人生: 激戦区

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2006.06.08(MOTHER2より)

激戦区

 最後に『MOTHER2』を遊んだのがかれこれ12年前だから記憶もあいまいだけど、憶えているかぎりではこのゲームで苦労した記憶がない。
 詰まったりハマったりはもちろん、強いボス敵に苦労したとか長いダンジョンで道に迷ったとかそういう記憶がないのだ。たとえばドラクエとかだと必ずどこかで地道にレベルを上げたりして、それは結構はっきりと記憶に残るものなのだけど、MOTHER2に関していえばそういう覚えがない。わりと難易度ぬるめのゲームだったってことかしらねーなんてのんきに井戸端会議に花を咲かせていた僕なのだけど(※咲かせていない)。

 今日行った場所は、ものすごく苦労した。
 こ、このゲームこういうところあったっけ? いや、風景とかは見覚えあるんですよ普通に。そうそうここの橋がアレだったとか、そういえばここはこんなどうしようもないもの(*1)で道がふさがってたんだったとか、そうだこの辺りにこの敵が出てきたんだとか、そういう記憶は次から次へとフラッシュバックしてくんだけど、いやここ本当にこんな難所だったっけ?
 そこはぼかして言うなら自然林をもつ峡谷で、なんていうか敵がいっぱい出る(頭悪そう)。その場所の広さもあいまってそこはまさにデス・バレー(死の谷)と化していた。英語憶えたての中学生っぽい語彙で表現してみた。
 なにこの敵、平気で一撃でHPの15%は持ってくんですが! あるいはこっちの敵、平気でPP(*2)の15%は持ってく特殊攻撃を使うんですが! あとこっちの攻撃、しばしば当たらねえ!

 消耗戦である。HPはすごい勢いで削られ、回復のためにPPはどんどん減っていく。しかもPPはPPで敵に吸われる。敵を何体か倒したあたりで、これはもしかして死にかけているのではないだろうかと早くも思う。
 緩慢な死である。死の顎門(あぎと)に捕らわれかけているのである。だってほら、HPが100回復する超能力は1回に5PP使うのに、いまやHPが50/163でPPが7/50なんですが。
 これ、普通に考えて死の1歩手前じゃねえ? てなことを思っている間にも敵は現われる。よけいなステータス異常とかも食らう。いやそりゃたしかに回復する超能力もあるけど、それはそれで5PP使うんだって!
 こりゃー確実にあと1回の戦闘で死ぬるなー。となかばあきらめモードに入ったそのとき、運良くHPとPPをけっこう回復してくれるヒラヒラしたもの(具体的な記述を避けてみた)があらわれた。
 ちょっと一息ついた。完全回復したわけじゃないけど、あと5、6回は余裕で戦える。
 ……そんな程度ですみそうにない。
 ちょっと暗澹たる気持ちになった。うわあここまでの道のりと画面のすみに見えた「あっち側」の様子から類推してあきらかにPP足りてねえ! かといっていまさら戻ることもできねえ! 今まで歩いてきた道のりだからわかる。戻ったら確実に途中でPP切れだ。
 まだ戻るよりは可能性があるから先に進むのだけど、まあ思った通り先は先で長い。敵にがんがんHPを削られ、回復につぐ回復で早くもPPは尽きかけている。道に落ちてたプレゼント(他のRPGでいう宝箱のようなもの)を開けても、HP25しか回復しないようなものだったりする。まあ無いよりましだから取るんですけどね。アイテム欄満杯だから泣く泣く売れば金になるモノも捨てたりしつつ。
 そんな限界に近いやりくりをしててもっていうかしてるからっていうか、やっぱり限界はある。
 もうダメだ確実にあと1〜2回の戦闘でどうしようもなくなる。と思った矢先、運良くHPとPPをけっこう回復してくれるヒラヒラしたものがあらわれた。

 そうなのだ。
 後から思うに、あのヒラヒラしたものがまさに絶妙な位置に配置されていたのだ。どんだけ絶妙なんだと思うが、決してPPが減ったら自動的に現われるとかそういうアルゴリズムで出現するんじゃなく、あらかじめ決められた位置に現われているだけのようだ。その後も何度か遭遇した状況から考えて。
 この絶妙さたるやどうだ。もう限界だと思ったそこに救世主のようにあのヒラヒラが現われるのだ。それはもう何度も何度も。
 凄い配置だと思う。敵の出現や動きのアルゴリズムを見るにおそらく(ドラクエ的な)ランダムエンカウント方式よりはずっとこういう配置がしやすい設計になってるとはいえ、それにしたって見事だと言わざるをえない。
 なんだかんだで、1回の遠征で無事にこの死の峡谷を抜けることができた。道中あれだけ苦労したはずなのに、結果的には何のレベル上げもせずに1回で到着である。こういう凄まじいバランス調整のおかげで、苦労したっていう記憶がないんだろうか。なんだか変に納得してしまった。

 死の谷を抜けて、いまは蒼く気味の悪い町にいます。たぶんあそこに行けばボス戦が待ってると思うんだけど、さすがに疲れたのであそこに行く前にセーブして終わりました。

*1 どうしようもないもの

本当にどうしようもない。どういう種類の直感がはたらいてもこんな物体を仮にもRPGに出そうという気になるとは決して思えない。かといって綿密な計算のもとにこれなのだとしたら、それはそれでもっと問題だと思う。

*2 PP

説明しておくと、マジックポイント的なもの。

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 匿名上等・あいさつ不要・タメぐち有りというルール無用の残虐ファイトがまかり通る悪夢のコメント欄。そこでは管理者の「なんかノリが合わねえ」の一言でコメントが削除される恐怖政治が横行していた。
 その時、この地獄の地にあえてコメントを投稿する恐れ知らずの猛者が現われたのだ! いや、あなたの事ですよ?
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