2006.07.20(MOTHER2より)
最初の山場
なんだか不穏な空気なのだった。ひょっとするとこれはもはやエンディング直前なんじゃないだろうかと思ったが、それはさすがにないと思い直した。
まあそれにしたって空気は不穏なのである。アトモスフィアーはアンイージーなのである。ハイスクールはダンステリアなのである(ない)。ロック・バルーンは99なのである(ない)。
ついさっきまでどこにいたかを抽象的に言えば、床がピカピカ光る洞窟。さすがにそれでは説明になってない気がするのでもうちょっと具体的に言えば、あるドでかい石的なものがけっこうある場所から入る、機械的な敵が比較的多く登場する洞窟。あそこにいたのだった。
まず第一に、広い。俺はこのダンジョンの前で自分の小ささを知った。前にも書いた通りこれは『花の慶次』からの剽窃であるが、それはそうとやっぱり広い。ゲームをやってると空気的に「そろそろボスが出る頃合いだなー」と思うことがしばしばあるものだが、このダンジョンはそう思ってからが長い。確実にいままでのダンジョンよりも長い。
いや確かにここよりひとつ前のダンジョンも長くはあったんだ。やや具体的に言うと水をジャブジャブいわせながら歩くダンジョン。あそこも確かに長かったけど、ここはちょっと雰囲気がおかしい。
そこが第二の問題で、あんまり意味なく広いのだ。前回のダンジョンはすべてにおいて目新しく、ちょっとオマケ的にあるアイテムを使ったあるアイテム探しという側面もあり、物理的に言って長く感じるのもしかたないよね的な事情もあったのだけど、今回はどうも違う。単純に広い。特にびっくりするような仕掛けがないにもかかわらず、やっぱ広い。歩いても歩いてもひたすら敵に会う。
そう、第三に敵がやたら出る。決して難敵ではない。ぶっちゃけ主人公と2人目はいつものアレで、3人目が最近得た必殺のアレを使って、4人目はまあサポート的にアレ使えば楽勝じゃん? 多少のダメージは食らうものの、別に深刻な目にもあわずにどこまでも行けるっつう雰囲気でしょ? 話に関係ないけど4人目ってこんなにサポート的役割の人だったっけ? 前遊んだときの印象だけでいえばもっと腕っぷしが強かった気がしたんだけどなあ。まあ12年前だからなあ。『ガンダムW』の五飛とごっちゃになってる面もあるしなあ(*1)。
話を戻せば、敵ががんがん出て経験値がざくざく取れレベルがずんずん上がっていくのである。さほど強敵でもないわりにやたら大量の経験値がもらえたりもして、これはもしやレベルをここで上げろというナゾかとすら思える。
それでも特に気にせず先に進もうとすると、これがまた見事なくらい「この道の先にはたぶん宝箱があると思って進んだらどうもこっちは奥の階へ続く道らしく、だってほらこんなに長く伸びてるわけだしさ、そんなわけでいったん引き返して別のルートをたどってみたらこっちはこっちでまた長く、それでもまださっきの直感を信じて進んだら奥の階へ続く階段にたどり着いちゃってうわあやっぱあっちが宝箱か、なんて感じでまた道を逆戻り」をくり返し、かと思えば「もういいかげん惑わされないぜと思って最初に決めた道をずーっと進んだらやっぱり奥の階へ続く階段にたどり着いて、結局また道を逆戻り」を続け、まあ簡単に言えばウロウロした。
ふつうダンジョンの脇道というのは短くすぐに宝箱などを見つけまた本道に戻すようにできているのだけど、このダンジョンでは脇道も長い。やっぱりあんま意味なく長い。
ちょっと醒めた目で見れば、つまるところこれらは一種の演出なのだろう。こういううるおいのないダンジョンを遊ぶと、人は誰しもつらく感じるものだ。このダンジョンの目的のひとつはつらい戦いを実感させることにあるのだろう。でまあ僕はといえば計算通りにつらい戦いを実感しましたよ実際。これはあるいは途中で力尽きるんじゃないのと、HPもPPも別にさほど減ってないのに思いましたよ何となく。また途中にいい感じに人の気をくじく感じで一発帰還のための場所が用意されてるのねここ。ここを使えば確かにダンジョンからは一瞬で脱出できるが、しかしそしたらまた最初からやり直しに! いやでもここにこの一発帰還が用意されてるってことは、この先もまだまだ長いってことに……! いやしかし……!
*1 『ガンダムW』の五飛
張五飛(チャン・ウーフェイ)。個人的に4人目の仲間とわりとイメージがかぶる。『ガンダムW』とMOTHER2が時期的にほぼ同時期だったせいなんでしょうか。そんな明らかに不穏な空気のダンジョンをどうにかこうにか突破しました(←CMの間に得点が入っていた的なテクニック)。
いや実際じつに不穏なダンジョンだった。いつも書いてる通り、この先の展開を僕はほとんど憶えてないんだけど、たぶんここが最後の戦いへと続く道のりの最初の山場なんじゃないだろうか。いや本当雰囲気だけで物を言ってるのだけど。