だいなし
だいなし率、ということを特に意味なく考えてみた。
まあ、なんていうか……ちょっとうっかりして……、メールのデータ全部、消えちゃったんだよね
(*1)。ああそうさ、全部俺が悪いさ!(逆切れしておけばとりあえずなんとかなると思っている)
アウトルックエキスプレスじゃそんなの余裕で何度でも起こることですよ、なんてなぐさめ (になってないなぐさめ) もいただいたりしつつ、あーというか実際OE使ってなかった僕としてはこんなのかつて一度としてなかったことですので、メール使える環境になって以来数年間のすべてのメールデータが消えた計算になる。正直これはへこむ話だ。別にそのメールの大半はずっと前に買った通販の控えだったりくだらない商品おしらせメールマガジンだったりするんだけど、なんていうか日記とか何年も書いてる人が何かの理由で日記帳全部なくしたらこんな気持ちになるんじゃないだろうか。
それで話は最初の「だいなし率」に戻る。思ったんだがコンピュータのデータは、ものすごくだいなしにしやすいと思う。まあ今回の例は特殊として、理論上はちょっとこうマウスを右から左にやってクリックとかするだけで、簡単に数年来のデータをだいなしにすることが可能だ。この簡便さはただごとではない。だってさっき例に出した日記帳だって、いざだいなしにしようと思ったらけっこう大変じゃないか。水に濡らしたぐらいではだいなしとは言えまい。読めるし。ゴミ箱に捨てることは簡単だが、数年分数十年分と「容量」が増えれば増えるほど、物理的に重くなって捨てることは難しくなる。焼くったって、それも大変だし。しこうして紙メディアはおおむねだいなし率が低いと言えるだろう。
逆にホワイトボードとか黒板とかっていうのは、消すのが簡単な一方で、別にそれほどたいしたこと書かれないから「率」としては低めと言えるんじゃないだろうか。クリエイティビリティーが低いっていうか。
そう考えると「料理」なんてのはわりとクリエイティブにもかかわらず、かなりだいなし率の高いものと言える。たとえばここに星一徹がひとりいるとしよう。どうだ余裕でだいなしになるだろう
(*2)。まあ一徹は余計としても、皿を180°回転させるだけでだいなしにできるっていうのはポイント高いですよね。なにがポイントだ。ともあれ、だいなし率はしばしば重力の強い影響を受ける。マイセンの高級絵皿なんかもだいなし率、高いと思いますよ。
ここまできちんと読んでくれた人 (←すごい意志の力をもつ人) はもうおわかりだろう。つまりだいなし率というのは、(情報の重要性 × 消去のしやすさ)という式であらわすことができる。適当なことばっかり言いやがってとか思われている。
そこで考えるのは、史上最もだいなし率の高いメディアとは何か、ということだ。これが意外に難しいところで、あんまり消去しやすいメディアだとそもそもそこに情報をこめるということをしないわけで、メディアとして成り立たなくなる。なんだこの話はメディア論だったのか。まあそんなわけもないが、実際その意味だいなし率の激高いメディアって考えるとけっこう難しいわけです。
で、最終的に僕はこういう結論にたどりついた。いちばんだいなし率の高いメディアは、たぶん、「砂に書いたラブレター」だ。
*1 メールのデータ全部、消えちゃったんだよね
詳しく説明すると長くなるが、別にゴミ箱に捨てちゃったとかではないことだけはせめて自分の名誉のために言わせてください。
*2 星一徹
これは有名な「ちゃぶ台がえし」のことを言っているが、もちろんあれが伝説であって『巨人の星』本編では一徹氏はそんなに食事を粗末にしていないということも僕は知っている。だからどうした。