人生: 土星より愛をこめて

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2006.06.17(MOTHER2より)

土星より愛をこめて

 なんか知らんが今日のMOTHER2はものすごくいろいろあった。
 正直言って疲れました。今日はもう書かないでいいんじゃない? どうせ誰も読んでないだろ?
 とか言いだすときりがないので書いてみると、ええとまっさきに思いだすのはやはりアレだ。どせいさんだ。

 どせいさん。その響きに我々はある種の憧憬を感じずにはいられない。それはちょっと言いすぎたがひかえめに言っても『MOTHER2』を遊んだことのある人間なら誰しもどせいさんのことを忘れることなどできない。一方、遊んだことのない人には「どせいさん」と言われたところでさっぱりであろう。説明せねばなるまい!
 ごめん、無理。
 どせいさんを説明することの困難たるやどうだ。少なくとも僕に言えることといえば、たぶん土星には関係ないということぐらいだ。見よ、何の説明にもなってない。

 もうちょっと親切かつ具体的かつ僕のわかる範囲のことを書くと、どせいさんは謎のいきものである。たぶん。謎じゃないとは誰も言っていないというか誰も彼らの存在につっこまないので、もしかするとあの世界の中では全然謎でもなんでもないのかもしれないが、とりあえずゲームを遊ぶプレイヤーの立場からいえば謎である。とある場所で文化的な生活を営んで群生している。
 その姿は愛らしくも変なかんろくがあり、おおむね適当っぽい。そして話すことばはものすごくいいかげんなようでもあり深遠な哲学に裏打ちされてるようでもあり、ただひとつはっきり言えるのはおよそ日本語の文法としてどうしようもなく間違っているということだ。
 ここまでの説明ですごく気味の悪いものに見えてしまったかもしれないが、そんなことは決してない。遊んでみればわかるだろうけど、それはとてもほのぼのまったりとした、ものすごく体の力の抜ける存在である。ああ、なんて素晴らしいどせいさん。

 発売から12年が経つ今もってよくわからないのは、どせいさんが何者であるかとかそういうことはもちろんだが、そもそもゲームに何の関係があるのかということだ。必然性がないのである。このゲームおおむね必然性がなさそうなガジェットが多数存在するが、どせいさんはそういうレベルをブッちぎりで超越したそういう意味ではDIOばりの存在なのだ(たとえないほうがむしろよかった)。
 あの場面を通り過ぎたいま冷静に思うに、別に普通の人々が暮らす普通の町でもよかったはずなのだ、あの場所は。あくまでゲームとして純粋にその役割を考えた場合、そこで起こるのは町としてのよくある物を買ったり売ったりとか体力を回復したりとか情報を入手したりとかそういうことである。別にどせいさんじゃなくてもいい場面なのだ。
 もちろんゲームとしてある種のサプライズが必要という考え方はあるだろう。普通の町では普通すぎてつまらない。普通の町より変わった町のほうがおもしろい。これはあたりまえだと僕も思う。
 思うけど……どせいさんの場合、無意味すぎるんだよ!
 ふつうゲームにおける変わった町というのは、変わっていることに意味があるものだ。たとえばベタでいてちょっと記憶にはない例として、「氷づけの町」というのがあったとしよう。町全体が氷で覆われている。氷の世界である。町に暮らす人たちも氷に閉じこめられている。氷の微笑である。これはあきらかに氷を溶かさなければいけないだろう。たぶんその先のダンジョンには雪とか氷でできているボスがいて、そいつを倒すのだ。氷に関係した魔法とか憶えるかもしれない。途中に火を起こすイベントが発生するかもしれない。氷が溶けた結果、水があふれて今まで行けなかった場所に船で行けたりもするだろうか。
 普通はそんなふうに町の個性がシナリオなりイベントなりに直結しているものだ。だが、どせいさんは違う。どせいさんには意味がない。どせいさんに関連するイベントは起こっても、それはどせいさんでなくてもまったく違和感がないイベントだ。どせいさんは意味もなく変なのだ。どういう経緯でどせいさんという存在がこうも大きな比重で登場することになったのか、それがわからない。

 結局のところ、どせいさんは「意味がないことに意味がある」のだろう。真面目な結論になっちゃって申し訳ないが。
 意味性をまったく無視して唐突かつのんきに現われるこの町は、だからこそ印象的であり「ゲームに急かされる」ようなこともなくのんびりと楽しめ、最終的に好きにならずにいられない(UB40)のだ。どせいさんは意味のないことそのものを楽しむものであり、おそらくこうやって真面目に考えてみることこそ愚の骨頂なのだろう。ぐんまけん。
文章の最後になにかコピー&ペーストミスが起きていると思う人もいると思いますが、だいじょうぶです。あと、結局今日起きたことの大半をなにも書けてないことに今気が付いた。

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コメント

【1】Gemma

MOTHER2日記が始まって以来毎日楽しみに読んでおります。氷漬けの町は新しくはドラクエ6にありましたね。あと(更新履歴で話題にしていた「〜より愛を込めて」という表現の元ネタは)「007/ロシアより愛を込めて」がたぶん最初ではないかと。

(2006.06.18 03:09PM)

【2】杉浦印字(サイトマスター)

あ、本当だ。どっちも言われるまで素で忘れてた!

(2006.06.18 06:46PM)

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