人生: 映画の話(まとめ読み)

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映画の話(まとめ読み)

※下に行くほど古い記事です。


目次から...

2006.01.18(映画の話より)

そう悪くはねえぜ

 ものにはたいてい「楽しみ方」というやつがある。それを知らずにものを見るのは不幸だし、間違った楽しみ方を前提にものを見てしまうのはもっと不幸だと思う。
 たとえば『ファイナルファンタジー』シリーズを「RPG」の昔ながらの解釈にしたがって「主人公に自分を投影して遊ぶもの」として遊んだらそりゃ多分つまんないだろう。むしろよくわからなくなるだろう。
 たとえば西部劇というジャンルは基本的に「男のかっこ良さ」を表現することが第一義であって、いかにかっこいい映像があるか、いかにかっこいい行動をとるか、いかにかっこいい銃の撃ち方をするか、そういったことさえクリアーしていればあとはストーリーとか娯楽性とかは瑣末ごとであって、本来どうでもいいのである。ここのところが日本ではあまり理解されてなく、西部劇というととかく退屈というイメージがあるように思うのだが、どうだろう。

 まあそんなことはどうでもよく(意外な展開)、僕が前から思っていた「一般的にダメだと言われてるけど楽しみ方によっては結構いけるぜ映画」を3つ挙げてみたい。思いつきで。

『アンブレイカブル』

 前作『シックス・センス』で一躍スターダムにのし上がったシャマラン監督が一躍スターダムから飛び降りたと評判のアレ映画。
 だけど実はこの映画、アメコミをある程度読んでるとものすごくおもしろいんですよ。ていうかこの映画がアメコミなんですよ(←意味がわからない)。えーと、つまりCGアニメ映画の『Mr.インクレディブル』って別にアメコミ原作じゃないけどでも確実にアメコミじゃない? そういう意味でアンブレイカブルもやっぱりアメコミなのです。
 アメコミ界隈では俗にヒーロー誕生物語を「オリジン・ストーリー」と言ったりします。アメコミでは同じタイトル・同じヒーローでもたびたび回想とか2代目にバトンタッチとか前やったアレは時空のゆがみ等の理由でなかったことにとか(本当にある)、そういう理由でオリジン・ストーリーが結構ひんぱんに出てくるんですな。加えてオリジン・ストーリーは「一番最初の話」なので伏線とか気にせずキレイに完結した話を描けるという利点もあって、良作が多いのも特徴なのです。そんな理由でアメコミ界ではオリジン・ストーリーは一種特別な存在なのです。
 で、アンブレイカブル。
 この映画はまさしくアメコミのオリジン・ストーリーの手法にのっとって非常にていねいにヒーローの誕生を描いていて、正直僕はアメコミ物映画ではライミ監督版『スパイダーマン』に並ぶ傑作だと思ってますよ本気で。ラストなんか「なるほどそうだよそこを描かないとアメコミじゃねえよな!」と思わずヒザを打つ展開。
 いまいちというか強烈に地味な主人公の能力やコスチュームも、オリジン・ストーリーの金字塔『BATMAN: YEAR ONE』ばりの渋いやりくちと思って見るとこれまた納得。というか昨今のアメコミ界には「やっぱりあのコスチュームはねえよなあ。マントとか」という時代の空気があり、なんとか地味な方向性を模索しているところ大なのです(そればっかりじゃないけど)。
 そういう理由で全体の作風もサスペンス調というかスリラー調になってるのですが(ここなんかも「おっ、アラン・ムーア調だね」とか「フランク・ミラーを意識したかな?」とかニヤニヤできるところ)、アメコミ文化のない日本ではそのまんまサスペンスかスリラーだ的にとらえられてしまった上にあの『シックス・センス』みたいな衝撃が!と余計な期待までされちゃって可哀想なことに。いや本当にアメリカではわりと評判いいみたいよこの映画(参考:IMDbのユーザー評価)。
 ついでにもうひとこと加えるなら、「アンブレイカブル」というタイトルも日本ではUN・BREAK=壊れない男という一点のみでとらえられがちですが、実は英語のunbreakableには「馴らしがたい」という意味もあって、主人公が自分の境遇を受け入れようとしない姿のダブルミーニングになってたりもします。このニュアンスが伝わってればまた評価も変わってたのかなあ、とか。

『ラスト・アクション・ヒーロー』

 主役をつとめたシュワルツェネッガー本人が「やんなきゃよかった」と大いに認めてしまうほどに大コケした映画。
 とは言うけれど、いやこの映画普通に面白くねえ? と当時から首をかしげることしきりだった僕ですが、どうも「シュワルツェネッガー主演のスーパーアクション映画」と思って観る人が多かったらしく、まあそりゃガッカリするだろうな。
 タイトルになまじ「アクションヒーロー」なんてついてるから勘違いしがちですが、この映画は「映画のパロディ / オマージュ」として観るとすごく楽しめる。つうかそう思って観るのがむしろ正解では?
 映画の世界(どんなだ)からやってきたヒーローが現実世界で大活躍というプロットですが、この映画と現実のギャップに翻弄される姿がすげえ面白い。映画の数々のお約束をそんなわけねえじゃんとばかりに「映画の中で」否定する、この矛盾した構造と徹底して出まくるお約束の数々が、もう観ててあーあるある映画ってこういうのあるよとクスクス笑えて楽しい。まさに映画LOVEな映画、こいつは言ってみればニューシネマを90年代軽薄アクションに置き換えた『ニューシネマ・パラダイス』だよ! ごめんちょっと言いすぎた。
 そんなわけであのタイトルもずばりこの映画はアクションヒーローという存在をちゃかした映画なんですよという意味だったんだろうけど、まあ実際伝わりづらくはあるかも。

