ファミコン通信の虜: 1986年7月18日号(創刊第3号)

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今回のテーマ

BIWEEKLY
ファミコン通信
1986年
7月18日号(創刊第3号)

ファミコン通信の虜
2000年8月 6日 更新

ゲームメーカーがサンプルロムを貸し出さない? その真相は
あの連載が……ついに打ち切りの魔の手が伸びる!


この号のファミ通TOP30

第1位

スーパーマリオブラザーズ2

第2位

ドラゴンクエスト

第3位

スーパーマリオブラザーズ

第4位

ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境

第5位

謎の村雨城(ディスクシステム)

 『鬼太郎』『マリオ』の首位争いが続いている中、前回8位、前々回6位の『グラディウス』がランクアップを果たしている。5位の『アトランチスの謎』はスーパーマリオを悪い方向に改変したゲームシステムに、理不尽な謎を加えた不思議ゲーム。

この号の読者が選ぶTOP20

第1位

グーニーズ

第2位

ゼルダの伝説(ディスクシステム)

第3位

グラディウス

第4位

ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境

第5位

ツインビー

 前回と変化のそれほどないランキング……って、なんだ前回と一緒だ! じゃあ、えーと投票数を比較してみましょう。『グーニーズ』が前回3863票。今回は3895票……って、2週間で得票数32票かい! こんな得票ペースならそりゃ変化はないだろ! えーと、『グラディウス』なんかは281票得票とがんばってるんですけどね。

この号の特別企画

ファミコン出前一丁
KYON2のオールナイトニッポンに、また大進出!

 前号にもあった、あの企画。実はこの企画、後に連載記事になるのだが、始まった頃のこの時期はなぜか単発の特別企画という形だった。人気が出なかったらサクッとやめられるように、という配慮だったのだろうか?


五号連続 創刊記念大プレゼントパート1
 10,000名さま大プレゼントっ

創刊記念大プレゼントパート2
 怒濤の4号連続 ファミ通ジャンボプレゼント!

 はい、まいどおなじみの連続プレゼント企画ですよ。そろそろ書くことがなくなってきて、ずいぶんおざなりな紹介になってしまった。が、これはファミ通のほうでも同じこと。困っている、編集者はいいかげん3週も似たようなことを書いていると次に何を書けばいいのか困っている! 「ディスクシステム」のおざなりな紹介文を見よ!
 「これって電池で動いてるなんてまるでオモチャだぜ。でも値段から考えるとオモチャじゃないぜ。えーいなにがなんだかわかんなくなっちゃったぜ。オレって頭ワルイゼ。」……。


裏にウラ技 (中綴じ付録)

 ゲームカートリッジの「裏」面に貼る、「裏技」の書かれたシールという企画。シャレの勢いだけでやっちゃった、感はかなり強い。
[画像] 説明図  考えてみてほしい。裏技を最も知りたいのはゲームのプレー中。だがプレー中にカートリッジの裏側をどうやって見ればいいのか?
 ちなみにこのシールの隅には「実用新案出願中!!」とあるのだが、その後はたして認可されたかどうかは不明である。


スーパーマリオ2最新必勝ガイド (付録)

 当節すっかりすたれてしまったが、攻略情報をまとめた小冊子である。
 考えてみれば雑誌に本がついてくるなんて変な話で、雑誌の中の1ページにしたほうが出版にかかる費用だってずっと安くあがるというものなのだ。が、「付録」というなんとなくオトク感がここでは大事なのである。第一、付録のついていない本とついている本では後者の方が確実に目立つ。そんなわけでファミ通にも初の付録がついたのだった。

この号でお別れ 最終回

水野店長の「もう一度逢いたい」

 「このコーナーもめでたく3回目を迎え、(中略) でも、そんな頃が危ないんだよね。アッサリ打ち切りなんてことが、出版界ではしょっちゅうある。」
 何かを予感していたのか、それともヤブヘビだったのか。こんな文章を書いたまさにこの回で『もう一度逢いたい』は突然の打ち切りとなってしまうのである。
 ちなみにアメフトゲームの草分け的存在『10ヤードファイト』をとりあげたこの回はいまひとつふるわない内容で、記事の約半分はゲームとほとんど無関係なログイン時代のこぼれ話 (水野店長の考えた「格言」と小島編集長の格言がどっちが面白かったかとか、そんな具合の……どうでもいいでしょ?) で埋められていた。しかもそれをスミの囲み記事では「今回の反省点はここにある」と称して「まず今回の『もう一度遭いたい』は前置きが長いっ!」とか書いてたりするのである。もちろん自分で。これを悪ノリと考えるか、真摯な態度ととるかは微妙なところだが……。
 まあ、とにかくそんな回が最終回になっちゃったのである。


