ディスクライターTOP15
ディスクライター対応ソフトラインアップの増加(この時点では全22作)を受けて、「ディスクライターTOP10」のコーナーが今号から「TOP15」に変更された。
この号のヒットチャートは1位『パルテナの鏡』、2位『もえろツインビー』、3位『ガルフォース』と話題の新作が初登場でトップ3を独占している。
海外特派員レポート
「えー今回は、アメリカはラスベガスで開催された見本市の報告をしちゃうのだ。CESっていうやつなんだけど、……」
いまや日本人にもE3と並んでゲームの今後を占う上で欠かせない場となったラスベガスのCES (Consumer Electronics Show) も、この時期の注目度はせいぜい1/2ページ。アメリカではコンシューマゲーム自体のシェアが小さい時代だったから当然といえば当然か。
この記事で注目は、NES(ファミコン)用の『パンチアウト』の紹介。アーケードゲームの移植作で、なぜか日本ではなかなか発売されずそのレア度が話題を呼んでキャンペーンの景品になったり、後にヘビー級王者マイク・タイソンとタイアップしてやっと発売されたりと紆余曲折あったゲームの誌上初お目見えである。
ところがこれまた当時のファミ通だけあって、『パンチアウト』はもちろん『グリーンベレー』『ワンダーボーイ(セガ・マスターシステム版)』といったこの記事で紹介されているゲームの写真が一切ない。掲載されている写真はどれもアーケード版やSC-3000版という、日本で簡単に手に入る画面写真ばかり。おそらく製版のスケジュールの都合で海外からの写真を待つ時間がなかったのか、そもそも海外ニュース自体がさほど重要視されていなかったのか。
海外の見本市の速報が時間との戦いになるのは今も昔も変わらないが、デジカメもEメールもなく、注目度も段違いだったこの時代。こういう記事でも十分お茶が濁せていたのだった。
広告『Love Song 探して』
「キミはもう見つけたか! あのドラクエIIに登場するアンナを」
アポロン音楽工業(株)による、新人アイドル牧野アンナのデビューシングルの広告。
新作『ドラクエII』の「ふっかつのじゅもん」入力画面のBGMと牧野アンナのデビュー曲を同じメロディーにするという一種のメディアミックスで、初代からドラクエシリーズのサントラをプロデュース・販売していたアポロン音楽工業による、自社の新人アイドルと新作『ドラクエII』のタイアップを見込んだ企画であった。
そのため『ドラクエII』のサントラでは復活の呪文のBGMだけが『Love Song 探して』というおよそドラクエらしからぬ曲名になり、一方牧野アンナの楽曲には『Love Song 探して 〜ドラゴンクエストII 悪霊の神々 ★勇者ロトへのメッセージ〜』というアイドル曲らしからぬ副題が付けられている。
さらに『ドラクエII』のある町には実際に牧野アンナ本人が登場して(「うたひめ アンナ」)彼女に話しかけると『Love Song 探して』がBGMにかかるようにもなっており、この時の画面写真と牧野アンナの「レコード」に付属する応募券を送ると、抽選でプレゼントが当たる「アンナを探せ!キャンペーン」という販促ギミックも仕掛けられていた。プレゼントの景品は以下の通り。
- エニックス社ファミコン・ゲームソフト……毎月15名様
- アンナ−ドラゴンクエストIIオリジナル・缶ペンケース
(ドラゴンクエストII・ロゴマーク入り)……毎月500名様
- 牧野アンナ 直筆サイン色紙……毎月300名様
このキャンペーン抽選は計3回、3ヶ月に渡っておこなわれた。
レコードには初回プレス特典で「ドラゴンクエストII オリジナル・ロゴステッカー」が付属という念の入りようだが、あくまで「アイドル・牧野アンナ」の楽曲としてプロデュースされているらしく、歌詞の内容はドラクエと無関係な現代風ラブソングである。ちなみに作曲はもちろんすぎやまこういち、そして作詞は当時のトップアイドル他多くの楽曲を手がけた三浦徳子という豪華な布陣。「B面」は『HEART』。