『ポストマン』

 『ダンス・ウィズ・ウルブズ』でオスカーを総ナメにしたケビン・コスナー監督主演作! 今度はラジー賞を総ナメだ! ってな感じで1998年ラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞:俗に言う「最低映画賞」)を5部門受賞しちゃった問題作。
 ……いやまあ、これに関しちゃラジー賞もあるだろうなっていう感じの映画としてムチャクチャな展開の早さと要所要所(だけ)でなぜか異常に壮大になる映像と音楽、そしてあるんだかないんだかよくわからないメッセージ性、とダメな要素を大量に持った映画ですよ実際。
 しかしちょっと待たれよ諸君まあ聞け。監督としてのケビン・コスナーはもともとこういう人なのです! ……あーいや、ダメな監督って意味じゃなくてですね。
 いちばん最初の方で言ったでしょ西部劇とは娯楽作ではなく「かっこいいを楽しむ映画」なのだと。それを思い出していただきたい。そう、コスナー監督は西部劇監督なのです! マジで。
 君も『ダンス・ウィズ・ウルブズ』を観たか! 僕も観た! あれ単体で観るとお腹一杯の大感動な名作ですが、実はコスナー監督的にはあれは「単に西部劇を撮ったらついでに名作がついてきた」的なものなのです。コスナー監督がこれ読んだら怒ると思う。
 えーとこのあたり文脈を読まないとわかりづらいんだけど、実はコスナー監督作品って『ダンス・ウィズ・ウルブズ』『ポストマン』『ワイルド・レンジ』と西部の香りあふるる映画ばっかり撮ってるんですよ。ワイルド・レンジは事実西部劇だし、ダンス・ウィズ・ウルブズも変形西部劇、ポストマンはもっと変形した西部劇。
 そうして西部劇の視点で観るとこの映画、猛烈にかっこいい映像、猛烈にかっこいい音楽、猛烈にかっこいい男の生きざま、それらを余す所なく描いているから他のことはどうだっていいのです。視聴者は何も考えず「かっこいい!」とよだれをたらしてればよいのです。その意味西部劇も大好きな僕としてはもうマジ合格点ですわ本当に。
 ついでに言えば、この映画の欠点のひとつである変に早いテンポ。これもコスナー監督作品の文脈を読んでいくとなんとなく合点がいくところだったりします。
 『ダンス・ウィズ・ウルブズ』の一般公開バージョンとディレクターズ・カット版と両方見た人にはわかるでしょうが、アレ一般公開バージョンはものすごく早いテンポに切り刻みまくってるんですね。それでも3時間超の映画になっちゃうってのもすごい話ですが、コスナー監督が本当に撮りたかったディレクターズ・カット版観てみたらもうテンポ遅いのなんの。寝る人とか確実に出るぜ?ってくらい、必要以上にじっくり撮ってるんですよ本当はアレ。
 ところがそれをぶった切った一般公開バージョンが大ヒット。コスナー監督思ったねこの時。「あーやっぱテンポ早くないとダメかー」 本当に思ったかどうかは知りませんが、少なからずポストマンに影響を与えてることは想像にかたくありますまい。ちなみにその次の監督作『ワイルド・レンジ』ではちょうどいい感じのテンポになってました。泣かせる話だ。

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2004.03.22(映画の話より)

メキシコ伝説

 つう訳で観てきたのが『レジェンド・オブ・メキシコ』原題ワンス・アポン・ア・タイム・イン・メキシコ。原題の意味をくみつつも日本人にも分かりやすいタイトルでいい邦題だと思いますよ。
 で、ロバート・ロドリゲス監督によるメキシコ血しぶきガンアクションシリーズも『エル・マリアッチ』『デスペラード』に続く3作目。そろそろトーンダウンする頃合じゃないのー? 途中に『スパイキッズ』シリーズもはさんでるしロドリゲス監督すっかりオトナになっちゃってたらどうしようとか観る前言ってたもんですが、そこはスパイキッズが3作目だからって「じゃあ3D映画撮るしかねえよ! ジョーズもそうだしな! ガハハハ!」とか言い出すわれらがロド監督。前2作を超える銃バカパワー全開の映画に仕上がっていました。
 とにかく撃つ!そして殴る!やっぱり撃つ! 監督の「登場人物をいっぱい珍奇なアクションで殺したーい★」という思いが暴走して敵も味方も必要以上に大勢でみんな殺し合う。一般市民も巻き込んで。というか一般市民すら銃を撃つ気まんまんで、もはやまともな人間は1人か2人しか登場しない始末。この映画における命の重さは約1グラムと断言できる(ちなみにパチンコ玉は1個約5グラムだそうです)。こ、これだ! こんな映画を待っていた!
 それにしてもテレビの予告CMとか見るにつけ、前2作の主役にして伝説の男エル・マリアッチを演じるアントニオ・バンデラスをまったく無視して、脇役であるところのジョニー・デップをさも主役級であるかのようにクローズアップして宣伝するのはなにか、パイレーツオブカリビアンでアカデミー賞ノミネートされたしシザーハンズ等で甘い魅力(バンデラスに含まれていない成分)もふりまいてるデップで女性客にも1発売ったれイという汚い商売なのか、と義憤にたえなかったものですが……
 ……ゴメン、本当にデップが主役だったよ。
 ロドリゲス監督、なんでもこなせる俳優デップを使うのがよっぽど楽しかったのか確実に本来主役のはずのバンデラスよりもデップの見せ場を優先してます。それがまたバンデラスのガン=カタ級の神がかった動きと対照的にトリッキーなアクション連発のひと味違う格好良さ。なるほど確かに前作で神を超えて強くなったエル・マリアッチにはさせられない役であってデップにやらせるのも納得ですが、話の整合性とかドラマツルギーとか主役の存在感とかはけっこうおいてきぼりです。
 しかしここであえて僕個人の趣味からいえば、われらがジョニー・デップの魅力が大爆発した上にわれらがロドリゲス監督風味満載とくればむしろオールオッケーであって、大変気分のいい1時間半を過ごしたわけですよ実際。たしかに見終わった後から考えると、デップとバンデラスが後半1度としてからまないのは脚本上も破綻はなはだしいし第一あんまりな見せ場の損失ではないかとか、そういえばダニー・トレホ(職業:)もあんまり盛り上がらない出演だったとか、もったいないと思う点もなきにしもあらずですが、観てる最中はデップにもう夢中なので、良し!
 つーか観る前は、CMにつられたデップファンの女子にこの映画はつらいんじゃないかと思ってましたが、どっちかというとデップファン向けの映画なんじゃないかって今となっては思う。

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2003.12.28(映画の話より)

全米震撼

 「興奮した観客が『すごく面白かったです!』とか言うCM」。あれほど見る気をなくすCMはないと思うのですが、まあ、今でもよくあるくらいだからみんなあれでメチャメチャ見たくなってるんじゃねえの?(なげやり) もちろん映画の予告の話ですよ。

