はじけすぎなザック
前回から直で話つづけますけど、『はじけて! ザック』のことです。ちなみにメールで「『プラモ狂四郎』『ファミ拳リュウ』あたりと同時に読んでた記憶がうっすらとある」という話も聞きましたが、なんだその『ファミ拳リュウ』って。ぜんぜん憶えてないぞ。いやそういう話じゃなくって、そう、『プラモ狂四郎』で有名な小学生低学年向け雑誌『コミックボンボン』
(*1)です。もうかれこれ15年くらい前にボンボンで短い間だけ連載されたのが、そう、『はじけて! ザック』です。
ほんと連載は短い間、だいたいコミック1巻分っていう感じだったんじゃないですか。約10話。あ、月刊誌だとそうじゃないのか。いやそんなもんだっけ?
タイトルからわかる通りコメディです。わりと小ぎれいな絵です。いまで言えばアニメ絵ってことになるんスかね。主人公の名前はなんか長い名前で憶えていませんが、略してザックです。どっか南国っぽい未開の地っぽいところから来ました。ちょっとエロだが天真爛漫
(*2)アンド金持ってる少年ザックが日本で巻き起こす騒動を描いた、カルチャーギャップコメディーです。そんな具合でしたよ。2話目くらいまでは。
3話目のころでしたっけ、いきなりライバルが出現します。ボクシング部の。さらに今は用務員だけど実は過去に名トレーナーとしてならした男というツボをこころえたキャラのおっさんも登場。なしくずし的にスポーツ根性ストーリーになります。1話にして。ちなみにさっきのエロと金持ちっていうザックのキャラクターはこのライバルが登場した瞬間に速攻で忘れ去られます。
練習に1話つかって会得した「ケンタッキーのおっさんパンチ」(カーネル・サンダース人形をサンドバッグ代わりに使ったので)を駆使して、2話くらいでライバルを倒します。やったねザック! とか思ってるひまもなく、新たなライバルが登場します。さすがはスポーツ根性ストーリーです。旧ライバルが流川楓ふうのストイックないい男だったのに対し、ボクシング部に殴り込みをかけてきたこの新ライバルはパンクかメタル風の不良というこれまたツボをこころえたキャラ設定です。
しかしこのライバルの強さを強調する過程で、よせばいいのにこの男のキャラが立ちすぎてしまいます。打たれ強い男なのです。人間としてNGとしか言えないような。ガラスで腕をざっくり切っても、「こんなケガはなぁ」と言いながらホチキスでバチバチって縫い合わせる! 数秒後には完治! どんな生物だ。
そのおかげでストーリーはどんどんホラー的な色彩が強まっていきます。当然1話にして。ボクシング漫画として許される範囲をブッチぎりで逸脱して、ザック対怪生物とのドロドロした(なにしろ敵が強すぎるので)闘いが展開。さらにそのライバルの父親として「政界を陰で牛耳りサディスティックな嗜好をもつ謎の老人」というカッパノベルズばりのいらんほどのキャラクター性をもつキャラが登場して試合をプロデュースするにいたり、もうボクシング漫画として以前に小学校低学年むけ漫画としてNGになってきます。
そしてだいたい、そう、どう長く見積もっても怪生物ライバル登場から5話くらいだと思うんですが、ライバルは悪魔の力を手にしていることが判明し、えーとあとザックは天使の力を得て巨大化してデビルマンぎみの顔になって、とりあえず敵は倒すしこれから来るであろう悪魔の軍勢相手への戦いの決意もあらたにします。もちろん1話にして。そんでそういう話でもタイトルは『はじけて! ザック』。
誰か、これが私の単なる記憶ちがいだと言ってください。
*1 『コミックボンボン』
そういえばいまもあの雑誌、ガンダムが中心だ。ちなみにボンボンのガンダムマンガは実はすごい質が高い場合が多いので注意。
*2 天真爛漫
テンシンランマンって読むんですけど、自分で変換していうのもなんだが読めねえ。