人生: 生活用品(まとめ読み)

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生活用品(まとめ読み)

※下に行くほど古い記事です。


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2005.05.30(生活用品より)

岡村製作所 エルシオ

(例によって大物で写真撮りづらいのでGoogleイメージにリンク)

 肩凝り体質の僕はアーロンチェア様のおかげで快適生活を手に入れた。で、これは仕事用なんで部屋のパソコンチェア用にもう一丁買うがよかろう。そして部屋で使うということならリクライニングチェアでもあるエルシオがよかろう。そんな具合で買ってみたら……。

負けた!

 買い物とは、言うなれば満足感に現金(げんなま)を賭けた博打であると言える。そんなこと言うのは僕だけだが。で、まあ完敗した。
 なんだこのイス、全然使えねえ!
 正直申しまして高い買い物だったんで今まで1年ほど自分をごまかしてきましたが、「なんだか1日中仕事してるよりも、部屋にいる方が肩が凝るなんて、僕も仕事人間としてヤキが回ったものだぜ」とかなんとか自分を偽るのはもう疲れたんですよ! 単にこのイスに座ってると肩が凝るってだけなんですよ!
 エルシオ座ってると必ず体のどっかに無理がかかるんですけど。それもかなり。これはなにか、新手の拷問器具か。甘拷問か。

 さすがに気がひけてきたので、ちょっと具体的な話をしよう。ちなみに先に僕の体形の話をしておくと、身長173cmやせ型(定期検診調べ)というかんじだ。参考になるかしら。やっぱならんか。
 まず大々的に言われてる「ワーキングチェアにしてリクライニングチェア」っていう話、あれ嘘。それか間違い(誤植的な)。
 だって、リクライニングってあれじゃろ? 背中をあずけるとそのまま倒れ込むっつうだらしない姿勢保持用の機能じゃろ? 無理。だって、背中に気合入れないと元に戻っちゃうから。
 そうなのだ。たしかに後ろに体を倒せば、イスの背面もぐっと後ろに反る。そこまではいいんだけど、スプリングが強い的な理由なのかなんなのか、力を抜いただけで元にもどっちゃうのだ。リクライニングさせたかったら、地面についた足と背中に力を入れて、「イスの背面を押し付ける」動きをずっとしてないといけないのだ。新手の筋トレか。
 いや確かにそれはちょっと言いすぎかもしれないのは、その状態でイスの横にある調節スイッチをいじれば今度はその位置で固定されることはされるのだ。されるけど、「固定」ってことは今度は弾力がなくなるってことだ。その位置からほとんど動かなくなるのだ。これは少なくとも僕の考えではリクライニングとは言えない。
 というか、現実問題として「背面の角度が変わるのに、座面の角度が変わらない」設計なので体を倒しても決して快適ではないのだった(図参照)。普通のリクライニングチェアなら下図みたくなるところを、エルシオは上図なのだ。あとソファーなんかも、座面は傾かないけどクッションがへこんで下図に似た効果が起きるよね。
[画像] 座面の傾きの図
 まあ下半身をフォローするためにオットマン(足置き)があるとは言えるのかもしれないけど、イス背面を固定した上にオットマンを足下に持ってきて、となると相当限定した使い方しかできないのは確かだ。少なくともワーキングチェア的使用はあきらめるしかない。というかそれなら普通のリクライニングチェア買った方が良くなくね? というのも……。

体を悪くしそう

 まずはGoogleイメージとかで横から見た形を見てもらうとわかりやすいんですけど、これイスの背がいわゆるエルゴノミックぽくカーブを描いてるでしょ? ところがこれが最大のクセものだった。
 あきらかにエルゴノミれてねえ! このカーブ、どういう意図があってこうなってるのか本気で謎なんですが、人体に決してフィットしないようなカーブになってるのです。
 簡単にいえば、えーとジャージ(下)履くじゃない? で、腰パンとかそういうことを考えず普通に履いたときにゴムがくる位置。そこにこのイスの突出している部位が当たる! おかしいだろそれは普通に! と僕は言いたいのですよ。
 いわゆる普通のイスだったら、こうヘソの裏が当たるあたりが突出してるもんじゃね? そこ押されれば人間として背筋の伸びたいい姿勢になるって部位が出っぱってるもんじゃないですかアーロンチェアとか。あるいは逆にソファみたく背中を丸めたスタイルに合わさるようにイスの背も丸まって(凹まって)るとか。エルシオの背面、明らかにこの出っぱる部位が間違ってますよ。ここだけ出っぱってそのくせそっから上が凹まってるから、つまり図のような具合に。
[画像] 背もたれの図
 こ、これ純粋に体とか健康にとって大丈夫なの? 真剣に。
 ランバーサポート機構とか以前に、フレームがこういう形になってるんで取り返しつかないですよ? Webの広告画像とかよく見ると、モデルの人とか苦しそうにしてる気がすんですけど。

