人生: 1日目

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2004.07.23(グランド・セフト・オート・バイスシティより)

1日目

 初回のプレイというのは大事なものだ。個人的にはかなり。ここでいきなりつまづいて(例:感動的なムービーという名のちょいとした寸劇を見せつけられた、操作方法が人知を超えていた、言外に「オレってセンスいいだろ?」と言われた、そもそもこんなゲームだと思ってなかった、等)速攻中古屋行きなんてパターンも少なくない。もちろん個人的には。
 特に今回はこの手のゲームを遊ぶのが初(まあ、GTA3を10分ばかりやったとかそういうのはカウントしないことにして)なんで、初回のプレイはゲームに乗り切れるかどうかの大事な分岐点とすら言える。
 それではさっそく電源をぶちかますとしよう。
 メーカーロゴを経由した後、いきなりのっけからメガデモ(*1)のりのイントロダクションから入るのには驚かされた。何も本編とかかわりがないというあたりもまさにメガデモ。しかし真剣に意味ないなこれ。そしていかにも80年台のりの、だがかっこいいオープニングデモに突入する。しかしこのムービー中で使ってるのはまったくレンダリングとかハイエンドとか考えてない単なるゲーム中の画面を別アングルで取り込んだだけの映像ってところが、真面目にやる気あるんだかないんだかよくわからない。一種の低予算ムービーなのかもしれない。だとしたらかなりヤる連中だぜ、こいつらは。
 そして始まるゲーム本編。といってもまだデモの一部で、ポリゴン役者によるオープニングストーリーってところだ。ダラダラしたコントとかを見せられたら困るなあと思ったけど、モーションキャプチャの説得力ある動きに感心してる間に話はガンガン進んでいた。えーと、よくわからないけどどうやらトニーというムショ帰りが鉄砲玉もいいとこなんで組織に迷惑がられて、ていのいい厄介払いでバイスシティに派遣されたとかなんとか。
 それでなんか4人くらいいるけど、この中のどれがトニーよ?とか思ってる暇もなく、なんか知らんがヤクの受け渡し現場。ちなみにその中の1人であるちんぴら弁護士が、リーサルウェポンシリーズのレオ・ゲッツ(ジョー・ペシ)をいっそう若くいっそうインチキにしたみたいなキャラでいかしていた。
 それはそれとして、速攻で現ナマと交換でブツを頂戴してこいつはモンキー・ビジネス(ちょろい仕事)もいいところだぜと思ってたのもつかの間(約5秒)、現場に待機してた謎の黒服のマシンガン速射の前に次々散っていく売人、そして仲間たち。畜生、ハメられた! とかいう流れなんですか?
 訳のわからないうちに、僕とレオゲッツと路地裏で。ひとしきりレオがぼやいたあげく、車を降りて徒歩で帰るレオ先生。取り残された僕のキャラは、根城にしてるホテルにいったん戻るという筋書きのようです。どうやら僕が操るこのうさんくさい無精髭マンがトニーだったご様子。
 とりあえず画面上部に「△ボタンで車に乗り込む」とか説明が表示されたんで、あらためて車に乗り込んでみる。すると今度は「×ボタンがアクセル」とかそんな感じの説明が連鎖的に出てきて、なるほどなかなか親切設計じゃないか。読んでる先から消えてくんで、けっこう字を追うのに必死だけど。
 とにかく画面下のマップをたよりに慣れないバイスシティの道を走り抜けるとしよう。基本的にはクレイジータクシーを超えてどんなムチャな運転でもアリとされるGTAだが、その勘所が感覚的にわからないので当面は安全運転をこころがけることにする。だいいち仮にもこちとらムショ帰り早々さんざんな目にあってるんだから、今日はこれ以上のトラブルを呼びこむこともないだろう。
 とはいえそこは右車線のアメリカルール、勝手が違って思わず路肩に乗り上げるなんてのは当たり前、途中ついうっかりで街頭をぶち倒したりとか余裕でしつつ、どうにかホテルに帰宅。思ったより高級そうなホテルじゃないか。気に入ったぜ。