 この間テレビ見てて「単純にすげえな」と思わされたのが、『すべては愛のために』のCMだ。えーと基本的に恋愛映画って見ないんでよく内容覚えてないんですが、なんかこうしっとりしたいい声のナレーターが真面目な惹句を読み上げるわけですよ。だいたい「えっシュワちゃんが妊娠!? な〜んてコレ映画のお話」の真逆みたいな感じで。そうか感動的な話なのか僕は見ないが君は君でがんばれという感じですが、その感動的なラストに彼はこう付け加える。「泣けます」 もちろんしっとりしたいい声で。
 そのなんだ、今の観客が(今に限ったことかどうかはよく知らないが)「泣ける」映画に強く惹かれるというのはわかる。ただなんていうか、しっとりしたいい声で言う「泣けます」には、説得力が100%ない。
 これはいい声であることが問題なのかもしれない。「いい声」というのはつまるところ紳士の発する声(ちんぴらがいい声を発した例を私は知らない)であって、そして紳士とは涙を見せないものだからだ。仮にジョージ・ジョースター卿(*1)が「泣けます」と言っても、「そうかなあ」と我々は思うのではないか。まあジョースター卿は奥さんの形見の指輪が戻ってきたときに泣いてましたけど(よけいな横道にそれる)。
 じゃあここはいい声じゃなくむしろ映画で泣くことに違和感のないキャラクターを持ってくれば良いのだろうか。たとえばCMのラストで、映画を見終わった観客が顔をくしゃくしゃにしてこう言う。「泣けます」 説得力はあっても、見たくなくなるに違いない。それならこうしたらどうだろう。CMのラストでしっとりしたいい声の男が男泣きに涙を流しながら「泣けます」と言う。もう何の映画かさっぱりわからないけど。

 つまるところ本当に泣ける映画なんてのは実際に泣かせる映像満載であろうから、こんな不自然な「泣けます」を入れる暇があったらいい映像を見せて直感的に理解させる方がいいに決まってるし、なんていうか、CM作ってる人って、すげえな(脳の構造などが)って思わされたわけですよ。

 ていうかね、『すべては愛のために』ってたぶん言うほど恋愛映画じゃないよ。必死に恋愛映画っぽく見せてるけど、原題は『BEYOND BORDERS(国境を越えて)』だし。もちろん別に国境を越えた恋愛じゃないし。つうかアメリカ版の予告編はこんなだし(*2)。これ見てから日本であんな紛らわしい邦題つけてこんな能天気な企画やってるの見ると、ああ大変そうだな(地獄の閻魔様が。これから)って思わされて、泣けます。←もちろんこれが言いたかった。

*1 ジョージ・ジョースター卿

ジョナサン・ジョースター(ジョジョ)の父。紳士だった。

*2 アメリカ版の予告編

こっち見ると、普通に面白そうな映画に見える。

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2003.12.09(映画の話より)

こんな映画を見た

シルベスター・スタローンの? 定時制は最高!』

あらすじ:
 低学歴コンプレックスから一念発起、定時制高校に入学した主人公(シルベスター・スタローン)。クラスメート達はクセ者ぞろいながら勉学の情熱は共通。友情を深め、ヒロインとの恋も進展する一方、彼らに偏見を持つ悪徳教師の嫌がらせはエスカレートしていく。成績のかかった中間試験でインチキ問題を出題してきた彼に、ついに主人公の怒りの鉄拳が炸裂する!

(以下ネタバレを含むので注意してください)
 低予算バカコメディの怪作。シルベスター・スタローン主演と言っても、スタローン登場シーンはすべて『ロッキー』や『ランボー』から使い回しのカットに吹き替えでセリフを足しているか、さもなければ遠景で撮ったそっくりさん。そのため平気で1シーン中に髪が伸びたり服や背景が変わったりする。逆にまったく同じ顔のアップを1シーンで何度も使い回したり。考えてみると、この1発ギャグだけで全編引っ張っているのは凄いかもしれない。
 ちなみに見たのが字幕版でアメリカのそっくりさんがスタローンの吹き替えをしているようなんだけど、僕はスタローン本人の声にあんまりなじみがないので似てるかどうかまではよくわからなかった。とりあえず口を閉じたシーンでも平気でベラベラ喋るのは面白かったけど。あとよりによってクライマックスだというのに『ロッキー』のパンチンググローブを殴るシーンを使って人を殴るところとか。普通に拳闘シーン使え。
 よくこんな企画が通ったなと思ったら、どうやら手当り次第にオファーして唯一いい返事をくれたのがスタローンだったらしい。そのメチャクチャな仕事の進め方もすごいが、オーケーしたスタローンも凄い。好きになりそうだ。
 ところでどうしても理解できなかったのが、途中何度もいっさい脈絡なく『パワーレンジャー』のパロディらしき挿話が入ること。本編とまったくクロスしないし、何かの伏線なのかなーと思って見てたらとうとう最後まで何も関係なく終わってしまった。そういうギャグなんだろうか。シュールだなあ。もしかするとパワーレンジャーを見てれば意味が分かるのかもしれないけど。
 このパワーレンジャー部分でピンク役を演じる(というかこの部分のキャストは全員本編には登場しない。どうしてこういう余計なところで金をかけるのか)現役ポルノ女優のお色気場面がこの映画一番の見せ場と言えば言えるかも。
 正直「スタローン主演」というギャグだけで映画1本まるまる引っ張ってるんでものすごくダレるしそこ以外はあんまり面白くないんだけど、こんな映画でも真顔で演技する(あたりまえだけど)スタローンの勇姿は必見。


 ……という夢を見た。←オチ
 タイトルだけ後付けだけど、それ以外のディティールは全部夢で見た通りです。いったいなんでこんな夢を見たんだろう。思うに、僕は多分死ぬね。近いうち死ぬと思うね。  

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2003.10.26(映画の話より)

BTTF

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)』という娯楽映画の(いまや)古典的名作があって、それに登場する悪役の名前がビフ・タネン。トーマス・F・ウィルソン(*1)演じるこの男、頭の足りない小物だけど実にイヤな奴、というなかなかイイ悪役ぶりを見せていて、その「ビフ」という独特な響きの役名とともに見る者の心に残るキャラクターでした。
 で、今日気付いたんだけどインフォシークのアクセス解析の担当者は、どうやらBTTF好きらしい。

URLの先頭は、「http://」で始めてください。
例:「http://www.infoseek.co.jp/」と指定すると、http://www.infoseek.co.jp/phage.html も http://www.infoseek.co.jp/biff/tannnen.html も含みます。

 こんなところに細かいネタを仕込むか。だいたい「ビフ」っていうフォルダをわざわざ作ってその下に「タネン.html」ってどういうサイトなんだ、それは。普通だったら「タネン」フォルダの下に「ビフ.html」とか「マッドドッグ.html」とかじゃないのか(おそらくそういう問題ではない)。
 あと、どうでもいいことですがこのタネンのスペルに「n」が1個多いのは検索よけなのか単なるミスなのかが気になる。とても。

