ファミコン通信の虜: 1986年10月31日号(第10号)

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今回のテーマ

BIWEEKLY
ファミコン通信
1986年
10月31日号(第10号)

ファミコン通信の虜
2001年6月24日 更新

大スクープ! あの「トミサワ芸能」本人からのメールが!
人気連載クロスレビューついに始動!


この号のファミ通TOP30

第1位

高橋名人の冒険島

第2位

スーパーゼビウス

第3位

スーパーマリオブラザーズ

第4位

北斗の拳

第5位

がんばれゴエモン! からくり道中

 ここのところ移り変わりの激しいTOP30、前回1位の『Zガンダム』は7位に転落。代わって初登場の第1位・2位は新作『高橋名人の冒険島』と『スーパーゼビウス』。高橋名人の絶頂期だし、という気もするがセガ『ワンダーボーイ』のキャラ変え版のこの『冒険島』はなかなかの良質ソフトだった。『スーパーゼビウス』は……ええと……。ちなみに6位には同じく新作『キングスナイト』がランクインしている。

この号の読者が選ぶTOP20

第1位

ドラゴンクエスト

第2位

ワルキューレの冒険

第3位

がんばれゴエモン! からくり道中

第4位

メトロイド

第5位

グラディウス

 前回と比べて大変動のようだが、実はこの号からTOP20がリニューアル。これまで累計式だったランキングだが、今回から週ごとのランキングをメインに掲載するスタイルに変更された。おそらく得票数が膨大な量になり、多少の得票では変動の起こらない膠着状態になってしまったのだろう。

この号の特別企画

AMショー超速報!

 年に一度のアーケードゲーム合同新作発表会、AM (アミューズメント・マシン) ショーの速報記事。構成はビデオゲーム通信でおなじみゲームフリークの田尻智とTACO.Xで、要するにビデ通の特別編といった構成になっている。
 この年の目玉はセガの体感レースゲーム『アウトラン』とナムコの異色アクションゲーム『源平討魔伝』。筐体がダイナミックに動く体感ゲームシリーズで一躍トップメーカーに躍り出たセガと、出すゲーム出すゲームがヒットしてまさに絶頂期にあったナムコの一騎討ちという印象だ。

この号からの新連載

最新ディスクライター通信

 この号から巻頭のランキングコーナーが一新。まずこれまで1/2ページの『ディスクライターTOP10』に加えてこの『最新ディスクライター通信』の連載が始まって、ディスクライター記事はつごう1ページに増量になった。いよいよディスクシステムが盛り上がってきたということか。
 内容はディスクライターの新作情報などのトピックスが中心。今回は銀座博品館トイパークのディスクライターを取材している。まだディスク専用ソフト発売から間もないこの時期、売場担当者からは「カウンターの中に並んだカートリッジを指差して、これをディスクカードにコピーして下さい、なんていう人もいますよ」との言葉も。


読者のご意見板

 『読者が選ぶTOP20』ページの中でスタートした新コーナー。後に「一言小ネタ集」といった位置づけになるこのコーナーだが、連載開始当時はゲームに関する読者からの率直な意見を募るという趣旨のコーナーだった (それは『読者が選ぶTOP20』内部のコーナーであることからもわかる)。
 内容は「『キングスナイト』を買ったが、99パーセントはアクションであり、RPGの要素はほんの少しだった」「やったー、『高橋名人の冒険島』をついに買ったぞーっ! ばんざーいっ!」「『Zガンダム』は、ステージクリアーするまでの時間が短すぎる」など、本当にいわゆる「素直な」感想が大勢を占めていた。


新作ゲーム クロスレビュー

 「文章量は少ないが、その分最新のゲームの批評を」という思想から始まったクロスレビュー。『読者のご意見板』といい、今回の誌面リニューアルでは粗製乱造の中あえてゲームの質を問うスタイルを模索しているように思える。
 このときのレビュアーは豆府屋ファミ坊・水野店長・森下万里子・ガスコン金矢。以後この四人態勢が定着することになる。ちなみにこの回の平均点はファミ坊5.8、水野店長5.8、森下7.6、ガスコン6.2。甘めの点数で知られる森下万里子だが、初回も例外ではなかったようだ。

ファミ通この号のトピックス

愛称 (ニックネーム) ただいま選考中!

