人生: リレミト

鉄の靴  > 人生  > リレミト

2003.11.06(ドラゴンクエストVIより)

リレミト

 中1日あけて今日もドラクエである。
 前回は急展開にさんざん翻弄されて、まあだいたい落ち着いただろうというあたりで保存した。この状態を称して言えばほうほうのていというところだが、とにかく滝に関係のある町。やっと小休止といったところである。やれやれやっと一息つけるわいとか「この直後に政治生命を絶たれる悪徳政治家。マンガの」っぽいセリフを吐きながらソファーに腰を下ろすと、そこが今回のドラクエの油断ならなさで例によっていきなりの急展開。秘書が血相を変えて部屋に入ってきたのだ。何事だ平井!(僕はもう少し妄想と現実の区別をつけて日記を書くべきだと思います)そうだ秘書は関係ない。なんつうかまたもやびっくりするようなことになって、あれよあれよという間に事態は怪奇趣味的な色彩を帯びてきたのだ(←ちょっとうまい表現)。具体的なことはこの日記の性質上書かないが。

 こりゃーまたエライことに巻き込まれたのかなーとか思いながらダンジョン攻略にのりだす我々パーティ一同でしたが、そんなことより重要なトピックがある。
 リレミトを憶えたのだ。
 リレミトの呪文。それは思えば初代ドラクエの頃からある、伝統と格式あふれるそんな意味では銀座ジュエリーっぽい呪文である。何の説明にもなっていないのでもう少し普通に書けば、ダンジョンから脱出するための呪文である。これを唱えればたちどころにダンジョンの外にワープする的なやつ。一応ドラクエやってない人向けに説明してみた。
 便利な呪文だ。正直、今までこの呪文を早く憶えないものか早く憶えないものかとそればかり考えてダンジョン攻略していた気さえする。まあ言いすぎだけど。
 しかし実際便利なのだ。今まで常に往復の「復路」を考えてペース配分していたダンジョンを、片道一点突破でイケるようになるんだからこいつはでかい。リレミトの場合、ルーラに対するキメラの翼のような代用アイテムもないし。
 こういうダンジョン即脱出呪文を最初に考えたのってドラクエだっけ? 有名どころだと。このへん僕の知識が非常に狭いんで何とも言えない(*1)んだけど、いかにも堀井雄二的発想という気はする。
 堀井雄二という人は「ゲームをおもしろくする苦労」と「単につらいだけの苦労」の線引きをつねに考え続けたゲームデザイナーだった。アドベンチャーゲームの「言葉探し(*2)」を排除したのもそうだし、ゲーム性に無関係な苦労を削ることに一生懸命だったのだ。それはおそらく同時代の誰よりも徹底していたし、自覚的でもあった。今はそういう堀井雄二イズムがゲーム界に浸透してしまってかえって誰も言わなくなってますが、この思想は堀井雄二の仕事の中でもっと評価されてしかるべきだと思う。
 何の話だっけ。そう、リレミトは便利だという話だ。
 もちろんこの呪文があると一種緊張感がなくなるのは否定できない。「ヤバくなったら即逃げる」が自由に許されるというのは、まーちょっとズルに近いよなーという気はたしかにしますよ。しかしその一方で、ダンジョンなんつうややこしくそしてハードなものに対して、そのくらいの救済措置はあってもいい気はする。
 少なくともリレミトがある分(復路に気を回さなくていい分)、ドラクエのダンジョン構造は複雑に作り込まれるようになったし、それは成功していると思う。今やってるダンジョンがなんつうか、こう具体的なところははぶきますが行ったり来たりしないといけない構造で、もちろんそこが楽しいわけなんだけど、これでリレミトがなかったら相当ツラかったろう。MPの微妙な状態で一方通行的な場所なんかに来た日には、いささか絶望的な気分になったはずだ。だが、今の僕らにはリレミトがある。ありがとうリレミト!

 ところで『ウィザードリィ』に出てくるMALORの呪文はダンジョン即脱出呪文に分類していいんだろうか? さあ?

*1 何とも言えない

たとえば『ウルティマ』にすでにあったような気もする。あのゲームは魔法のあつかいが非常にぞんざいで、実際のところどうだったか全然おぼえてないのだけれど。

*2 言葉探し

今は昔の話ですが、かつてアドベンチャーゲームといえばキーボードから「ミル ドア」とか「タタク カベ」とか入力するというゲーム形態をとっていた。で、「ミル」では失敗するが「シラベル」ではうまくいく、というような詰まりどころがひんぱんに発生していたのだ。これを本質的にはゲームと無関係な「作業」であると断じ、その代わりにコマンド選択式という現在なお使われる方法を発明したのが堀井雄二なのだ。

 « 前の記事
 « 「人生」トップページに戻る

「人生」から検索

「人生」RSS配信中

RSS 1.0 RSS 2.0 ATOM FEED RSD 1.0

(RSSの意味がわからないときは、気にしないのが一番です)

「人生」携帯版

アドレスを携帯に送る...

powered by MT4i