2003.01.02(PC・ゲーム関連より)
ホリ ジョグダイヤルコントローラ
プレイステーションがゲーム業界の勝ち組になった頃。僕は片手用コントローラーを探していた。『アスキーグリップV』は? そもそも売ってなかった。『グリップコントローラーPS』は? いやまさか。人差し指が遊んでいるデザインなんて冗談じゃない。そんな中でジョグダイヤル装備のこれは輝いて見えたのだが……。手に取ってみると……
うーん……カタログスペックは抜群なのになあ……。ジョグダイヤルの上下にはコントローラの上下が割り振られている (=ジョグを上に回せばメニューをカーソルが上に移動する) 。人差し指のトリガーボタンや、ジョグダイヤルボタンには好きなボタンを割り当て可能。ジョグダイヤルは1番使いやすいように十字ボタンの真ん中にあるというアイデア仕様。これはいい製品だと、思ったんだけどなあ……。
と、思わず体育座りになってしまうのがこのコントローラ。惜しい! どうしようもなく惜しい! 発想の段階では抜群なのに、工業製品として練り込みが甘い! さっきのリングマウスもそうだったけど。
指がうずく (悪い意味で)
たとえばジョグ。これが2重3重の意味で「硬い」。材質がプラスチックな上にゴツゴツしたいわば歯車状の形なせいで、使ってると指に跡がついて痛くなる。そしてダイヤルを回すのによけいな力がいる。まあこれは使ってるうちにいい感じに柔らかくなるのでまだよしとして、最大の問題はジョグダイヤルボタンが「硬い」こと。ボタンが押しづらいのだ。まージョグダイヤルボタンってのはたいていそうなんですが、親指を「寝かした」状態では押せないんですな。あ、これも読んでる人はコントローラを持ってるつもりになって試してほしいんですが、ジョグを回す都合上どうしても親指は多少なりとも「く」の字に曲げなければならない。そしてくの字でボタンを押すのって、けっこう力がよけいにかかるのだ。親指を「寝かして」押すのに比べると。
ゲームの場合、選択と密接にかかわるジョグダイヤルボタンには普通「決定」ボタンを割り当てるから、特によく押すボタンになる。これが押しにくいっていうのは致命的だ。ちなみにその意味では、このコントローラなぜかめったに使わないL1〜R2ボタンが「寝かして」押す位置で、頻繁に使う△□ボタンが「く」の字で押す位置に配置されてるという間違ったこと(*1)になっていて、非常に指が疲れる。
ホリはやはりホリ
しかしもっと指が疲れるのは十字ボタン。そう、一番よく使うボタンが一番疲れるようになっているのだ。これはジョグダイヤルを十字ボタンに内包したせいだろうけど、ひどく押しづらい。ふつう十字ボタンっていうのは (実際は違うんだけどあくまで感覚的には) 十字の真ん中に指を置いて、そこから力をちょっとかければその方向に入力される。任天セガソニーどれでもそうである。ところがこのコントローラだけは、十字の真ん中に指を置いたらうまく入力できないのだ。右に入力するときは、十字ボタンの右端に指を置かないといけないのだ。ば、馬鹿な! それでも意地で真ん中に指を置いて操作しようとすると、なんとジョグダイヤルを押してしまうという恐るべき罠。唯一、人差し指のトリガーボタン(*2)はいい押し心地で文句のつけようがないんだけど、たとえばここに○ボタンを割り振ったとしても、プレステの電源を切ったら割り振り設定もクリアーされてしまうという悲しい仕様。ど、どうしてこんなことに!
あーなんつうか、昔からホリの製品は思いつきは抜群なんだけど、そのインパクトだけで発売しちゃうっていうか、本当思い返せばホリカードのころからそうでしたよ。そういう会社なのかなー。世の中そういう会社があってもいい気はするけど、ちょっと人におすすめはできない。
そう、そんな結論が出てからすぐのことだった。あのコントローラに出会ったのは……。
(つづく)