*1 トーマス・F・ウィルソン

BTTF以後はむしろ声優として活躍していて、我々のよく知るところでは『ゴーストスイーパー美神』の英語吹替版で信長の声を演じたりもしてたらしい。(参考:IMDb

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2003.09.13(マンガ・アニメの話より)

ぼくらの時代(コンタロウ)

 けっこう前に録画したまま放ってあった『ビューティフル・ドリーマー』やっと見たけど、やっぱり何度見てもスゴいわこの映画。個人的には押井守の最高傑作だと思ってたりもする。いまだにクラクラしてますよ。あーもう押井作品は見た後かならず現実感を見失うってわかってて、なんでよりによってこんな台風(*1)で現実感のない日に見ちゃったかなー実際。これだけ破壊力のある狂った作品を『うる星やつら2』つって見せられたら、そりゃ当時のファンも賛否両論出るよなー。

 で、まあこの映画、いまや名作というか殿堂入りというか、とりあえず見とけマジで一度、というあつかいになっている一方、いまや見てない人の方が多いだろう圧倒的に、という気もするくらい古い作品なわけで。実際の話『うる星やつら』の世界観知らない人がこの映画見ても意味かなりわからないだろうし、しかも原作とアニメ版両方知ってないといけない(なにかとアニメ版オリジナルキャラが出張る一方、原作をちゃんと全部読んでないとあのキーパーソンの存在が、こう、困る)わけで、これはかなり敷居の高い話だ。ましてそのへんをなんとかクリアした上でも、やはり当時の「押井節に免疫のないところにしかもいつもの『うる星やつら』だと思って観たらこんな内容でウーワー」気分についてはもう想像することしかできないとくる。かくいう僕も当時はマンガ版は中盤から立ち読みはじめてアニメ版は2、3回しか観てないし映画となると存在すら知らないというレベルだったので、もちろん当時の熱狂は想像する他ない組である。
 つまり何が言いたいのかっていうと同時代性っていうか時代の空気の中にいるっていうのはありがてえもんだなーっていう、うっかり時代の空気から外れるともったいないなーっていう、そういういささか教訓的な気分になったわけですよ本当の話今日は。だからってまあ『機動戦士ガンダムSEED(*2)』の真っ最中に生きてる今日このごろをありがてえと言ったものかどうかはやけに疑問なわけですが。

*1 台風

すごかった。

*2 『機動戦士ガンダムSEED』

この間「これがもしガンダムという冠じゃなく、単なる新規のロボットアニメだったらこれを楽しめたのだろうか」という事を考えてみた。やっぱり無理だと思った。

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2003.02.16(映画の話より)

この星の一等賞

 Amazonで予約してた『ピンポン』DVD版が1日遅れで届いた (なぜ?) ので昨日から本編から特典映像だのコメンタリーだの1日中見てたら、さすがに疲れて気が狂いそうになりました。いや、別にいいんだけど監督のコメンタリーがちょっと聞き取れない&退屈すぎ。CGの解説とかは面白かったですよ?
 あーそれにしても夏木マリ (オババ) や竹中直人 (小泉先生) 見てると役者さんってすげえと思う。原作知ってると最初のうち違和感ありまくりなんだけど、見てるうちに全然気にならなくなるしなあ。窪塚も。悔しいがあんたたいしたもんだぜ、窪塚。
 あと番外編の『ティンポン』が想像をはるかに超えるバカさかげんで、呆れた。さすが宮藤脚本。また『木更津キャッツアイ』見たくなってきた。ニャー。

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2002.08.25(映画の話より)

MUSIC IS THE VIVE

 映画の『ピンポン』観てきましたよ。
 まあ僕なんてちょいとした原作の松本大洋版『ピンポン』大好き人間なんで、映画として以前にまず原作の再現度みたいのを評価の第一基準にして観ちゃってはいたんですが、それにしても面白! ナイス映画誕生! マジで大満足な僕なわけですが、一緒に観た原作未読の人は首をひねってたので、まあそういうものなのかもしれない。

 ともかく原作を本当に大切にして作っていただいてる映画で、なんかもう監督・脚本のあんたら素敵な馬鹿野郎どもだ!と強くたたえたい。実際の話ペコ役の窪塚洋介なんかは原作のテイストとは微妙に違うんですけど、映画の中のキャラクターとしてきちんと完成してたのでアリと言い切る所存。で、それに合わせたらしく夏木マリ演ずる田村のオババのキャラも原作とはやや異なってますが同じ理由で納得。あと時間の都合もあってか小泉先生 (バタフライ・ジョー) の扱いがやや短くなってますね。で、それに合わせて配役が竹中直人と。あ、大田キャプテンとかも。
 とかなんとか細かいばっかりあげてんじゃねえよという感じですが、そういう程度のことしか言えないくらい見事に原作を再現してるんですよこの映画マジで。アクマなんかリアルアクマですよあれは。ノットバーチャルですよアクマ。
 というかアレだ、原作とかあのーなんか松本大洋っていう作家の人のあつかいがすでにオシャレ系みたいなことになりかけてるじゃないですか。本屋とかいくともうコアな本屋orオシャレ?ねえ、オシャレ本屋?みたいな店しか置いてないことになってて、なんつうかサブなカルチャー? そういうことになりかけてるじゃないですか、松本大洋。でもこの『ピンポン』つうマンガは基本的にはオシャレとかと縁遠いド熱い爽快娯楽作品だと思うんですよ、僕は。そういうあたりをきちんと映画でもくんで、変なアート方向の工夫(*1)を凝らしたりしないでちゃんとした娯楽作品として形にしてるっていうところに、こう熱いガッツを感じましたね。
 というかエラいなって思ったのが音楽の使い方で。この映画、ちゃんと盛り上がる場面では盛り上がる曲がかかるんですよ。
 あーなんて言えばいいのか、要するに「『ロッキー2』の練習シーンで『ロッキーのテーマ』が流れるの法則」なんですけど、それ説明になっていません。もう少し普遍的にいいなおすなら「グッとくる場面でグッとくる曲がかかる法則」なんですけど、なんかもうどうでもよくなってきました。説明するの。
 そういう法則をおざなりにしてる映画って多くねえ?と僕はフランクに聞いてるのです! 多くねえ? 特に邦画に多くねえ? 他と違うことをやってるつもりなのかい? それは確かに他と違うかもしれないけど、それでおもしろい映画のつもりなのかい? と、そうフランクに聞いているのです。監督などに。
 そんな意味でここぞという時にここぞという曲がかかってくれるのは、まあベタっちゃあこれほどベタなこともないんですが、そのベタネタをやってくれて本当にありがとう映画版ピンポン!とまあ満足しまくりの夜でしたよ。