 前々号で募集されたファミ通マスコットキャラのニックネームコンテストの中間発表が、「最新ゲーム徹底解剖」の末尾でひっそり行なわれている。この時点での候補作は

・ネッキー ・ガバチョ ・COM2(コンコン) ・コン吉 ・F1号 ・シャーロッ君 ・コン太 ・コン助 ・FAMI2(ファミファミ) ・ファミ平 ・ファミレロ ・通信 (みちのぶ)

 の12点。「通信」はやはり後の「浜村通信」の原形だろうか?
 どうでもいいが、「ファミレロ」はいくらなんでもないんじゃないだろうか。


ファミ通インフォメーション
ファミ通読んでる女の子ちょっときいてっ!!

 ゲームといえば男(の子)のもの、という時代とはいえ、女性ファミ通読者も少数派ながらたしかに存在していたようだ。そんな中、ファミ通でも女性にターゲットを絞った新コーナーを設立しようという動きが出ている。
 この段階ではコーナー名も未定で、ファミ通インフォメーション内での予告編という形をとっているが、後の『ピーチパイポスト』の原形である。男の子と比べてゲーム技術にはうとい傾向にある女の子向けということで、コンセプトも「テクニック以外でガバスがかせげるコーナー」。アンケートやイラスト、文章投稿などを幅広く募集している。


会員証インフォメーション
実はまだ、10月半ばに送れるはずだったぶんが発送できてないのでした。わーん、ごめんなさ〜い。

 『インフォメーション』コーナーの一記事より。応募した読者にもれなく発送、という会員証ではあったが、雑誌の会員証といえば発送が遅れるものというのがもはや常識。例によってファミ通の会員証も着実に遅れているようだ。大事なのは遅れたあとのアフターケアで、その点今回のファミ通ではおわびと転居先不明者のケアと、なかなか充実していて素晴らしい。
 ちなみに現代の話になると、『ファミ部』会員証も絶妙な感じに遅れている (もともとは4月中発送予定。現在は6月下旬) のだが、なんと電話で「遅配のおしらせ」がきたというから驚かされる。大変だったことだろう。会員数が意外に少なかったのかもしれない。なお、電話の感じでは担当の方 (いちおう名前は秘しておくが、ファミ通誌上にもたびたび登場するとても有名な人) がとてもいい人そうだったことと、疲れていそうだったことをここでは記しておく。以上余談でした。


ファミ通町内会

 町内会では最大の長寿連載だった「憧れのファミヨガ 明日への希望編」がこの回ついに最終回を迎える。最終回のテーマは「まじめな形助(かたすけ)君のポーズ」。形助君といっても憶えている人は少ないだろう。『涙の倉庫番スペシャル』の主人公だ。ポーズの効用は「雨にも負けない、風にも負けない、読者からのヤメロコールにも負けない、そんな忍耐力の備わるポーズを私は習いたい。」だとか。
 さて「ファミヨガ」が最終回になったことで、町内会が擁する連載記事は実に欄外の「ファミ通町内会クイズ」と「ファミ通町内会格言」だけという異常事態になってしまった。そこで、ということなのか今回は「クイズ・格言攻略法徹底解剖!!」と題して、望ましい投稿作品のスタイルを解説している。「すぐにネタのばれてしまうものはやめよう」「あぶなくって使えないネタはやめよう」「ネタとしてくるしいのはやめよう」等、いまさら説明するほどのこととも思えないが、それだけ投稿の質が落ちていたということだろう。町内会の苦難の時期はまだまだ続くのである。
 特集は「11人いる!?」と題しての、ゲームキャラ・シルエットクイズ。タイトルは当時話題のアニメ映画のパロディだが、内容とはほとんど関係なかったりする。シルエットクイズという企画も実は過去にあったネタの焼き直しで、こういう安直な企画が続く姿勢にも問題があったと思うのだが……。


〈広告〉ファミコン・カセット専用 アタッシュケース
僕らの、ファミコン・カセット宝箱。

[画像] アタッシュケース  株式会社カヤマ製の、カートリッジのサイズに合わせて作られたキャリングケースである。「カセット」という表現がなんとも時代だ。今でこそCDサイズ全盛になってしまいこの手の商品も少なくなったが、当時はあちこちにこんなキャリングケースが平気で売られていたというから凄い。何の役に立つんだ、とつい思ってしまうがそれは大人考えで、子供の気持ちとしてはかなりカッチョ良くも便利なグッズなのだ。決して子供だましではなく、純粋にニーズを満たしているのだと筆者は考える。この広告を最後までよく読めばそれが真実だとわかる。そこにはさりげなくこう書いてあるのだ。「カギ付」 これは子供だましではありえない。


この号のトピックス+

「トミサワ芸能」の謎が今、解き明かされる!