価格比クオリティ

 まあこんなこと言うのがそもそも貧乏人スピリッツなのでアレですが、オフィシャル価格で13万円するような代物ですよ? なのにこの工業製品としての作り込みの甘さはどうなのかと僕は言いたい。
 具体的には、ヒジ立ての部分とかすっごいグラグラするんですが。いやさすがにガクガクして書き物もできないとかそういう壊れてるレベルじゃないですけど。
 ヒジ立てが可動タイプだから、なんつうか回すとカチンカチンと回転する機構になってるんですけど、その組み立てが甘いの。カチンとカチンの間に「遊び」があるんだけど、ヒジ立て揺らすとその範囲内でガクガク動くんですよ。簡単に。指1本で。つうかヒジ立ての素材とか普通にプラスチックだしね(いや正確になんて言うのか知りませんが、安物の事務用イスのヒジ立てに使われてるような素材)。
 13万円でこれはあるまいと僕は思う。君はどうか(聞かれても)。
 あとクッションとか全然やわらかくないのもどうか。硬いと言うより、薄い。で、クッションの下が直で硬い板だから座っててやたら硬く感じる。これって何か意図があるんでしょうか。
 今まで色々イス買ってきた経験から言って、これで2万円台とかで売られてたら多機能だし大型だしまあこんなところだろうとか思うんだけど、この値段でこれはないよなあというのが僕の正直な感想。本当の話、世間一般の評判を聞くところではわりといい椅子だってことなんですけど、その理由がさっぱりわからない。何か間違った座り方とかしてるんだろうか。

 あ、最後にひとつホメておくと、セットで買ったエルシオブランドのオットマンはいい感じだった。これは本当に。
 まあ傾き調整のしかたがメカニカルじゃなく、こうガッと引っ張るとロックが解除されるのでその引っ張り状態を維持したまま調整して手を離すっていう、こう書いてもよく意味がわかんないでしょうが、とにかくボタン式でもダイヤル式でもないかなりアナログな方法。これはいささかいただけませんが、オットマン自体は頑丈でクッションの感触も良く、足を乗せてよし簡易イスとして座ってよしと、普通に「使える」オットマンでしたよ。結構オススメ。

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2004.06.06(生活用品より)

アーロンチェア

(これだけ大物だと写真撮るの大変なのでgoogleイメージにリンク

 こう言っちゃなんだが僕は肩こり体質である。「肩こり体質」という言葉のもつどこか病気自慢っぽい語感がどうにも気持ち悪いが肩こり野郎なのは事実なのだ。問題の一因はイスにある、とみた僕は色々2万円以内レベルでイスを買い替えてみたがどうもしっくりこない。じゃあわかったよもういいよとばかりに……ああ……

14万円(当時)とおっしゃるが

 とにかくバカ高え。いやまあもっと高いイスもこの世にはゴロゴロしてるわけですが、あえて声高に言おう。バカ高え! 伊達や酔狂で買うにはためらわれる値段と言えよう。
 しかし困ったことにこの14万円、意外にOKだったりする。正直おおいに満足しているといえる。いやいや別に高かったので無理に自分にいい買い物だったと思い込ませているわけではなく普通によかったのだ。まあ同価格帯の製品と徹底比較して書いてるわけではないのでアレだが、少なくとも今座ってるイスはアーロンではなく(アーロンは仕事場に置いてある)非常に座りづらくてイライラしているのは確かだ。

ボヨヨン素材

 このイスのポイントの1つは弾力にある。まあ、僕の見たところでは。
 クッションつうんですか、座面と……背面? イス業界でここのことをなんつうのかわかりませんが。とにかく最も体重を支える部分。そこの素材が絶妙なのだ。
 オフィシャルページによると「メッシュ素材『ぺリクル』」とかなんとかいうそうだが、そんな造語で言われても実感がわかねえよ!と僕などは思う。
 ゴムっぽい弾力があるといえばなんとなく理解しやすいだろうか。普通の革張りのイスなんかではプシューと沈むにまかせるかんじだが、アーロンの場合ボヨヨンと弾むのだ。そう、崖から落ちた山岸由花子がボヨヨン岩で一命を取りとめたかのように。←実感がわかねえ
 まあ山岸由花子(『ラブ・デラックス』の使い手)は言いすぎだが、けっこう硬めの素材で弾力を持っているのは本当。で、普通のイスの場合は逆に、柔らかくて沈むような方向に進みがちですが、実はこれが長時間座るのにはよくねえ。体がクッションに沈めば沈むほど、クッションは圧縮されて硬くなるんですな。要するに座った瞬間こそ気持ちいいけど、あとは硬いイスに座ってるのと大差ねえのが普通のイス。しかるにアーロンの場合、常に反発力がはたらいて体重が散らされるので、一見硬い素材なのに長い間座ってても疲れない! そんな仕組み。
 考えてみるとベッドとかも柔らかいより弾力のある方が寝てて疲れないところあるよねって、いま思いついたことだけど、実際そういうものなんだろうか。

