2002.09.08(ぶるまー2000より)
暗く深い思い出
あれは、約1年前にさかのぼる。そう、あれはまさしく悲劇だった。僕は口コミで知った『ぶるまー2000』を買い、そしてそのあまりのくだらなさ (例によっていい意味) にまったく感動し、ヒーヒー笑いながら楽しく遊んでいた。
あの日、そう、それはゲームを買ったまさにその日のことだった。シナリオ的にラスト直前とおぼしき急展開を迎え、戦闘シーン(*1)に入ったとき、それは悲劇の序章だったのかもしれない。
なんというかこのゲームはバランス調整とかデバッグとかはシナリオとかと比べてわりとどうでもいいことになっているらしく、まあひとことで言えば猛烈にバランスの悪いことになってしまい先に進めなくなったのだった。具体的には使いものにならない必殺技がだけ手元に残ってしまった。
それはある意味、必殺技の取捨選択を間違えた僕にも非があると言えるかもしれない。その時の僕もそう考え、いったん最初からやり直すことにしたのだった。
最初から、と言ってもマルチエンディング系のゲームなので、わりと簡単に問題の場面には戻れる。とはいえこの際だから、別の分岐も見ておこうと僕は違った選択肢を選んでまったく違う場面を見たりして例によってゲヒャゲヒャ笑っていたりしたのだった。
真の悲劇はその先にあった。今度こそエンディングも近いなと思ったその矢先、まったく偶然にハードディスクが唐突な死を迎えたのだった。
僕の魂が打ちのめされたとして、何の不思議があるだろう。僕の心から夢のかけらがこぼれ落ちたとして、何の不思議があるだろう。その後ハードディスクを買い換えたものの換装が手間でしばらく放っておいた (これは僕が基本的にはMacintoshユーザーであってWindowsはサブマシンであることとも関連している) こともあって、なんだかんだで僕の中で『ぶるまー2000』は「おもしろいのは間違いないけど、しばらくはまともに相対する気になれない」ゲームにカテゴライズされたのだった。
そしてあれからおよそ1年が過ぎた今日。僕はついにあの日に見ることのかなわなかったエンディングを見るに至ったのだった。
まあエンディングとはいってもトゥルーエンドにはほど遠いあれではあるし、そもそもこのゲームの場合道中のえらく多大な分岐を見るほうがむしろ大変なのではあるが、とにかくあの日めざしていた場所にようやく足を踏み入れたのだ、僕は。
それで思ったのは、ああこのゲームはやっぱりライアーソフトの作品だけあって、泣かせるところではやっぱり泣かせるなあ、ということだ。
この心底ナンセンスでどうしようもなくくだらない (例によっていい意味で) ゲームで泣く場面があるというのもなんだか妙で、まあ実際涙を流しは僕自身していないが、しかしちょいとホロリとこさせる場面は事実やっぱりあるのだった。
こういう点ライアーソフトは上手い。これまでのバカノリとかをきちんとふまえつつ、絶妙な表現技法とか細かい道具立てとかちゃんと張ってある伏線とかでうまいことホロリ話を機能させているのが偉い。こうでなくっちゃいけない。
トゥルーエンドではこれがどうなっていくんだろうか。さらに徹底的なことになってマジ泣きが入ったりするのだろうか。それとも逆にバカノリが徹底的になってもうどうしたものかわからなくなったりするのだろうか。どっちにしても楽しみなことにかわりはありませんが。