何も言わない。まずはこのページに送られてきた一通のメールを読んでほしい。

 こんにちは、突然のメール失礼します。ネットをウロチョロしていて、貴サイト「ファミコン通信の虜」を発見しました。わたしは、その中で触れられている、とみさわ昭仁です。

 ご推察の通り、トミサワ芸能ととみさわ昭仁は同一人物です。知人の紹介でファミコン通信に原稿を書き始めることになったとき、当時の副編集長だった塩崎剛三(東府屋ファミ坊)さんから「うちはみんなペンネームだから、チミもなんか考えてヨ」みたいなことを言われたのでした。わたしはそれ以前から、ゲーム雑誌以外の各方面でライターをしており、「とみさわ昭仁」という正式なペンネームを持っているのに、いまさら「別なペンネームを付けて」、しかも「なるべく変なやつ」というのは、ずいぶん失礼な編集部だなぁ、と思ったものです。しかし、普段とまったく別人格になるのはある意味で原稿も書きやすいですし、実際、わたし自身も馬鹿なことは嫌いじゃないクチなので、ああしたペンネームを付けることになったというわけです。

 もちろん、元アイドルのマネージャーというのは捏造です。当時からすでにファミコン通信には「いずれゲーム雑誌にもアイドルページが必要になるはず」という狙いがあったのでしょう。だからこそ、当時のゲーム雑誌界には珍しく、芸能ライター出身というわたしの経歴を活かすために、ああいうキャラクターをファミ坊と2人で相談して作り上げたわけです。

 わたしがファミコン通信に書き始める以前から、編集部のバカKさんが(これまたミもフタもないペンネームですが)、芸能人にファミコンをやらせながらインタビューするという「ファミコン出前一丁」のコーナーはありました。こうしたところからも、ファミコン通信が必死に芸能界と接触を持とうとしていたところがわかるでしょう。で、芸能ライター出身のわたしを記者に加えたのを機に、そのページをよりアイドル化させることになり、わたしがそのページの担当を引き継ぐことになりました。深い意味はありませんが、記事のタイトルが「出前一丁みそ味」となっているのがわたしの仕事です。毎号、登場していただくアイドルの選定から、スケジュールの押さえ、撮影スタジオの予約、カメラマンの手配、その女の子が好きそうなゲームのセレクト、インタビュー、原稿起こし、すべての作業を1人でやっていました。当時の編集部にはアイドルのことをわかっている人が誰もいなかったので、完全にわたしの趣味で人選をしていましたね。バックナンバーを集めてみるとわかると思いますが、久松由美とか守谷香とか白田あゆみとか、かなりのアイドルファンでも「誰それ?」っていうような娘ばっかり出てくるのはそういう理由です。でも、当時は全然売れていなかったけど、わたしが編集長をだましてまで無理矢理登場させた渡瀬麻紀さんが、のちにリンドバーグになったのには仰天しました。

 ところで、巻末のスタッフリストにわたしの名前がクレジットされていないのは、わたしがファミコン通信編集部では例外的な、外注ライターだったからです。通常、雑誌の記事というのは、社内の編集者が書くものと、社外にいるライターに外注して書かせるものとで成り立っています。ところが、当時のファミコン通信というのは、その記事のほぼすべてを社内の編集者が書いていました。アルト鈴木とかTACOXとか水野店長とか、珍妙なペンネームのライターがゾロゾロいたように思われますが、(わたしの記憶が正しければ)彼らはみんなアスキーの正社員か、あるいは契約社員だったはずです。つまり、基本的にいつも編集部に常駐している存在、ということですね。そんななかで、数少ない外注ライター、つまり必要のあるときにしか編集部に来ない存在だったのが、わたしと、のちにポケットモンスターを作ることになる田尻智氏だけでした。とは言え、田尻氏はわたしよりもファミコン通信編集部との関わりが古く、雑誌の創刊前からログイン編集部に出入りしていた(ファミコン通信は、もともとログインの中のファミコン情報コーナーを定期刊行の雑誌にしたものですから)ので、田尻氏の名前だけは、スタッフリストにも掲載されていたはずです。