腕をとれ

 ちなみにヒジ当てもアーロンの場合、かなり弾力のある素材になっている。メッシュ素材じゃないんだけど、硬めの革張りっていう感じでやはり腕を乗せていても「痛い」と感じることがない。
 ヒジ当て。それは肩こり対策にはものすごい重要な部位だ。特にキーボードとかマウスとかひんぱんに使う場合、ヒジというか腕を乗せる場所があるだけで相当疲れが軽減される。簡単に言えば腕を「持ち上げ続ける」必要がなくなるんだから、そりゃ楽にもなるわ。
 というものの普通のイスだとこのヒジ当ての位置が非常に悪い。つうかなんでヒジ当てが机よりはるか下になるように設計してるんだかわからない(これ読みながらヒジの位置を確認してもらうとわかると思うけど、ヒジから指までが机とだいたい平行でないと不自然な姿勢になる)。
 アーロンチェアではこのあたりぬかりなく、高さ調節と左右の角度調整でユーザーに合った位置にヒジ当てがくるようになっている(*1)
 さらにこのヒジ当てが不自然なくらい広いんだけど(普通のイスだとヒジ当てはたいてい肘関節程度の幅しかないが、アーロンの場合その倍はある)、これがまた絶妙と言える。マウスとキーボードを同時に使うとどうしても肘の位置もマウスを使うときは右に、キーボードを打つときは左にズレる(右利きの場合)が、これだけヒジ当てに広さがあると気にせずズレ放題だ。いや、一見どうでもいいことのようでこれマジで重要。アーロン使って初めてこれまでヒジ当てからはみださないように不自然な腕の角度をとってたって気付いたもの。
 まあ、ヒジ動かさずに回転角広くとる方が好きな人もいそうだから、無理にとはいいませんが。あと、パソコンじゃなく紙を相手にする人にはあんまり意味のないことかも、肘当ての広さ。

座りっぱなしなら

 その他前傾・後傾とかのいわゆるリクライニング機能もきちんとしている。いや、個人的にはイスって座ってるうちにズルズル落ちてっちゃう自堕落姿勢タイプなんであんまり恩恵を受けてないんですけどね。
 しかしまあ、さほど過激なまでのリクライニングはしないよとは言っておこう。なんか通販ページとかの写真ではいかにも仕事によし、くつろぎによし、お前によし、みたいな雰囲気で写ってますが、あれはちょっと言いすぎだと僕は思う。あくまでアーロンは仕事というか書き物用の「ちゃんとした姿勢をサポートするイス」であって、前傾も後傾もそのための機能。後ろに傾けたところでいや実際かなりの角度で傾きはするんだけど、のんびりくつろげるほどではない。というかくつろぎたいならリクライニング専用イスを買うべしという感じ。
 あ、その意味ゲームとかやるのにもあんまり向かない。ゲーム遊ぶときってだらしなくもたれて遊ぶか、逆にイスとか関係なく前のめりで遊ぶかのどっちかだから、こういうきちんとした姿勢専用イスはかえってジャマになるはずだ。個人的にはなった。

 そんな感じで、文字通りワーキングすなわち作業にいそしまない人や、イスに対してさほど重要性を感じてない人には決して必要な品ではない。値段高いし。
 だが万全な体勢で作業りたい(新語)人にとっては夢の、そして未来のテクノロジーと言いきれる。楽だ。腕が、そして腰が楽だ!
 値段が高い高いとは言ってきたけど最近は新型機が(ジオン脅威のテクノロジーによって)開発されて旧式のランバーサポート型は数万円レベルでお安くなってきてるし、一生のうちかなりの時間お世話になるものと考えて買えばそれなりのお値段じゃないスかね。まあ気に食わなくて一生のうち数日間しか使わないケースもあるんで責任は持たないけど。

*1 高さ調節と左右の角度調整

「フル装備」タイプでないとこの機能は削られるので注意。この間たまたまそういうタイプのアーロンも座ったけど、ありゃあ、だめだ。

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