BIWEEKLY ファミコン通信
1986年
10月3日号(第8号)
|
2001年1月 6日 更新
4超人+1がやって来たぞ! と言われても。
任天堂の謎のゲーム『パルプス』に迫る!
|
第1位
がんばれゴエモン! からくり道中
第2位
北斗の拳
第3位
六三四の剣
第4位
メトロイド(ディスクシステム)
第5位
スーパーマリオブラザーズ
アニメとのタイアップゲームが2・3位に並んでいるが、なんというか、その、ゲームとしての出来を考えるとちょっとどうかという気分になる。その一方、第5位の『スーパーマリオ』は前回8位からの再浮上。つくづく息の長いソフトだ。
|
第1位
グーニーズ
第2位
グラディウス
第3位
ゼルダの伝説(ディスクシステム)
第4位
ドラゴンクエスト
第5位
ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境
『グラディウス』が前回1位の『グーニーズ』ときれいに並んで1位を獲得した。ちなみに得票数は4005票。今回はこれ以外、チャートに大きな変動は起こっていない。あえて言うなら20位に『がんばれゴエモン! からくり道中』がランクインしたことがトピックだろうか。得票数は769票。この時期に2週間で得た票数としてはなかなかのものだと言える。
|
|
スーパーゼビウス攻略ハンドブック (付録)
小冊子形式の攻略ガイド。『スーパーゼビウス ガンプの謎』といえば、あの『ドルアーガの塔』すらしのぐ理不尽な謎を解かないとエンディングにたどり着けないという、シューティングゲームとは到底思えない不思議ゲーム。残念ながらこの攻略本では規制範囲があったのかエンディングまでの謎は解かれていない。付録タイトルに「永久保存版」の冠が付いていないのもそのためだろうか。
|
|
ソフトウェアレビュー
トミサワ芸能のハード・ソフト劇場
「そういえば昔、ゲームセンターの『ゼビウス』をマシンごと買っちゃったロックミュージシャンもいたっけな……」
この号から新たなレビュアーとして「トミサワ芸能」が登場する。元アイドル歌手のマネージャーながらゲームのやり過ぎで事務所をクビになったという過去 (たぶん架空) を持つトミサワ芸能が、アイドルやタレントなど芸能界事情にからめつつゲームを評価するという異色のゲームレビューだった。なぜこんないらんキャラクター性をもたせるという気もするが、そこがファミ通らしさといえばらしさか。時々話が芸能界話に寄りすぎてゲームの本筋から離れてしまうのも御愛嬌。
このトミサワ芸能、そのネーミングからしてゲームライター/クリエイターとして知られる「とみさわ昭仁」氏ではないかと思われるが、ファミ通巻末のスタッフにその名はクレジットされていないので、違うかもしれない (とみさわ昭仁じたいがペンネームという線もあるが、そこまでくると筆者レベルでは追跡不能である) 。
ファミ・バカコーナー
「しょうこりもなくまたまた4超人+1が来ちまったぜ」
4超人+1 (プラスワン) とは何者か? その正体は『週刊ヤングジャンプ』誌の……名人? なのか? まあ週刊ジャンプにおける「ゆう帝」とか「ミヤ王」と同じ位置づけと考えてくれればいいだろう。基本的にはゲーム記事の編集スタッフであるが、そういう人たちが「ミスターX」と名乗って謎のプロレスラー風マスクを被ったり、白衣にミラーサングラスと口ヒゲ、穴あき手袋というコンセプト不明の格好をしたり、目に痛々しい……もといまぶしいレオタード姿を披露したりというキャラクター性を持っているあたりがどうにも時代である。
さて今回の『オールナイトニッポン』ファミ・バカコーナー、パーソナリティの小泉今日子がコンサートのため欠席ということで、特別企画。4超人+1が放送に乱入、ファミ・バカチームとゲーム決戦という趣向になったのだった。結果は3対3の引き分けという結果に。それにしても出版社同士のあばき合いの目立ったこの時期に、集英社-アスキーのクロスオーバー企画とはなかなかイイ話じゃないだろうか。
水野店長のもう一度逢いたい
「なんだか知らないけど、今回はたったの1ページしかない。こーゆーことだと、いつの日にかなくなっちゃうかもしれないね。ウム、世の中つーのは無情なものなのだなあ。」
謎の不定期連載と化した『もう一度遭いたい』、1ページ減 (ただし2色ページからカラーに昇格) した今回は任天堂『バルーンファイト』を紹介している。慣性の効いた操作感とメリハリのあるゲーム内容が渋い良質ゲームだが、一方で数年前にアメリカのアタリ社から発売された『JOUST』(ATARI VCS用) とゲームシステムがシャレにならないほどそっくり、という黒い一面も持っている。
一見軽い筆致ながらその実批判精神もおう盛なこの連載ではそのへんのたぶん「言ってはいけない話」にまで言及。「不思議なこともあるもんだね」と書いてあって、おいおいと思わせるものがある。
新着ゲーム通信
『パルプス (仮題)』
ディスクシステム専用として任天堂が発表したこのソフト、知らない読者も多いだろう。それもそのはずで発売には至らなかったのだ。
