ファミコン通信の虜: 1987年第4号(2月20日号)

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今回のテーマ

BIWEEKLY
ファミコン通信
1987年
第4号(2月20日号)

ファミコン通信の虜
2005年7月18日 更新

CESにファミコン、初登場! だが?
『Love Song 探して』キャンペーン開催


Time goes by

あれから5号……

 1986年12月12日号の発売以降。
 いくつもの大型ソフトが発売された。超大作RPG『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』。ディスクシステム用新作『リンクの冒険』。スポーツゲームの歴史を変えた『プロ野球ファミリースタジアム』。
 「青いディスクカード」を使った、任天堂による日本初の全国規模のゲームトーナメント『ゴルフJAPANコース』が2月21日の発売を待っていた。
 ファミ通の誌面も刷新された。「ファミコングッズ通信」は「レッツ玩具」にタイトルを変え、ファミコンという縛りから解放された。「ファミコン出前一丁」は担当がバカK(加川良)からトミサワ芸能に替わり「スーパー出前一丁」となった。
 「ファミ通インフォメーション」は白黒からカラーページに格上げされ、インフォメーション内で連載されていた「べーしっ君」は「ゲヱセン上野の以下同文」に掲載されるようになった。「アルゴリズム情報局」は2Pから1Pに減ページされた。
 「ファミ通町内会」ではついに「格言」「クイズ」が姿を消し、新企画「町内会版禁断の秘技!」が連載された。「指・鍛練道場」では「鍛練イラスト」と称して読者の投稿イラストを掲載するようになった。
 これは、そんな時代の一冊である。

この号のファミ通TOP30

第1位

リンクの冒険

第2位

ドラゴンバスター

第3位

火の鳥

第4位

プロ野球ファミリースタジアム

第5位

光神話 パルテナの鏡

 4位の『ファミスタ』(前回初登場第1位)を除く4作品がすべて初登場という、歳末商戦を反映した結果に。
 『リンクの冒険』はディスクシステム専用のハンデをくつがえし初登場第1位。
 高性能なアーケード基盤からの移植が困難をきわめ発売が延びたのが響いたか、『ドラゴンバスター』は初登場2位に甘んじている。
 3位の『火の鳥』はアニメ映画『火の鳥 鳳凰編』とのタイアップ作品だが、原作の世界観とはかけ離れたアクションゲームに仕上がっている。この時期のコナミは『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』等、原作を無視した安易なキャラクター物が目立つのだが、一方でゲームとしては高い技術力を見せていて評価が難しい。
 ちなみに『ドラゴンクエストII』はまだ発売から間もなく、この号のランキング集計にはカウントされていない。

この号の読者が選ぶTOP20

第1位

ドラゴンクエスト

第2位

プロ野球ファミリースタジアム

第3位

ディープダンジョン

第4位

迷宮組曲

第5位

悪魔城ドラキュラ

 「読者が選ぶTOP20」は、アンケート葉書の集計期間が元日を過ぎた(1/4〜1/30)この号で累計をリセット。「前年度(1986年)」の累計最終結果は1位『ドラゴンクエスト』、2位『グラディウス』、3位『ゼルダの伝説』、4位『がんばれゴエモン! からくり道中』、5位『グーニーズ』といった結果に。ドラクエは2位に2倍近い差をつける、1万999票というずば抜けた得票数を得た。
 今号のランキングでも堂々1位を獲得。注目すべきはその得票数で、4587票と前年度の「累計」の半分近い票が2週間で集まっている。これはファミ通の購読者数がこの時期、一気に伸びを示したものと見ていいだろう。

この号の特別企画

とじ込みスペシャル『ドラゴンクエストII』冒険ハンドブック

 発売直後の人気作ドラクエIIにはファミ通も大量の16ページをさいている。
 「とじ込み」とは、雑誌のページ数のちょうど中央にページを用意して、必要とあれば本誌から分離して別冊にもできる体裁のこと。ファミ通本誌は意外にかさばるもので、ゲーム中いつも手元に置いておきたい攻略ページには取り回しがよくて便利なアイデアかもしれない。

この号でお別れ 最終回

ファミ・バカコーナー

 長きに渡って続いた『KYON2のオールナイトニッポン』連動企画もついに最終回。ラジオ放送の「ファミ・バカコーナー」自体は存続するものの、誌面からは撤退。
 ラジオとゲーム雑誌という食い合わせの悪そうなメディアミックスでここまで頑張ったのはさすが黄金期のオールナイトニッポンというところだろうか。

ファミ通この号のトピックス

ディスクライターTOP15

 ディスクライター対応ソフトラインアップの増加(この時点では全22作)を受けて、「ディスクライターTOP10」のコーナーが今号から「TOP15」に変更された。
 この号のヒットチャートは1位『パルテナの鏡』、2位『もえろツインビー』、3位『ガルフォース』と話題の新作が初登場でトップ3を独占している。