どーでもいーけど。

 こちらもいきなりの打ち切り。もしかすると作者や担当編集者にとってもいきなりだったのか、今回の『どーでもいーけど』にはこれが最終回であるという雰囲気はみじんもない。いつもどおりにふわっとした感じの4コマが4本あって、ハシラには「丸いお顔の、山口一和おねーさんにハゲマシのおたよりを出そう」と書いてある。しかし次号のファミ通を見ても、どこにも『どーでもいーけど。』は載っていないわけで……。諸行無常を感じさせる第3話なのだ。

ファミ通この号のトピックス

ディスクライターTOP10
第1位『スーパーマリオブラザーズ2』
 第2位『スーパーマリオブラザーズ』
 第3位『ゴルフ』

 ディスクシステム専用ソフト『スーパーマリオ2』が初登場で第1位。怪物的な売り上げの前作『スーパーマリオ』の勢いをかって一気に票を伸ばしたが、まあ、……結局一過性の人気で終わっちゃうのである。
 知らない人のために一応説明しておくと、このゲーム、前作『スーパーマリオ』に飽き足らないヘビーゲーマー向けという位置づけで、物凄い凶悪な難易度になっていたのだった。


ファミ道楽
『オホーツクに消ゆ』ファミコン化決定っ!!

 今なおファンの多い、アドベンチャーゲームの金字塔的ゲーム『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ!』の制作がこのとき発表された。
 もともとは堀井雄二制作・アスキー販売でパソコン版で発売されたゲームだが、ファミコン版はその内容を全面リニューアル。ほとんど別物のようなゲームに変わってしまった。そのため発売は当時としては異例なほど遅れに遅れ、1987年夏にようやく発売されるのである。
 どれぐらい遅れたかわからないって? この記事によると、「(1986年) 10月頃には発売される」ということだったんだが……。


ファミコン通信おすすメディア
映画『スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦!』

[画像] スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦!

 誰が覚えているだろう? 当時人気絶頂のスーパーマリオはアニメ映画化もされていた! ちなみに配給は松竹富士株式会社。夏休み映画で上映時間60分だが、いささかオコサマ向けに安く作られたという感は否めない。ちなみにピーチ姫の声は当時アイドルデビュー間もない山瀬まみ! アイドルである。アイドルだったのだ。いや、というかあの声でピーチ姫?
 同時上映は『スーパーマリオブラザーズ2攻略法』。このタイトルでイヤな予感がした人も多いだろうが、その予感は正しい。ファミコンの画面ばかりタラタラと20分間の上映しっぱなしという、なんつーか、もう……。


インフォメーション
New Product「お手軽価格のコントローラー」
『スーパーコントローラー』/(株)バンダイ

[画像] スーパーコントローラー

 かの有名な『スーパーコントローラー』の発売!
 このコントローラー (←そうなのか?) の説明をする前に、まずはファミコンの純正コントローラーについて説明しておかねばなるまい。あの十字ボタンというやつは上下・左右には抜群の操作性を発揮した一方で、斜め入力にはいまいち弱かった (スーパーファミコン以降では地味に改良されている)。そこでゲーマーを中心に流行したのが、十字ボタンの上に両面テープで500円玉を貼り付けるというアイデア。これによって十字ボタンが○字ボタンに! という絶妙な発想だったのだ。色々な意味で。
 『スーパーコントローラー』はこれを活かして、純正コントローラーの上に「かぶせる」タイプのプラスチックキット。やってることは500円玉とそう変わらないのだが、強度は両面テープを使うよりも強く、なにより2体セットで定価800円とリーズナブル。これが意外に売れたりしたのだ。


ファミ通町内会
窮極のファミヨガ

[画像] スーパーコントローラー

 後にファミ通町内会で連載記事になる「ファミヨガ」だが、最初は1度きりの特別企画のような形で始まった。
 要するにヨガである。東洋の神秘である。ゲームキャラのポーズをヨガの要領で真似てしまうという冗談企画である。おそろしく馬鹿馬鹿しい企画だが、そこはさすがファミ通。写真付き3ページで大真面目にやってしまっている。ちなみに上半身裸にターバンという、かなり恥ずかしいスタイルで演ずるモデル「アブラハム・タナカ」の正体は、ライターの田中芳洋。
 ところでさっき書いた通り、この特集企画だけで3ページ使っているが、実は『ファミ通町内会』自体5ページしかない。しかも今回、さらに特集その2として「第1回 ミス・ファ美人コンテスト」でさらに1ページ消費しているから、定例連載企画に使えるのは残り1ページ。さらにそのうち1/2ページは創刊号のクイズ正解者発表と、「応募方法」に費やされて、なんと読者の投稿が載るスペースは都合1/2ページしか残っていないのだ! 読者ページなのに!
 この時期の町内会は、創刊号での募集内容に対する読者の反応がかなり鈍かったらしく、連載企画が異常に低迷していたのである。この時1/2ページを使って唯一ほそぼそと機能していた連載は「大ファミ少年コーン」だけだった。しかも見るからに投稿が編集部のねつ造くさい。
 あ、ちなみに「ミス・ファ美人コンテスト」とは女性ゲームキャラの人気投票企画。まるで現在でも通用しそうな企画だが、なにぶん対象が16×16ドットで描かれた当時のゲームキャラなので、むしろ現在でしか通用しない企画という気もする。


この号のトピックス+

雑誌メディア vs ゲームメーカー・冬の時代!?

