鉄の靴  > 人生  > グッバイ・何色かのブリック・ロード

2006.07.17(MOTHER2より)

グッバイ・何色かのブリック・ロード

 この話をするにはもうどんだけがんばっても少なからずネタバレっぽいことを書かずにはいられないので、じゃあもうみんな読むな! 失せろ! この若造が! 二度と敷居をまたぐんじゃねえ! もう親でも息子でもねえ! だけど、父さんあのあと泣いていたのよ……(いい話)。
 いい話も終わったところで本題に入ると、それはダンジョンおとこだった。
 ちょっと前にこのゲームには3つ大きな「気持ち悪いヤマ場」があると書いたけど、ここはここでもう1つの大きな気持ち悪いヤマ場ともいえる。ダンジョンおとこのことを考えるとどうにも僕は気持ち悪くぞっとした気分になる。
 たしかいい話が終わった後なのでネタバレを気にせずずばり言えば、ダンジョンおとこは「ブリック・ロード」という男の別名である。彼はダンジョンを愛し、最高のダンジョン職人であろうとしたがために、自ら巨大なダンジョンになった男だ。ここには情熱があるが、それ以上に強烈な狂気といったものがある。だいいち巨大なダンジョンに自分の体を作り替えるという「取り返しのつかない感じ」が想像するだに怖い。すごく怖い。
 怖くて気持ち悪いが、その一方で僕があえて「MOTHER2三大気持ち悪いヤマ場」にここを入れなかった理由でもあるのだけど、ここはとても愉快な場所だ。
 なにかとエンターテイメント性に富んでいてダンジョンのわりに敵が激強いというわけでもなく、しかもおおむね数歩あるくと面白いことに突きあたる。僕はダンジョンおとこのことがけっこう好きだし、それは気持ち悪さとかよりも強い感情だ。そんなアンビバレンツな感じでこのダンジョンを僕は越え、出入口から出るときにちょっと寂しい思いもしたのだ。まさにグッバイ・何色かのブリック・ロードである。
 エルトン・ジョンの切ない名曲であるところの「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」がやっぱり彼の名前の元ネタなのだろうか。それともオズの魔法使いのあの道(イエロー・ブリック・ロード)だろうか。単純にレンガ道すなわちブリック・ロードと言いたかったのだろうか。ロードはLordのかけことばで「煉瓦の王」という意味も兼ねているのだろうか。いろいろ思うところはあるが、ひとまずこのとても愉快でどこか哀れな男との別れである。

 って、これだけ僕がいろいろ思ってんのにあんたひどくしまらねえ男だなあ。
 と思うはめになったのだった。最終的に。このゲームの軽やかさはこれだからたまらない。

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