネコチワワ』が終了したのは2010年第1号なのだ。
 ランキングを作ってみると5位中3作がスポーツ物という結果になったのは少々意外だ。そういえば週刊チャンピオンのスポーツ物は滅多にハズさない傾向があるかもしれない。短期集中連載『Goofy』のような正統派から、『マウンドの上の焔立つ!』『タイガーリリー』のような異色短編まで、非連載枠でも健闘が目立った2010年だった。『ANGEL VOICE』『ハンザスカイ』など連載中作品もクオリティは高い。
 嬉しいトピックとしては『出陣!武将頭高校排球軍(ムショ高排球軍)』『スーパーバイトJ』『キガタガキタ!』この3作が本格連載に昇格したというのが大きいだろうか。総じて2010年に始まった新連載はこれまでに挙がらなかったところでも『AL』『シュガーレス』『はみどる!』『仁侠姫レイラ』と粒ぞろいで、雑誌としての活気を強く印象づけた。
 連載陣でも『ナンバデッドエンド』『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』はクライマックスに向け盛り上がり、安定したクオリティの『釣り屋ナガレ』『侵略! イカ娘』(優れたアニメ化も忘れることはできない)『クローバー』『木曜日のフルット』と豪華な布陣で筆者にとって「読み飛ばせるところのない漫画誌」となった。
 実験的に開始され、近く終了を迎える予定の「週刊少年チャンピオン the WEB」も、週2回のお楽しみとしてすっかり定着した感があり今から再開が望まれるところ。施川ユウキ作品の掲載は決定済みとして、他にも『ひよりびより』『ドラゴンスワロウ』『禍々! 桂さん』などは本誌にもみずみずしい力を運んでくれそうで本格連載にも期待したい。
 最後になるが『悪徒』が完全版としてまさかの復刻というトピックも2010年の事件として特記しておくべきだろう。秋田書店ではなくエンターブレインから、という所がなんとも単行本に締まり屋の秋田書店らしいが。今年は「惜しまれる単行本未収録作」の出ないよう祈るばかりだ。

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 匿名上等・あいさつ不要・タメぐち有りというルール無用の残虐ファイトがまかり通る悪夢のコメント欄。そこでは管理者の「なんかノリが合わねえ」の一言でコメントが削除される恐怖政治が横行していた。
 その時、この地獄の地にあえてコメントを投稿する恐れ知らずの猛者が現われたのだ! いや、あなたの事ですよ?
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