ソフトウェアレビュー 『魔界村』評 / ゲヱセン上野
近ごろのゲームメーカーさんは、みんななぜかカタクナで、発売前にカートリッジを貸してくれなかったり、取材を一切禁止したり、ひどいとこでは、マップを載せただけで苦情をいってきてくださるメーカーさんもある始末なのだ

[画像] パスワード・コンストラクション  なんだそれ!? という話だが、これが当時の現実だったのだ。
 ふつう雑誌に記事が載るといえばそれだけで凄い広告効果がある。しかも料金はタダ。メーカーにとってはこれは相当オイシイ話、のはずだが……当時はそれどころではなかったのである。ゲーム雑誌の顔といえば攻略と裏技! 他誌を一歩でもリードしようとスクープの嵐! 無敵になるバグでも見つかろうもんならことわりもなく即掲載! ゲームがつまらなくなろうが関係なし! という時代だったのである。いまいちイメージできない諸氏は、『FFIX』発売前にシナリオの流れが全部発表されて、発売直後に最終ボスの写真とスペックが掲載されて、発売後2週間で全イベントの解法が別冊付録で公開されるような、そんな状態を考えてほしい。
 そこまで速攻で消費されてしまうとメーカーも商売あがったりなんで、少しでもゲームの寿命を長引かせようとサンプル貸し出しを禁止したり、取材拒否したりといった規制をかけてきたわけだ。しかしその一方で雑誌社のほうだって商売のためにスクープ合戦をやっているわけで、こうして互いの気持ちはわかるがそれにしたって不毛でギスギスした空気がこの業界に形成されていったのである。

[画像] 全マップ公開(左)[画像] 全マップ公開(右)

 そしてちょうどこの時期、御大任天堂がついに公式に『ゼルダ』報道に規制をかけることが決定するのである。つまり、「最後の方について掲載してはいけない。したら今後あんたの雑誌社には協力しないからね」という、いや、そんな口調じゃなかったと思うんだけど、とにかくそんな公式声明が雑誌各社に通達されたのだ。なにしろ任天堂といえばファミコンのリーディングカンパニー、ここにニラまれたらシャレにならない。雑誌社としても従わざるを得なかった。が、これがうまい具合にターニングポイントになって、メーカーと編集部の「いい関係づくり」がトントン拍子にすすんでいくことになるのである。やるな任天堂! その結果、各ゲーム雑誌は多かれ少なかれ、「ゲーム攻略雑誌」から「ゲームバラエティ雑誌」への転換を強制されることになるんだけどね。
[画像] ラウンドセレクト  さて、ここで気付いた読者も多いだろう。これら「メーカー・編集部冷戦時代」も「任天堂規制声明」も「ゲーム雑誌方針変更」も全部ほとんど一緒の時期に起きているわけで、しかもそれはファミ通の創刊とほぼ同時なんである。そう、ファミ通はたぶんゲーム雑誌の創刊にいちばん厄介な時期を選んで創刊してしまったのだった。
 しかしファミ通にとって幸運だったのは、この後ゲーム雑誌のバラエティ化が進んでくれたことで、そういう路線であればこの時期のアスキー「小島組」はもう出版界最強部隊。がぜん販売部数も伸びていくことになるのだが、まったく世の中なにが幸いするかわかったもんじゃない。

スタッフ異動情報

新規参入

加藤 泰正(フォトグラフ)

お休み

八木沢芳彦(フォトグラフ)


編集室から

うわしまった、また文字ばっかりだよこのページ!
しかも一番大きい画像がアブラハム・タナカの逆ビジュアル系画像……。
いいのか、これで? 『ファミコン通信の虜』!


リンク

ファミコン通信の虜 インデックス

過去と未来の「ファミコン通信の虜」記事はここに置いています。

ファミコン通信の恋人

姉妹サイト。'86年の創刊号から'96年まで10年間の『ファミコン通信』『ファミ通』のゲーム名さくいん・記事さくいんを並べた、データ系ページです。

鉄の靴

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  • 本ページ「ファミコン通信の虜」は過去に発売された雑誌『ファミコン通信』の歩みを追い、当時のゲームシーンを回顧することを目的とした私的Webページです。株式会社アスキー、株式会社エンターブレイン、ファミコン通信 (ファミ通) 編集部とは一切関係がありません。
  • 文中敬称略しています。
  • 「ファミ通の虜」はファミ部活動に協賛しています。

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 基本的にあいさつ不要で無記名もなんら問題なし。しかしながら当ページ編者のサジ加減ひとつで掲載されるか削除されるかが決められてしまうというシビアな面(シビア?)も持ち合わせています。
 まあ「LETTERS伝言板」(おたよりコーナー)的なものだと考えると「ファミ通の虜」らしいんじゃないでしょうか。
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