*1 変なアート方向の工夫

唯一BGMの選曲がおおむねテクノ方面っていうあたりがややアート寄りな気もしますが、そぐわないわけではなかったので大丈夫です。

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2002.01.26(映画の話より)

メメント森

 もー今さらといえばこれ以上今さらもないっつうぐらいなんだけど『メメント』は面白かったねー本当。
 あれ最初に観てバッチリ全部理解して映画館後にした人っているのかって思うんだけど、面白いのは「一体なんだったわけ?」とか思いながら映画館出て、帰り道思い出しながらだんだん頭の中整理されてあーそういう話だったのかってパーツ奇麗につながってく過程。まさに「家に帰るまでが映画です」的な感覚。いやー良かったわマジでもう1回観たいわ。早く観たいねーレンタルビデオ。編集して時系列順に並べたらマヌケだろうねーあの映画。

 例の映画の主役っていうのは物凄いスピードで記憶をなくす病気だったわけですが、それに勝るとも劣らない平成の空条徐倫(*1)こと僕。
 この間アニメ化されるっつうんで『グッドラック 戦闘妖精・雪風』が本屋に平積みされていて、しかもそこで見るまで『戦闘妖精・雪風』は一巻で完結してるもんだって真剣に信じきってた僕がいたんですけど、まあそんなことはおいといて。
 実は僕も前に『雪風』読んでたんですよあれは学生の頃の話。
 あの頃の僕は若かったのかなんだか知らないけどまったくこの小説に惹かれるものがなかったというか「へー」とか思いながら読み終えてそのまま本棚直行という勢いだったんだけど、『グッドラック』買ってもういいかげん話の内容忘れてるしってんで最初の方の『雪風』読み返してみたらこれがもうスゲエ面白いの。話のスジ大半忘れちゃってるんだけど、これがもう先気になんの泣けちゃうのマジで胸に迫るの。
 うんまーこういう意味じゃ物忘れるのもそう悪いことじゃないネなんて無理にまとめたりする今回。

 そういや、忘れてたけどアニメ版ってどんななの?

*1 空条徐倫

ジャンプの連載で見たら例の映画の言ってはいけない秘密をズバリ喋ってたけど、あれ大丈夫だったんでしょうか。

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2001.12.15(映画の話より)

誰もロドリゲスを止められない

 情報遅えと言われることは目に見えてますが、それでもこれはスゲエと言わざるを得ない。
 何がって、つまりその『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・メキシコ』がふと気付けば10月の段階で撮影終了してて2002年3月公開だってよ! ワーイ。
 えーと何の話かさっぱりな方のために説明しておくと、『デスペラード』の続編です。
 もう少し詳しく話すと、『デスペラード』っつうのはギターケースの中に銃をむやみに隠し持った殺し屋 (アントニオ・ヴァンデラス(*1)) が血と泥だらけになりながら撃ちまくるわ撃たれまくるわの非常にガッツ溢れる映画で、二丁の銃を交差させて撃ったり撃つたびに派手に腕をホップさせたりガソリンの漏れた車を背にマッチをブーツの底で擦って後ろ手にポイ捨ての後大爆発をバックに悠々と歩いたりとか、心底意味ねえ!でもカッコイイ!としか言いようのないナイス演出を怒濤のように発明しまくった、一般的に言うといただけない映画です。LOVE。
 ちなみに今の説明からはヴァンデラスの仲間の殺し屋二人が魅せた映画史上に残りかねないスーパー呆れるアクションが抜けていますが、そこだけは無理してでも本編をその目で見て確かめていただきたい。あんな演出信じられないです。ロバート・ロドリゲス監督最高。
 で、そのデスペラードの続編がワンス・アポン・ア・タイム・イン・メキシコ (長) なわけですよ。しかもちょっと待て、まあ聞け。このキャストがなんつうか悪魔ばりのこれ以上はないキャスティング。
 制作・監督・脚本・編集、ロバート・ロドリゲス(*2)。主演、アントニオ・ヴァンデラス。ここまでは前作通りだが、この先がスゲエ!
 共演、ジョニー・デップ(*3)! うわあああ信じられねえ。ダーティーなFBI捜査官として暗躍する (どうやら最大の悪役) ようですが、し、しかも何よこのスタイルは! こんなデップ見たことねえ! かかかカッチョ良い! これでもってグラサン取った日には例の母性本能を刺激してやまない寂しそうな瞳なわけですよ?
 そして悪役らしき麻薬王にはウィレム・デフォー(*4)! デ、デフォーが!? マ、マジで!? 凄すぎ! ヴァンデラス、デップ、デフォー! この三人が共演するというだけでこの映画を観る価値があると断言しよう。こ、こいつはハリウッドオールスターキャストだ!(明白に言いすぎ)
 そしてミッキー・ローク! わりとどうでもいいけど。だ、だがこのロークは実際どうなの? そんなにも観客を笑わせたいのか。その意気や良し。想像ですが、たぶん比較的出番の少ないまま途中で死ぬと思う。
 そして前作を見た人に強烈な印象を与えた、例の長髪ヒゲ面不健康そうな顔でナイフをどこからともなく取り出しては投げ取り出しては投げのナイフ使いジョニー・トレホもバッチリ出演。さらにヴァンデラスの仲間二人組までギターケース片手に登場! さすがにこの二人は前作とキャスト別人だけど。
 ついでにそうとうどうでもいいですが、ヒロインも前作と同じサルマ・ハエックだそうで、やっぱり時間的には前作の後の話なんでしょうか。この監督のことだからまったくつながりのない別の話として始めかねないけど。

 そして色々英語圏の映画ページを見て回った結果わかったんですけど、監督いわく今作は「デスペラード三部作」の3作目だそうで、えーとこの文章最初に書いたときは、この上まだもう一本作る気かよ!とか心底呆れたんですけど、どうやら『エル・マリアッチ』も数に入るので『エル・マリアッチ』『デスペラード』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・メキシコ』で「デスペラード三部作」になるそうです。ヒデエこじつけもあったものだと思いましたが、まあいいや。ロドリゲス監督万歳!

*1 アントニオ・ヴァンデラス

黒いコートが『マトリックス』のキアヌ・リーブスの五万倍ほどさまになるイイ男。濃い顔の。

*2 ロバート・ロドリゲス

『エル・マリアッチ』(←個人的にはわりとどうでもいい)『フロム・ダスク・ティル・ドーン』やもちろん『デスペラード』でもおなじみ、僕らの夢をかなえてくれる男の中の男。その一方でいきなり『スパイキッズ』とかを撮ったりするので驚く。

*3 ジョニー・デップ

甘く切ないマスクの実力派。とにかくジョニー・デップの出る映画にハズレはないと断言できる。大当たりもあんまりないけど。

*4 ウィレム・デフォー

知性的で変態的な悪人役を演じせたら世界でも右に出るものはいない。すでに神の域。

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2001.10.05(映画の話より)

まさかこれが風刺だとでも?

