人生: 親愛なるご近所さん

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2005.05.21(マンガ・アニメの話より)

親愛なるご近所さん

[画像] スパイダーマンJ  ヤベエ、マジオモレェ!(『フリオチ』風に)
 ……えーとゴメン、フリオチ(*1)を出した時点でまったく面白くないかある意味オモロイかのどっちかに範囲が限定されてしまうんで仕切り直します。
 マジで面白えよ『スパイダーマンJ』!
 コミックボンボンに連載されているとかされていないとか(よく知らない)のこのマンガ、たまたま行った本屋で立ち読み可になってたんで読んでみたわけですよ。おいおい「J」はねえだろうとかそもそも日本の小学生がスパイダーマンになるとは笑わせるぜとか掲載誌的には妥当とはいえいかにも子供向けな絵柄でちょっとなあ、とかオレはこの手のにはちょっとうるさいぜ的なことを思いながら。
 そしたら何このちゃんとした少年ヒーローマンガ。
 お手並み拝見的な気分で読み始めた僕を余裕で打ちのめす男の魂がそこにはあったのだ。どのバージョンのコスチュームがベースなのかとかオタク的な見方する余裕とかなかったですよ実際。

 もともとコミックボンボンといえば基本的には小学生むけ子供マンガ雑誌なわけでそこには制約がある。ページ数は少なめとか、ヘビーな展開はNGとか、ギャグ入れないとだめとか、子供読者にも分かりやすく描かないといけないとか、主人公は子供とか、頭身は小さめとか。ましてこれ映画版『スパイダーマン』の、なんつうか悪い言い方すれば便乗企画なわけで原作の設定もある程度引っ張ってこないといけないっていうダブル制限なわけですが。
 その制約のワクをきっちり守りつつ、オリジナリティのある孤独な熱血ヒーローをちゃんと描いてるんですよこのマンガ。
 毎回毎回この絵柄にしちゃ意外なくらい大掛かりなアクションバトルが繰り広げられるんですけど、基本的に「J」は子供がやるようなこっちゃないレベル(作品世界の中でも)で危険なワザ使ったりボロボロになったりするんですよ。それでもなお人々のために戦うこの勇気が泣かせるじゃないの普通に。むしろこれ青年ピーター・パーカー(原作)がやるより子供がやる時点でそのガンバリ度合いの差があってすでに勝ちですよ実際。
 これを読者にうまく分からせるための表現としてスパイダー・センス(*2)の設定をうまく拡大解釈して、「他人の身の危険や、その結果の(悲しい)未来像が見える」という能力にしてるんですわ本作。そんな光景を見たくないから戦う! このわかりやすさそして熱さはどうよ? マジで。
 しかも毎話ちゃんと能力バトルしてるっつうか、敵のバラエティあふるる能力に対して機知をふりしぼってアイデア勝負で勝つっていう、下手すっとそこらの力押しバトルマンガの50倍は面白いぜ?
 いま「一番熱いヒーロー物って何よ?」とか聞かれたら本当の話余裕で「J」と答えるね僕は。こういうきちんとしたマンガが掲載されるからつくづくボンボンは侮れない。  

*1 フリオチ

週刊チャンピオンでどういうわけか連載されてしまっている、ある意味オモロイ漫画。

*2 スパイダー・センス

原作では「野生生物特有の危険感知能力」という扱い。

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コメント

【1】Ryoichi

>ヘビーな展開はNGとか

「サイボーグクロちゃん」とか「デビルチルドレン」とか
わりとボンボンはやらかしちゃってる部分はあるような。
発行部数がコロコロと一桁違う分無茶ができるということか。

(2005.06.29 03:58PM)

【2】杉浦印字(サイトマスター)

あーそういや『王ドロボウJING』なんかもボンボン出身だったかしら。『はじけて! ザック』の頃から、あの編集部はいったい何を考えてるんだか、それとも猛烈な野放し体質なのか(少年チャンピオンばりの)。
いやでもスパイダーマンJは完璧な児童マンガフォーマットなんですよ? にもかかわらず熱いとこが凄いのであって。

(2005.06.29 04:18PM)

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