 部屋から電話でボスに顛末を話すと、烈火の如くキレるボス。そりゃまあ様子見の厄介払いで適当に仕事ふったトニーことオレがその日のうちにいきなり金もヤクも取られました、あと2人死んだ。なんて電話かけてきたらキレもするわ。この一件にカタをつけなればコロすなんて言い出すボス。こうなるとこっちも必死だ。ホテルで一泊の後、他にツテもないので例の弁護士ケン・ローゼンバーグ(立派な名前だが、おもしろ眼鏡をかけている)の事務所にとりあえず行ってみることになる。
 もちろんケンがひとしきりぼやいた後で、そもそもヤクを調達していた元締め「コルテス大佐」に会うのが近道かも、ってんでコルテス大佐主催の海上クルーザーパーティーに顔を出すことに。事務所を出てみるとなぜかこれまで乗ってた車が消えていた。獣の街、バイスシティ。ここでは車が盗まれることなど日常茶飯事なのか。
 こうなれば目には目をというか、まあぶっちゃけヤクとかの横行する世界に生きるトニー的にはそのへんを適当にぶらついて、たまたま駐車してあった車をいただく。記念すべき初の窃盗です。これは小さな一歩だが、人類にとっては大きな一歩だとしたらイヤだなあ。
 もちろんその辺を歩いてた人に通報されることもエンジンをかけるのに手間どることもなく、まったく自分の車同然に走り出す。これが獣の街、バイスシティ。そうそう、今着てるアロハがパーティーにはファッションコード的に問題なんで、途中ちょっと寄り道してスーツを買いに行く(そうしろとケンに釘をさされた)。
 店では特に問題もなく、まあはた目にチンピラ満載なスーツを調達したけど、それはそれとしてその後の強制ショートデモで「ワァオ、いかすバイク!」みたいな通行人の声、そして店のそばに駐車されるいかしたバイク。去っていくライダー。こ、これは奪えというメッセージと解釈できる。むしろそれ以外に解釈のしようもない。
 そんなわけでさっそくバイクの横で△ボタン。なんのためらいもなく乗り込む自分に気づいて走り寄ってきた持ち主を横目に急発進といこう。そして実際いかしたバイクだけあって乗り心地は快適そのもの。どうやら単純に面積が車より小さいので激突の心配が少ないので快適に感じるらしい。そんな理由もどうかと思うが。
 バイクを停めて乗ったクルーザー。大佐としても金を奪われたわけで、この件は調査中とのこと。それにしては落ち着いてホスト役に徹しているあたり、うちのボスとは大違いだぜ。ついでにメルセデスっていうどうかという感じの名前の大佐の娘(アメリカンなつくりのポリゴンなので、美人という設定なのかその真逆なのかどうにも判断に困る)にも紹介され、彼女にこの世界の名士の顔を教えてもらう。あんまり急に何人も登場したんでよく憶えてないけど、あらゆる意味でどうかしてるポルノ女優の腰の動きと「イチモツ」という言葉を使いこなす映画監督の存在は心に残った。
 パーティーもそこそこに、メルセデス嬢をホテルに送り迎えする役目をおおせつかったオレ。大佐とコネもできたしまずは上出来として、もはや呼吸をするように自然にそのへんに駐車してあった車をいただく。慣れていくのね……自分でも分かる……(セイラさん)。
 不自然に腰を振りながらホテルに戻るメルセデス嬢を送り終え、あとは自分もホテルに戻るだけ。と、ここでミッション終了のサインが表示された。ついでにクリアボーナス$100も、どういう仕組みか知らないが、たぶん神からいただいた。どうやらこういう感じでだいたい言われた通りに地図上のポイントに移動してくと話が進行してって、いつしかミッションクリアになるというシステムらしい。洋ゲーイコールハードというイメージがあるが、意外にイージーというか親切設計というか盲導犬RPGじゃないか。もちろんその気になればいくらでも横道にそれることができそうな予感はおおいにするし、この先ハンパない難易度にならない保証もないんだけど。

 ミッションクリアにもなったし、今日はこのへんでホテルのセーブポイントでセーブして終わることにする。想像以上にけっこうこのゲームのことが気に入ったぜ。

*1 メガデモ

メガドライブとは無関係。80年代後半から90年代前半にかけてナード連中がパソコン技術力の粋を集めて作った、クールかつオシャレな意味不明ムービー。とりあえずカッコいいが別にストーリー性があるわけでも笑えるわけでもなく、何の役にも立たないにもかかわらず流行した。

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