YMCAは誤解されている
「ヤングマン さあ立ち上がれよ ヤングマン 〜 素晴らしいY.M.C.A. Y.M.C.A. 若いうちはやりたいこと 何でもできるものさ」でおなじみヒデキ西城
(*1)の『ヤングマン (YMCA)』。この曲の印象的なリフレイン「YMCA」ですが、これがキリスト教青年会 (Young Men's Christian Association) の略だと知っている人は少ない。
あ、今ウソだと思ったでしょ。百歩ゆずって別の意味でY.M.C.A.があると思ってるでしょ。でもこれは本当です。まあ正確にはキリスト教青年会「の、宿泊施設」なんだけど。ますますわからない?
もともとこの曲、原曲は VILLAGE PEOPLE というアメリカのゲイをイメージしたダンスミュージックユニット
(*2)の曲です。そんなキワモノっぽいイメージの彼らだけに歌詞もお笑いウィズゲイテイストっぽいものが多く、それでいて英語なんざわかりゃしねえ日本人はオッケーてなもんでアイドルの曲としてカバーしたりしていたものです。同じ VILLAGE PEOPLE の、海軍こそはマッチョの殿堂! 海軍に入って母なる祖国を護ろうではないか、という歌詞の『IN THE NAVY』をピンクレディーが『ピンク・タイフーン』として歌ってたりしました。「They want you, they want you, They want you as a new recruit (募集中、募集中、海軍新兵募集中)」のサビを「やっちゃいな、やっちゃいな、やりたくなったらやっちゃいな」と歌ってしまうんだから、日本人もなかなか捨てたものじゃありません。RICKY MARTIN の『Livin' La Vida Loc'a』をヒロミ郷が『ゴールドフィンガー'99』にしてしまうようなものです。少し違う気もするが。
で、キリスト教青年会。キリスト教圏だとメジャーな話なんですけど、YMCAの宿泊施設は安いのです。日本でも留学経験ある人とか、YMCAにお世話になったことあるって人多いんじゃないでしょうか。内容はまあ、そこそこなんですけど。そこはまあキリスト教青年会だけあって、ちょっとお堅いというか精神的マッチョイメージもあるんですけど。そんなわけでわりと金ない若い旅人の利用する宿、そんな具合のYMCAなわけです。
そして VILLAGE PEOPLE の『YMCA』。「若者よ、さあ旅立とう。悲しい思い出に別れを告げて、新しい町に踏み出そう。YMCAに泊まろうじゃないか。自由な若者同士の触れ合いがある、YMCAは素晴らしい」そんな歌詞だったのでした。そうやって考えると「素晴らしいY.M.C.A. Y.M.C.A. 若いうちはやりたいこと 何でもできるものさ」っていうヒデキ版も、歌詞の流れとしてはそう筋違いでもなかったりする。しかしあの曲を歌うヒデキのあふれんばかりの笑顔はちょっと違うんじゃないかとも思う。
*1 ヒデキ西城
西城秀樹。
*2 ゲイをイメージしたダンスミュージックユニット
なんでゲイなのかっつうと、当時ゲイ=いいダンスミュージックを演る。という迷信があったからです。考えてみるとひどい話だが。ほら『君の瞳に恋してる』の BOYS TOWN GANG とかさ。