人生: 七人の殺し屋

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2005.07.08(Killer7より)

七人の殺し屋

 唐突だが『キラー7』である。なんかよく知らないけどスタイリッシュなこのゲームを遊ぶことにしたのだった。ところでキラー7を「七人の殺し屋」って直訳すると『7人のナナ』っぽいですね(スタイリッシュとほど遠い感想)。
 「なんかよく知らないけど」と書いたのは、実際あまりこのゲームのことを詳しく知らないからなのだった。いつもそうだけど、買おうと思ったソフトについては情報を比較的遮断するタイプなせいで、買う段階ではおそろしく断片的な知識しかない状態でのスタートなのだ。でもふつうこういう数千円単位の買い物するときはもっと情報収集してから買うべきじゃね? なんという矛盾だろう。
 とにかく僕がこのゲームについて知ってる情報は、いくつかの画面写真(スタイリッシュ)と「7つの人格を持った殺し屋が主人公」というおおざっぱなテーマと、制作元のグラスホッパーつうところが超イカスらしいよっていう噂だけである。よくこれで買おうって気になったものだ。いや、主人公のハーマン・スミス(車椅子に乗った老人)の持ってた武器が対戦車ライフルという、レジェンドオブメキシコ並のものすごいボンクラ度だったもので、思わず「これは期待できる」と思っちゃったのだった。どんな期待だ、それは。

 で、とりあえず1日目遊んだ感想。
 ヘンなゲームだなあ、と心から思った。いま君がこの雪に気付いてないなら誰より早く教えたいとも、心から思った(槙原)。ごめん「心から思った」だけでここまで話を切り替えるのはさすがによくない。
 とにかくヘンなゲームなのだった。まったくもって説明不足なゲームなのだった。別にゲームとして不親切とかそういうことではないけれど、どう見ても説明が足りてないのだった。
 たとえばゲームを始めてすぐのことだ。通称「イワザル」という男が、このゲームの遊びかたを懇切丁寧に教えてくれる。それはいい。だが、このイワザルが何者なのかがさっぱりわからない。主人公とイワザルが旧知の仲らしいことは言葉の端々からわかる。イワザルの本名がやたら長ったらしくてそれを略してイワザルというような、比較的どうでもいい情報までもわかる。そこまでわかっているのに、どういうわけでイワザルがラバー拘束着スタイルで天井から吊るされてるのかがわからない(←オチ)。
 いや、本当に何の説明もないのだ。イワザルは登場するたびに口にギャグボールをかまされて天井から吊るされているのだ。誰もそのことをつっこまないのだ。いわばボケっぱなしなのだ。
 あらためて言えば、『キラー7』はスタイリッシュなゲームである。決してシュールコントのゲームではない。画面を見ての通りちょうクールってかんじである。七人の人格たちの見た目(このゲームでは「多層人格」と言って、人格が切り替わると見た目も変わる)も喪服のスーツを着崩した野郎だったり、純白のきわどいドレスにリストカットの返り血べっとりなレディだったり、横撃ち拳銃のアロハシャツ黒人だったり二丁拳銃のハーフパンツ少年だったりと必要以上にいかした感じである。あえてくり返すがシュールコント系ではない。
 そんな世界の歩き方をイワザルが色々説明してくれるのだが、肝心のところはたいてい投げっぱなしである。けっきょく敵キャラたる「笑う顔(ヘヴンスマイル)」って何者だ。正体不明なのかもしれないけど、それならそれで正体不明だって言ってくれてもいいじゃないか。指輪を使えとか言われても、そもそも「指輪」ってなんのことだ。だいたい口にギャグボールをかまされてどうやって喋っているんだ。
 読んでる人が誤解するといけないので野暮を承知で補足しておくと、もちろんこれはこういう演出である。こういう風にまったく異常なことを登場人物たちが全員あたりまえのこととして受け止めていると、プレイヤーは気持ち悪くなる。世界観の足下が非常におぼつかない感じになる。だいたい敵がひそむ謎のビルの中にまったく唐突に物理的な間取りを無視して主人公の部屋「ハーマン部屋」(メイドとテレビ付き)が出現するのって、どういうことだ。しかも何部屋も。それも入る場所によってはメイドが私服でおそろしくだらけ続けてたりするし。そして誰もそのことにつっこまないし(だからだらけっぱなし)。こういうことをあちこちでくり返されると、プレイヤーはこう思うのだ。「ヘンなゲームだなあ」と。
 簡単に言えば不条理劇ということなんでしょうか。基本的には主人公が撃ちまくりの殺しまくりの痛快アクションなんだけど。そのへんの話はまた次回。

スミス同盟

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