広告
「永谷園のスーパーマリオブラザーズ「ふりかけ」「おむすび」で ドカンと当たるぞ ぼくらのマリオ!」
タイアップ企画物をもう一丁。お茶漬けでおなじみ、かの永谷園が『スーパーマリオブラザーズふりかけ』や『スーパーマリオブラザーズおむすび』を販売していたことは、もう忘れられて久しい。
もともと永谷園は子供向けキャラクター商品に目ざとく、現在でもムシキングふりかけ等の商品を手広く扱っているメーカー。このマリオふりかけもその一環である。
この広告は、ふりかけ/おむすびの袋についている応募券を集めて送ると抽選で景品が当たるというプレゼント企画で、プレゼントの景品は以下の通り。
- Aコース
オリジナルスーパーマリオ テレホンカード(2枚1組)毎週700名様
- Bコース
オリジナルスーパーマリオ デジタル腕時計 毎週700名様
- Cコース
オリジナルスーパーマリオ カメラ 毎週600名様
写真を見るかぎり腕時計やカメラはあからさまに安物ではあるが、毎週2000名当選で6ヶ月間に渡って行なうというビッグさは一大企業永谷園の底力を感じさせるものがある。
余談になるが、この時期のコラボレートが縁で、後に永谷園スポンサードによるディスクシステム版『帰ってきたマリオブラザーズ』という実験作品が生まれることとなる。
そしてさらに余談になるが、この時期の永谷園の企業キャッチコピー「−味ひとすじ− 永谷園」がこの広告にも書かれているのだが、どう考えてもこの企画は「味ひとすじ」の産物ではないのが気になってしかたがない。
ファミ通町内会
町内会版 禁断の秘技!
ファミ通町内会は着実に読者の「ネタ」を引き出しやすい環境を整えつつあった。その実験のひとつがこの「町内会版 禁断の秘技!」である。
「あくまでも生活に根ざした禁断の秘技」をテーマに、「市内からでも市外局番を付けて電話をかけられる!」等の裏技を募集するコーナーだった。「ほとんど役に立たない『伊藤家の食卓』」と表現するとわかりやすいだろうか?
この他にも1号おき連載で「つもる話」(俗に言うリレー小説)のコーナーも設置。どちらもさほどの人気は出なかったようでほどなく終了を迎えるのだが、この時期のファミ通町内会がこれまでの反省をふまえて、ネタを思いつきやすく、かつ載ったときに見栄えのする「器」を用意することに心を砕いていたことがこの一連のコーナー刷新から読み取れる。
アルゴリズム相談室
一時は1Pに減ページされた「アルゴリズム相談室」だが、ふたたび2ページに復活。ただし以前のカラーページから白黒ページに格下げ(?)という状態である。もともと文字ばかりのページなので、カラーである必然性はなかったのだが……。
今号からは「なんでもかんでも情報室」と題して、アルゴリズムとはさほど関係ないシンプルな質問にシンプルにズバリ答えるというコーナーを開設している。たとえばこんな感じだ。
『水晶の龍』のピラミッドの中にいるロボットから、先へ進めません。どうすればいいんでしょうか?
表にある遺跡のところで、カガミを使う。そして手持ちの遺跡の破片をはめこむ。これでなぜかロボットが動かなくなってしまう。
そもそもゲームの攻略法には、パターン・構造を理解してその弱点をつく「必勝法」、開発者のサービスやバグに甘える「裏技」、そして最初から用意されている正答以外に道はないという時のための「解法」の3パターンに大きく分けられる。ファミ通には従来「解法」を示すページが存在しなかったので(かろうじて「指・鍛練道場」にそれに近い記事が載ることはあったが)、その意味非常に重要な変化だったと言える。
おそらくこの展開が後の攻略全般コーナー「アルゴリズム情報局」の発生に繋がってくるのだろう。
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