さあ諸君、戦争だ!
踊り疲れた足を止めて、酔いどれの歩調 (ステップ) でダンスホールの外に飛び出そう! 腕をひろげて死者の魂を抱きしめよう!
今日という今日は人殺しにはもってこいの天気じゃないか。そうとも日の暮れる前に、夜の更ける前に! 塵に息が詰まるまで、灰に喉が焼けるまで!
さあ諸君、戦争を始めよう!

 なんかいま一番はやっているのが戦争らしくって、西海岸とかで(*1)
 今日に始まったことでもないので別にその件をどうこう言うつもりは毛頭ありませんが(*2)、そんなことはどうでもよくてやっぱ抜群に面白いのはテレビとかでテロリズムがどうこうしたりとかビルを爆破したりとかあるいはメリケンの正義を疑ったりとかそういう映画の放映を自主規制したりするっていう状況ですよ。えーと、たしか『ダイ・ハード3』(テロリストがデパートを爆破したりいろいろする映画) が放送延期になって、そのかわりに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(アラブ系のテロリストからプルトニウムを奪ったり撃たれて死にかけたりする映画。ドクが。) が放映されたんでしたっけ。どうして誰も止めなかったんだ。
 そこで世界の辣腕プロデューサーこと僕が、なんかこの時期放映してはいけなさそうな映画をリストアップしてみました。誰に頼まれたわけでもないのに。

・コン・エアーとエグゼティブ・デシジョンとエアフォース・ワンとフライング・ハイと大空港シリーズ全部(飛行機が墜落しかねない映画は全部)
・ブロークン・アローとザ・ロックとジャッカルとサドン・デスと沈黙シリーズ全部(テロリストが活躍しかねない映画も全部)
・ダイ・ハード2(テロリストでしかも飛行機を落とすから)
・ダイ・ハード(テロリストがビルで、なんか色々するから)
・ダイハード・ピクセン 地獄の巨乳戦士(よくわからないが、とにかくだめな気がする)
・ホット・ショット2(いちおう戦争反対だから。でも1作目は戦闘機でアラブ人を撃ち殺すので可)
・ランボー(戦争反対だから。もちろん2と3は可)
・プラトーンとフルメタル・ジャケットとハンバーガー・ヒルとその時期公開された戦争映画全部(戦争反対映画は全部)
・シベリア超特急(戦争はいけない)

 戦争はこのような悲劇を生んでしまう。←誤り

*1 なんかいま一番はやっているのが戦争らしくって、西海岸とかで。

あながち間違いでもないね。

*2 別にその件をどうこう言うつもりは毛頭ありませんが

あ、でもブッシュは地獄に堕ちると思うな、僕は。

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2001.08.13(映画の話より)

デスペラード

 タランティーノ的なる言葉、とそれを名付けたい。
 何の話だいったい、と思うだろうがそれはつまり、「フル・ティルト・ブギ」に代表されるああいった言葉のことである。何の話だ、いったい。
 もう少し順序立てて言うと、『フル・ティルト・ブギ』とは映画『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(*1)のメイキングビデオのタイトルで、ちなみにこの作品がクエンティン・タランティーノ監督の強い影響下にあることは言うまでもない。
 そういうわけでタランティーノ的なる言葉である。別にこの映画やビデオの中でタランティーノが発する言葉(*2)がどうこうという意味ではなく、純粋に「フル・ティルト・ブギ」という言葉カッチョイー! ムヒョー! とか思っているのである。
 フル・ティルト・ブギ、その語感だけでも相当なものだが、意味もなかなかうならせる。直訳すると「全速力のブギ」といったところだろうか。ブギとはもちろん例の下品かつド迫力で渋いダンスのことである。しかしtiltもboogieも色々な別の意味があって、一概に直訳もできない。だいいちブギ自体にも俗語で「急いで行く」という意味もあるから「全速力の超早」とかそういう意味合いもでてくるのだった。日本語にすると物凄く味わいがない。やはりフル・ティルト・ブギだ。レンタル屋でこのパッケージを見るたびに心底素晴らしいと思う。信じられないほど見事なタイトルだ。男子たるもの一生に一度はこんなタイトルを付けてみたいものだ。何がだ。
 「フロム・ダスク・ティル・ドーン」というタイトルも良かった。まあこの辺はもちろんタランティーノが考えたわけじゃなくてロバート・ロドリゲスのセンスが生み出したものだろうが、それにしてもタランティーノ的であるのは読者も納得してもらえると思う。クールというには泥臭く、マッチョイズムと呼ぶには洗練されすぎている。こういった言葉のセンスで抜群といえばやはりタランティーノではないのか。『ジャッキー・ブラウン』というタイトルには心底グッときたものだ。単なる人名なんだけどさ。そういう問題じゃなく。
 スティーブン・キング(*3)も最近凄いことになっている。『ガンスリンガー』や『ザ・スリー』あたりも心にズドンと来るが、やはり白眉は『レギュレイターズ / デスペレーション』(*4)だろう。なんだかタイトルの話ばかりしているが。それにしてもこの語感は凄い。やはりラ行音と濁音、そして母音の使いどころを心得ている。この言葉のチョイスにしびれるのだ。読者はこの話についてきてくれているだろうか。

*1 『フロム・ダスク・ティル・ドーン』

普通の監督だったら思いついても恥ずかしくて絶対に人に話せないような小学生妄想レベル抜群の内容の脚本をキッチリ書ききってしかも一線級の作品にしてしまったロバート・ロドリゲスは本当に偉い。素の意味で大好きな映画です。

*2 タランティーノが発する言葉

ファックだとか、ファックがどうとか、ファックがどうしたとか。

*3 スティーブン・キング

小学生妄想レベル抜群転じて一線級作品という点に関して言えばロバート・ロドリゲスをも上回ること間違い無しの小説家。

*4 『レギュレイターズ / デスペレーション』

正確には『レギュレイターズ』『デスペレーション』だけど、まあ二つセットの作品だし。

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2001.06.07(マンガ・アニメの話より)