 こんなところでいかがでしょうか。何かお役に立てました? いまでこそゲームデザイナーが本業になったわたしですが、ファミコン通信という場所は、わたしのゲームデザインの師匠である田尻智氏と知り合った場所でもあります。ですから、かなりの思い入れのある雑誌なんですね。そんな雑誌の全貌を記録しようという「ファミコン通信の虜」には、大いに期待します。これからのご発展をお祈りいたします。

 読んだ? 読みましたね? そう、これはあのとみさわ昭仁氏による直筆メールである! おいおいこんなWWWのすみっこで細々とやってるサイトにこんなことがあっていいのか、とか思っちゃうがこれは真実なのだ。いやあ驚いた。驚きついでにメールをもらってから掲載までやたら時間がかかってしまった。本当すいません。
 とにかく謎は解けた! しかも当時のその場を生きた人間しか知り得ない情報までが詰まってて、なんつうか大変なメールですよ? などと思わず興奮気味になってしまうが、読者諸兄刮目して読むべし。


スタッフ異動情報

新規参入

石礎三千穂(編集協力)
八幡 雅彦(編集協力)
渋谷 洋一(編集協力)
高橋 由佳(制作協力)
admix(制作協力)
小森 ネコ(制作協力)
SRクラブ(制作協力)
スペース"Y"(制作協力)
出浦美佐子(制作協力)
松本 鏡子(制作協力)

お休み

可奈 佳子(制作協力)

お別れ

加藤 泰正(フォトグラフ)
松尾 礼子(制作協力)
河野 忠仁(制作協力)

 この号から制作協力が大増強されている。制作協力とは簡単にいえばデザイナーのことで、おおざっぱにいうと写真の位置や文字の書体、見出しのワク線の形など、ファミ通の見た目担当の仕事というところか。心なしか、この号から「最新ゲーム徹底解剖」などのレイアウトに凝ったものが増えてきているようにも思える。
 そしてこの号では、元祖カリスマゲーマー (名人を除く) のこの男も登場するのである。

渋谷洋一(編集協力)

 パンクミュージックを愛し、デストロイ&ノーフューチャーを信条としながらも、実は驚くほど礼儀正しいという変わったパンクス。ゲーマーとして経験を積んだ後に『PCエンジン通信』を担当、パンキッシュな文章とルックスで読者から高い人気を得た。ファミ通退社後は、懐かしのビデオゲームを集めたゲームセンター『ゲーム博物館』を創設。初代店長に就任する。一応お約束なので書いておくと、よく似た名前の音楽評論家、渋谷陽一とはまったく無関係。



編集室から

 というわけで久々のファミ通の虜は、大スクープまじりでお伝えいたしました。このページはこういった皆様の善意で成り立っていますが、そのわりに更新頻度すくないですねすいません。
 幻の『ファミ通X-BOX 第0号』を送ってくれたMさんありがとうございます。ファミ部会員証の件で電話くださったMさん (このページ読んでるらしいですよ!?) も、電話当時「ヤベエ、このページのことで怒られる!(なんだかわからないけど) 」とか恐怖におびえてて全然面白いこと言えないですいませんでした。←そういう問題か

 そんな具合のファミ通の虜ですが、そうそうファミコン通信第9号のネタを飛ばしていきなり10号の紹介してるんですけど、それというのも9号持ってないからです。誰か見せてくれませんか? そんな最後まで皆様の善意待ちのファミ通の虜ですよ。


リンク

ファミコン通信の虜 インデックス

過去と未来の「ファミコン通信の虜」記事はここに置いています。

ファミコン通信の恋人

姉妹サイト。'86年の創刊号から'96年まで10年間の『ファミコン通信』『ファミ通』のゲーム名さくいん・記事さくいんを並べた、データ系ページです。

鉄の靴

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  • 本ページ「ファミコン通信の虜」は過去に発売された雑誌『ファミコン通信』の歩みを追い、当時のゲームシーンを回顧することを目的とした私的Webページです。株式会社アスキー、株式会社エンターブレイン、ファミコン通信 (ファミ通) 編集部とは一切関係がありません。
  • 文中敬称略しています。
  • 「ファミ通の虜」はファミ部活動に協賛しています。

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 基本的にあいさつ不要で無記名もなんら問題なし。しかしながら当ページ編者のサジ加減ひとつで掲載されるか削除されるかが決められてしまうというシビアな面(シビア?)も持ち合わせています。
 まあ「LETTERS伝言板」(おたよりコーナー)的なものだと考えると「ファミ通の虜」らしいんじゃないでしょうか。
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