任天堂のソフトに時々ある、コンセプトは斬新だがあまりに斬新すぎてまとまりきらず、結局お蔵入りになるソフトというやつである (多分)。なにしろこのゲーム、かなり特殊だ。基本的にはアクションゲームなのだが、ゲーム中プレイヤーは主人公の動きに関与できない。主人公はあらかじめプレイヤーがプログラムした動きにしたがって行動するのである。プログラムは画面写真にもある通り、アイコンのチップで作成。「敵が前にいれば弾を撃つ。いなければ前進」など条件付けによるプログラムで、ゲーム中の様々な障害に対処していくというシステムだったようだ。ゲームの進行に合わせて使えるチップの種類も増えていくらしい。
現在でいえば、主人公の動きをアイコンチップでプログラムする点、『カルネージハート』等がこれに近いといえるだろうか。古くはディスクシステム用でもソフトプロのロボット対戦ゲーム『ブリーダー』がこのシステムを採用している 。だが、簡易プログラムの動作を「普通のアクションゲームの主人公に」あてはめるという『パルプス』のコンセプトは今なお斬新だ。お蔵入りになったこのソフトだが、現在の「誰にでも分かりやすく」という任天堂のゲーム文法で『パルプス』がどのように仕上がるものか、あらためて見てみたい気がするのは筆者ばかりでもあるまい。
|
久しぶりの更新のわりに意外に今回トピック少なかったんで、ここでちょっとした情報を。いつも各見出しに使ってるこれらイカす外人が描いたイラストですが、『ゲーム帝国』からちょっぱった画像だと勘違いしてる人多いんじゃないでしょうか。
実はこれ、Random House 社の GRAMERCY BOOKS から発売された『THE COMPLETE ENCYCLOPEDIA OF ILLUSTRATION』(J.G.HECK編) がネタ元。この長い名前の本、もともとは1851年刊の『The Iconographic Encyclopaedia of Science, Literature, and Art』というさらに輪をかけて長い名前の本の再構成版で、A4変形版573ページにわたってこの手の細密画が並んでいるという、とりあえず物理的に重たい本です。あ、著作権フリー。デザイン系の仕事をする人間にはけっこう「使える」本ですな。ゲー帝でおなじみイイ顔の人々もたくさん登場するので、単純に愉快なアート集としても使えます (贅沢)。
これ以外にも同編者のものらしき『Heck's Pictorial Archive』シリーズも見つかりました。たぶんこれ『THE COMPLETE…』の分冊版で手軽なんじゃないかと思うので、興味のある人は買ってみてもいいかも。違ってても責任もてませんけど。
|
過去と未来の「ファミコン通信の虜」記事はここに置いています。
姉妹サイト。'86年の創刊号から'96年まで10年間の『ファミコン通信』『ファミ通』のゲーム名さくいん・記事さくいんを並べた、データ系ページです。
親サイト。ファミコン通信以外の情報はこちらに。
bringアットマークzi.under.jp
感想・情報などメールの宛て先はココ。
|
|
- 本ページ「ファミコン通信の虜」は過去に発売された雑誌『ファミコン通信』の歩みを追い、当時のゲームシーンを回顧することを目的とした私的Webページです。株式会社アスキー、株式会社エンターブレイン、ファミコン通信 (ファミ通) 編集部とは一切関係がありません。
- 文中敬称略しています。
- 「ファミ通の虜」はファミ部活動に協賛しています。
|
【1】ぴろりん
パルプスを知ってる人がいるとは驚きです。
でも私の記憶では主人公の行動を・・・では無く
ゲーム作成ソフトだった気がします。
当時ファミリーベーシックを買ったりと作成に
かなり興味があったので間違いないと思います。
ちなみに私は近くのゲームショップで1番予約
だったのですが結局発売されず・・・。
RPGとか作るの無理だろうと小学生ながらも思いつつ
友達と構想を練っていました。
今では幻となったあの画面がまた見れて嬉し懐かしい
気分になりました。
(2006.05.08 01:56AM)
【2】杉浦印字(サイトマスター)
えええ嘘書いちゃったー!? とあわててファミ通8号をあらためて見てみたんですが、ええとこれによるとゲーム扱いですね(正確にはゲームパートと簡易言語パートの組み合わせ)。簡易言語は主人公の動作をプログラムすること専用……と、この記事からは読めます。
ここからは推測ですが、任天堂といえばおもしろくするためには根底からの仕様変更も辞さない「ちゃぶ台返し」で有名なので(当時からそうだったのかしら)、その関係で「ゲーム作成ソフト」→「プログラムで遊ぶソフト」に、またはその逆に、という変化が起きたんじゃないでしょうか。
この記事にしてもプログラム画面は豊富なのに、ゲームパートは「どんなゲームになるのかは未定」というぜんぜん先の見えてない状態の発表なんですよ。どうも任天堂的にはPALPSという表意言語処理体系ありきで作っていて、それをゲームにするかゲーム作成ソフトにするかは後付けでやっていたっぽいです。
(2006.05.13 04:14PM)