こうでなくっちゃいけない

 タイトルは忘れたけど、とにかく出演者にエド・ハリス(*1) (端役) とキーファー・サザーランド(*2) (悪役) がいるというある意味超豪華な映画をテレビで放送してたのでこれを見逃すわけにはいくまいっつう心構えで観てみたところ、便所のネズミもゲロを吐くようなドス黒い気分になったぜ。って空条承太郎も言ってましたよ。
 なんか娘を殺された母親の復讐劇だって話で、たしかに前半キーファー・サザーランド (悪役) がいかにきちっと死んで地獄にいくべきくず!であるかが描きに描かれてて、こいつがラストで血しぶくズタボロと化すかと思うと大変ワクワクできたんですけど、その一方で観てて非常に不安でしかたない点があったのです。
 サリー・フィールド演じる主人公の復讐者がもうヘナチョコの国から生まれたヘナチョコ社取締役みたいな骨もなければ頭も回らないしかといって人間的優しさではどうかといえば優しさライセンス不合格決定級という、お前はもうチャールズ・ブロンソンの口に言えないようなたぐいの垢やカスをまとめて飲め! 煎じずに。としか言えないような女で、ついでに言えばルックス的にも魅力ゼロの始末。こんなやつにはたして犯人を苦痛にのたうち回らせ後悔と恐怖のるつぼに放り込む役がつとまるのかと、観ててそればっかりが心配でしたよ。
 で、実際最後の復讐シーンも信じられないくらいグダグダだったんですけど。映画としてはエド・ハリス (端役) の抑えた中にも優しさと知性の光る演技が抜群でしたが、究極的に端役でしかも最後の方で復讐シーンにからんでくるのかと思わせる展開がありながらすべてが終わったあとで特に意味もなく登場するっていうナチュラルな演出で骨の髄まで脱力。あと、一見この映画で重要なポジションを占めているし渋い役柄であるかのような刑事が、実際はやることなすことすべてが裏目に出るっていうむしろコメディ映画向けのキャラクターで、そこだけ面白かったです。

 という話は前フリで、この映画を観た直後に『ストーンオーシャン』の7巻を買って読んであまりの素晴らしさに絶叫。エルメェス最高! エルメェス最高!
 「愛と復讐のキッス」っていう章タイトルの段階でこの手の大仰な表現技法に弱い僕とかはもう失神寸前だったんですけど、エルメェスときたらこれが最高の復讐者っぷりでまさにLOVE。
 「『復讐』なんかをして失った姉が戻るわけではないと知ったフウな事を言う者もいるだろう。許すことが大切なんだという者もいる。だが 自分の肉親をドブに捨てられてそのことを無理矢理忘れて生活するなんて人生はあたしはまっぴらごめんだし…あたしはその覚悟をして来た!!」 カッチョ良い! カッチョイーウィー! (泣きながら)
 これですよ! こういう復讐っぷりを僕は心の底から望み続けていたのですよ。ムカつく野郎をブッ殺してスッキリしたいので復讐する! これだ! この身勝手さこそが復讐の真髄! 復讐なんつうものは身勝手なもので、それをわきまえた上でなおあえてヤルという気合にこそ復讐者のカッコ良さがあるのです! そこんところをわかってない分際で復讐について偉そうに語るマンガがシーンを席巻 (←よくわかってない) する昨今、エルメェス姉さん綺麗ッスー。
 それでもってアレですよ! もうこの先はまだ読んでない人のために詳しくは言わないですけど「これはグロリアのぶん」のアレが! もう最高に素敵ですエルメェスさん! いまや「2001上半期・最も輝いてる女性キャラ部門」のトップにおどりでましたよ。自分の中で。

*1 エド・ハリス

目で語らせたら昨今右に出るものがいない俳優として僕の中で有名。

*2 キーファー・サザーランド

サザーランド (兄) として僕の中で有名。

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2000.10.27(映画の話より)

新事実

 えっ? 『ルーカスの初恋メモリー』ってジョージ・ルーカスが監督したわけじゃないの?
主人公の名前がルーカス。そう言われましても。

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2000.09.03(映画の話より)

こんなの映画評じゃない

 『スクリーム3』の公告の5人は全員が全員やる気のなさそうな顔をしていて、それだけで十分楽しめます。
みんなもレンタル屋さんで確かめてみよう。

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2000.07.02(映画の話より)

これがエマニエル夫人の続編だ

 前回ああいったことを書きましたが、考えてみるとエマニエル夫人 (シルビア・クリステル) がなんらかの形で若返りさえすればエマニエル夫人シリーズはだいたいそれでオッケーらしいです。そこで大胆予想! エマニエル夫人の次回作はこうなる!

ナッティ・プロフェッサー 〜エマニエル夫人の場合〜
 ジェリー・ルイス主演の『底抜け外交官夫人』(実在せず) をリメイク。エマニエル夫人 (シルビア・クリステル) が遺伝子を刺激する薬を開発して、若返ることに成功する。しかも性格まで積極的になり、性のアバンチュールにのめり込んでいくという爆笑コメディ。コメディ!?

エマニエル8 (E8)
 歴史を変えるため未来からやってきたアンドロイドの (若い) エマニエル夫人! エマニエル夫人 (シルビア・クリステル) の命を狙い、性のアバンチュールにのめり込んでいく。それ関係ないと思います。

ジュラシック・エマニエル
 エマニエル夫人 (シルビア・クリステル) のDNAをもとに生み出された (若い) エマニエル夫人! しかしコンピュータのトラブルによりパーク (←何の?) は性のアバンチュールにのめり込んでいく。全体的に意味がわかりません。

2001年 宇宙のエマニエル夫人
 いろいろあって、エマニエル夫人はモノリスに触れたのでとりあえず若返る。あと、性のアバンチュールにのめり込んでいく (なげやり)。

 すいませんもうしません。二度と。

(参考:『ぴあシネマクラブ 1999-2000』(*1))

*1 『ぴあシネマクラブ 1999-2000』

CD-ROM。たいへん便利なので、みんなも買うべきだ。

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2000.06.27(映画の話より)

エマニエル夫人の見分け方

 シルビア・クリステルが藤椅子に腰かけていて、フランス人が変なテーマ曲を歌っているのが『エマニエル夫人(*1)(原題『エマニエル』)。

 フランス人が変なテーマ曲を歌っているけど藤椅子に腰かけないのが『続・エマニエル夫人(*2)(原題『エマニエル・ランチ・ビアージュ』)。

 本筋となんら関係ない汽車のシーンで強引に話をシメられるのが『さよならエマニエル夫人(*3)(原題『グッバイ・エマニエル』)。あと、歌がやっぱり変。

 エマニエル夫人が整形手術を受けて若返るというか、どうみても別人が演じているのが『エマニュエル(*4)(原題『エマニエル4』)。

 もう理由をつけるのも面倒くさくなって、最初からいきなり前回とはまた別の人が演じているのが『エマニエル5(*5)(原題も『エマニエル5』)。

 それをなかったことにして、エマニエル夫人が今度はバーチャル空間で若返って別人が演じるのが『エマニュエル7 ヴァーチャル・エロチカ(*6)(原題『エマニエル7』)。