海外特派員レポート
えー今回は、アメリカはラスベガスで開催された見本市の報告をしちゃうのだ。CESっていうやつなんだけど、……

 いまや日本人にもE3と並んでゲームの今後を占う上で欠かせない場となったラスベガスのCES (Consumer Electronics Show) も、この時期の注目度はせいぜい1/2ページ。アメリカではコンシューマゲーム自体のシェアが小さい時代だったから当然といえば当然か。
 この記事で注目は、NES(ファミコン)用の『パンチアウト』の紹介。アーケードゲームの移植作で、なぜか日本ではなかなか発売されずそのレア度が話題を呼んでキャンペーンの景品になったり、後にヘビー級王者マイク・タイソンとタイアップしてやっと発売されたりと紆余曲折あったゲームの誌上初お目見えである。
 ところがこれまた当時のファミ通だけあって、『パンチアウト』はもちろん『グリーンベレー』『ワンダーボーイ(セガ・マスターシステム版)』といったこの記事で紹介されているゲームの写真が一切ない。掲載されている写真はどれもアーケード版やSC-3000版という、日本で簡単に手に入る画面写真ばかり。おそらく製版のスケジュールの都合で海外からの写真を待つ時間がなかったのか、そもそも海外ニュース自体がさほど重要視されていなかったのか。
 海外の見本市の速報が時間との戦いになるのは今も昔も変わらないが、デジカメもEメールもなく、注目度も段違いだったこの時代。こういう記事でも十分お茶が濁せていたのだった。


広告『Love Song 探して』
キミはもう見つけたか! あのドラクエIIに登場するアンナを

[画像] 広告  アポロン音楽工業(株)による、新人アイドル牧野アンナのデビューシングルの広告。
 新作『ドラクエII』の「ふっかつのじゅもん」入力画面のBGMと牧野アンナのデビュー曲を同じメロディーにするという一種のメディアミックスで、初代からドラクエシリーズのサントラをプロデュース・販売していたアポロン音楽工業による、自社の新人アイドルと新作『ドラクエII』のタイアップを見込んだ企画であった。
 そのため『ドラクエII』のサントラでは復活の呪文のBGMだけが『Love Song 探して』というおよそドラクエらしからぬ曲名になり、一方牧野アンナの楽曲には『Love Song 探して 〜ドラゴンクエストII 悪霊の神々 ★勇者ロトへのメッセージ〜』というアイドル曲らしからぬ副題が付けられている。
 さらに『ドラクエII』のある町には実際に牧野アンナ本人が登場して(「うたひめ アンナ」)彼女に話しかけると『Love Song 探して』がBGMにかかるようにもなっており、この時の画面写真と牧野アンナの「レコード」に付属する応募券を送ると、抽選でプレゼントが当たる「アンナを探せ!キャンペーン」という販促ギミックも仕掛けられていた。プレゼントの景品は以下の通り。

  1. エニックス社ファミコン・ゲームソフト……毎月15名様
  2. アンナ−ドラゴンクエストIIオリジナル・缶ペンケース
    (ドラゴンクエストII・ロゴマーク入り)……毎月500名様
  3. 牧野アンナ 直筆サイン色紙……毎月300名様

 このキャンペーン抽選は計3回、3ヶ月に渡っておこなわれた。
 レコードには初回プレス特典で「ドラゴンクエストII オリジナル・ロゴステッカー」が付属という念の入りようだが、あくまで「アイドル・牧野アンナ」の楽曲としてプロデュースされているらしく、歌詞の内容はドラクエと無関係な現代風ラブソングである。ちなみに作曲はもちろんすぎやまこういち、そして作詞は当時のトップアイドル他多くの楽曲を手がけた三浦徳子という豪華な布陣。「B面」は『HEART』。


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永谷園のスーパーマリオブラザーズ「ふりかけ」「おむすび」で ドカンと当たるぞ ぼくらのマリオ!

[画像] テレホンカード [画像] 腕時計 [画像] カメラ
 タイアップ企画物をもう一丁。お茶漬けでおなじみ、かの永谷園が『スーパーマリオブラザーズふりかけ』や『スーパーマリオブラザーズおむすび』を販売していたことは、もう忘れられて久しい。
 もともと永谷園は子供向けキャラクター商品に目ざとく、現在でもムシキングふりかけ等の商品を手広く扱っているメーカー。このマリオふりかけもその一環である。
 この広告は、ふりかけ/おむすびの袋についている応募券を集めて送ると抽選で景品が当たるというプレゼント企画で、プレゼントの景品は以下の通り。

  • Aコース
    オリジナルスーパーマリオ テレホンカード(2枚1組)毎週700名様
  • Bコース
    オリジナルスーパーマリオ デジタル腕時計 毎週700名様
  • Cコース
    オリジナルスーパーマリオ カメラ 毎週600名様

