2000.09.03(ゲームの話より)
史上最高の鈴木
昔っから思ってたんですけど、なんでか世間には「やってくれる女主人公」が不足してると思いませんか。やってくれるっていうか「凛々しい」とかもうこのさい「強い」とか言ったっていいんですけど、そういう女主人公をろくすっぽ見たことないし、ってーか見たいわけですよ僕は。
いや待ってくれ格好だけそれっぽくても全然関係ないわけでだからそこの君それ以上「お姉様キャラ」を僕の前に並べないでください。そういうことじゃないんだ。
だから強さっつってもアレですよ、物理的じゃなくってですね、かといって精神的にっていうのともちょっと違くってですね、だからアレだ。人間的に強い? なんつうかもう、「ああマジ強いわこの人」的な気持ちにさせる、そんな存在? ピンチに陥ってもそれを強引にはね返すような? ムチャなマネしてもそれはそれでオッケー的感のある? なんか強力すぎて一概に尊敬はできないけど、でもスゲエよこの人!っていう雰囲気の? 想像つくでしょ?
(*1) だからつまり「やってくれる女主人公」なんですよ僕がいいたいのは! 男主人公だったらけっこういるでしょうが不屈闘志
(*2)とかルフィ
(*3)とかうしお
(*4)とか! かっこいいと思わないのか君は彼らをかっこいいとは思わないのか!
とかなんとかそんな具合なわけなんですが、どうよ実際女主人公のそのへんは。別にいてもいいような気がするんですよ女性版不屈闘志が。そんな主人公いてもいいじゃん。多少つらい目にあおうが泣くような目にあおうがむしろ多少泣いたりもしつつ、それでも最後まで自分の力とかそんな方向で勝利 (ビクトリー) をつかむような、そんな女主人公を! そんな女主人公を! (テーブルを両拳で叩きながら。もちろん両手にはスプーンとフォークを持ちつつ) だというのに世間を見回してみれば、単になにも考えていないで運 (ってーかストーリーのご都合主義) だけで世の中渡ってたり、強い男キャラに助けられっぱなしだったり、「強い女」をうたいつつ実は単に田嶋陽子先生ばりに何にでもかみついてるだけだったり、そんなのばっかりじゃないですか! あんたらそれでいいのかよ! そんな思いを胸に抱きながら『クイック&デッド』
(*5)と『バッド・ガールズ』
(*6)をたて続けに観てしまった僕の胸中を察してくれというものです。
ところがそんな俺の前に突如として現れたのが鈴木だ! いきなり文体変えてみましたが。しかも誰だ鈴木って。つまり、プレイステーションの『鈴木爆発』
(*7)のことである。カッコイイ! マジかっこいいぜ鈴木さん! これだ! これでこそ女主人公だ!
つねに彼女の前に現れる数々の時限爆弾。ときどき「うわ」とか「落ち着け」とかひとりごと言ったり心臓の音がSEでバクバク言ってたりするんで、彼女平気でやってるわけじゃないと思うんですよ。でもそれを顔には出さずにポーカーフェイスで解体していく姿たるやまさにダイハード・ガール。解体終わって涼しい顔で街を歩くアンタかっこいいぜ! 女の中の女だぜ!
っつうわけで、『鈴木爆発』は素晴らしい。あと『ゴージャス・アイリン』
(*8)も素晴らしい。『ストーンオーシャン』
(*9)もたぶん素晴らしいと思う。あとなんかあったら教えてください
(*10)。
*1 想像つくでしょ?
難しい。
*2 不屈闘志
島本和彦『逆境ナイン』の主人公。すべての逆境をヤル気で乗り切って、それを不自然だとすら感じさせない男の中の男。
*3 ルフィ
尾田栄一郎『ONE-PIECE (ワンピース)』の主人公。偉大な魂を武器に、自らの信じた道をむやみに突き進む男の中の男。
*4 うしお
藤田和日郎『うしおととら』の主人公。とにかく男の中の男。
*5 『クイック&デッド』
あの娼婦型女優 (ほめてる) シャロン・ストーンと『ダークマン』のサム・ライミ監督が組んだ異色の西部劇アクション。殺された父の復讐を果たすために決闘トーナメント戦 (無茶な設定) に挑むという、大変期待させる内容だったが、シャロン・ストーンがかっこよかったのは最初の5分間だけで、基本的にヘナチョコでした。なんかよくわからない男に全部の面倒を見てもらってた。
*6 『バッド・ガールズ』
マデリーン・ストウやドリュー・バリモアといったクセ者女優 (ほめてる) 4人が暴れ回る西部劇アクション。のはずだったのに、これがまた腰が抜けるほど全員ヘナチョコで、やっぱりよくわからない男に全部の面倒を見てもらっていた。ハリウッドという所はもしかして物凄い女性差別派ですか? 正直ムカつく。
*7 『鈴木爆発』
雑誌とかでは「シュールな世界観」っていうところがやたら強調されているけど、実はゲーム単体としては大変緊迫感あふれまくるナイスゲー。もう心臓バックバク。ぬるま湯ゲームに飽きた諸君はやるベシ。あ、ちなみに別に鈴木さんのかっこよさを楽しむギャルゲーとかではないと思いました。
*8 『ゴージャス・アイリン』
荒木弘呂彦 (ジョジョ) の初期の短編。わたし残酷ですわよ。
*9 『ストーンオーシャン』
荒木弘呂彦 (ジョジョ) が連載中。まだ単行本の2巻分までしか読んでないので、よくわからないが。
*10 なんか
いま気付いたけど、もしかして「魔法少女モノ」っていうのはアリですか? 見たことないので、よくわからないんですが。