 あれ、6作目は?
(参考:『ぴあシネマクラブ 1999-2000』)

*1 『エマニエル夫人』

どうひいき目にみても主演のシルビア・クリステルが美人に思えないのですが、これがフランスのエスプリというものなのですか。それにしても変な主題歌だった。

*2 『続・エマニエル夫人』

見てない。あのテーマ曲はいっしょらしいです。

*3 『さよならエマニエル夫人』

見ているうちに、もしかしてフランス人は実はとても馬鹿なんじゃないかと思えてくるすごい映画。冗談としか思えないラストシーンは必見。

*4 『エマニュエル』

若返ったエマニエル役のミア・ニグレンは本当に美人だった。いままでがいままでだっただけに、ありがとうミア・ニグレン。あなたこそがエマニエルの名にふさわしい。

*5 『エマニエル5』

これも見てない。このあたりになると紹介するのもなんだかもうどうだってよくなってくるが、そういう映画をそれでも作ってしまうフランス人は凄い。

*6 『エマニュエル7 ヴァーチャル・エロチカ』

やる気のないタイトルとやる気のない設定が画期的だが、見てない。ちなみに第一作から数えて19年目の作品だが、19年間エマニエル夫人として生き続けてきたシルビア・クリステルの胸中やいかに。

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2000.06.13(映画の話より)

『M:I2』の内容を要約してみよう

 話の流れは忘れたけどとにかく『ミッション・インポッシブル2』(*1)の話題になって、それで僕はこの映画がいかに素晴らしいかを雄弁にこう語った。

 「もうスゲエぐるぐる回るんですよ」

*1 『ミッション・インポッシブル2』

誰が呼んだかM:I2。あくまで個人的意見ですが、最高レベルに好きです。

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2000.02.09(映画の話より)

映画を斬る

 ずっと前から思い続けてたんですけど、『白い嵐』(*1)のラストって、あれ、『いまを生きる』(*2)のラストそのまんまじゃないのか。別にいいんですけど。

*1 『白い嵐』

この映画から得られる教訓は、「しなくていい苦労ならしないほうが得」だと思うんですが、こんなこと言っちゃダメ?

*2 『いまを生きる』

この映画から得られる教訓は、「だめなやつは結局だめ」だと思うんですが、こんなこと言ったら怒られる? ねえ、怒られる?

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1999.11.01(映画の話より)

レオンで泣けない男たち

 世の多くの男性は『レオン』(*1)を観ても泣かない。
 というより、どっちかというとピンときていない。と思う。そんな大勢にアンケートとったわけでもないので、事実かどうか知らないが。だいいち大勢にアンケートをとるような問題か、これは。
 で、世の男性が『レオン』で泣けないっていうことをこのさい事実としてふまえてですね、それはたぶん彼らが男性だからだと思うのです。僕は。
 あ、いや、別にジェンダーがどうこういう難しい話じゃなくってですね、単純に「おっさんと少女の恋(*2)に感情移入できないから」なのだと言いたいのです。僕は。
 ていうか女性サイドから見て、まずジャン・レノはオッケーじゃない? 渋いおっさんに憧れた時期があったり、なくても心情的に理解できたりするじゃない? 今でも好きだったりするじゃない? だからマチルダ(*3)にも素直に感情移入できるんだと、そういう思いで一杯なのです。
 そして男性サイドにとっては、ジャン・レノは確かに渋いしかっこいいが、といってそれに恋愛感情を抱くわけにもいかず、といって二回り年下のマチルダと「一緒に暮らしたい」とか言い出すレオンの心情もいまいち理解できなかったりするのです。むしろレオンの相棒のように「お前大丈夫か? それはちょっと、ナニなのではないのか? お前いくつだ? そんなお前はそれでいいのか?」と心配になってしまったりするのです。
 そんな素敵な思いつき。

*1 『レオン』

リュック・ベッソン監督、ジャン・レノ主演。世界中が涙したっぽい。

*2 おっさんと少女の恋

こんな言い方をするとおそろしく身も蓋もない。

*3 マチルダ

ナタリー・ポートマン(クイーンアミダラ)演じるヒロインの少女。

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1999.07.11(映画の話より)

映画評?

 『アナコンダ』を観た。
 あー、つまんないとは決して言わない。むしろ二時間退屈せずに堪能できた、という気はします。でもなあ、こういうのを観るといかに『トレマーズ』(*1)がエンターテイメントとして出色のできばえだったかがはっきりと分かる。観客を怖がらせたりドキドキさせるのと、不愉快な気持ちにさせるのとは似てるようで全然違うんだぜ。
 肉体派女優ジェニファー・ロペス(*2)の立派なスクリーム・クイーン(*3)ぶりと、アイス・キューブ(*4)の意外にいい人っぽい演技が印象に残りました。

*1 『トレマーズ』

意外に知られていないが、心底面白い怪生物パニック映画。だまされたと思ってレンタルしてみてほしい。「パニック・アクション」か「ホラー」、「ケビン・ベーコン出演作」あたりで見つかるはずだ。

*2 ジェニファー・ロペス

焼き肉屋で最初からじゃんじゃん肉を鉄板にのせてそう。

*3 スクリーム・クイーン

「半裸でキャーッていうおねえさん」の英訳。

*4 アイス・キューブ

強そうなでぶの頂点。

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1999.05.22(映画の話より)

君は『ムトゥ・踊るマハラジャ』を見たか!?

 スゲエよインド人。完璧に予想以上でした。とにかく一度でいいから見てください。二度見るもんでもないと思うが。いやオレは見るかも。見ないかも。私の話なんかどうでもいいですか。
 もうあらゆる演出が必要以上なんですよ。いや本当にあんな猛烈な主人公の登場シーンは見たことないですよ。あんな大げさなキスシーン初めて見ましたよ。金の使いどころ間違ってますよ。サム・ペキンパーばりの強烈なカメラワーク! 香港映画もびっくりのアクションシーン! ハリウッド映画でもかつてなかったような無駄な馬車チェイス! そしてわかりやすすぎるギャグ! 大いに笑った上、最後にはジンとさせられちゃったりもして。
 僕を信じて観てください。おもしろくなくても責任はとりません。僕を信じた貴様が悪いのです。
補足:釈迦の思想をある程度知っていると、いっそう感動できます。さすがインドって初期の仏教哲学がきちんと残ってる。

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