 写真を見るかぎり腕時計やカメラはあからさまに安物ではあるが、毎週2000名当選で6ヶ月間に渡って行なうというビッグさは一大企業永谷園の底力を感じさせるものがある。
 余談になるが、この時期のコラボレートが縁で、後に永谷園スポンサードによるディスクシステム版『帰ってきたマリオブラザーズ』という実験作品が生まれることとなる。
 そしてさらに余談になるが、この時期の永谷園の企業キャッチコピー「−味ひとすじ− 永谷園」がこの広告にも書かれているのだが、どう考えてもこの企画は「味ひとすじ」の産物ではないのが気になってしかたがない。 


ファミ通町内会
町内会版 禁断の秘技!

 ファミ通町内会は着実に読者の「ネタ」を引き出しやすい環境を整えつつあった。その実験のひとつがこの「町内会版 禁断の秘技!」である。
 「あくまでも生活に根ざした禁断の秘技」をテーマに、「市内からでも市外局番を付けて電話をかけられる!」等の裏技を募集するコーナーだった。「ほとんど役に立たない『伊藤家の食卓』」と表現するとわかりやすいだろうか?
 この他にも1号おき連載で「つもる話」(俗に言うリレー小説)のコーナーも設置。どちらもさほどの人気は出なかったようでほどなく終了を迎えるのだが、この時期のファミ通町内会がこれまでの反省をふまえて、ネタを思いつきやすく、かつ載ったときに見栄えのする「器」を用意することに心を砕いていたことがこの一連のコーナー刷新から読み取れる。


アルゴリズム相談室

 一時は1Pに減ページされた「アルゴリズム相談室」だが、ふたたび2ページに復活。ただし以前のカラーページから白黒ページに格下げ(?)という状態である。もともと文字ばかりのページなので、カラーである必然性はなかったのだが……。
 今号からは「なんでもかんでも情報室」と題して、アルゴリズムとはさほど関係ないシンプルな質問にシンプルにズバリ答えるというコーナーを開設している。たとえばこんな感じだ。

『水晶の龍』のピラミッドの中にいるロボットから、先へ進めません。どうすればいいんでしょうか?
表にある遺跡のところで、カガミを使う。そして手持ちの遺跡の破片をはめこむ。これでなぜかロボットが動かなくなってしまう。

 そもそもゲームの攻略法には、パターン・構造を理解してその弱点をつく「必勝法」、開発者のサービスやバグに甘える「裏技」、そして最初から用意されている正答以外に道はないという時のための「解法」の3パターンに大きく分けられる。ファミ通には従来「解法」を示すページが存在しなかったので(かろうじて「指・鍛練道場」にそれに近い記事が載ることはあったが)、その意味非常に重要な変化だったと言える。
 おそらくこの展開が後の攻略全般コーナー「アルゴリズム情報局」の発生に繋がってくるのだろう。


この号の時事ネタ

スーパー出前一丁
水谷麻里ちゃんはパズルよりムズカシー!!の巻

[画像] 水谷麻里  担当がトミサワ芸能に替わって、アイドル路線にシフトした「出前一丁」今号のゲストもやはりアイドルの水谷麻里。
 「'70年代生まれの新人類アイドル」というキャッチフレーズでデビューした彼女。今で言えば"不思議ちゃん"なキャラクターで、さすがのトミサワ芸能も会話についていけず四苦八苦のインタビュー内容になっている。
 ちなみに彼女は引退後、マンガ家・江口寿史と結婚。今となってはこの江口寿史夫人という肩書きの方が有名だろうか……。



編集室から

 毎回毎回「ファミ通を持ってない期間の扱いはどうしよう」と言っていましたが、結局こういう形(最上段の「Time goes by」コーナー)にまとめました。今回はまだ5号分の空白だからいいけど、次回は一気に時代が飛ぶんだよなー。まとまるかどうか心配です。
 そしてついでといっちゃなんですが、「この号の時事ネタ」というコーナーも作ってみました。ゲームとあんまり関係ないけどその時代を象徴するような何か(in ファミ通)を見つけたら紹介していこうと思っとります。


リンク

ファミコン通信の虜 インデックス

過去と未来の「ファミコン通信の虜」記事はここに置いています。

ファミコン通信の恋人

姉妹サイト。'86年の創刊号から'96年まで10年間の『ファミコン通信』『ファミ通』のゲーム名さくいん・記事さくいんを並べた、データ系ページです。

鉄の靴

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 基本的にあいさつ不要で無記名もなんら問題なし。しかしながら当ページ編者のサジ加減ひとつで掲載されるか削除されるかが決められてしまうというシビアな面(シビア?)も持ち合わせています。
 まあ「LETTERS伝言板」(おたよりコーナー)的なものだと考えると「ファミ通の虜」らしいんじゃないでしょうか。
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