人生: このゲームに呪いあれ

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2003.01.15(サイレントヒルより)

このゲームに呪いあれ

 あえて誤解を恐れずに言ってしまうと、僕はこのゲームが嫌いだ。だって怖いし。
 どこから襲ってくるのかわからない敵が嫌いだ。敵の不気味な姿形が嫌いだ。理性を感じさせない敵の動きが嫌いだ。敵の存在を知らせるために突然に鳴り出すノイズが嫌いだ。僕に見えないどこか近くで敵がたてる声が嫌いだ。ひどくリアルで現実感に満ちた風景が嫌いだ。意味ありげな血痕が嫌いだ。美形でもなんでもないせいで作り事らしさを感じさせない主人公の顔が嫌いだ。幼い愛娘を探すというせっぱつまった設定が嫌いだ。この先でなにか恐ろしいことが起こると予感させる演出が嫌いだ。壁にぶつかっただけで振動するコントローラが嫌いだ。HPが減った時に鼓動のように振動するコントローラが嫌いだ。重大で危険な何かを見落としそうだから「走る」という行為が嫌いだ。一刻も早く立ち去りたい場所からなかなか離れられないから「歩く」という行為が嫌いだ。獣の吠え声のような風の音が嫌いだ。重くのしかかるようなBGMが嫌いだ。神経をかき乱す機械の動作音が嫌いだ。主人公が立てる虚ろな足音が嫌いだ。物音ひとつしない静けさが嫌いだ。突然どこかから聞こえる何だかわからない音が嫌いだ。物陰が嫌いだ。霧で見えない場所が嫌いだ。暗闇が嫌いだ。動くたびに不安定に移り変わる視点が嫌いだ。視点移動した時に視界の外に消える風景が嫌いだ。明らかにそこに何者も潜んでいないくせに、そこに何かが潜んでいるかもしれないと思わせるすべてのものが嫌いだ。だって怖いし。

 たとえば今日の話。今日は思ったより時間にゆとりがあったので、そう1時間ばかり (学生じゃないのでゆとりとはいってもこういう時間設定になる) 遊ぼうかと思って、あるありふれた施設内をおっかなびっくり探検していた。そこでまったく予想外のところで想像外のとんでもなく怖い目にあって、そのとき僕はもう限界だと思った。ここまで怖い目にあってこれ以上このゲームを遊ぶのは無理だと思って、セーブして電源を切った。ふと時計を見てみると、まだゲーム開始から12分しか経っていなかった。

 誤解してほしくないので、このゲームがどれほど素晴らしい傑作かということを示す事実を最後に書いておこう。
 僕は電源を切ってから5分くらいして、また思い直してプレステの電源を入れ直した。
 だって面白いんだよ本当に。

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